モクレンとコブシ
 例年になく寒い一月でした。雪も降り、零下の日もあり、身が縮こまってしまいました。今が一年で一番寒い季節ですね。
大寒もすぎ、もうすぐ立春、一歩ずつ春に近づいてますね!?

 先日、久しぶりに遠賀川の土手沿いを車で走りました。
景色を見ながら大木を発見。何の木? ハクモクレンでした。
 今回はモクレンとコブシをご紹介しましょう。
 まだまだ小さく硬い冬芽が、「もう少ししたら咲くぞ」と言わんばかりにびっしりついていました。
 ハクモクレン(白木蓮、学名:magnolia heptapeta)。モクレンの仲間で、3月半ばに白い花を咲かせます。中国原産。
 モクレンの仲間の中では大型落葉樹で樹高は10〜15mに成長します。
遠賀川の土手沿い
遠賀川の土手沿い

 ハクモクレンの高木と枝先の冬芽です。(写真)
 冬芽(蕾)は銀色の毛に包まれ、寒風に耐えていますが、もう少し気温が上がってくると開花の準備を始めます。
 私達がよく目にするモクレンは(木蓮、木蘭 学名:Magnolia quinquepetaもしくはM・liliiflora)モクレン属の落葉低木です。
 花が紫色なのでシモクレンとも呼ばれています。
 その昔は花がランに似ている事から木蘭(モクラン)と呼ばれていましたが、その後ランよりハスの花に似ている事から木蓮(モクレン)と呼ばれるようになったそうです。
 シモクレンは小型で樹高3〜5m程度、花は4月半ばから。花は舌状で長く、艶やかな花を付けます。

←シモクレンの花。
葉が少し芽を出した頃開花します。
香りはわりと強いですが、嫌味のない香りで庭木としても好まれているようです。

←ハクモクレンの花。
 シモクレンとは異なり、葉は後から出てきます。開花している時の姿は「白い小鳥がいっぱい止まっているよう」に見えますよね。
 花は清楚で、花びらは幅が広く厚みがあり、香りも楽しめます。
 花はシモクレン同様、上向きで閉じたような状態の花を付けます。
 また、「磁石の木」とも呼ばれています。蕾が膨らみ始めた時に一度確認して見てください。 日当たりの良い南側の生長が良くなるため蕾の先端が北、膨らんでいる側が南を指しています。
 ネコヤナギや山コブシなどでもみられますよ。
 モクレンの仲間にはもう一つ、モクレンとハクモクレンの雑種でサラサモクレンがあります。
 花の形状はハクモクレンに似ていて、色合いは両方の中間でピンク(やや薄い感じ)です。

  神代寺植物園のサラサモクレンより 
  (蕾の先端が北側、膨らんだ方が南側)
 ほんのり色づいて、美しい姿です。
 ハクモクレンが咲いて、サラサモクレン、モクレンの順番で開花です。モクレンが咲くころソメイヨシノが満開になります。
 
 さてもう一つ、よく似ているタイプにコブシがあります。
 コブシ(辛夷もしくは拳 学名:Magnolia kobus)モクレン科モクレン属の落葉高木。樹高は18mくらいまで大きくなります。
 

  コブシの花と樹皮、実
名は開花前の蕾が「子供の握り拳」に似ているという説や実が「拳のようにゴツゴツしている」という説もあります。
 また、別名「田打ち桜」とも呼ばれ、農作業を始める目安にしているそうです。ちなみに鹿児島ではコブシが咲く頃サツマイモを植え、栃木ではサトイモを植えるとか・・・。
 ハクモクレンとよく似ていますが、花びらは細く全開し、ハクモクレンは開花後葉をつけますが、コブシは開花時に葉を1枚付けます。
これで判断が出来ますね。
 用途としては建材としても樹皮を付けたまま茶庭の柱として使用される事もあるそうです。
 街路樹や庭木としても使用しますが、コブシは少し高い山と山の谷あいにひっそりと花を付けている姿が一番似合っているような・・・(個人的な見解です)
 
 最後はシデコブシ(ヒメコブシ)です。
ハクモクレンのすぐ側に植えられていました。
シデコブシの樹木と蕾
 シデコブシ(幣辛夷、四手拳 学名:Magnolia stellata 別名:ヒメコブシ)
 日本固有の植物で愛知、岐阜、三重の3県の限られた地域に自生しているそうです。(開発による自生地の保護が危ぶまれている:準絶滅危惧U種)
←シデコブシの花。
 「生きた化石」とも呼ばれ、過去の環境条件の変化に耐え、生き残った種とされています。
 通常は低い山に生える落葉小高木または低木で、樹高は5m〜10m程度、時には2m程度のものもあるそうです。
 土壌条件が良い場合は高木タイプになり、痩せている土壌の場合は沢山の枝が萌芽し株立ちに、さらに湿地の場合は根際から多数の枝を出し潅木になるそうです。 「生きた化石」の由縁でしょう。
 花はコブシよりも花片の長さ約10cm程度と細長く、枚数も多いので判断は簡単です。
 シデコブシの名は、その花の形が神前に供える注連縄(しめなわ)や玉串に付けられる飾りの幣(しで)もしくは四手に似ている事に由来しているそうです。

←注連縄に飾られる「しで」
 確かに、花片が長く少し波打ったような姿がどことなく似ているような気がします。
(写真は図鑑等参照)
 「3月の末頃から開花しますよ」と言われました。
花が咲く頃、もう一度この土手を通ってみたいと思ってます。
 
 最初にも触れましたが、昨年末から例年にない寒さです。
草花も思うような姿になっていないのが現状。雪が降ったり雨も多かったので水遣りを控えたり・・・でも強風なので乾燥気味でもあります。
管理するにも様子を見ながらの毎日です。
 自然界は環境の変化に惑わされる事なく、着実に自分の使命を突き進んでいます。
 私達も環境の変化に対応出来る柔軟さを持ち合わせていかないといけないようですね。
 丸まった背中を伸ばし、視界を広げ、周囲の変化を見てみましょう!
 春はすぐそこまで来ているようですよ。

御園 和穂

(11/02/01掲載)

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