【問1(生態学)

 生態系のバランスが崩れたときに、最初に姿を消すのは高次消費者であるという。その理由について生態ピラミッドという語を用いてまとめなさい。

 

 

 

《解答例》

 生態ピラミッドを見ると、一般に、高次消費者であればあるほど個体数は少なく、その餌となる生物個体数は少ないが、生存のために多くの生物環境を必要としていることがわかる。すなわち、高次消費者の生存には、餌となる生物、さらにその餌となる生物が食べる餌生物が生物群集として存在すること、そしてこれらの生物群集の生存基盤である環境が健全であることが必要である。つまり、生態ピラミッドの底辺が高次消費者を支えているということになる。

 そのため、生態ピラミッドを構成する生物や、それを育むことのできる広い面積と基盤となる土地(土壌)などの物理的環境要素科学的環境要素の一部が欠けて生態系のバランスが崩れると、広い底辺に支えられている個体数の少ない高次消費者が最初に姿を消すことになる。

 

 

解答例

 生態系ピラミッドは、高次消費者であればあるほど、生存に広い自然環境を必要としていることを示している。逆に、ピラミッドの頂点に位置するワシ、タカなどの大型鳥獣がいるということは、その地域の生態系の質と量が総合的に高いことを示している。

 このことはまた、土地(土壌)の一部が失われるなど、自然生態系の構成要素の一部が欠けることで生態系のバランスが崩れたとき、最初に姿を消すのは生態系ピラミッドの頂点に位置する高次消費者であることも意味している。

 タカの一種であるサシバが生息している地域の森林が一部伐採されると、植物をえさとしていた昆虫の一部が生存できなくなり、それとともに、その昆虫を食べていたカエルやトンボの一部、そしてヘビや野鳥の数も影響を受け減少する。その結果、高次消費者であるサシバは、えさの必要量が不足し生存できなくなる。残された環境では、サシバの下部層にいるヘビや小鳥が小さくなったピラミッドの頂点にいる。

 このようにピラミッドの底辺に位置する土地(土壌)の微妙な変化にも敏感に反応するのが猛禽類をはじめとした高次消費者である。