ランドスケープ
 最近良くランドスケープという言葉を耳にします。英和辞書で調べると、
ランドスケープ【landscape】景色。景観。風景。風景画。
ランドスケープ-アーキテクチャー【landscape architecture】造園学。造景学。景観を美しく、快適にするための保全・修景・創造にかかわる技術・学問。
また、和英辞書では、
造園[造園術]【landscape gardening】ランドスケープガーデニング。
造園家【a landscape gardener[architect]】ランドスケープガーデナー。[ランドスケープアーキテクト]
と出てきます。私は造園という職業にかかわって20余年になりますが、恥ずかしながら5年程前までは意味を詳しく知りませんでした。
改めて考えてみると、造園という表現で言えば小さくなりますが、ランドスケープと言えば、何となく大きくなったような気がします。今、毎日のように何処のメディアでもニュース等で環境問題が取りざたされています。大きな分野で言えば、公害問題、地球環境問題、自然環境問題、生態系問題、複合汚染問題。細別すると、大気汚染、地球温暖化、ヒートアイランド、森林破壊、生態系の破壊、等々挙げると切がありません。このような環境問題すべてではありませんが、私たちの職業である造園は、直接的にも間接的にも少なからず関わっていると思います。私たちの職業は、『景観を美しく、快適にするための保全・修景・創造にかかわる技術』なのです。そして造園業は、建設関係28業種の中で唯一、植物等の生き物を扱う業種であり、自然との調和・共生を意識した業種です。自然環境や自然生態系のかかる分野では、最も密接していると思います。
ヒートアイランドに対する緑化や、ビオトープや里山等は、皆さん周知の如くだと思います。そして今、私たちの足元『表土』も注目されています。表土(土壌)は、生態系を保全していくための要素の中でも、最も重要性が高い基盤的要素です。「消費者」と呼ばれている動物たちの栄養は、源をたどれば全て、緑色植物が創りだす化学エネルギーに帰着します。『植物が無い場所に動物だけが生きている』ということは一般的にありえません。
私たち造園業者は、「庭の剪定・施工・維持管理」も勿論重要な仕事ですが、まだまだ沢山仕事に繋がることがあると思います。今、緑化協会では、ビオトープの研修会を行なっています。毎回25名程度の方が講習に来ています。水野会長が有意義な講習会を開催していますので、参加できる方は勉強して、ビオトープ管理士を目指しましょう。
また、7月11日に福岡で、〔"みどり"からはじまる 都市の再生と地方の再生〕というテーマでランドスケープフォーラムが開催されます。少し遠い場所ですが、参加できる方を募っています。博多山笠の開催期間中なので、山笠を見学して帰路につくのもいいのでは?と思います。詳細は緑化協会事務局から連絡が行きます。

長くなりましたが、最後に一言、
『時間は戻らない、いのちも創れない』でも、造園業であるからこそ出来ることがあるのではないでしょうか。

三宮 洋
 <株式会社 三宮造園土木 代表取締役>
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