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花のコーナー 2015年08月

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花のコーナー

御園 和穂##

2015年8月 キョウチクトウとその仲間

 8月、暦の上では「秋」を迎えますが、実際は暑さの真っただ中です。
 6・7月は曇りの日が多く日照不足の状態が続きました。
 花の咲き具合が良くなかったり、実のつき方が悪かったりしていませんか?
 これから、持ち直してくれれば嬉しいですね。
 水やりや花柄摘み、その他の作業は午前中の涼しい内に片付けて、日中は体を休めてください。人間同様、植物も体力を回復するまでには多少の時間がかかるんですよ。

 今回は、花木を紹介します。
 真夏の強い日差しが良く似合う「キョウチクトウ」です。

キョウチクトウ  

画像の説明

学名:Nerium oleander var.indicum
キョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑小高木。
和名:キョウチクトウ(夾竹桃)

 名前の由来(漢字名)は、葉が「竹」に似ていて、花が「桃」に似ている事と、夾(キョウ)には、「はさむ」、とか「混ざる」という意味があり、3文字が合わさって「夾竹桃」と呼ばれるようになったそうです。
 インドが原産地。中国経由で18世紀(江戸時代中期)に日本に入ってきたそうです。

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 6月くらいから9月くらいまで咲き続け、ピンク、濃いピンク、白があります。ほのかな香りがあり、基本は一重咲きです。最近は八重咲きや斑入り葉も見ることが出来ます。

 蕾は筒状になっていて、スクリュ-のようにひねりながら開花します。花びらも一枚一枚ひねりがついたような形です。
 近い品種としてセイヨウキョウチクトウがあります。
 この植物は南米原産で、植物の分類学上では、セイヨウキョウチクトウが基本種で、変種の一つがキョウチョクトウと見られています。
 両者とも姿形は良く似ていて見分けは難しいようです。

画像の説明

 写真はキバナキョウチクトウ。(植物図鑑参照) 日本の場合、露地での栽培は沖縄だけでそれ以外は温室栽培となります。香りはとても良く、黄色い花は大きく開かず落ちてしまいます。
 ハワイなどでは公園で普通に見ることが出来るそうです。キョウチクトウは品種改良や実生選抜による園芸品種が多くあります。とても美しい花木なのですが、日本では中々見ることが出来ないのが残念ですね!

 キョウチクトウは大気汚染や車の排気ガス、乾燥・防音効果に強い花木としても親しまれています。その特性を生かして工場の周辺や高速道路の両サイドに植えられています。
 その秘密は「葉」にあります。
 葉は光合成を行い、呼吸や蒸散をする「気孔」をもっています。細胞はレンガを敷いたように並んでいるわけですが、その隙間に窪みや突起があり、その部分が気孔と呼ばれる物です。
 キョウチクトウはこの窪んだ穴の内側に沢山の毛が生えています。この毛がフィルターの役目をしているため、有害物質などが入り込もうとしても毛が上下に動き体内への侵入を防いでいるのです。
 有害物質が体内へ入らないため、「大気汚染等に強い花木」なんです。
 生育が速く強い花木という事で、公園や小中学校の校庭でも多く植えられていました。
 とても優れた花木なのですが、葉・茎・花・種子・根等すべての部分に毒性があり、一部では周辺の土壌にも毒性が浸透すると言われています。
 キョウチクトウにはオレアンドリン(※)など複数の有毒成分が含まれ、昔から薬用として使用されています。当然の事ですが一般の方は扱えません。
※オレアンドリン・・・様々な強心配糖体でジキタリスに類似した作用を持つ。人の場合、使用量によっては死に至る場合がある。

