都市に緑、人にやすらぎを

花のコーナー 2015年04月

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花のコーナー

御園 和穂##

2015年4月 シンガポール-3

 桜が咲き始め、春たけなわの季節がやってきました。
 3月は寒の戻りで雪が降ったり、たしか気象庁の発表では暖冬でした。私にはとても寒い冬でした。皆さんはとっては如何でしたか?
 暖かくなってくるとホッとする反面、植物は一気に生長を始めます。
 忙しい時期が来ましたね! 

 前回に引き続いて、今回も「シンガポールの植物園」の続きを紹介します。
(前回「シンガポール-2」はこちら、前々回「シンガポール」はこちら

 植物の世界から第2のテーマになっている「ワールド・オブ・プランツ」を散策します。6つのテーマに沿った庭園を見ていきます。

 最初は、Secret life of trees「木の秘密の生活」と名付けられたガーデンです。
 各樹木に対して色々な形や大きさ、また木の表面(樹皮)や根、木の機能や熱帯雨林における役割などが説明展示されています。展示の方法はとても面白く、木の内部を見せるための断面ディスプレイなどが添えられてとても勉強になります。

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 写真①はスナバコノキという植物です。(植物図鑑参照)
 樹の表面はトゲが鋭く、触るだけでも痛いです。なぜ、トゲが発達したのか?
 答えは木に登ってくる草食動物から身を守るためのものです。「なるほど」です。トゲの役目は気にもしてませんでした。   
 実は有毒で魚を取るためや毒矢に使われていたそうです。面白い樹名の由来は・・・インクの吸取り紙がなかった頃、この実の未熟な物を油で揚げ、穴を開け、そこに砂を入れ砂箱にしてインクを吸取った事から「スナバコノキ」と呼ばれるようになったそうです。

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 また、根は育った環境に順応します。熱帯雨林の土壌は山林などに比べると土壌が浅く薄いため、熱帯の樹木は体を支えるため、また不足した酸素を供給する為に気根を伸ばし、それらが地下に入り込むことで支柱根として根を発達させてきたそうです。



←タコノキの支柱根

 多様な根の育ち方、地下での張り方、栄養分や水分の取り方など興味深い内容がわかりやすくディスプレイされています。

 次はWorld of Palme「ヤシの世界」です。
 ヤシの木の用途が広く、食料源としても栽培が盛んです。様々なヤシとその用途ごとのパネル展示を提供しています。
 私達の身近な物として、ココヤシの実の中に溜まった水分はナタデココの原料、固形部分は削ってココナッツ、それに水を加えて粉砕するとココナッツミルク、ナツメヤシはドライフルーツ、アサイーはジュースやスムージー、アブラヤシはパーム油、と私達の生活の中でも有効に使われています。

 次はunderstorey「地下の層」です。

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キノコのベンチ
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天井を眺めると地下の世界が広がります

 熱帯の木々の下では植物と動物の生存競争が行われています。茂った枝葉の下の薄明かりの中では、カビや細菌が落ち葉や小枝、葉、花や落ちた果樹を栄養として、土の中を豊かな状態にしてくれます。
 地下では多くの昆虫や植物が生息し、生き残るために日々変わる生活環境に適応しています。
 写真はドーム状になっている屋根の部分で樹木の根とその周辺に生息する昆虫や植物などを一目で観察できるようにディスプレイされています。
 この生き物が頭上の木々を豊かに育てているわけです。また、低木類や葉物の植物は大きく育った木々の日陰で生育していくので、とても大変です。
 そのため、わずかな光をも逃がさず受け止められるよう葉が変化し生育しています。植物の不思議な世界が、詳しく分かり易く説明されていました。「なるほど!」です。

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 また、「キノコの王国」と「作成土壌」と命名された筒状の箱。中央部に円形の穴が開いています。多分「ニオイ」を嗅げるようになっているんじゃないかと思います。
 キノコのニオイとバーク堆肥のニオイがしました。


←キノコの王国(左側)、作成土壌(右側)

 次はFruits&Flowers「フルーツとフラワー」です。

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 どうして花には様々な形や色があるのか考えた事がありますか?
 花は甘い香りや酸っぱい香り、異臭を放つものもあります。理由は皆さんもご存じですね。子孫を残すためには、動物や鳥、昆虫を呼び寄せ彼らに依存して花粉を運んでもらうためです。花の形も同様です。
 その後、結実した実を動物や鳥に食べてもらい、あちらこちらに排泄物をして種を運んでもらいます。
 このブースは、そのような面白い花などが咲いていて、ディスプレイも細かく説明されています。
 写真の花はキャノンボールツリー(Cannon Ball Tree)サガリバナ科の樹木です。面白い花の形が興味を引きます。厚めの花びらが開くと中からイソギンチャクの触角?のような雌蕊と雄蕊が姿を現します。別名「人食い花」とも呼ばれるとか・・・。

