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花のコーナー 2016年06月

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花のコーナー

御園 和穂##

2016年6月 野草か?雑草か?・・・

 ツツジやフジの花が終わり、周辺の木々の新芽も色濃くなり、初夏の到来です。じき梅雨に入り、明けると本格的な夏がやってきます。
 学生さんも衣替えです。紺色の上着が白シャツに、ズボンやスカートがグレー色や薄手の生地の物に変わります。見た目にも涼しく感じられますね。
 また、一年で最も昼が長く夜が短い「夏至」は、21日(火)にあたります。冬至と夏至の時間の差は約5時間もあるそうですよ。
 花壇やコンテナの植付けは終わっていると思います。これからは管理に手間を取られますが、ガーデナーの手腕発揮の時期でもあります。暑さに慣れながら手入れに励みましょう。但し、「無理」は禁物ですよ!

 今回はいつも見慣れている風景の中の植物を紹介します。
 場所は道路沿い。中央分離帯と脇の歩道沿いの植樹帯の中です。

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 ~中央分離帯と歩道沿いの植込み~

 時に「野草」と呼ばれ、時に「雑草」と呼ばれる植物です。

チガヤ
学名:Imperata cylindrical(L.)P.Beauv.

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 単子葉植物イネ科チガヤ属。日あたりの良い空き地一面に生え、銀色っぽい白の穂が風に揺れます。
 葉はまっすぐに立ち、縁は軽くギザギザがありますがススキ程ではありません。秋口になると穂が赤く紅葉し、冬場は枯れてしまいます。
 チガヤは群生します。穂の揺れる姿や白っぽい穂の色は、目にも涼しく感じられます。その後、穂の部分が綿毛になり風に乗って遠くまで飛んでいきます。
 生息分布は、北海道から沖縄全土で普通に見られます。また、アジア大陸、北アメリカなども帰化植物として広がっているそうです。
 植物遷移の上では多年草の植物にあたります。一年草植物の中に入ると安定して増えていきますが、その中にススキやセイタカアワダチソウの背の高い植物が侵入してくるとチガヤは少しずつ勢いがなくなってきます。
 現在では、道路中央分離帯や隣接する歩道や一部河川敷などで見かけますが、これは定期的に草刈りが行なわれており、結果としてチガヤが維持されている状態にあります(実際は草刈除草をしている)。
 昭和初期、チガヤは家畜の飼料や田畑の肥料として使用され、周囲は定期的な草刈りなどで草は背丈が伸びることなく管理されていました。現在では飼料等の需要はなくなり放置され、背の高い草に押されてしまっています。 
 しかし、道路周辺や街路樹の周辺などは定期的に草刈りがあるので消滅してしまうことはないようです。
 私たちとの関わりは古く、古事記や万葉集にも出てくる植物です。またサトウキビの近縁種なので、穂が出る前の新芽は噛むとほんのり甘いそうです。
 「食用としていた時もある」という記事を読みました。もう穂になってしまっていたので茎をかじってみましたが・・・青臭かったです。

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 その昔、穂は乾燥させて火口(ヒグチ)にしたり、乾燥させて梱包用の詰め物として使用していたそうです。
 いろいろ調べていくと、五月に食べる「ちまき(粽)」はササの葉に包まれていますが、本来はチガヤに巻いた「茅巻き」が名前の由来であるとも言われています。
 穂を手で触るとビロードのような、犬や狐のしっぽのような優しい感触です。
 綿毛が飛ぶ様子はすごいです。雨が降ると、綿毛の絨毯のようになります。

 次はチガヤと一緒に生えていて、花は終わっていましたが種子をたくさんつけた植物がありました。

イヌコモチナデシコ(ミチバタナデシコ)
学名:Petrorhagia nanteulii

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 維管束植物、双子葉・ナデシコ科。二年草です。高さ30cm前後で株元から茎をのばします。原産地(自然分布)はヨーロッパとされており、帰化植物です。
 国内での初記録は1960年頃に北九州市門司区で発見されました。びっくりですね。
 その後日本各地で観察されていますが全国に広がっているわけではありません。

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 兵庫で発見された同種は、北九州市産と少し異なり茎に産毛のような毛が生えているそうです。
 同じタイプなのですが、少し様相が異なるようです。すでに他県で和名「ミチバタナデシコ(仮称)」として命名されていたため、名称の混乱を避けるため北九州市は無毛タイプではありますが、有毛タイプと同じ名前(和名)を付けたそうです。

