【問18】(ビオトープ論)
植生調査の方法について、説明しなさい。
《解答例》
植生調査は、植生の構造や分類・動態・分布・機能を明らかにする調査であり、ここでは、植物社会学的な群落調査方法について述べる。まず植生調査の対象となる均質な植生の部分を特定し、コドラートを設定する。大きさは、通常、コドラート内に生育している植物の最大高さを基準にする。設定されたコドラート内において、高さ・植被率、樹木の場合には胸高直径を測定し、各階層について優占種を特定する。次に、各階層に出現したすべての植物をリストアップし、その被度・群度を、通常ブラウン・ブランケの総合優占度・個体の配分状態により5段階で判定する。森林の相観は現場においてスケッチにより記録する。また、森林の調査では樹冠投影図を作成する場合が多い。各項目に関する調査結果から植生調査票を作成し、群落区分を行う。さらに、植物群落と立地条件との関係を分析し、群落の動態を解明する。また、植生単位をもとにして植生図を作成する。
《解答例》
@ 調査区の設定:調査にあたっては、文献・資料調査などの事前調査で得た植生概況の情報をもとに、調査区を設定する。原則として群落ごとに1〜5地点以上の調査区を設定し、広い面積を占める群落はより多くの調査区を設定する。
A 調査面積:最も高い植物もしくは優占種の高さを一辺とする正方形の面積を最小面積として方形枠(コドラート)を設定する。
B 階層構造の記録:調査区の中央と想定される地点に立ち、目測により各階層の高さと植被率を記録する。高木層、亜高木層の主な樹木については、巻尺を使って胸高直径を測定する。
C 階層別全種リストの作成:階層構造で識別された各階層それぞれの構成種をリストアップする。種名同定に疑問の残るときは必ず標本を採取して持ち帰り、フロラ調査結果などを踏まえて種名を明らかにする。
D 群落の測定:リストアップが終了したら、それぞれの種の優占度(被度)、群度について測定する。ブラウン−ブランケの方法による。衰弱した種が認められた場合は、活力度(1〜4)も記録する。
E 立地条件の測定と記録:主な測定項目は、標高、斜面方位・傾斜、地質、微地形、土壌、人為的影響、動物の生活痕(フィールドサイン)などがあるが、特に土壌は立地条件として重要である。