都市に緑、人にやすらぎを

花のコーナー 2015年10月

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花のコーナー

御園 和穂##

2015年10月 野菜の種子

 9月、北九州市は大型の台風に見舞われました。
 猛烈な風と叩き付ける雨、被害は如何だったでしょうか?
 樹木や草花においては、強風による傷みがあちらこちらで見られました。街中の樹木は折れた枝は取り除ぞかれ、強風でカサカサになってしまった葉は暫くすると自然に落ちてきます。枯れた訳ではないのですぐ新しい芽が出てきます。
 草花は苗が倒れたり、折れてしまったり・・・。倒れた苗は起こし支柱で固定、折れてしまった茎は切戻してあげましょう。
 合わせて水やりをきちんと行います。雨が降ったので「大丈夫!」は大間違い。強風の影響で乾燥しています。手当をしてからタップリと水やりをしてください。肥料はその後でも大丈夫ですよ。

 前回は種子の「形態」を説明しました。花や野の草花の種は姿形が面白かったと思います。繁殖の方法もまちまちでした。
 引き続き「種子」を紹介しようと思います。今回は花の種子の話ではなく、毎日食べている野菜の「種子」に目を向けてみたいと思います。

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 この10年程家庭菜園はブームのようです。ブームが続いている理由として、健康志向や食育、グリーンカーテンなど様々な要因があるようです。
 私も自宅のベランダで「野菜栽培」を楽しんでいる一人です。畑や庭が無いのでベランダ栽培ですが、プランターで葉菜類や果菜類、香辛野菜栽培を楽しんでいます。季節の物や気温がある程度あれば周年楽しめる物が様々あります。これもすべて「種子」からのものです。
 農家のような立派な野菜は作れませんが、「あると便利」な物です。
 今回購入した種子(写真参照)は、種まきから発芽、小さい芽を間引きながら食べていきます。最終的には数個の完全野菜(きちんと形が出来るまで)が収穫出来るまで楽しめます。
 私の野菜との出会いは学生の時に食べた「カブ」でした。「カブ」を収穫、水洗いし束にして市場へ出荷する流れの作業を経験しました。
 たわしで表面の土を洗い落としていると、教授から「食ってみろ」と言われ、生で食べる事の無かった「カブ」をかじった時の「これがカブ?」が始まりです。それまでは、本当の野菜の美味しさを知らなかったようです。

 さて、種子の話の前に少しだけ「野菜の歴史」を知っておきましょう。
 現在、日本では約150種類程の野菜が栽培されています。日本は北海道から沖縄まで約3,000㎞、この地域差が野菜栽培の豊富さに繋がっているそうです。ちなみにアメリカで約100種類、フランスで約130種類と言われています。日本でいかに多くの野菜が栽培されているかが分かりますね。
 日本原産(その地域に自生している物)の物はフキ、ワサビ、アシタバ、セリ等数える程、残りの殆どが海外から入ってきたという事になります。(外来種) 
 ダイコン・ハクサイ・ネギ等は中国、タマネギ・ニンジン・ニンニク等は中央アジア周辺、サツマイモ・ジャガイモ・トマト等は中南米、マメ類・ゴマ等はアフリカが原産地です。
 日本への伝来は、最も古いキュウリやネギ類が飛鳥時代。続いてマメ類、ニラ等が平安時代。その他の多くは江戸時代に入ってきたようです。
 本格的な栽培は江戸時代に入ってからのようです。確かに外来種になるのですが、その多くは日本の各地域に広がりながら地域の風土に合うよう品種改良され根付き現在に至ります。一部の地域では「伝統野菜」と呼ばれ、外来種の粋はすでに無くなっているようです。
 私達は一年を通して安定的に野菜が食べられます。以前は「旬」という言葉通り「その時期にしか食べられない」のが普通でしたが、技術の発達に伴い、「旬」は薄れ「いつでも」が当たり前になったようです。
 現在の植物全般に言える事ですが、特に野菜は周年安定を目指す事から、F1種(一代交配種)(※)が主流になっているようです。
※F1種(一代交配種)=Filial First Generetion :Aと言う品種とBと言う品種の掛け合わせでCと言う品種が生まれる。Cは両親の良い所だけを持っているため、収穫量が多く、耐病性が強く、粒が揃う。ただし、本来の交配ではないので「種」の採取に関しては雑種が生まれる可能性が高い(採取はしない)。
 毎年、新規に種子を購入し播種することで安定した作物は作れますが、種子を買うコストがかかってしまいます。伝統野菜のように自家種子採取をすると、若干の手間はかかる反面、種子購入のコストはかかりません。
 周年の安定性と消費者の要望=種苗会社のビジネスに結びつくのかも知れません。野菜種子だけではなく、種子は独自の進化を持っているようですね。


