花のコーナー 2016年03月
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花のコーナー
御園 和穂##
2016年3月 早春の草花
暖かい季節の到来です!
今年は例年になく、寒い1月、2月を過ごしました。1月24日の大雪、低温で作物の被害も多く、一部は収穫が出来ないものもありました。庭木・草花類も葉の傷みや障害がでました。皆さんのところは如何でしたか?
すぐ手当をしたいところだったと思います。これからは気温もあがってきますので、十分に手入れをしてあげてください。植物は新しい葉を展開し、綺麗な花を咲かせる準備をはじめます。
わくわくの春、待ち遠しいですね。
今回は早春から咲き始める草花を紹介します。
ヤグルマギク
学名:Centaurea cyanus
キク科の秋蒔きの一年草
英名:cornflower
原産地:地中海沿岸
日本へは明治中期に渡来
草丈は50cm~80cm、渡来当初は切り花として親しまれていたようです。現在でも切り花、フラワーアレンジメント、花壇用草花として使われています。開花時期は4月~5月。花色は青、紫、ピンク、白、紅とカラフルです。
青色が一般的で、種からでも十分に開花する育てやすい草花です。
花の大きさは5cm程度で裂片のある筒状花が矢車のように見える一重咲きと盛り上がったように見える八重咲きがあります。
古代エジプト時代から、再生力のシンボルとしてツタンカーメンのミイラの胸元にヤグルマギクの花束があったと言われ、死者の装飾品として使われていたそうです。さらに古くは4万7千年前にネアンデルタール人のミイラにも花束にして一緒に埋葬されていたそうです。
また、ギリシャ神話、半人半馬ケンタウロスの一族ケイロンの怪我を治した薬草とも言われています。
実際にハーブとしてコーンフラワーの名で親しまれており、開花した花は薬用として傷口の止血や粘膜の血管や組織を引き締める効果があるとされています。花は食用でサラダに使い、抽出液はシャンプーやトリートメントに使われ、鑑賞用として、青い花は乾燥させても変色しにくいのでドライフラワーでも楽しめます。
名前の由来は「鯉のぼりの竿の先の矢車」に花の形が似ていることからだそうです。
私が学んだ頃の名前はヤグルマソウでした。
現在はヤグルマギクと言われ、山野草にある「ヤグルマソウ」(写真参照:植物図鑑より)と区別するため名前が変わったそうです。
←ヤグルマソウ
ヤグルマギクは花壇で使用する場合、背が高くなるので「使いにくい」ということを耳にします。確かに茎が伸びてくると大きいもので1m近くになります。強風で倒れたり気になりますよね。
でも、花壇後方に壁のようにズラーっと並べて植え込んだり、一か所にまとめて植え込むと素敵ですよ。
また、葉は細長く柔らかい雰囲気が演出できます。ヤグルマギクは茎が倒れにくいので是非一度試してみてください。もしも倒れそうになってもビニール紐などで束ねないでくださいね。周囲に支柱を立てて、倒れそうな茎を支えてあげてください。
花壇の植え込みは花色の組み合わせだけでなく、花の形や葉の色や形も踏まえて組み合わせていくと楽しいですね。
←ヤグルマギクの種子袋
私はヤグルマギクがとても好きです。花壇用はポットに播種し苗を作ります。プランターへは直播きをします。11月に種まきして冬を越し4月から花を楽しむことも、3月に種まきして6月から楽しむこともできます。(夏は涼しい所で管理)。
ヤグルマギクは古代から親しまれ、薬草として、また死者の弔い花として飾られたり、と感慨深い花です。
今年は、これから種まきをして初夏に楽しみたいと思っています。
←ヤグルマギクの種
マーガレット
学名:Chrysanthemum frutescens
科名:キク科 宿根草
原産地:カナリア諸島
別名:木春菊(モクシュンギク)、キダチカミルレ
開花期:3月~5月、9月~11月
カナリア諸島からヨーロッパに渡り園芸品種として改良され、日本へは明治時代にフランスから渡来しました。
渡来当初は、日本の冬の寒さと夏の高温多湿の気候に合わず、温室栽培が主な育て方でした。その後伊豆半島など、太平洋側の温暖な地域で切り花用に畑で栽培が始まり、全国に広がりました。
マーガレットの名前はギリシャ語で「真珠」を意味するマルガリーテスに由来します。主にフランスで改良がすすんだのでパリ・デージーとも呼ばれていました。
毎年花を咲かせる宿根草です。日本の場合は関東以西であれば露地栽培でも生育可能ですが、冬の寒さや(寒冷地の露地植えは難しい)夏の高温多湿は苦手です。
長く育てていくと茎が木質化し、低木のようになります。(学名のクリサンセマム・フルテスケンスは「低木状になるキク」という意味です。)
今年1月のような大雪や低温は苦手です。折角小さい花芽が付き始めていたところでの傷みはダメージが大きいです。傷んだ部分は軽く切戻しを行い、新しい芽が出るのを待ってください。その後花を付けます。
また、木質化し大きくなってくると夏越しが難しくなります。
鉢植えの場合は涼しい半日陰に移動をさせれば大丈夫です。草丈が伸びてきて15~20cm程度になったら上部を軽く刈り込みます。脇芽が出て花数が増えます。また草丈もそれほど大きくはなりません。
花壇で数年育ち大きな株に成長したものは、木質化した株元から折れやすくなります。花が終わった後に草丈の半分くらいに刈り込み、風通し良くして夏越しさせます。
宿根草はあまり手のかからない植物だと思われていますが、適宜手を加えてあげる事で大きな株になり周年花を咲かせます。
増やし方は挿し芽が一番です。
切戻した際の茎10~15cmほどに葉を2~3枚残して挿します。茎は2~3時間ほど水に浸してから用土へ挿します。(用土は挿し木用用土などを湿らせて挿す)
肥料は開花最盛期の5~7月に施しますが、窒素分の多い肥料を与えると花付きが悪くなるので要注意です。肥料は少なめでよく育ちます。
園芸店でも鉢物で販売されています。今年は一鉢選んで育ててみませんか?
