秋の楽しみ
 10月に入っても「真夏日」や「夏日」が続いたおかしな天気も、やっとおさまりました。
 今年の立秋は11月7日です。 暦の上では冬ですが、11月に入ると天候も落ち着いて、おおむね晴天に恵まれる季節です。秋も本番!
 朝晩の気温差が大きくなってくると紅葉も見頃になってきます。
 秋の楽しみは・・・紅葉はもちろん、食欲全開の私は「サツマイモ」かな?
 寒くなったら、焼き芋を懐へ入れて・・・
 今回は残念ながら食べ物ではなく、秋になると鑑賞できる身近にある「赤い実」のつく植物を紹介します。

 ピラカンサ 学名:Pyracantha spp.
原産地:ヨーロッパ東南部〜アジア。 バラ科の常緑性低木。
和名:トキワサンザシ。 開花時期:5〜6月 観賞時期:10〜1月。
明治時代、中頃に渡来しました。
「てんどう生え」で育った物 花(5月) 実(10月)
「てんどう生え」で育った物
花(5月)
実(10月)
(※「てんどう生え」鳥などが実を食べ、糞を落とし自然に生えてくることを「てんどう生え」と言います。「天道生え」太陽を表す言葉で、なりゆきにまかせ、人の手を経由しないという事。 北部九州の「方言」らしいです。)
 庭に勝手に生えた木で、今時期に赤い実を沢山つけています。剪定はせずに放置していたら大きくなってしまいました。
 枝は勢いよく伸び、庭木以外では刈込みができるので、トピアリーで楽しむ事ができます。
(※トピアリー 樹木の枝を動物などの形に曲げ、形にする方法。ピラカンサやツゲなど生長の早い植物や葉が密になる植物で作る。)
 実は赤く熟し、黒っぽく見える部分は萼(がく)です。
 食べてみると・・・熟した実はリンゴのような感触で、皮や萼(がく)の部分が堅くて口に残ってしまいます。(みなさんは食べないでくださいね!)
 ピラカンサは徒長枝(長く伸びた枝の事)には花を付けず、先端が鋭いトゲのようになった短い枝に花芽を付けます。このトゲのような先端が衣服や肌を傷つけてしまうので、剪定の際は気を付けて作業をしてください。
 剪定の適期は6月から9月。全体を整えるように切るのが普通ですが、ピョーンと伸びた徒長枝をきるだけでも大丈夫です。あまり短くすると徒長枝が多くなるので要注意です。

ガマズミ  学名:Vibumum dilatatum
原産地:中国、朝鮮半島、日本。 スイカズラ科の落葉低木。
和名:アラゲガマズミ、ヨウゾメ。開花時期:5〜6月 観賞時期:10〜12月 

ガマズミ

ガマズミの実
 本来は山地や明るい丘陵地などの林や草原に自生しています。近年では、庭木として用いられるようになりました。
 花は5〜6月に独特な香りがする白い花をつけます。
 花も美しいですが、実は小さく卵型で趣きがあります。
 この実は生食や、果実酒(澄んだ赤いお酒ができます)などに用いられ、昔は漬物や染色用にも使用されていました。
 枝はよく分岐し、細いのですが丈夫で粘りがあるので、山では薪を縛ったり、農機具の柄に巻き付けたりして使用されてきました。
 名前の由来は「蒲染め」が訛ったものだとか。定かではありません。
 剪定の適期は12〜3月、落葉している間に混んでいる部分を切ったり、背を低くしたりします。
 放置していても、わりと形が整いやすいタイプなのであまり手間はかかりません。

 クロガネモチ  学名:llex rotunda
原産地:日本、台湾、中国、インドシナ。モチノキ科の常緑高木。
和名:クロガネモチ。別名:ナノミ、フクラモク、フクラシバ。
漢字名:黒鉄黐。英名:Round leaf Holly。
開花時期:5〜6月、鑑賞時期:10〜12月。
 樹木の中で高木類に分類されていますが、自然状態でも10m程度にとどまり、まれに山中で15〜20mまで生育する事はありますが、コンパクトに育ちます。
 日本においての生育範囲は、関東(茨城県あたり)周辺を北限として、関東以西、四国、九州に分布します。
 葉は肉厚で光沢があり、濃い緑色。
 新芽の頃の若い枝が濃い紫色をしているところから「黒鉄」と呼ばれ、葉がモチノキに似ている事から命名されました。
 また、クロカネモチ=「カネモチ」で縁起の良い樹としても庭木として植樹されています。
 雌雄異株で、雌木は秋に赤い実をつけます。
 都市環境に耐える樹木で、潮風・耐火性・耐風性・大気汚染などに強いため、庭木の他に街路樹として植樹されています。
 寒さが少し苦手で、常緑樹ですが激しい乾燥に合うと、葉を落としてしまいます。剪定は5〜6月、9月頃に行います。
 身近な樹木で派手さはありませんが、親しみがある樹木です。

 次の植物も赤い実がつきます。
 庭木や公園で見かけるるもの。
ハナミズキの実
バラの実
ノバラとツルバラ
ムラサキシキブ
クマツヅラ科の落葉低木。
 秋口になると独特の紫色の実をつけます。(赤い実ではないのですが・・・)
 名前の由来は、その樹木の姿や実の付き方から、平安時代の美女の「紫式部」を思わせた、という説や枝に敷き詰められるように実が付く姿から「紫敷き実」=ムラサキシキミ=ムラサキシキブの説があります

ムラサキシキブの花 ムラサキシキブの実(写真:植物図鑑参照)
 山の中で見かけるもの。
 サルトリイバラ(山帰来)
 ユリ科のつる性木本植物。茎にはトゲがあり他の植物に巻き付き生長します。
 実や根は薬として使用され、梅毒や淋病などで追われた人たちが山で実を食べ、元気になって戻ってくることから「山帰来(サンキライ)」と名づけられました。
 水銀中毒の解毒剤としても使われていたようです。 (写真:植物図鑑参照)
 サネカズラ(ビナンカズラ:美男蔓)
 マツブサ科の常緑つる性植物。実(サネ)が美しいカズラ(蔓)ということから名称が付いたとされています。実は苦く、咳止めなどの漢方薬として使われています。
 古くなった茎はコルク質に包まれ、柔らかく丈夫な事から縄として使われてきました。
 また、茎は粘液を含むので、水に抽出して整髪に使おうとした事から(美男なカズラ)別名、ビナンカズラとも言われています。

 まだまだあります。赤い実・・・アオキ、ナナカマド、ツルウメモドキ、サンザシ、サンゴジュ、アオハダ等たくさんあります。
 これらの実が真っ赤になると霜降の頃で、冬の訪れです。
 短い秋ですが、気候も安定し過ごしやすい時期です。少し足を伸ばして散策しながら「赤い実」を探してみませんか。


御園 和穂  
(13/11/01掲載)  

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