花のコーナー 2016年11月
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花のコーナー
御園 和穂##
2016年11月 キンセンカと種蒔き
気持ちの良い季節がやってきました。
今年は本当に暑い夏で、初秋も湿度が高く暑い日が続きました。
10月に入りやっと涼しくなってきました。この時期になると、切り戻した草花は元気に花を咲かせ、「今が綺麗」で見ごろではないでしょうか。
11月はそろそろ来春に向けて「植え替え」の季節です。
見ごろの草花はなかなか抜き取れませんが、この後寒くなってくると草花は一気にいたみがでてきます。
寒くなると作業も億劫になってしまいます。少しでも作業しやすい時に「思いきって」。抜いた草花は、切り花でも楽しめますよ!
まずは「花摘み」を楽しんで、次の段階に進んでいきましょう。
今回は来春に開花、今からでも種まきが可能な草花を紹介します。
キンセンカ
学名:Calendula officinalis
キク科キンセンカ属の秋蒔きの一年草。
原産地:南ヨーロッパ。
別名:カレンデュラ、ポット・マリーゴールド。
和名:キンセンカ(金盞花)
草丈は30cm~60cm、開花時期は3月~6月。
南ヨーロッパではおよそ15種類が分布する草花です。
日本には17世紀の中頃に中国から渡来した記録があります。昭和初期に太平洋側沿岸地域で「切り花」用として栽培が始まり、現在では千葉県南房総で多く栽培されています。
古くから「お供え用」「仏壇用」の花として広く利用されてきました。
私は普通に花壇の草花として使用しています。一般の花壇で使用した際、お施主さんから「この花はちょっと・・・」と言われた時はビックリでした。
イメージなのでしょうね。可愛らしい草花なのですが~
キンセンカは、早春3月上旬から開花し、鮮やかな黄色やオレンジ色の八重咲きの花を付けます。
もう一つ、一重咲きの小花タイプのキンセンカがあります。
学名はカレンデュラ・アルウェンシス(C. arvensis)といい、花の大きさは2cm程で花色は黄色(写真参照)。
ヨーロッパでは道端に生えている雑草だそうです。とても強く、寒い冬の間も花を咲かせることから「冬知らず」の名前で苗が販売されています。
キンセンカは日の出とともに花を開き、夕方暗くなると花が閉じます。
草丈の高い切り花用と花壇用の矮性種とがあります。
名前の由来は、はっきりしてはいませんが学名のCalendula:カレンデュラとはラテン語でカレンダエ(カレンダーの語源です)に由来すると言われています。
「月初めに花が開花する」とか、「一か月咲き続ける」等と言われていますが、本当のところはわかりません。
和名の「キンセンカ」は、日本では一般的に「キンセンカ」と呼ばれ、漢字で書くと「金盞花」です。
花の色が黄金色で、花の形が「盞(さかずき)」の形をしている所から「金盞花」と呼ばれるようになったそうです。
花壇花として早春から初夏まで楽しめます。
冬から春までの花壇はパンジー・ビオラが主流で、球根類は3月に芽は出していても開花はもう少し後です。
早春の花壇を鮮やかな色合いで盛り立ててくれる草花です。
コンテナの場合は、「冬知らず」の小花タイプを寄せ植えすると寒い間も開花して楽しませてくれます。
また、キンセンカはハーブの一種でもあります。
キンセンカはハーブの位置付けの場合、ポットマリーゴールドと呼ばれ名前が代わります。
一年草の夏に開花するマリーゴールドとは異なりますので要注意を。
学名のCalendula officinalis=オフィシナリスは「薬の」、とか「薬効のある」の意味を持っていて、その効果は抗炎症作用や生肌作用に優れているそうです。吹き出物を抑え、腫れを引かせ、痛みをとる効果に優れていて、服用したり湿布として使用されていたそうです。
また、金髪女性の美しい髪色や髪質を保つためにトリートメントとして用いたり、染色用としてミョウバンを媒染剤として染めると木綿が、レモンイエローに染まるそうです(ハーブ辞典より)。
ハーブティーも楽しめます。開花したキンセンカの花を摘んで、花びらだけを取り乾燥させて使います。自分で育てて、楽しんでみるのもいいかもしれませんね!
仏花のイメージが払拭できたとは思いませんが、今まで「ちょっと」と思っていたなら是非チャレンジしてみませんか?