 誤って枝等を箸代わりに使って中毒を起こしたり、フランスでは串焼きの串に使用し、死亡者も出ています。また、牛の飼料に葉が誤って混入し、乳牛が死亡したという報告もあります。
 生木を燃やした煙も有毒で、葉・枝等を腐葉土にした場合でも1年以上は毒性が抜けないため、腐葉土にする際も注意が必要なようです。
 このような事例が報告された事により、その事由で北九州市は市内の小中学校や公園からキョウチクトウを撤去したそうです。
 もちろん、県木や県花としている所もあります。
 8月には、日本人にとって原爆投下による痛ましい記憶があります。
 そんな中、広島では「原爆投下のあと、最初に開花した花がキョウチクトウとカンナであった」という事、長崎でも「原爆のあとの瓦礫の中で、キョウチクトウが咲いていた」という話は有名です。
 広島では、「復興の花」として広島平和記念館の周辺及び広島市内にキョウチクトウが植えられています。(広島市の花)
 長崎でも同様、平和記念館周辺及び市内に植えられています。
 復興のシンボルとして愛されている花木なのですね。
 良し悪しを判断する事は出来ませんが、毒性の強さから安全を優先し撤去する事も大切な事です。しかしながら、「毒性」などの理解がないまま無くしてしまう事はどうなのでしょうか。
 安易に撤去したり過敏に反応するのではなく、正しい知識と適切な用途を知って植物を育てていきたいですね。
 「美しい花にはトゲがある」と言われます。植物も生きてきた過程の中で自己防衛のために様々な対策を身につけてきたはずですから!
 キョウチクトウは植付け後、ある程度放置しておいても樹形が球形にまとまる樹木です。広いスペースのある場所であれば問題はありませんが、地際から沢山の枝を出す性質があるので、古くなった枝は付け根から剪定しましょう。
 また、込み合っている枝などは整理し、「すかし剪定」を行います。
 萌芽力が強いので、太い枝も切ってしまっても大丈夫です。
 しかしながら、中途半端に枝の途中から切り戻すと、一箇所からたくさん芽を吹いてしまい、上部が重くなると木が折れ、枝が重なることによって枝枯れを起こします。
 また、植え付けの際は隣の樹木と重ならないように植付ける事も大切です。
 剪定の適期は4~5月もしくは11月頃になります。
 元々熱帯の花木なので寒さは苦手です。特に乾いた真冬の風は苦手のようです。十分に根づいているなら、11月頃に地際から剪定しておくと良いですね。
 剪定した際に切り口から出てくる乳状の樹液は、手や口に触れないよう気をつけましょう。もしも付いてしまった場合はすぐに洗い流しましょうね。
 育て方は簡単です。
 用土は特別選びません。やせ地でもよく育ちます。
 灌水は苗木を植付けた際、暫くの間(根が付くまで)は小まめに行い、その後、真夏などひどく乾燥しない限りは灌水をしなくても大丈夫です。
 鉢物の場合は表面が乾いてきたらタップリ与えます。真冬は乾かしぎみで育てます。
 肥料は、花が終わったあと(10月頃)窒素分の少ない肥料を少しだけ与えます。養分の吸収力が強いので、ひどいやせ地で無い限りは特別な施肥の必要はありません。
 特に苗木の時は窒素分が多い肥料を与えていると(油粕など)、花が咲かなくなります。
 植替えは4月中旬から9月一杯、気温の高い時期が適期になります。この時は小まめに灌水してください。
 増やし方は取り木か挿し木です。適期は5月から9月です。切った枝を花瓶に挿しておくだけで(時々水は換えてくださいね)発根してきます。取り木は枝の一部を土の中に埋め込み固定します。
 根が出やすいので、表皮を剥ぐ必要もありません。2ヶ月程で十分に根が伸長します。その後切り離して掘りあげます。
 その他病害虫も特別発生しません。しかし、春先の新芽にアブラムシが付く事があります。その際は殺虫剤で駆除してください。
 キョウチクトウは「毒性が強い花木」だけが強調されてしまっていますが、とても堅強で、育てやすく、真夏の一番暑い時に美しい花を咲かせる理想的な花木だと思いませんか?

