花のコーナー 洋ラン2 2014年12月
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花のコーナー
御園 和穂11
2014年12月 洋ラン2~デンドロビュウム・オンシジュウム
12月、11月の第四木曜日の収穫感謝祭(Thanksgiving Day)(※)が終わり、今年最後の月になりました。
※収穫感謝祭(Thanksgiving Day)とは・・・
イギリスからアメリカ・マサチューセッツ州のプリマス植民地に移住したピルグリム・ファーザーズが初めて作物の収穫した記念の日の事。(1620年メイフラワー号で航海)
12月に入るとなぜか慌しい雰囲気です。夜の街中はあちらこちらイルミネーションでキラキラ華やか。忙しいけれど心ウキウキする月ですね!
花壇の植付けは終わりましたか?まだ十分に間に合いますが、寒くなってきましたので出来るだけ早く片づけてしまいましょう。
今回も引き続きランを紹介します。まずは・・・
デンドロビュウム 学名:Dendrobium ラン科・デンドロビュウム属
Dendrobium champagne Dendorobiumu sonia
熱帯アジアを中心にオセアニアなどに1000~1200種が分布するランの仲間です。栽培や育種がとても盛んで膨大な種類があります。デンドロビュウムと呼ばれるものは園芸品種として栽培されている洋ランに限られています。
多年草で、樹木や岩に根を張り付かせて生育する着生ランです。
名前の由来はその生育状況を表しているようで、ギリシャ語でデンドロン(dendro)=樹木、ビオス(bios)=生活、の言葉から付けられました。
日本では古くからセッコク(Dendrobium monilifome)が親しまれています。また、セッコクは交配をする親として使われた事もありますが、伝統的な古典植物としても利用されているため、園芸種のデンドロビュウムとは区別されています。
デンドロビュウムは多くの種によって姿形が様々なため細かく分類されていますが、栽培をする上では大まかに下記の種類に分けられています。
「ノビル系」「デンファレ系」「フォーミデブル系」「ギンギアナム系」等、姿形の似ているものを系統別に分けています。
「ノビル系」
野生種のデンドロビュウム・ノビレを中心に品種改良された系統をノビル系といいます。
一般的に「デンドロビュウム」と言うとノビル系を指しているようです。比較的寒さに強く、姿が縦長のためコンパクトで場所を取らないため、鉢花として親しまれています。
茎(バルブ)を長く伸ばし節ごとに葉がはえ、葉が出ない場所から細い茎が伸びて、その先に2~3個の花を咲かせます。花色は様々でとてもカラフルです。
「デンファレ系」
デンドロビュウム・ファレノプシス系の略で、デンドロビュウム・ファレノプシスという原種と近縁種を交配した一連をデンファレ系といいます。
茎はノビル系と殆ど変わりません。花は先端付近から長く伸びた細い茎に多数付けます。
種類によっては、花の形や咲き姿がコチョウランに似ているため、デンドロビュウム属とファレノプシス属の交配とも言われていますが、それは誤りだそうです。
花はミニタイプから大輪タイプまで様々で、色も豊富に揃っています。
「ギンギアナム系」
オーストラリアのクィーンズランドからニューサウスウェールズにかけて自生し岩などに着生するランの一種です。最近は園芸店でも見かけるようになりました。
寒さにとても強く、香りの良いのが特徴です。花色は白、ピンク、白赤、紫など一般的なものから黄色、オレンジととてもカラフルで、香りも様々なようです。品評会では花はもちろんですが、フレグランス(香り)部門での入賞が多いようですよ。
デンドロビュウムの系統を全てを紹介することは大変なので、よく見かけるタイプを紹介しました。前回のコチョウランやカトレアのような高級感はありませんが、花の愛らしく価格もそれほど高くはないので、プレゼント、ギフトには「持って来い!」の花鉢ではないでしょうか?
でも、その逆は?デンドロビュウムを頂いて嬉しい反面、その後の管理に手を焼いていませんか?
