初夏からの草花
 新緑が眩しい季節が過ぎ、うっとうしい季節の到来です。
 旧暦では梅雨明け時期で、暑さによって水が無くなると言う事から、「水無月(ミナズキ)」とも言います。実際にはこれから梅雨ですが・・・
 私は苦手な季節なのですが、植物にとって、また稲作には欠かせない恵みの雨ですね。
 うっとうしい季節を上手に過ごしていきましょう。

 今回はペチュニアなど、初夏から花壇に植付けられ晩秋まで楽しめる草花をご紹介します。

 ペチュニア 学名:Petunia hybride  別名:ツクバネアサガオ
ナス科の春蒔き一年草 原産地:南米 花期:4月〜11月
 初夏から晩秋まで咲き続ける可憐な花です。
 ペチュニアはブラジル原住民の言語で「たばこ」を意味し、ナス科のタバコ属(Nicotiana)の近縁にあたります。
 1830年代にイギリスで初めて品種改良が行われ、その後各国で競うように品種改良に取り組み、19世紀の末には矮性種や大輪種などの新しい品種が生まれました。
 日本へは「ツクバネアサガオ」の名前で渡来し、寒さに弱い植物なので一年草として取り扱いをされています。
 現在は、園芸店を見る限り一年を通して多種多様な種類が店頭に並び、毎年新しい品種や変わった色合いなどがデビューしているようです。
 近年、日本は「ペチュニア先進大国」にまでなっているのです。
 毎年改良が進み、種苗会社のみならず、バイオ技術の得意なビール会社やタバコ会社等も多くの品種を世に出しています。
 これらの花は日本のみでなく海外へも進出しているのですよ!
 例えば、サントリーが開発した「サフィニア」。日本では大ブームになりました。一つの苗で大きく広がり、花数も多く・・・このサフィニアはイギリスでも大好評、いたる場所で植え付けられています。
 また、キリンが開発した「キリンウェーブ・パープル」は花の最高権威のあるオールアメリカセレクション(AAS)を受賞し、アトランタオリンピックの公式フラワーとして会場全体を飾ったほどです。


 この季節からの花であれば、山のようにたくさんの種類があるのですが、なぜにここまでペチュニアは皆さんを魅了するのでしょうか?
 基本の花の形は同じですが、大輪・中輪・小輪とあり、匍匐性、立性など用途に合わせて選べる事。
 色合いは原色の赤から現在は黒まであります。ピンクだけでもグラデショーンが出来る程。
 絞りや八重まで、香り良い品種もあり、なんとバラエティーに富んでいるのでしょう。
 こぼれんばかりに咲き誇る姿はとても愛らしく見えます。
 昔は花びらが薄く、雨などに当たるとすぐに傷んでしまっていましたが、厚みのある花弁を持った物も誕生しました。
 ペチュニアの難点は、真夏の暑さを嫌う事でしたが、これも現在では随分と改良された結果、春から晩秋まで育つようになったのです。
 色々考えてみると、使いやすい丈夫な、そして可憐な植物になった事が魅了する要因となったのでしょうね。
 用途はハンギングバスケット、コンテナ、花壇と様々です。
 育て方は、茎が伸びてくると先端の方にしか花が付かなくなるので、切戻しの作業は怠らないでください。
 初夏に植えた場合は梅雨に入る頃、随分と茎が伸びていると思いますので、思いきって半分くらいまで切り戻しておきましょう。
 いくら品種改良が進み堅強になったとはいえ、梅雨時期の高温多湿や日照不足は苦手です。
 置き場として最適な場所はよく日の当たる、雨当たりの少ない風通しの良い場所です。ずっと咲き続けるので、水やりと適度な肥料はお忘れなく!
 増やし方は、種まきは勿論ですが挿し木で増やせます。
 種まきは20℃以上(4月〜5月)で発芽、種が細かいのでシードパンなどに播種し、覆土はしません。
 挿し木は真夏・真冬を除いて、梅雨時期、秋口に出来ます。切戻しをした際の茎を使うと良いですね。
 下葉が混み合うと蒸れて腐ったりしますので少し注意してください。

 次はポーチュラカです。
 ポーチュラカ 学名:Portulaca oleracea L.  和名:スベリヒユ
スベリヒユ科の多年草 原産地:南アメリカ 花期:4月〜10月
 日本には1983年ドイツから入ったとされ、1990年の大阪花博あたりがきっかけとなり知られるようになったと言われています。
 真夏の暑さや乾燥に強くコンテナや花壇の縁取りなどには欠かせない植物です。
 本来は不明な点が多く、原産地もはっきり記載されているものも少なく、雑草として畑に生えているスベリヒユとマツバボタンが掛け合わさって出来た突然変異種とも言われています。
 スベリヒユは健康食品としてω-3脂肪酸を含む植物として知られており、茹でて醤油などをかけて食べるようです。ちなみにトルコやギリシャでは生もしくは炒めてサラダにするそうです。
 ポーチュラカも、スベリヒユの近縁種なので食べられるようです。
 (まだ食べた事ないので、食べたらどんな感じだったかご報告しますね)
 ポーチュラカは茎を伸ばし、這うように成長します。
葉は肉厚で、ヘラ状の形をしています。マツバボタンは葉が丸いので見分けはすぐに出来ます。
 肉厚な分、乾燥に強いのですが冬の寒さには弱く、また日が当たらないと花が咲きません。
 花色は白・ピンク・赤・黄色・絞り等沢山の色合いが楽しめます。
 育て方は日当たりの良い場所で、土が乾いたらタップリ水を与え、肥料は月に一回程度化成肥料などを与えます。
 茎が伸びてきたら、適宜切戻し、切った茎は挿し芽するとすぐに増えます。
 手間入らずなので、真夏は重宝しますね!

