都市に緑、人にやすらぎを

花のコーナー 2015年02月

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花のコーナー

御園 和穂##

2015年2月 シンガポール

 2月。一年で一番寒い季節ですね。
 昨年11月頃発表された、「この冬は比較的暖かい」との長期予報を信じてましたが・・・私は「とても寒い冬」だと感じています。でも季節は巡ってきます。冬の陰気を祓う「節分」が過ぎてくると、やっぱり気分は「春」ですよね。

 今回は、寒い季節に気分だけ「常夏」を味わってもらいましょう。
 昨年、8月16日~24日にシンガポールで開催されたガーデニングフェスティバルと周辺の植物園等を紹介いたします。

シンガポール共和国(通称:シンガポール)
 マレー半島南端、赤道の137km北、東南アジアのほぼ真ん中に位置します。人口約540万人。
 年間平均気温30℃前後、赤道直下に位置するため、一年を通して高温かつ多湿です。モンスーン地帯ではありますが雨季乾季ははっきりせず、北東モンスーンの影響で11月~3月に雨が多く、5月~9月は南西モンスーンのため1回当たりの雨の量が多く、強風が吹きます。
 この強風によって、隣国インドネシアのスマトラ島の焼畑農業や山火事の影響で煙が流れ込み「ヘイズ」と呼ばれる煙霧が発生、体に害を及ぼす程の大気汚染になるそうです。
 国は典型的な国家資本主義体制です。一般市民の政治への関心は薄いのだそうですが生活面ではある程度安定しているため不満は少ないと言われています。 
 一党支配下ではありますが、経済的には豊かで華やかな雰囲気です。
 また、世界有数の貿易商業の中枢でもあります。取扱コンテナ量は世界繁忙港の中にも数えられています。

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 写真は港の一部ですが、コンテナの量と運搬船の量は物凄い数でした。
 シンガポールを訪れた事のある方であればご存知でしょうが、高度な都市化が進められています。その領土の大半は埋め立てにより形成され、当初の植生は殆ど残っていないそうです。また、高低差の少ない土地柄と山も殆どない事から「水資源」の確保が大変だそうで多くをマレーシアから導水管を使い輸入しています。現在、日本の「逆浸透膜高度濾過技術」も導入されているそうです。

 日本との時差は1時間(日本が早い)、飛行時間は約7.5時間(羽田より)程でチャンギ国際空港へ到着します。

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 入国審査場所までの通路は様々な観葉植物とランが迎えてくれます。これは東南アジアどこの空港でも見られる風景なのでしょうが常夏らしい「ラン」の豊富さには驚きです。
 また、チャンギ国際空港は各ターミナル(3つのターミナルがあります)のトランジットラウンジには様々な植物展示が設置されている事は有名です。これも「見たかった」一つです。それが最初に目に入ってきた通路沿いの様々な植物が展示なのだと思っていたら、大きな間違いでした。

 入国チェックを終え・・・進んでいくと。

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 約70~100㎡くらいの広さで回遊できるようになっている、水と観葉植物、切り花を配置した「Enchanted Garden(魅惑される庭)」と命名されたガーデンが現れました。(切り花を中心に見せる庭園)
 花束のような構造物は、切花(真っ赤のアマリリスとラン)でアレンジメントされていました。また、カラーの花の形をしたオブジェからは、「鳥の鳴き声」が聞こえてきました。空港内のザワザワしている中での別空間でした。
 その他にも各ターミナルによって、「ランの庭」「陶磁器の展示場」「睡蓮の葉の庭」「サボテンの庭」「蝶の庭」「屋上プール」「シアター」等々、楽しめるスペースが盛りだくさんで全てを見たかったのですが、いつまでも飛行場に滞在出来ないので、後は帰りのお楽しみに。

 シンガポールは東京23区とほぼ同じくらいの大きさで、バスや地下鉄(MRT)を組み合わせて移動をすると全域を網羅できるようになっているそうです。今回はタクシーを利用しましたが、こちらも格安。
 飛行場からホテルへチェックインし、その足でフェスティバル会場へ。

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 2012年6月にマリーナ地区に開園したシンガポール最大の植物園施設「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ(Gardens by the bay)」。
 高さ50mにも及ぶ人工の木「スーパーツリー」をはじめ高度な技術を駆使したガーデンになっていました。

    ↑人工の木「スーパーツリー」
 今回のフラワーフェスティバルは、一番敷地が広くメインゲートの北側に位置する「ベイ・サウス」(約54ha)の中に特設ブースとして開催されました。
 ブースでの展示は切り花や室内装飾、壁面緑化の紹介やランの見せ方と様々なテーマで飾られていました。
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    「多肉植物のアレンジ」    「ラン・パフィオのオブジェ」     「アスプレニウムとデンファレ」