 受粉すると、砲丸のような実が出来ます。実として食べる事もできるようですが、これは種です。外皮はキウイのような香りでした。

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 カラフルなディスプレーでは、果物の実や種が育つ過程が丁寧に説明されています。また、その果物や花に寄ってくる受粉昆虫の様子も描かれています。

 次はWeb of life「生命の綱」です。
 イチジク属の仲間を紹介するブースです。まずはイチジク。熱帯雨林に生息する動物や鳥達を養っている代表的な植物だそうです。
 イチジク属の全てではありませんが、いくつかの品種は「隠頭花序」と言い、外へ花を咲かせず、花嚢の内部に無数の花をつけるタイプのものです。
 熱帯雨林の中では、とても大切な植物のようです。動物や鳥はイチジクを生命の糧とし、そのかわりに種子の散布の手助けをしているそうです。

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 また、同じイチジクの中でもガジュマルは繰り返し刈込む剪定に向いている樹木なのだそうです。
 その特性を活かし、オランウータンやスズメバチ、カブトムシ、ジャコウネコなどのトピアリーが並んでいます。オランウータンの高さは5mはあります。ともかくでかい!
 足元に置かれた「筒状のなにか?」、上部についてるレバーの所に「回転させるとオランウータンたちの声が聞けます」と記載されていました。
 また、オランウータンの好物のパンノキが周囲に植付けられていました。
楽しい演出ですよね~。

 最後はDiscovery「発見」で良いのでしょうか?
 地球上の生命が海から始まり、約5億年前にコケ類が登場します。その後シダ類が生まれますが、花を咲かせ種を作る植物ではありませんでした。
 その後2億5千年以上前の恐竜期に入ると、地球上に初めて種子をもつ植物が誕生します。そのような植物の進化の過程を紹介するブースです。

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 シダ類のナンヨウリュウビンタイ(Angiopteris evecta)が入口でお出迎えしてくれます。葉の先端がクルリと丸まった美しい姿です。
 最初の種子は裸子植物で、花は咲きませんが、乾期を生き抜けるように進化しました。その代表にシダーなどの針葉樹があげられます。

       ↑進化の過程のパネル
 その後被子植物へ進化し現在に至っています。
 進化過程で現在でも生育している植物や樹木が周囲に植え付けられており、パネル展示でその流れが理解できます。

 6つの庭園を回ってきました。
 私達は「植物に関わる仕事」をしているわけですから、「本来知っていて当たり前の事」なのでしょうが、樹木の生長から、植物の進化、キノコの役割、動物と植物の共存等、改めて勉強になりました。

 その他にはChildren’s Garden「子供たちの庭」、小さい遊具にカラフルな舗装にプール。

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 一年中暑い土地柄です。やはりプールは人気の高い遊び場なのでしょうね。
 沢山の子供たちが膝丈くらいのプールで大はしゃぎしていました。時折、床から噴水も上がっていました。また、バスケットボールのバックボードのような構造物がたっています。なにかな?と思って近づいたら、ランのパフィオの花の形をした受け皿に水が溜まると「ザバーッ」とこぼれてきます。本当に面白いです。
 周囲には休憩所やロッカールーム、シャワールームがありゆっくりと楽しめる場所ですね。

 シルバーガーデンゴールドガーデンと植物の色合いに合わせた庭園も圧巻です。

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 ここが最後なのか?・・・よくわからないくらい広い場所なのですが、周囲を流れる運河に現れたのはトンボです。
 Dragonfly Lake「トンボの池」です。
 運河の周辺を回遊でき、水生植物スイレンの池やオニバスの池、カワセミの池などを見る事ができます。

 植物、動物などの生態を活かした様々なブースは、ただ眺めるだけでも「素晴らしい」場所でした。さらりと見るだけでは勿体ない場所ですね。
 最初は、一年中暑い地域なので、植物の変化は少なく1回見ておけば十分だと思っていましたが、各ブースの植物を確認しながら勉強してみたいと思っています。叶うなら長期滞在で楽しんでみたいと思います。
 3回に渡って「シンガポールの植物園(ベイサイド)」を紹介しました。
引続きですが、次回は「ボタニカルガーデン」をご紹介しようと思います。
 ベイサイドガーデンのようなブース毎の展示植物などではありませんが、自然の公園でジンジャーやブーゲンビレア、ラン等を楽しめる(学習する)公園です。
 
 4月は気持ちの良い季節ですが、風が強く、花粉症の方には辛い季節です。
 最近、鼻の調子が悪く、くしゃみが出始めると止まりません。今まで、花粉症とは無縁でしたが「もしかして・・・」と思っています。
 良い季節が憂鬱な季節になるのは・・・残念です。
 みなさんは大丈夫ですか?

 (15/04/01掲載) 

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