 その他に身近に見かけるキョウチクトウ科の植物もご紹介しましょう。

ニチニチソウ 

画像の説明

学名:Catharanthus roseus(=Vinca rosea)
科名:キョウチクトウ科
別名:ビンカ
原産地:マダガスカル~インド
開花時期:6月~11月上旬

 夏から秋の花壇やコンテナで楽しむ春まきの一年草草花です。排気ガスや大気汚染に強く、自生地では毎年花を咲かせ、低木状になります。江戸時代中期に日本へきました。キョウチクトウと同じように「ビンカアルカロイド(※)」と言って10種類以上のアルカロイドが全草に含まれていて薬用植物としても知られています。 
※アルカロイドとは・・・植物体に含まれる窒素を含む塩基性の有機化合物。毒性や特殊な生理・薬理作用をもつものが多い。例えばタバコのニコチンや茶のカフェイン、ケシのモルヒネなどである。
 葉は光沢があり、花はひねりの入った感じで5枚の花びらに見えますが、根元の部分が筒状になっていて、開花する際に5つに裂けて花びら状態になっています。
 花は3日くらいしかもちませんが、開花時期は毎日花を咲かせるので「日々草」と呼ばれるようになりました。
 暑さには強いですが湿度に弱く、日本の梅雨時期は苦手です。出来れば梅雨明けから植え付けをするといいですよ。
 また、直根性タイプで太い根を真っ直ぐ伸ばして生長するので、植付け後は他の場所への植替えは極力避けたほうがよいでしょう。
 大きく生育し形が崩れてきたら切戻しを行いましょう。脇芽から新しい芽を出し再度開花します。
 長く楽しめますね!

 次の植物はツルニチニチソウです。

ツルニチニチソウ

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学名:Vinca major 
科名:キョウチクトウ科
別名:ツルギキョウ
原産地:南ヨーロッパ、北アフリカ
開花時期:4~5月

 常緑のツル性グラウンドカバーとして親しまれています。
 葉は先端が尖った光沢のある緑葉と斑入りがあります。春先に伸びたツルの先に4月ごろから薄い紫色の花を付けます。つぼみは傘をたたんだような形で、回転するように開花します。(写真:植物図鑑参照)
 緑葉と葉の縁に白っぽい模様が入るエレガンテシマや葉に黄色い模様が入るレティキュラータなどの種類があります。
 ツルは真っ直ぐ伸びます。途中で脇芽が出ないので切り戻して脇芽を出させます。コンテナやハンギング、また土手肩やフェンス脇など用途は様々です。
 花より葉を楽しめるタイプです。
 キョウチクトウ科なので、アルカロイドを全草に含みますが、殆ど影響のない範囲です。ツルを切った際に白い樹液がでますが、手についても問題ありません。

 最後は以前にも紹介しました、ストロファンツス・プレウシーです。(2015年7月「シンガポール植物園-3」参照)

ストロファンツス・プレウシー

画像の説明

学名:Strophanthus preussi 
科名:キョウチクトウ科
原産地:コンゴ

 ツル性の樹木でツルの長さは4mにも伸びます。
 花は筒状から広がって5枚の花びらになります。花びらの先端が糸のように細くなり、その長さは30cm程にも伸びます。
 日本国内では自生していませんが、どこかの植物園の温室内で見ることができるかも知れませんね。
 アジアからアフリカの熱帯地域に多種分布していて、その多くの品種は毒性を持っています。中には象を倒してしまうほどの毒性を持っているものもあるそうです。一部の品種は強心剤や利尿剤の原料にもなっている薬用植物でもあります。

 キョウチクトウ科は高木から草花やツル植物まで多くの種類を持っています。多くの植物は切り口から白い樹液を出し、多種のアルカロイドなどの毒性を持っています。
 一部は薬用植物として使用され、花が美しく香りもあるタイプは園芸用として栽培がされています。
 カリッサという果物もあります。クチナシのような香りで赤く熟すとスモモに似ています。酸味は強いのでジャムにすることが多いようです。

 今回は一つの花木から、同じ科目でよく似た性質ではありますが、様々な使われ方をしている植物を紹介しました。
 近くで見かけた時は、じっくり観察してみてください。

 植物には毒性をもっているものが沢山あります。
 「知っている」と「知らない」では大きな差があると思います。
 目先だけで左右されず、用途に合わせた使い方を探るのも良いですね。
 ただし、「あれ?」っと思う植物はしっかりと調べてから、切ったり、触ったりしてください。
 毒性を持っていなくても皮膚の弱い方はかぶれたりします。
 暑い時期は特に治り難いので要注意です!!

 (15/08/01掲載) 

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