 今回最後にジニアをご紹介します。
 ジニア 学名:Zinnia elegans 和名:ヒャクニチソウ
 原産地:メキシコ キク科の一年草
 ジニアはメキシコを中心にアメリカなどで15種類程度分布する植物です。
 最もポピュラーなタイプがジニア・エレガンスで、私達はヒャクニチソウの名前で親しんでいます。
(写真参照:植物図鑑より)
 野生種は一重種で18世紀にヨーロッパへ導入されたそうですが、特別な改良はされなかったそうです。
 19世紀になってから八重咲きの品種が発見され、その後様々な品種が作られるようになったそうです。
 日本へは江戸の末期に入ってきましたが、品種改良は戦後からとの記述が残っています。
  現在は園芸品種が一般的で花色はピンク・赤・黄色・白・グリーンなど様々です。
 増やし方は種蒔きです。よく発芽しますので育てやすいと思います。
ただし高温種なので5月ごろの播種になり、開花時期は7月以降からになります。 背も高く、花も大きいので花壇などでは見栄えも良いのですが、うどん粉病などが付きやすいので要注意です。最近はあまり見かけません。
 私は大好きなのでよく花壇で使う花種なのですが・・・一般的には人気がないような気がします。

 ジニアの種類としては皆さんもよくご存知ジニア・リネアリスがあります。
 ヒャクニチソウとは少し系統が異なりますが、メキシコ原産で和名はホソバヒャクニチソウ。
 草丈は30cm前後で、花は一重の小花、葉は細いのが特徴です。
「リネアリス」とは=細い線のようなという意味です。
 花壇向きで花色はオレンジ・黄色・白などがあり、日向を好みます。
 生育期間中はあまり乾燥させすぎると枯れてしまいますので、乾く前にタップリ水やりを行います。
 また、肥料を好むタイプなので、化成肥料を月に2回程度与えましょう。
 切り戻して脇芽を増やすと沢山花を咲かせます。ヒャクニチソウに比べると病気は殆どありませんが、蒸れには気をつけてください。
 もう一つお馴染みのジニアと言えばジニア・プロフュージョンです。
 これは、最初のヒャクニチソウとジニア・ルネアリスを交配して作り出された園芸品種です。
 ヒャクニチソウのエレガントな花と、リネアリスの病害虫に強い部分をとった品種で、夏の暑さにも強く、生育旺盛なのが特徴です。
 花色もピンク・アプリコット・濃いオレンジ、
チェリー色、黄色、白と様々です。
 今までは一重が主流でしたが、最近は八重咲きの品種も登場しました。
 草丈は30cm〜40cm程度で、わりと環境対応が強く、茎の分岐が多い分枝性を持ち合わせています。
 コンテナや花壇向きで強い日差しや高温を好みます。梅雨時期はできれば、切り戻しを行って風通しを良くしておくと、真夏は元気に咲いてくれます。
 土壌はあまり選びませんが、より美しい花を楽しむ為には有機質な土壌を用意することをお薦めします。
 肥料は化成肥料を月1回程度、水やりは乾く前にタップリ与えてください。
 増やし方は種まきですが、発芽温度が比較的高いので4月の後半以降が無難だと思います。種は大きいので播種しやすいです。
 初冬くらいまで咲き続けるので、種まきを少し遅らせて、晩夏からの苗を作っても良いでしょう。(この場合は株を太らせるため少し早めの定植を)

 ジニアの名前の由来は、ドイツの植物学者ヨハン・ゴットフリート・ツィン(J.G.Zinn)の名前からです。 和名のヒャクニチソウは長い開花期間をあらわしたようですね。
 植物文献には「長久草」とも書いてありました。
 英名はコモン・ジニアと呼ばれるのですが、もう一つ、Youth and old age(ユース・アンド・オールド・エイジ)とも呼ばれているようですよ。

 今回は3種類をご紹介しました。最もポピュラーでよく見かける事の多い植物を取り上げてみました。
 どの植物も元気よく、可憐で美しく、色鮮やかに真夏を彩ってくれる花いっぱいの植物です。
 まだ植えるスペースが残っていたら、是非、楽しんでみませんか。

御園 和穂  

(12/06/01掲載)  

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