 ブースの外側では特設の花壇やモチーフ花壇、フェスティバルマスコットの蜂や蟻やテントウムシ等の昆虫類のオブジェを配した花壇など賑やかでした。
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    フェスティバルのポスター        蟻などのモチーフをオブジェにして
     花はマリーゴールド、コリウス、ジニア、ペチュニア類
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 花壇はグラス類を配置し、ヒマワリ、サンビタリア、コリウス類、サルビア類、マリーゴールド、ニチニチソウ、アカリファ、バーバスカム、アマランダ、マンデビラ、イポメア等の草花と観葉植物、サボテン類、多肉植物、ラン類の植え込みで作られていました。
 周辺の樹木はコーヒーの木やシェフレア、カッシア(小花のセンナ)、カリアンドラ、タイワンツバキ、トキワマンサク、タブの木の葉に似たような樹木やマテバシイに似た木(名前がわかりませんでした)、後はゲットウやジンジャー類で構成されており、草花の量に負けないくらいの緑量でした。
 シンガポールであれば一年中植替えをしなくても花壇を楽しめる事ができますが、北九州では4月から11月くらいまででしょうか。
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特設会場周辺のグリーンショップ 観葉植物とランが中心

 特設会場をあとに周辺を散策しました。
 「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」は植物を題材にした大型テーマパークです。特設会場はフェスティバルに相応しい明るい色彩の装飾でしたが、周辺は大型のフラワードームやスーパーツリーとまだまだ見所は満載。

 まずは屋外から散策です。

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 屋外の庭園は2つのテーマに分かれていて、一つは植物と人間との関わりをテーマにした「ヘリテージガーデン」です。
 シンガポールは移民国家で社会や文化はマレー人、中国人、インド人等を中心として構成されてきました。ヘリテージガーデンでは彼らにとってどのような木や草花が重要視され、庭園を好んできたかを学習できます。
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 コロニアル庭園は1891年にラッフル卿がシンガポール島に入り、100年以上前イギリスの植民地時代に導入された有用植物がテーマです。
 すなわち換金できる植物としてアブラヤシ(パームヤシ)やパララバー(ゴムの木)の育成に努力をしてきました。また、コショウ、ナツメグ、カカオ、チョウジ、コーヒー等の栽培を始めました。
 それらの植物が生育されています。また、プルメリア(Plumeria obtuse)が植付けられていますが、当時イギリス人によって中央アメリカからシンガポールへ持ち込まれ、生育に成功しました。

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 マレー庭園は、プルメリアの木を中心にココナッツやレンブ、マンゴスチン等、豊かな実りの果樹が植え込まれています。
 マレーシアの伝統的な木造住宅カンポンハウスを休息所としてゆっくりと散策ができます。

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 インド庭園は、ヒンドゥー教徒やインド南部のタミール人の好む庭が築庭されています。
 タミール人が神に捧げる花や実物、また、インド古来の医学で珍重された植物が植付けられています。庭園の基本文様デザインは「吉祥文様のコーラム」になっているそうです。ちなみに「コーラム」とはインド人の女性が玄関前に米粉や花びら、豆類などで描く文様で「家に繁栄をもたらす」との言い伝えで描くものです。
 タマリンドンの木、ベンガル菩提樹、オウギヤシ、また展示としてアーユルヴェーダ(インド料理とヒンドゥー教の伝統医学)に使われた植物の説明もありました。

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 中国庭園は、自然風景を取り入れ石と水と樹木で構成されています。
 インフォーマルな庭園は自然の地形を生かし、曲線を使い左右非対称で自然の姿そのものを作り上げていました。
 ニセヒガンサクラ、伝統的に使われた梅やしだれ柳の代わりにウィーピングティーツリーを配置しています。#############

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 また「花中四君子」で描かれる四季、春=蘭、夏=竹、秋=菊、冬=梅を表現されている庭園です(一部よく似た樹木で再現されています)。

 ヘリテージガーデンは落ち着いた空間でした。
 もう少しゆっくりと植物を観察してみたかったのですが、日差しの強い中を散策するのは厳しいものがあります。でも見ごたえは十分ですよ!
 実は、この植物園は「朝5時から午前2時」まで開園しています。
 夜間は省エネで夜間照明は少し暗いそうです。散策する場合は朝早くから午前中が良いようですね。

 今回はこの辺で。
 次回は、この続きで自然の中での植物を散策できる「植物の世界」を紹介します。

 今回は言葉も写真も「常夏」なのですが・・・やっぱり寒いですね!
 今年もインフルエンザが猛威を振るっているようです。感染を防ぐには「手洗い・うがい・マスクの着用、咳(セキ)のエチケット」だそうです。
 でも「かかってしまった」ら、すぐに病院へ行って、ゆっくり休みましょう。
 

(15/02/01掲載)

                     

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