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花のコーナー 2016年07月

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花のコーナー

御園 和穂##

2016年7月 野草か?雑草か?・・・2

 そろそろ梅雨明けでしょうか?
 今年は「記録的な暑さになる」と言われています。

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 デイゴの花が咲き始めました。
 私はこの花が大好きで、咲き始めると「夏が来るな~」と感じます。
 梅雨明けと同時に本格的な夏の到来です。強い日差しには慣れてきたものの、やっぱり暑さは苦手です。
 暑さは人間だけでなく植物も動物も体に負担を与えます。植物は風通しを良くし、木陰を作ってあげたりして遮光するといいですね。動物も同じです。少しでも涼しい環境を提供してあげてください。


 前回、いつも通っている道路脇に生えている植物を紹介しました。その後、草刈りされスッキリしたと思っていたら見る見るうちに草だらけ。でも季節は移り替わって、刈られた植物も生えていますが新たな植物も生えていました。
 今回も「野草か?雑草か?」の続きで植物を紹介します(前回はこちら)。

オオキンケイギク

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学名:Coreopsis lanceolate 
キク科の多年草。
漢字名:大金鶏菊
原産地:北アメリカ。

 キバナコスモスと似ていますが、花の色はキバナコスモスの方が濃く、葉の形も異なります。
 開花時期は5月から7月。高さ70cm~130cm程度。
 日本には1880年代に観賞用として導入されました。繁殖力が強く、荒地でもよく花を咲かせることから河川敷や道路脇など、景観・緑化植物として好まれてきました。

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 花は可愛らしく、茎が揺れて優しい雰囲気を与えてくれる花ですが、その生命力はあまりにも強く、定着すると在来の植物を駆逐する勢いで拡がってしまいます。
 この事から在来種に悪影響を与える植物として平成18年(2006年)2月に外来生物法に基づき※「特定外来生物」に指定されました。
 栽培、譲渡、販売、輸出入などを原則禁止。日本生態学会では日本の侵略的外来種ワースト100に選定されています。

※特定外来生物とは:外来生物法により、外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命、身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの。又は、及ぼす恐れがあるものの中から指定される。特定外来生物は、生きているものに限らず、また個体だけでなく、卵、種子、器官なども含まれる。              ~環境省・外来生物法より~
 罰則:これらの項目に違反した場合、個人の場合最高懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金が科せられる。        (北九州市HPより)

 河原植生の侵入によるオオキンケイギクの被害がクローズアップされていますが、野原や丘と言われる自然環境で平野より高い場所でも侵入が可能と言われています。
 河川植生の遷移が進行すると、森林の中にも残り続ける事が考えられます。

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 平成4~5年頃に、法面にワイルドフラワーとして吹付けられた物が、今年も僅かですが開花しています。再度に渡り、駆除(吹付け部分の剥ぎ取り等)され、ポピー、フランスギク、ネモフィラ、ガザニア等は無くなってしまいましたが、オオキンケイギクだけ20年以上たってもちらほら花を咲かせています。         

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 また種子が飛んだのでしょう。周辺の歩道上には他の植物に紛れて開花していました。
 オオキンケイギクを繁殖させないためには、種子を落とさないよう切り取って処分するか種子がつく前に駆除する事。(花後、種子ができる様子、乾燥して弾くと風で飛んでいく:写真参照)
 また、生きたままの運搬が禁止されているので、駆除する際は、根から抜き取り、天日干しして枯らすか、袋に入れて腐らせるなどの処理を施してからの処分になります。

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 以前、花壇花として植付けをした事がありました。園芸店にごく普通に花苗として販売されていました。暫く楽しんだ記憶がありますが、あまりに株が大きく育つので、ある時期引き抜いてしまいました(種子を付けないよう管理していました)。
 その後、「見かけなくなったな~」と思っていたら特定外来種に指定されていました。最近は少なくなってきているものの、見かけない訳ではありません。

 オオキンケイギクの栽培が禁止されているのは、繁殖力の強さから在来種の生態系に被害を及ぼすためで、オオキンケイギクに毒性があり危険な植物という訳ではありません。
 どうぞ、知識として知っていてくださいね。

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 店舗駐車場の角の看板が設置してある一角に咲いていたオオキンケイギクです。
 誰かが植えて、株が大きくなったようです。
 種もたくさん付けていました。

 次の植物。

ヒメジョオン

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学名:Erigeron annuus
キク科の一、二年草。
和名:ヒメジョオン、ヒメジオン。姫女苑。
英名:Sweet scabious
原産地:北アメリカ。
 
 茎は直立で50cm~1.2mくらいの高さになります。春先に咲く同属のハルジオンと類似しています。

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 春先から4月いっぱいに見られる同じような花がハルジオン、5月から8月くらいまで見られる花がヒメジョオンです。
 見分けにくいのですが、ハルジオンは茎のつぼみが下を向いて垂れていて、茎の中が空洞です。ヒメジョオンはつぼみが上を向き、垂れることなく茎の中は空洞ではありません。
 咲く時期が異なるので一目瞭然ですが参考までに!