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 花は春4月に開花し、私が確認した時は5月なので種子になっていました。
 写真からも分かるように大量の種子をつけてます。中央分離帯、道路脇の明るい草地ではチガヤに交じって一面種子でした。
 防除の方法は種子ができる前に草刈りをしてしまう方法や、花を持ち帰らない事、種子を取らない事です。
 花はピンクの可愛らしい花を付けます。茎から出ている葉はナデシコと同じような葉で対生。花が咲いていたら、つい摘んでしまうかも知れませんね。
 ただ、3月、4月と同じ道を車で走っていたのですが、ピンクの花が咲いている事に気が付かなかったのが残念でなりません・・・。

 次はイヌコモチナデシコの種子の中にひっそり開花していた植物です。

ユウゲショウ
学名:Oenothera rosea

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 維管束植物、双子葉、アカバナ科。
 多年草。原産地(自然分布)は、南米から北米南部。帰化植物で世界中の温暖な気候地域に分布しています。
 日本は本州中部あたりから九州一円。明治時代に観賞用として導入されたものが各地で野生化し、拡大しています。

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 ユウゲショウの名の由来は、夕方からピンクの花を咲かせ、艶っぽいイメージから夕化粧(ユウゲショウ)と名付けられたと言われています。
写真は朝撮影をしたものですが、一部開花していました。名前の通りではありませんが・・・。花は1~1.5cmほどの花で花弁は4枚。花びらには筋が入っています。
 葉は互生で、葉の周りは軽くギザギザしています。
 繁殖方法は種子・虫媒花・風媒花で、花のあとにできる実は「さく果(熟すと下部が破れて飛び散る)ですが、熟した実は雨にぬれると弾ける種子が飛び散る、とも言われています。
 車が往来する場所であれば、車のタイヤ引っ付いて遠くで種子を落とす事も可能です。
 最初、観察している時は他の植物に紛れていてよくわかりませんでした。それで、「ひっそり」という言葉を使いましたが、ユウゲショウも他に劣らず、繁殖力の強い植物のようです。

 次は、これまたよく見かける植物です。

ギシギシ
学名:Rumex crispus L.

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(多分、ナガバギシギシだと思われる)
 タデ科の多年草。漢名は羊蹄(ヨウテイ)。幾つか類はありますが、ヨーロッパ原産の帰化植物です。ギシギシは万葉の時代には存在していた記録がありますが、荒地ギシギシは明治時代に渡来したようです。
 草丈は50~1m程度で緑色の茎を直立させ、夏から秋に向かって小さな花(果実)を円周状につけ、その後種子を付けます。

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 葉は地際、茎葉ともに柄があり、花穂の中間にも生えているのが特徴です。
 葉の長さは25cm前後、幅は5~10cm程で縁は波打っています。
 日本各地から北東アジアまで分布しています。
 名前の由来は、穂状につく小花や種子をしごいて取ろうとする時に「ギシギシ」という音を立てる、とか。漢名の羊蹄は、根を乾燥させた生薬名の「羊蹄根」からのようです。
 太い根は天日乾燥させて生薬として、便秘や高血圧、動脈硬化に効能があるとされています。若い葉は食べられますがシュウ酸を含むので、茹でて水でさらしアクを抜いた後、おひたしや酢味噌などで食べることができます。
 よく似た植物で「スイバ」(学名:Rumex acetosa)というのがあります。同じタデ科の多年草。地方によってはギシギシと呼ぶ事もあります。また、スカンポとも呼ばれています。
 北半球の温暖な地域、日本全域に広く分布し、田畑や道端などに多くみられます。葉を噛むと酸っぱく、「酸い葉」でスイバと呼ばれているようです。
 スイバは日本でも新芽を山菜として春先に食べるようですが(食べたことがないので~)、ヨーロッパでは古くから葉菜として利用され、野菜としての品種もあります。スープの実や他の葉野菜と和えたり、フランス料理ではポタージュやオムレツ、ピュレなど。アイルランドにおけるスイバのパイは有名です。
 ハーブとしての活用もあり、古代ローマ時代には利尿作用がある薬草として、特に胆石を下す効果があったという記録があります。
 現在でもうがい薬、火傷の手当てなどに使われているそうです。
 私が通った学校は全寮制で、夏休みに入る前日の寮祭が「ギシギシ祭」と呼ばれていました。
 圃場や周辺にギシギシが生えてくると「暑くなる」、「夏休み」の合図だったのかも知れませんね。どんな祭りだったのか?記憶もないのですが、ギシギシを見かけると、夜遅くまで先輩達とお菓子を食べながら話をした事だけが思い出として蘇ります。

