ブラックベリーと・・・
 梅雨があがって、ますます暑い毎日が続きます。
管理の現場は水やりと花の対処に追われています。
 年々、気温が高くなっているような・・・、少し涼しくなるまで植替えはお預け状態かもしれませんね。

 そんな中、ある場所でブラックベリーの垣根を見つけました。
ブラックベリーの垣根

 ここはもう2年くらい経つのかな・・・年に2回ずつ夏と冬に花の種を蒔き、成長した苗を子供たちと植付けしている場所の裏手です。
 7月に花苗が生長したので植え付けに行った際、作業が終わって、皆さん汗だく状態。そこへ、持ってきてもらったのが炭酸で割った冷たい赤いジュースでした。
 話を聞くと、裏手のフェンスに育ったブラックベリーを収穫し、シロップ漬にしたものでした。
ブラックベリーのシロップ漬

 館長さんが自ら収穫して漬けたものだったのです。
 今年は実なりが多く、子供たちも実が黒くなると収穫しては食べているそうです。
 ちなみに、今回は砂糖と果実のみで作ったシロップ漬けだそうです。




 さっそく、裏手に回り見せて頂きました。もちろん、収穫もさせて頂きました!
 全長、5〜6mくらいですが、見事な生垣になっています。
果樹園で見た事はあったのですが、住宅地の真ん中では初めて。一人、感動してしまいました。

赤い実が黒くなったら収穫です。その場で食べてみましたが、甘酸っぱい美味しい実でした。
 6月の下旬から8月の上旬が収穫時期に当ります。
(8月から9月にかけて収穫時期を迎える品種もあります)

 ブラックベリー(セイヨウヤブイチゴ・学名:Rubus fruticosus 英名:Blackberry) バラ科の落葉つる性植物です。
 ラズベリー等と同じ仲間になりますが、ブラックラズベリーとは別物になります。
 歴史は古く、古代ギリシャ時代から野生種として食されていたようです。
主に、ヨーロッパでは垣根作りに、また北アメリカではネイティブアメリカンが数千年に渡り野生種を食していたという記録が残っています。
 アメリカでは1930年ごろから育種が始まり、品種改良が進みました。
 日本へは明治の初期に北海道開拓使によって導入されたそうです。

 ベリー類は本当に種類が多く、ハックルベリー、ブルーベリー、ラズベリー、カラント類、デューベリー等など。
 ブラックベリーの栽培を支えたのはデューベリー(つる性のブラックベリー)と言われており、近年では半直立性や直立性もあるそうです。
 直立性であれば垣根にしなくても普通の果樹と同じように育てる事も出来るわけですね。
 今回のブラックベリーはつるタイプをフェンスに絡ませています。
 ヨーロッパでは各家庭で手軽に垣根等にして楽しんでいるようです。
 また、これらのベリーはカップや皿の絵柄であったり、日常のポピュラーな植物の一つなのでしょうね。
我が家のカップ これは我が家のカップですが、ちゃんと学名入りです。一脚しかないのが残念ですが・・・・
(他の植物とセットでした)
 日常の生活のなかで、収穫時期に合わせ、楽しんでいるのでしょう。
 ブラックベリーはシロップ漬けにした後、シロップを濾して、実は砂糖を加えてジャムにします。
 リンゴとの相性もとても良いのでパイにして焼いてもよし、生でヨーグルトに入れても美味しいですよ。

 購入の際は、苗もしくは鉢植えで流通しています。「実を食べたい」と言って甘い品種を選ばれてください。(品種も沢山ありますので)
 土壌はやや酸性土壌を好みます。比較的暖かい地域でよく育ち、出来れば日の当たる排水の良い場所を選んでください。
 品種によって異なりますが、つる性ならばフェンスやトレリスのような、つるが絡みやすい部材を用意してください。最近出回っている直立性ならば必要はありません。
 植付けの適期は10〜5月。剪定は休眠期の2月頃株元から1〜1.5m程度に切り詰め、昨年実がなった枝や枯れ枝は取り除きます。(結構放任栽培です)
弱い枝も取り除きます。受粉は自家受粉ですので1鉢(1本)でも大丈夫。
ただし、街中やベランダ栽培の場合は人工授粉をしてあげてください。
 肥料は化成肥料を8月、11月頃。2月に油粕と化成肥料を。
 乾燥に弱いので、水遣りはしっかり行ってください。植付け2年目くらいから収穫が期待できますよ。