カブ(蕪) アブラナ科(交配種)

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用途:漬物(葉茎含む)、煮物、炒めもの等
発芽適温:20~25℃  生育適温:15~25℃

 日本書記に栽培の勧めが記載されていて、古くから親しまれてきた野菜です。カブの原産地は地中海と言われていますが、東へ向かったカブは中国で改良され、菜っ葉やハクサイに変化したと言われています。また、最初に日本へ伝来したカブは、とても大切に育てられ、各地で伝統的なカブになりました。
 写真はカブの種子です。本来種子は黒や茶色をしているのですが、最近ではこのように鮮やかな色が付いています。フィルムコーティングで殺菌剤が付着されています。袋の裏に「イプロジオン・キャプタン種子」(殺菌剤処理をしている)と記載されています。発芽時に立ち枯れ病などを起こさないように処理されています。効き目は2週間程度でその後は薬剤散布が必要になります。
 種が細かいので、色が付いていると土の上でどこに播種したかが分かり易い利点もあります。
・カブの旬:11月~3月頃まで。寒くなると甘味が増して柔らかい。
・購入と保存:葉がシャキッとしていて、ずっしり重みを感じる物。水分をタップリ含んでいます。葉と実は別々にして冷蔵保存。3日程度。
 冷凍保存の場合は、葉は茹でて小分けに。実は生のまま串切りやスライスにして保存が可能です。そのまま水から調理します。


ニンジン(五寸人参)  セリ科(一代交配)

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用途:生食、煮物、炒めもの、漬物等
発芽適温:15~25℃ 生育適温:15~25℃

 江戸時代初期に到来。中央アジア、アフガニスタンが原産地です。
 原産地から、西へオランダ経由で広がった西洋系(太くて短め)と、東へ中国経由で広がった東洋系(細長い)があります。江戸時代初期に日本へ到来したのは東洋系ですが、栽培が難しくその後西洋系のニンジンが主流になったそうです。
 ニンジンはオレンジ色、黄色、赤色等あり、五寸ニンジンなどの西洋系、お正月頃にでてくる細長い金時ニンジンや冬限定の沖縄の島ニンジンなどの東洋系があります。カロテンやリコピン、抗酸化作用もあり栄養価の高い野菜の一つです。
 日本人の三分の一は「ニンジンが嫌い」、三分の一は「ニンジンが好き」、残り三分の一は「どちらでもない、体の為に食べる」という統計があります。
 好まれない理由が「くさい」なんだそうです。何の臭いなのか?原産地アフガニスタンのニンジンは「くさくなく美味しい」そうです。
 調べてみましたが、品種改良の過程で「くさみ」が出てきた説、カロテンのにおい説、などハッキリはしませんでした。個人的には最近のニンジンは臭いも味も薄くなって「少し物足りない」ようにも感じます。栄養価と消費量の増大の方が上回っているようです。
・ニンジンの旬:9月~2月頃。秋から冬にかけて寒くなると甘味が増し栄養価が高くなる。
・購入と保存:色の濃い、傷やヒビ割れの無い物を選ぶ。葉付きは珍しいが付いているならシャキっとしたものを選ぶ。葉も食べられる。
 保存は丸のまま新聞紙に包んで立てて冷蔵保存。冬場は新聞で包んで冷暗所で保存可能。使用後はラップに包んで冷蔵。
 生の場合、スライスや棒状に切って冷凍保存。煮物用など大ぶりなものは水から茹でて(串が通る程度)、その後冷凍保存。煮物やカレーなどは冷凍のまま使用可能。炒めものの場合は水っぽくなるのでレンジで解凍後使用。


エンドウマメ(豌豆豆)  マメ科

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↑グリーンピースの種子

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↑スナップエンドウの種子
チウラム処理済

実を食べるグリーンピース
発芽適温:15~22℃ 生育適温15~20℃

 平安時代に「穀物」として到来。野菜としての使用は江戸時代からであり普及は明治以降と言われています。
 中央アジアから中近東が原産地で、ローマ時代には栽培されていた記録が残っているそうです。日本には中国経由で到来。
 サヤの実が太る前がサヤエンドウ、実が太った物がグリーンピースになります。
 グリーンピースは古代エジプト、ツタンカーメンも食べたと言われています。1992年にツタンカーメン王の墓の埋蔵品から種子が発見され、発芽を試みたところ発芽しました。3000年前の香りがあるのかどうかは別として、特徴は開花する花の色が本来は「白色」ですが「薄紫」でサヤが紫色になるそうです。一般的には入手は出来ませんが、興味の範囲で食べてみたいですね。
 1980年代にはいると、サヤも実も食べられるスナップエンドウが登場します。サッと茹でてそのまま食べられるので人気の高いマメ類の一つです。

