より良い未来のために・・・・・洞爺湖サミットに期待!
 今年は北海道で洞爺湖サミットが開催される。国内では日本のイニシアティブに期待と注目が注がれている。しかし諸外国からもそう思われているのであろうか? 日本のリーダーよ。我々に自信と誇りと勇気、そして示唆を与えて頂きたい。

 1970年、私が小学生の時に、BBCの製作だったと思うが30年後(西暦2000年)の世界というタイトルのドキュメンタリーを観た。人々が大都市に集中し、街の外側に巨大なスラムが形成され、子供たちがゴミを漁り、工場からの汚れた廃水が川に飲み込まれ、煙突からのばい煙が青空を汚し、アフリカの野生動物の食べ物が枯渇し、多くの動物が餓死し、生き残った動物も営巣を捨てて移動する。そんな映像だった。フィルムにおける当然の結論として、このような21世紀にしてはならない。今から対策を講じようという呼びかけで幕を閉じた。
 その夜、私は眠ることができず、きっと頭の良い人達が何か方策を考えてくれはずだと自分に言い聞かせて眠りについたことを記憶している。
 あれから約40年、子供の時に観た映像通りの状況が世界のあちらこちらに存在している。専門家A氏は今のまま環境破壊を続けると約300年程で人類はこの地球上には住めなくなると言う。専門家B氏は、あと500年と言う。専門家C氏は、あと600年と言う。何れにせよ数千年先ではなく、数百年先という近い未来において人類の生存が難しくなることは間違いなさそうだ。私の友人の中には「自分の子孫に責任が持てないので子供はつくらない」という者もいる。
 また、昨年には環境難民(地球温暖化や砂漠化などの地球の自然環境の変化や環境破壊によって、生じる難民。)の数が紛争難民(=戦争難民)を上回ったそうだ。先週のTV放送でも南の小さな島の住民が、海面上昇によって家が水没し、島を捨て集団で移住していた。自分達は悪くない、先進国の横暴だと抗議しながら。
近い将来、戦争・紛争の原因は、現在の宗教対立、地下資源の争奪、領土問題、歴史的民族間憎悪から食料、環境を基にしたものへと代わってくるであろう。
 本当にSF映画のように選ばれた数千または数万人の人間が、月や宇宙空間や海の中、または地底に移住し、人類の遺伝子を守り、数百年後か数千年後なのか、地球の自然環境が復元された後に地上に戻ってくることになるかもしれない。光ファイバーを利用すれば地下でも植物は育つし、必要な物質の取り込みも生産も可能である。ところで、以前スパーゼネコンと呼ばれる建設会社からそのようなコマーシャルビデオを見せてもらったことがある。一企業がそこまで研究しているということは、どこかの国または組織が、設計・研究しているのは至極当然のことであろう。しかしながら我々人類の子孫が地上へ戻ったところで、そこは他の生物(それは昆虫かもしれないし、菌類かもしれないし、今まで人類が知らなかった生物かもしれない。)の支配下かもしれない。決して(古い映画ではあるが)猿の惑星のようになっていることはないであろうが。
 それでは我々にはいったい何ができるのだろうか。何をすれば良いのであろうか。答えははっきりしている。抽象的な表現ではあるが、無駄な戦いと諦めずにできる限りのことをしなければならないということになる。
 国連や国や自治体等は方向性を見出しルールを定め、組織や企業は更なる実践・行動等を図り、もっとも理解と実行が遅れている各家庭・個人が徹底的に環境を良くするという高い意識のもとで社会活動・社会生活を営まなければならない。
具体的には、世界的なルール決めであったり、国民・市民への啓蒙、技術開発、実践の指導、・・・・・・・etc。場合によっては強制執行・罰則の適用といった手段を必要とする場合もあるかもしれないが。  要は、今より半歩でも一歩でもより良い未来のために行動することなのである。しかしながら現実は厳しくて、より良い方向に推移するのではなく、悪化するスピードを少し緩めることしかできないのかもしれないけれど。
 一人の地球人として洞爺湖サミットに期待している。
2008年2月 藤田良司
 <葛繽B造園代表取締役>
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