マーガレットによく似た植物があります。
今は街中では見られなくなりましたが、少し空き地がある所や土手や道路脇などに生えている「フランスギク」です。姿形はマーガレットにそっくり。
学名:Leucanthemum vulgare キク科の宿根草です。ヨーロッパ原産の帰化植物で、江戸時代末期に観賞用として持ち込まれました。
観賞用、花壇用の他に法面緑化の吹付種子の中やワイルドフラワーとしても使われてきました。寒さに強く日本の冬も越せる強い繁殖力で野生化し日本中に広がったようです。山岳地帯の国立公園などでは在来種の中に侵食し競合している事が問題になっているようです。
花はマーガレットより大きく、見栄えがします。パッと見たところは、マーガレットとフランスギクとは見分けが付き難いかもしれませんね。
見分け方は、花はよく見ると異なりますが、葉の形も違います。フランスギクは大葉シュンギクのような幅広の葉で、葉の縁に浅いギザギザが入ります。
マーガレットは春菊の葉のように大きく切れ込みがあり、ギザギザも深く入っています。
大葉シュンギク 春菊
また、マーガレットは茎が木質化して大きな株になりますが、フランスギクは茎が木質化せず、たんぽぽなどのように葉を地面にペタンと広げたロゼッタ状態で冬を越します。初夏になると花を咲かせます。土手や道端などで見かけたら確認してみてください。
春一番に開花する草花はキク科の植物も多いと思います。
現在では繁殖力が強く外来種として定着してしまい問題の「オオキンケイギク」(あちらこちらに自然に咲いてはいます)をはじめ、ディモールフォセカやオステオスペルマム、ベニジュウム、キンセンカ、ガーベラ等、素敵な草花が楽しめます。
オオキンケイギク 園芸店の店先を飾るマーガレット
今年の春は雪で枯れたり、傷んでしまって「ちょっと残念」な花壇やコンテナの隙間に植付ける草花を探しに園芸店を散策してみませんか。
散策するだけで、「春を満喫」出来るかも知れません。
~ちょっとアドバイス~
雪で傷んだ植物です。
・アゲラタム 本来は初冬で抜き取ってしまうのですが、年を越しました。
雪と低温でくしゃくしゃに・・・思い切って株元で切戻します。根は傷んでなかったので、これから新芽が出てくるはず。今年も沢山の花を付けてくれると思います。水は土の表面が乾いたらタップリ与え、肥料は3月中旬くらいから施します。
・パンジーです。
葉が部分的に黒っぽくなっています。これは「しもやけ」の状態です。
見栄えが悪いからと言って取り除かないでください。
これからたくさんの花を咲かせるためには、たくさんの葉が必要です。株を太らせながら葉も出てきます。いずれは隠れますので放置してください。
・ナデシコです。
傷んだ黄色い葉はもうしばらく放置します。
中央部分に新しい芽が出始めています。その時に茶色くなった葉はハサミで切り落としましょう。
新しい芽が伸び始めたら、その先に花を付けます。株が大きくなってきたら株分けで増やせますよ!
草花によって若干対処が異なります。傷んでしまった草花の様子を観察しながら対処しましょう。
秋から冬を越した植物が大きく生長をする季節がやってきました。球根植物も伸び始めます。
3月は寒い日もありますが、日差しが徐々に強くなってきます。水やりと肥料はタイミングをみて与えていくと効果的です。
個人的に春の強風が嫌いで、最近、花粉症を発症したようで目も鼻もグズグズです。
春は「ニガイ食べ物を食べよ」と言われます。苦味のある山菜にはポリフェノールやミネラルなど細胞を活性化させる成分が多く含まれています。
冬の間にどんよりとしてしまった体を内側から元気にして春を迎えましょう!
(16/03/01掲載)