・エンドウマメの旬:2月下旬~6月。暑さには弱いが寒さに強いので秋に播種し冬を越して春から収穫。春先は鳥に狙われるのでネットをかけると良い。
※スナップエンドウは種子がチウラム処理済:殺菌剤と野鳥の忌避剤効果の処理がされている。
・購入と保存:グリーンピースはサヤの中の実を食べるので、サヤの緑が鮮明な物。実のみの場合は色の良い大きい物を選ぶ。サヤが白っぽい物は木で成熟が進んでからの収穫になるので若干風味が落ちる。スナップエンドウは緑の濃い、ぷっくりした実を選ぶ。
 保存は乾燥に弱いので、サヤ付きの場合はビニール袋のまま冷蔵。2日程度。
 実の場合は水に浸して冷蔵。
 冷凍する場合は熱湯でサッと茹でて冷ましてから冷凍。冷凍のまま使用も可能。炒めものはレンジで解凍して使用。


大葉シュンギク(大葉春菊) キク科

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発芽適温:15~25℃  
原産地:地中海沿岸  室町時代に到来。

 路地栽培の場合、春から晩秋まで播種ができ、寒い場合はビニールで覆う程度で収穫可能なタイプです。発芽率が低いタイプなので沢山播種し、間引きます。冬場の葉物で若い葉は生でも食べられます。特有の香りはありますが、鍋物やお浸し、和え物に合います。 
 品種にもよりますが、西日本では葉が広く切れ込みの少ないタイプが多く見られ、関東あたりでは葉の切れ込みが深く、上へ伸びた葉のタイプが多いようです。北九州は丸葉で切れ込みの少ない、柔らか目のタイプが一般的なのだそうです。栄養価の高い緑黄色野菜です。
・大葉シュンギクの旬:11月~2月頃
・購入と保存:葉の緑が鮮やかでピンっとしたもの。茎は太過ぎず、やや細めの方が美味しく食べられる。ギザギザの少ない葉の方が苦みや香りが穏やか。
 乾燥を嫌うので濡れた新聞紙に包みビニール袋へ入れ冷蔵。出来れば立てて保存。サッと茹でてよく絞り小分けにして冷凍保存。


サラダホウレンソウ(サラダ法蓮草) アカザ科

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発芽適温:15~20℃ 
原産地:西アジア 江戸時代初期に到来。

 ポパイの漫画でホウレンソウの缶詰を食べると「元気」になる場面があります。実際にもカロテンを始め、鉄、ミネラル等が豊富な栄養価の高い緑黄色野菜です。
 灰汁が強いので茹でてから食べますが、柔らかい葉ならば生でも食べられます。近年は生食用の柔らかいタイプも栽培されています。
※サラダ法蓮草:チウラム・メタラキシル処理済:殺菌剤処理されている。
・ホウレンソウの旬:12月~1月 葉の色が濃く、栄養価が高まる。
・購入と保存:緑が濃く葉がシャキっとしている。肉厚な方が良い。茎の部分がふっくらしている物が良い。
 乾燥しやすいので濡れた新聞紙に包んで冷蔵。出来れば立てておくと良い。
 茹でてから小分けして冷凍保存も可能。
 
サラダセット種子

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 何種類かの種子を混合しているセットです。
 赤リーフレタス、グリーンリーフ、エンダイブ、サラダ菜、チコリ(赤と青)、クレソンの7種類です。
 プランター栽培も可能で、播種後3日~5日程度で発芽し、30日~40日で10cm程になれば収穫時期になります。
 株元からハサミで切って食べます。その後、株周りに肥料を与えておくと脇芽が伸びてきて再び収穫ができます。1~2回繰り返したら客土を攪拌し整え、再度播種します。周年楽しめますよ。

 今年の秋からはこれらの種子を育ててみようと思っています。カブは少し遅れてしまったのでどうしようか?迷ってますが~
 「種子」って不思議なものだと思いませんか。ゴマよりも小さい種から、美しい花を咲かせ、美味しい作物が作れるわけです。
 また、是非作物の「旬」も知ってほしいと思います。旬の時期に合ったものを食する事は、私達の体にとっても最も良い状態で吸収されるという事です。
 一度、種物コーナーで種子袋を手にしてみてください。興味がわけば育ててみるのも良いでしょう。
 ただし、野菜の種子は一袋に沢山種が入っていて、種子が余ってしまったりします。その際は購入した日付を記載して、きちんと封をして出来れば冷蔵保存しておくと次の季節に播種が可能となります。若干発芽率は落ちると思いますが!

※種子は食べたりしないでください。お子様、小動物の誤飲も注意されてください。

 (15/10/01掲載) 

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