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花のコーナー 2015年06月

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花のコーナー

御園 和穂##

2015年6月 シンガポール植物園-2

 「蛍狩り」に行かれた事ありますか?
 どんよりした曇りの夕暮れ時、蛍が草の間を飛び交い放つ光はとても幻想的です。幼い頃、母に連れられ蛍狩りに行ったとき、「光を触ってはいけませんよ。マムシの目が光っていて噛まれるかも知れないから。」と言われた事を思い出しました。確かに、蛍が飛び交う場所はマムシがいてもよさそうな場所です。
 蛍狩り、蛍を捕まえるのでなく、光の乱舞を楽しむ粋な鑑賞ですね。
 
 今回も引き続き「シンガポールの植物園」を紹介します。
 前回は「ジンジャーガーデン」まで行きました。その隣にある「ランガーデン」からです。

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 植物園内にある「National orchid garden」(国立ラン園)は世界最大規模のラン園です。
 敷地面積約3haの広大なラン園では1,000種を越える原種と2,000種以上の交配種があり、6万本のランが随時花を咲かせています。シンガポール共和国は世界有数のラン生産国で、国花でもある「ラン」は、切り花としても世界シェア15%を占めています。

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 ランに囲まれたゲート、最初の撮影スポット?らしき、鶴を中央にして周囲にランが配置されている噴水が目に飛び込んできます。
 園路沿いはオンシジュウムの黄色が色鮮やかに配置され、その奥のアーチにも設置されています。
 この黄色のランは、1939年にこのガーデンで交配されてできた品種で「オンシジュウム・ゴールデンシャワー」と言います。花の一つ一つが大きく、スカートを広げたような花弁が重なり合って風で揺れる姿はとても優雅です。

 何連もあるアーチをくぐる時に、ほのかな香りも楽しめます。園路は熱帯の樹木が生い茂り、その間に様々なランが生育しています。訪ねた日は、時折スコールに見舞われて雨宿りをしながらの散策でした。

 東屋の隣にシンガポールの国花「バンダ・ミス・ジョアキム」のコーナーがあります。

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 露地栽培のバンダを初めて見ました。また、高さ2m程のバンダが直立している姿にもビックリでした(日本では垂れる姿が一般的です)。
 薄いピンクの花弁に濃いピンクのリップが特徴で、自然交配で生まれたもの。(バンダ・ホリケアナとバンダ・テレスとの自然交配)
 着生ランのバンダは空中の湿度で十分に生育します。日本では「帯状葉(太目の葉)」のタイプが一般的ですが、この品種は「棒状葉」のタイプで、長い茎全体に葉を茂らせ、途中から細い根が沢山出ています。
 その先に進むと、「オーキダリウム」という、原種のランが楽しめるコーナーがあります。
 原種タイプは交配種のような華やかな大輪ではなく小さな花が多いのですが、繊細で可憐なタイプが多いような気がします。

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←Dendrobium bracteosum
 ニューギニア原産のデンドロビュウムです。木の陰にひっそりと花を咲かせている姿を見逃さないでくださいね。

 先に進むと園路の両サイドに色とりどりのデンファレがズラリと植付けられています。デンファレ系の一つでデンドロビュウム・ファレノプシス。
 東南アジアを中心に1000種以上が分布する大所帯です。

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 左右に葉が出て、花がコチョウランに似ています。花茎が長く頂点から10数輪の花をつけ、やや厚めの花びらは1ヶ月近くも咲き続けます。
 低温は苦手ですが、20℃以上の温度があれば周年開花します。
 切り花輸出国のシンガポールにおいて重要な位置を占めている花の一つです。
 園路沿いのデンファレに見惚れて歩いているとカトレアの一群が現れてきました。残念ながら花の時期ではなかったので葉だけ鑑賞。開花していたらさぞ美しい姿だったことでしょう。

 さらに進みます。(本当に広いんですよ~)

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 見えてきました。椰子の葉のように茂っている(写真参照)「ラン」で、世界最大のランと言われる「タイガーオーチャード(Tiger orchid)」学名:Grammatophy speciosumです。
 東南アジアの熱帯雨林で大木の幹に着生するランで、シンビジュウムの近縁種だそうです。




 開花時期が9月から11月と記載されていたので見ることはできないかと思っていたのですが咲いていました!(写真参照)
 茶色に黄褐色の斑点、虎模様のような花です。世界最大とは?「花」の大きさではなく、草丈(株の大きさ)が7mから10m程になる茎の長さが世界最大なのだそうです。

 ラン園の中は所狭しと「ラン」ばかり(当たり前ですね!)植えられているのですが、その中で見かけたサインもご紹介しましょう。

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 「写真撮影スポット」です。ランに囲まれた、ベンチ風の石積が所々に設置されています。
 どこでも分け入って写真を撮ってもいいわけではありません。
 見頃のランの前での撮影が出来るようになっているようです。それ以外は、建物への誘導、トイレ、ランが植付けられている場所の案内標識等です。また、どこにでもいるのでしょうね。「花は取らないで!」の標識です。ラン園に限らず、他の場所でも見かけたサインでした。