 その他、こんな植物が生えていました。

ヨモギ
学名:Artemisia indica.var maximowiczii

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 キク科の多年草。日本全国に分布し、根を横に伸ばしながら生育します。
 根には※アレロパシー効果があります。
 春先の新芽(葉)は「ヨモギ餅」や「天ぷら」に、灸の「もぐさ」は葉を乾燥させて揉んだもの。
 直立して伸び、夏から秋にかけて目立たない花を咲かせます。この花粉はブタクサ同様花粉のアレルゲンになるので要注意です。
 昔はどこにでも生えているヨモギの葉を平気で摘んで持ち帰って草餅にしてもらってましたが、今は犬などのナニがアレなので、人や犬が立ち入る事のない所で育ったものを採取するといいですね。
※アレロパシーとは・・・ある植物が他の植物の生長を抑える物質を放出したり、動物や微生物を防いだり、引き寄せたりする効果の総称の事。

カラスムギ
学名:Avena fatua

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イネ科カラスムギ属の多年草です。
草丈30cm~1m程で春から初夏にかけて日当たりの良い牧草地、休耕地、路傍などに生育しています。
原産地:ヨーロッパから西アジア。
 カラスムギを栽培化した穀物を燕麦(エンバク)と呼んでいます。食物の名前に「カラス」などがつくと食用にはならない、と言われていますが、欧州や中東では実際にカラスムギを食べていました。
 日本では麦が中心で、よほどの飢饉・飢餓の時に食べる以外には利用される事はありませんでした。
 現在、農業の分野ではとても厄介な雑草のようです。
 全部を紹介は出来ません。その他はこんな植物でした。

セイタカアワダチソウ

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学名:Solidago canadnsis var.scabra
 キク科の多年草。秋になると黄色の花穂をつけ、萩の代用として使用されています。また、長く伸びた茎は乾燥させると萩の代用として、すだれなどの材料に使用されます。

コバンソウ
学名:Briza maxima L.

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単子葉植物イネ科、コバンソウ属の一年草。
別名:タワラムギ。
原産地はヨーロッパ。日本へは観賞用として明治時代に導入された帰化植物です。
 日本では本州中部以南に分布。穂が平たく扁平で小判のような形をしているところから命名されました。細い茎から小判が垂れ下がるように見える姿はとても愛らしいものです。道端や沿岸地、荒地など日当たりが良く乾燥した場所を好みます。観賞用として持ち込まれたものなので、現在でも栽培している所もあるそうです。また、ドライフラワーとして利用されています。

 最後の植物は。
コメツブツメクサ
学名:Trifolium dubium

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 マメ科シャジクソウ属の一年草。シロツメグサに姿形はそっくりですが花色は黄色で全体に小型、背も低いです。
 原産地(自然分布)はヨーロッパから西アジア。日本では1930年代に確認された帰化植物です。
 荒地や路傍、どこでも見かける事が出来る植物です。

 たまに通る道路沿いの植え込みの極一部を切り取って、その中に育って いる植物を紹介してみました。
 
 野草?雑草? ヨモギなどは食用にする時は野草、それ以外は雑草?
 食べられる、生薬などに使われる植物は野草、それ以外は雑草、でしょうか。
 私たちの見方一つで分類が変わるだけのようですね。

画像の説明

 広場や道路で観察をしている時に、傍で走り回っていたワンちゃんです。
 走り疲れたのでしょうか?ナズナやシロツメグサの中で休憩していました。
 風が心地よいのでしょうね。思わずシャッターをきってしまいました。
 雑草は厄介な草なのですが、四季折々に紅葉したり花を咲かせたりと多様な姿を見せてくれます。
 いつもの植物が雑草なのか、野草なのかはあなたが実際に見た時に感じた感覚です。どちらでも構いませんよね。
 時には立ち止まって見てみませんか。
         

 (16/06/01掲載) 

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