育て方は決して簡単ではありません。
しかし、自然での開花の様子がわかればそれほど難しいものではないと思います。自然の中では雨季にはタップリ水を吸って生長し、水のなくなる乾季や低温期が訪れると花芽をつける準備をします。また、季節が移り代わる頃、霧が発生します。カラカラになっていた根や葉は霧によって回復をしていきます。
これらのサイクルを私達の四季に合せてみると・・・
4月中旬から11月中旬くらいまでは戸外で育てます。春先と秋は半日くらい日が当たる場所に置き、真夏は葉焼けするので20~30%遮光(木の陰くらい)します。もちろん風通しの良い場所を好みます。
水やりは春先と秋は植え込み材料(水苔)の表面が乾いてきたらタップリ与えます。真夏はとても乾燥する時期なのでタップリ与えます。
水やりで特に注意する点は秋の水やりです。秋はやや乾燥気味にします。植え込み材料(水苔)が乾き始めて、2日程あけてから与えるくらいです。 秋の長雨にも当てないよう、気を付けてください。
秋も深まってきたら、室内への取り込みになります。天気予報を確認して頂き、最低気温が8℃前後を目安に2週間程寒さにあわせます。その後、室内へ取り込みます。
冬の室内は暖房が効いていますので、時折霧吹きをしてください。植え込み材料(水苔)が乾いてきた場合は、乾いてから2~3日空けてからタップリ与えてください。
フレーム(温室)などを利用すれば12月下旬から。室内であれば1月~2月くらいに蕾が付いてきます。最低気温が15℃程度あれば2月くらいに開花、10℃程度であれば3月くらいの開花、通常の家庭であれば3月~4月くらいの開花となります。
肥料は最低温度15℃以上(4月中旬くらいから)になったら与えます。固形肥料は6月上旬に与えたらその後は与えません。液体肥料を与えている場合は8月上旬で止めてください。
植替えは根が鉢の中で一杯になったら行います。大体2~3年に1回行います。
時期は春の新芽が出てくる4月。ただし開花株の場合は5月になります。
あと、茎の途中から芽が伸びて根が伸びる事を「高芽(タカメ)」といいます。
高芽の様子と切り離した状態(植物図鑑参照)
肥料の与えすぎや、本来であれば花になったかも知れない・・・
高芽も切り離して株分けをしましょう。切り離した芽は4~5本まとめて植え付けます。
植付け時期は4月~6月が適期ですが、9月くらいまで行えます。
また、一度花を咲かせた箇所からは再度花を咲かせる事はありません。しかし、花後の古い茎も株元から春には新芽が出るので、茎の部分は養分や水分を蓄える場所になります。元気の良さそうな茎は3本程残しておきましょう。
最低限の育て方ですが、わりと簡単でしょ?
次は・・・
オンシジュウム 学名:Oncidium ラン科 オンシジュウム属
Oncidium (園芸品種)
原産地は西インド諸島、メキシコから中央アメリカ、ブラジル、ペルーなど南米の熱帯地方と広域で、約400~500近い原種があると言われています。
全ての品種が木に着生する着生ランで、デンドロビュウム同様育てやすいタイプです。
花茎は株元の茎(バルブ)から、長い花茎を斜めに伸ばし、房状に多数の花を付けます。花はよく観察すると、お人形さんがドレスの裾を広げて踊っているような姿に見えます。また、花の大きさもまちまちですが、1本の茎に何十という数の花を咲かせるのでボリュウム感があり、茎が風に揺れるとなんとも言えない優雅さを感じます。花全体のボリュウムと黄色という色合いによって、飾った瞬間から部屋全体が明るくなります。観賞の時期は品種によって異なりますが、一般的に出回るのは冬場です。1輪の花で3週間程度持つので、鉢全体が咲き終わるまで約2ヶ月くらいは楽しめます。切り花でも楽しめます。他の色ではチョコレート色のトィンクル(Onchifium Twinkle)、ミニタイプで甘い香りが人気のオンシジュウムです。
花の時期は品種によって異なりますが、夏から秋頃、冬から春、不定期に開花するタイプと様々です。
育て方はデンドロビュウムとほぼ同じですが、寒さを苦手としており、10月に入ったら室内の日の当たるカーテン越しに置きます。
肥料は4月~10月中旬くらいまで、週1回程度液体肥料を施します。この際、水やりの様子を見ながら与えてください。
また、5月頃に緩やかに効く化成肥料や骨粉入りの固形油粕を1回だけ与えます。(置き肥します)
水やりはデンドロビュウムとほぼ同様ですが、開花中は植付け材料(水苔)が乾かない程度に与えてください。
花が終わったら花茎の元の部分から切り取ります。
植替えも適期は4月頃。新しい茎(バルブ)が3~4本程度になったら植替えをしましょう。(2~3年に1回程度)
オンシジュウムの特性を活かしたアーチです。着生ランで花茎が長く伸びて沢山の花をつけるので、アーチに着生させるととても華やかな雰囲気になります。(シンガポール植物園:オーチャードガーデン内)
前回、今回と「ラン類」を紹介しています。まだまだ沢山の種類があるんですよ。次回もこの続きで「ラン」を紹介したいと思います。
ランは、これからの季節園芸店などで多く見かけるようになります。
購入する場合は花が咲いている鉢を求めることになりますが、自宅用としては少し値が張るかも知れませんね~。開花を待ち望みながら育ててみようかな?と思われた方は4月以降、花が終わった鉢も販売されます。手頃な価格になりますのでこちらもチェックしてみてください。
少し早いですが・・この一年有難うございました。来年も良い年になりますように!
(14/12/01掲載)