 撮影が終わったら再び園路を歩きます。

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 ちょっと素敵な建物が見えてきました。
「バーキルホール」です。元々、植物園長のご自宅だったそうで、現在はVIPが来られた時のイベントホールになっています。
 建物の中にはオーキッドガーデンの歴史をはじめ、ランの改良や交配の栽培解説や世界のVIP用に品種改良されたランが展示されています。ホールを出た庭園には、「VIPオーキッドガーデン」ではその実物を見る事が出来ます。

VIPオーキッドのパネル展示
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 展示は来訪されたVIPのために品種改良が行われ、VIP用に作られたランを紹介しています。

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 日本の天皇陛下が皇太子時代に美智子様と来訪した際に作出されたRenantand種(レナンタンダ)の「Akihito」という真紅のランやイギリスの元首相マーガレット・サッチャー氏のために作出されたDendrobium種(デンドロビュウム)の黄色のラン、イギリスのウィリアム皇太子とキャサリン妃のために作出されたVanda種の白にピンクの斑入りのランもあります。


 VIPオーキッドガーデンで開花していたランの中には、現皇太子妃殿下「Masako」様のために作出されたDendrobium種(デンドロビュウム)で、少し小ぶりのコチョウランのような白の可憐な花を付けていました。




 こちらは「Memoria princess Diana」で亡きダイアナ妃のために作出されたDendrobium種(デンドロビュウム)です。一枝からこぼれそうに沢山の白い花と蕾を付けた素敵なランでした。季節によって開花しているランが異なりますのでガーデンを散策しながら楽しめます。VIPガーデンを後に先に進みます。

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 「Tan Hoon Siang Misthouse」(タン・フン・シアン・ミストハウス)が見えてきました。高温を好むランや珍しいランの種類を集めた場所です。
 ネットで覆われたハウス内は、外気温よりも更に温度・湿度が高く、天井から水滴が落ちてくる程です。




 色鮮やかなコチョウランが目を引きます。
また、青い花弁のバンダが有名なのですが、(青紫に網目模様が入った花びらが特徴)残念ながら開花していませんでした・・・。
 多彩なカトレアが沢山開花していて華やかなハウスです。

 ミストハウスを抜けると、「ユエン・ペン・マクニース・ブロムリアド・コレンクション」という施設が見えてきます。
 アメリカ大陸の熱帯・亜熱帯地域のパイナップル目の植物が集められています。果物のパイナップルを始め、ブロメリアやエクメア、グズマニアなど、美しい葉の観葉植物が栽培されています。
 ランとは違う華やかな植物をみながら通路を通り抜けると、次は「クールハウス」です。暑い中を歩き回り、「少しくたびれてきたかな~」と思っていた所で「ホッ」とするハウスです。

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 標高の高い場所でのジャングルを再現し、入った瞬間「涼しい」と感じられるハウスでした。パフィオ種や食虫植物のウツボカズラなどが栽培されています。また高山の寒冷地に生息するランの栽培もされていました。
 人工の滝も作られていて涼しいのですが、鳥肌が立つくらい涼しさを超える寒さを感じてしまいました。

 「ナショナル・オーキッドガーデン」はこのブースで終わりです。
 ナショナル・オーキッドガーデンを回るには約1時間から1.5時間程かかります。それだけでもいかに広いスペースなのかがわかります。
 行かれる際には時間をかけてゆっくり散策してみてくださいね。

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 シンガポール植物園に戻り、見えてきたのは「音楽堂」で、アコヤガイの形をしたドームが目に入ってきます。
 音楽堂の廻りの水辺はスイレンが咲き乱れていました。
 音楽堂の周辺は芝生に覆われていて、寝転がっている人や太極拳をしている方、ジョギングしている方と様々です。私達もちょっと休憩です。

 園路に沿ってに歩いていくとヘリコニアの植込みが見えてきました。個人的にはとても好きな植物です。

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 後方はヤシの木の林に囲まれ、南国の雰囲気が味わえます。また、植込みの間には彫刻が飾られています。「ピアノを弾くショパン」の像でした。ポーランドから贈られた像なんだそうです。先ほどの音楽堂の丘の上方に設置されています。園内様々な場所に彫刻が置かれてましたが、その配置センスと植物との組合せはとても勉強になります。

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 ヘリコニアは熱帯原産のオウムバナとも呼ばれます。オウムの口ばしに似ている事に起因するのですが、ロブスタ・フロー(ロブスタ-のハサミ)にも似ているといわれています。
 極楽鳥花(ストレリチア)も同じ仲間です。皆さんには変哲のない植込みかもしれませんが、鳥が顔を覗かせているような姿に見えたり、小さなバナナが実っているように見えたりもします。またはっきりした

色合いや柔らかな色合いと様々な姿をみせてもくれます。
 
 さて、今回で植物園全てがご紹介できるかな~と思っていたのですが・・・
 来月もこの続きをご紹介させて頂きます。

 そろそろ梅雨入りですね。
 4月、5月に植えつけた植物は元気よく花を咲かせていると思いますが、雨が多くなり気温が上がってくると傷みがでてきます。草花の咲き具合を見ながら、切戻しを行ったり、風通しを良くしたり、梅雨対策を始めましょう。
 「雨」とも仲良く過ごしましょうね。

 (15/06/01掲載) 

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