 日本へは1865年に観賞用として導入されたそうです。ヤナギバヒメギクの名前で親しまれ、その後、明治時代には「雑草」となっていたそうです。
 生息環境は、畑地、牧草地、路傍、荒地、草原、低地から高山地帯までと広範囲です。土壌の種類を選ばす、どのような土壌にも適応して育つ能力を持っているようです。
 1つの個体で4万以上の種子を作り出し、種子の寿命は30年以上との事。繁殖能力の高さが伺えます。今後、在来植物の生育を邪魔する可能性が高く、希少植物の多い国立公園内や高山帯にも拡がってきているようです。
 現在、日本の侵略的外来種ワースト100。外来生物法で要注意外来生物に指定されています。

 次の植物は。
ヨウシュヤマゴボウ

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学名:Phytolacca americana 
ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草。
漢字名:洋種山牛蒡。
別名:アメリカヤマゴボウ。
英名:inkberry、pokewood
原産地:北アメリカ原産。日本へは明治時代初期に入ってきている記録があります。

 帰化植物として、市街地でも雑草化しているのを見かける事もあります。
 写真のヨウシュヤマゴボウはまだ開花して実になり始めたばかりの姿です。もう少しすると紫色のブドウのような実が見られます。
 草丈は1~2mになり、初夏から白い花をつけ、その後黒っぽい紫色の果実を房状につけます。
 ヨウシュヤマゴボウは有毒植物です。
 植物全体に毒があり、果実も有毒です。毒性の強さは根、茎、葉、果実の順番です。果実の中の種子は特に毒性が高いと言われいてます。
 ブルーベリー(以前はブルーベリーと誤報報道された事があるらしい)やブドウと間違って誤食をするケースもあったそうです。
 誤食すると2時間くらいで強い嘔吐や下痢を起こし、摂食量が多いと神経を麻痺させ痙攣や意識障害に陥ることもあるようです。最悪は呼吸障害、心臓麻痺で死に至る事もあるそうです。
 あちらこちらでヨウシュヤマゴボウは確認できますが、これは鳥による種子散布が殆どです。種子には高い毒性がありますが、成鳥が果実を食べても種子を砕かない限り毒性の影響は少ないそうです。
 今でこそ「有毒植物」だという事を知っていますが、小さい頃、実を取って潰し、白いハンカチを紫色に染めて遊んでいたような記憶があります。
 無知は怖いものですね。多分、手は舐めたりしなかったのでしょう。染料としても強いので、手のひらや指先は紫色に染まっていたと思います。
 皆さんは触らないでくださいね。
 その昔、アメリカ合衆国では安いワインの着色料として使用していた事があったそうです。現在は使用されていません!

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 日本でも、名前から食用の「山ゴボウ」と間違われ食中毒を起こした事例を聞いています。
 本来の山ゴボウは、根を味噌漬け加工して販売されている山菜の一つです。
 山ゴボウは日本の山地に自生する植物です。名称が似ている事に起因した事故のようです。山ゴボウは花のつき方がヨウシュヤマゴボウとは異なり、上に向かって花を付けます。(写真:植物図鑑ヤマゴボウ参照)類似した名称は多くあります。
 口にする前にしっかり調べて下さいね。

次の植物。
ダキバアレチハナガサ

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学名:Varbena incompta
クマツヅラ科クマツヅラ属。多年草。
原産地:南アメリカ。

 草丈は1m~1.5m程度になり、直立します。先端に小さい穂状の円筒形の花を付けます。
 ダキバアレチハナガサは南アメリカからの帰化植物で荒地に生息します。よく似たアレチハナガサと混同されることがあります。なかなか見分けが付きません。

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 茎の下の方の葉が茎を抱き込むように生えているのがダキバアレチハナガサです(○で囲んでいる部分)。
 帰化植物は繁殖が活発だったり、緩慢だったりと、変動の多い植物のようです。
 アレチハナガサを見かけたのが20年くらい前の事でしょうか。最近は見かける事もなくなり、ダキバアレチハナガサに駆逐されてしまったようです。同属の植物においても、「食うか食われるか」なのでしょうか。
 見た目はスターチスに似ていて、探しやすいです。見つけたら観察してみてくださいね。でも、最近はダキバアレチハナガサも見かけなくなったように思います。

 その他の植物としてオオハナウドセイヨウタンポポなどが見られました。

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 今回、路傍で確認した植物です。ヒメジョオンのような群生している植物の中に顔を出していた植物です。
 身近な植物が、外来生物だったり、有毒植物であったり、観察していてビックリでした。
 花はかわいいので、つい摘んでしまって~ でも、これからは植物によっては育苗すると罰則が科せられるものもあるので要注意です。
 観察しながらちょっと調べてみるといいですね。
 
 今回は野草か?雑草か?
 実に難しいです。雑草の定義はなにか?辞書では、植物生態学の立場から見て、「人間活動で大きく攪乱された土地に自然に発生・生育する植物」と書かれていました。
 確かに自然発生です。区別はしにくいですが、今回の植物は大きく広がってはならないタイプですね。駆除はできませんが、広がらないようルールは守りたいものですね。
 今回、中央分離帯に入り込み植物の観察をしました。週末の交通量は多くない所だったのですが、通り抜ける車の風圧は相当なものでした。おまけにパトカーが横へ。注意を受けたのは・・・当然の事ですね。今後は気を付けます!

 夏本番、植物管理もいっそう大変になります。熱中症や熱射病には気を付けて、万全な体調で作業を続けていきましょう。

 (16/07/01掲載) 

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