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花のコーナー 2015年11月

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花のコーナー

御園 和穂##

2015年11月 セイタカアワダチソウVSススキ

 十一月の声を聞くと、急に寒さを感じるようになります。「立冬」を迎えると「冬の季節」の到来ですね。
 「亥の子(イノコ)」ってご存知ですか?
 十二支の亥の月、亥の日、亥の刻(PM9時~11時)に行われるお祭りで、元は中国の宮廷儀式でした。多産のイノシシにあやかり子孫繁栄を願う儀式だったようですが、日本では稲刈りなどの収穫時期にあたるため、収穫祭に変化したと言われています。「亥の子餅」という餅を作り「田の神」にお供えをし、その後家族で食べ、無病息災を祈ります。餅は中国の故事にならって、大豆、小豆、ささげ、ごま、粟、柿、糖(餡)の七種を混ぜるそうです。
 また「十日夜(トウカンヤ)」と呼ばれる行事があり、この日は「田の神」が山に帰る日とされており、田の神の化身とされている案山子(カカシ)を畑から持ち帰り、案山子の笠を焼いて焼き餅を作りお供えしたと言われています。
 最近の案山子はユニークなものが多いようですが、本来は「カガシ」(嗅がし)といい、髪の毛やぼろ布、鳥獣肉を焼いて串に刺したものを田畑に置いたり、ぶら下げたりして、その臭いで鳥などを追い払っていたと言われています。
 暦の上では晩秋。来春楽しむ草花は今からが植替えの時期となりますね。寒さが厳しくなる前のお天気の良い日を選んで植付けをしてしまいましょう。

今回は、秋から晩秋に咲き続けるセイタカアワダチソウを紹介します。
セイタカアワダチソウ(背高泡立草)

画像の説明

学名:Solidago altissima
キク科アキノキリンソウ属の多年草。
原産地:北アメリカ原産。帰化植物。
長い地下茎を持ち、茎の高さは2mを超える程大きくなります。茎からは枝を出しません。

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 花は30cm~50cm程の黄色の円錐形で横へ広がり、先端が垂れ下がります。
 生息環境は日本のほぼ全域の河川敷、土手、空き地、原野、路傍など北海道と沖縄の一部を除けばどこでも見ることが可能です。
 明治時代の末に切り花用の観賞植物としてアメリカから導入され、当時は今のように繁殖はしませんでした。
 第二次世界大戦後、養蜂業者が蜜源植物として種子を散布したという話もあります。また米軍の輸送物資に付着した種子によって広がったとも言われています。
 どの話が正しいのかは定かではないのですが、種子によっての拡大が起因とされており、昭和40年代以降、関東以西、特に九州では大繁殖したと言われています。
 セイタカアワダチソウは※アレロパシーを有しており、根から周囲の植物の生長を抑える物質を放出します。これによって群生し空き地や休耕地などに繁殖していきました。
※アレロパシーとは・・・植物自身が放出する化学物質が、他の植物の成長を阻害したり反対に促進させたりする効果のこと。
 その勢いは留まらず、雑草の代名詞のように言われると同時に、花粉アレルギーや喘息の元凶として嫌われ者になりました。

 実際には、ミツバチや昆虫などの媒介により受粉する植物(虫媒花)であり、風で花粉を飛ばす植物(風媒花)ではありません。
 実は、私がセイタカアワダチソウを数本持ち歩いていたら「花粉は大丈夫?」と聞かれました。今でも「風で花粉を飛ばす」と信じている人は多いのですね。もちろん花粉を飛ばさないわけではないでしょうが、スギ花粉やヒノキ花粉に比べればほんの僅かだと思います。
では何故一気に増えたのでしょうか?
 アレロパシーの放出で他の植物を駆逐したのでしょうが、実は、種の付き方が特別で1つの花穂に対して5万個の種をつけるという報告があります。
 1㎡に10本生えた場合5万×10本=50万個の種が出来ます。そうなると、アッと言う間に増えてしまいますね。
 見渡す限り、黄色一色になるのも不思議な事ではありませんね。
 セイタカアワダチソウは繁殖を続け、在来のススキもアレロパシーの影響で一時期制圧されてしまいました。

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 またモグラやミミズといった土地を豊かにする小動物や昆虫までをも駆逐し、根の深さ50cmくらいまで達する事から栄養分を沢山吸収するようになり背も高くなったと言われています。
 しかし、周辺の植物が衰退すると同時に自らのアレロパシーの毒の影響で自家中毒を起こし繁殖が衰えてきた事と、ススキも生き延びていくために進化をしたようです。ススキも以前に比べると巨大化し、セイタカアワダチソウの毒にも耐性をもったものが出てきているとの事です。

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 またススキの進化と合わせて、クズも繁殖をしています。至る所で樹木や植物、建物にも絡んでいる姿を見る事が多くなったと思いませんか。
セイタカアワダチソウもクズの繁殖によって覆いかぶさられて、葉の重みで押し倒され、日が当たらなくなって枯れたりして全体の数を減らしてきているようです。

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 ススキはクズの影響は受けず、細長い葉を蔓の間から出して生き延びています。ススキとクズの共同戦線でセイタカアワダチソウの撲滅?「自然界の仁義無き戦い」ですね!
 最近の姿はお互いの共存のようです。
(左の写真は、最近の両者が共存している姿です。)

 セイタカアワダチソウは外来種で悪の根源のように言われていますが、アメリカのケンタッキーやアラバマなど諸州では州の花です。
 日本では「こまった雑草」です。しかし、秋が訪れると空き地を全面黄色の絨毯を敷き詰めた景色を創りだしてくれます。
 実は、悪の根源「こまった雑草」だけではなかったのです。
 最後に少し擁護しておきたいと思います。
 セイタカアワダチソウには「薬効」があります。
 体内の毒素を流しだしたり(デトックス効果)、皮膚の炎症を抑える働きがあったり、入浴剤やお茶にも利用できます。最初に述べた観賞植物(切花)から、長い茎を乾燥させ萩の代用として「すだれ」などの材料にも使われています。
 アトピー性皮膚炎の治療薬としてステロイドを使いますが、副作用もひどく、アトピーが悪化したりする事もあります。また乾燥がはげしく、かゆみを伴った湿疹などにはセイタカアワダチソウのお風呂が効果的だそうです。
 開花前の花穂の蜜の中には酵素があり、喘息や腎臓結石、腎臓炎、膀胱炎などにも効果があるそうです。デトックス効果で毒素を体内から排出するのですね。
 全てではありませんが、このような効能があります。
※食品アレルギーや体質に合わない方はご利用を控えられてください。使用前には医師にご相談ください。

 「セイタカアワダチソウ」、当たり前にように生えている植物ですが、見方を変えると秋の風景の一つになりますね。
 今後、日本各地では刈り取りや抜き取り等の駆除活動が行われていくと思いますが。イメージを払拭して利用植物に代わるといいかも知れませんね。
 実際に法面の表土の流出防止には役に立っていますし、晩秋まで花をつけますので昆虫類にとっては強い味方でしょう。

 セイタカアワダチソウ、いかがでしたか?
 個人的には結構好きな花です。この植物が枯れてくると「冬の到来」です。
 春に向けての草花や球根類の植え付けも今のうちに片付けてしまいましょう。寒くなってしまうと億劫になってしまいますものね♪

 (15/11/01掲載) 

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