いつもの花壇がほんの少し変わってくると思います。
キンセンカは「種まき」ができます。
花苗としても、今時期から早春にかけて出回りますが、種まきからでも簡単に花苗が作りやすいタイプです。
キンセンカはこの季節に種まきをして苗を作り、春先から楽しめますので、今からでも大丈夫。是非、試してみてはいかがでしょうか!
キンセンカの種は大きさが3~5mm程度。一見「虫」のような形で驚くかも知れませんが、ユニークな形をしています。
実は、私は種まきが苦手なので、つい「花苗」を使って花壇を作ってしまいます。
たまに種まきをする時、「この種から、花を咲かせるんだよね~」と種の形や大きさに感心し、発芽すると感動してしまいます。苦手なのは、この後の花苗になるまでの管理を怠ってしまうので・・・。
←キンセンカの種
「種」は繁殖に利用される「生きた植物」です。小さい粒の中に親と同じ情報が詰め込まれている特殊なものなのです。
花壇やコンテナでは「花を楽しむ」ために随時花柄摘みをし、種までは見ることが少ないと思います。
たまには「どんな種ができるのか」、種を育ててみるのもいいかもしれませんね。
←キンセンカ花後の種になる様子
キンセンカの種は開花後、そのまま放置しておくと花びらが取れて、芯の部分が種になります。
中央に向かって丸く塊になり、緑色の塊部分が茶色くなるまで放置しその後採取します。
茶色くなった塊を採取し、乾燥させると塊が崩れ、「虫」のような種が確認できます。
≪種まきの方法≫
今回はシードケースに筋蒔きしました。
➀シードケースを用意。
➁種蒔き用用土を入れ、表面を平に均します。
➂種をまく前に用土にたっぷりと水をかけておきます。
➃用土の上に軽く筋をつけます。
➄筋の上に「種」を一粒ずつ置いていきます。
その後軽く覆土をして出来上がりです。
~「種まき」の注意~
「種」には様々な形・大きさがあります。大きさによって蒔き方が異なります。
キンセンカのような少し大きめの種は播種後覆土をする嫌光性(ケンコウセイ)タイプ。播種後に覆土をしない光を好む好光性タイプもあります。マメ科植物のような移植を嫌うタイプなどです。
また、発芽適温などの条件が揃わないと発芽はしません。
購入した時は、必ず種袋の裏面を読んでください。すべての情報が記載されています。
キンセンカ播種後7日目で芽がでてきました。
本来の発芽適温は20℃前後ですが、9月上旬の30℃前後で播種しました。少し気温が高かったのですが、涼しい場所で、蒸れないように嵩上げをして発芽させました。
その後、12日目には高さ3cmまで生長。
気温が高いので、茎が少し徒長していますが、順調に育っています。
そろそろポット上げをします。
発芽苗の周囲の土を崩し、根を切らないように一つずつ取り出します。
黒ポットに用土を入れておき、中央に穴を開け、穴の中に発芽苗を入れて丁寧に土をかぶせます。
すべての苗をポット上げして、これから花苗に育てていきます。
11月の中旬には小ぶりではありますが花苗が出来上がります。プランターや花壇に植付け、年内にしっかり根を張らせて冬を越させます。
年明け、しばらくは生長を控えこのままですが3月に入る頃には大きく葉を広げ、中央部分から蕾が見え始める事でしょう。
久しぶりに種まきをしました。苦手ですがやっぱり「楽しい」ですね。
調子にのって「プリムラ・マラコイデスの種」も蒔いてみました。
キンセンカ同様に発芽はしましたが、それからなかなか大きくなりません。
こちらはポット上げが遅くなりそうですが、頑張って育ててみたいと思います。
種から育てるのは、芽がでてからの過程が楽しいですね。
しかし、一つの種袋から沢山の花苗が出来ます。同じ種類がたくさんあっても・・・。これが種まきの難点かもしれませんね。
種まきをする際にはお友達同士で打合せをし、いろいろな種を蒔いて、苗になったらお互いに交換をすると楽しいですね!
同じ花苗でも、植える環境や植え方、見せ方で雰囲気が変わります。デザインも楽しんでくださいね。
11月に入ると寒くなってきますが、過ごしやすい季節でもあります。下旬からは紅葉も楽しめます。
年末の忙しい時期に入る前に、少し早めですが外の仕事を片づけておくと後が楽ですよ!
(16/11/01掲載)