 本来、日本の垣根は目隠し用として生活空間と外の空間を遮る目的がありますが、あえて隠す必要の無い場所であれば、「収穫」という楽しみがある植物もいいかもしれませんね。

 今回はもう一つ。
 ブラックベリーを沢山収穫させて頂き、早速何を作ろうかと考えながら家路に着いた車の中から、信号で止まった時何気なく見渡した景色の中にこんな色が飛び込んで来ました。
川沿いに延々と続くカンナ 少し遠めで分かりにくいかもしれませんが、オレンジのライン。「カンナ」の群生です。
 護岸整備が終わっている川沿いに延々と続くカンナの姿は圧倒されるばかり。
 実は地域住民の方が毎年少しずつ植えてらっしゃるとの事。新聞にも掲載されていました。
 夏の花の代表選手の一つでもあります。
 カンナはダンドク種(学名:Canna indeica hybrid)と呼ばれる原種から品種改良され、現在、ハナカンナ(学名:Canna×generalis)として取り扱っています。 半耐寒性、多年草の球根植物です。
 私が子供の頃は小学校の校庭の隅だったり、自宅の前の土手だったり、どこにでも生えていて、気にも止めなかった植物ですが、いつの間にか見なくなり、今では注文して苗を取り寄せる植物になってしまったようです。
カンナ 大振りの花に、楕円形の大きな葉っぱ。
夏の間6〜10月くらいまで咲き続けます。
 名前の由来は定かではありませんが、原種の学名にもC.indeicとあるように、インドの伝説にありました。
『仏陀(ブッダ)の霊力をねたんだ悪魔が、ある時仏陀に怪我をさせ、その怪我から流れた血が土にしみこみ、そこから発芽したのが「カンナ」だった。』と言われています。それ程に花の色が赤いと言うらしいのです。
通常目にするのは、オレンジ色がポピュラーですが、真っ赤や黄色、花びらには水玉模様が入っています。
銅色の葉も見かけるようになりました。 大型種ですが、最近は矮性種も見かけます。高さ50cmくらい。 コンテナでの栽培も可能なようです。
 花壇で使用する際は、大型種であれば後方に植え付け、矮性種ならば中段くらいでポイントとして使えます。
大型コンテナに植えつけてもいいですね。
花後結実した姿 葉も楽しめるし、写真のような姿を見る事も出来ます。花後結実した姿です。
 カンナは球根植物なので、地下茎によって育っていきます。  多分、この実を植えても育つとは思いますが、かなり長い時間かかりそうですね。
出来れば株分けして育ててください。
 存在感が強いので、一緒に植える植物も選らんでしまいます。
ヘリオプシスやフロックス、ダリアなどの背が高くなるタイプと組み合わせたり、カンナの花は大きいので、少し小ぶりの植物や、特長的な葉の形を持つ植物と組み合わせると素敵な花壇が出来上がりますよ。

 今回は街中で「植物発見!」でした。
 私の日常は車での移動が多く、窓から外を眺める余裕がないのも事実ですが、これからは、少し寄り道をしながらその風景にあった植物も楽しんで行きたいと思っています。
 地域にあった植物はその場所に根づきます。花壇はその風景と植物を取り入れる事で違和感が無くなる。今更ながら、「発見」でした。
 皆さんも身近な場所、少し歩いて見ませんか?
 面白い物が見えてくるかもしれませんね!


御園 和穂

(09/08/01掲載)

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