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花のコーナー 2017年02月

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花のコーナー

御園 和穂##

2017年2月 ボケの花

 一年で一番寒い季節がきました。
 先日、やっとバラの剪定を終わらせました。出来るだけ暖かい日を選んで、寒肥も同時進行で行いました。
 バラは、あと一か月もすると短く剪定した枝から脇芽を勢いよく伸ばし始め、あっという間に緑の葉に覆われます。今が寒さと暖かさの端境期。
 全ての植物が寒さを乗り越えて春を迎えます。
 もうすぐ立春です。暖かさが待ち遠しいですね。

 今回はボケと季節の暦を紹介します。


ボケ(木瓜)

画像の説明

学名:Chaenomeles speciosa
バラ科ボケ属の落葉低木。
原産地:中国
開花時期:春咲き3月~4月、秋咲き11月~1月。
樹高:2~3m程度。

 中国原産の落葉低木で、早春の花木として親しまれています。一部、秋に開花するボケもあります。春開花するボケと区別するため「寒ボケ」と呼ばれる事もあります。
 日本には平安時代に中国から到来しました。
 ボケの由来は漢字表記すると「木瓜」と書きます。「もっか」「もっけ」「もけ」と読みます。日本最古の植物学書「本草和名」(ホンソウワミョウ)にもボケ、漢名:木瓜、和名で毛介(モケ)と記載されており、和名のモケが訛ってボケになったと言われています。
 「木瓜」はもともと漢名で、「ウリのような実がつく」という事から付けられた名前のようです。
 中国では「木瓜」もしくは「番木瓜」と表記すると花木ではなくパパイヤをさすそうですよ。
 当時の植物学書にはボケの実の大きさや味についての記述があったようです。観賞用の花木でなく、薬用植物として使われていたのでしょう。
 日本でボケが栽培されるようになったのは、平安時代から約700年後の江戸時代に入ってからです。
 日本には日本原産のクサボケ(この後紹介します)が自生しています。
 江戸時代初期にクサボケとボケとの交配が行われ園芸植物として新品種が誕生します。その後、江戸中期には園芸植物のボケは海を渡り西欧にもたらされました。
 西欧では、ボケの花姿は「妖精の火」と呼ばれ植え込みや生垣として人気が高かったようです。棘が有る品種と無い品種があります。ボケの棘は短い枝が変化したものです。

画像の説明

 花の色は緋色・白色・桃色などで、一つの花の中に2色が混ざることもあります。
 花弁は丸く、枝全体にびっしり咲く姿は「艶やかな花」の一言につきます。
 庭木として、主役の花木ではありませんが、岩陰や塀越しを意図して植えておくと春一番、花を咲かせると目を引きますよ。


画像の説明

 花後、実が生ります。
 実は硬く、夏ごろに熟して黄色くなります。果実は柄(ヘイ)が極端に短く、枝に直接くっついているように見えます。付く場所によっては枝に食い込んでいるような果実も見かけます。面白いですね。果実はとても硬く、かじると歯が折れそうになります。味は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などを多く含むので「酸っぱくて、渋く」、生食には適しません。

 しかしとても香が良く、直接衣類の中に入れておくと優しい香りが移ります。
 もともと薬用として入ってきた植物です。調べると、薬用酒として飲まれてきたようです。
 黄色くなる前の果実(緑色の未熟のもの800g)を収穫し、軽く汚れを落とし、そのままもしくは半分に割り、35度の焼酎1.8㍑に漬け込みます。三か月冷暗所に置き、その後実を取り出したものが「木瓜酒」と言われます。
 就寝前、盃一杯ほどを水か湯で割って飲めば、滋養や疲労回復などの効果があるようです。
 ボケは、育てやすい部類の花木です。(庭植えの場合)

注意をする点

◆水切れに大変弱いです。植え付け直後から2か月くらいはしっかり水を与えます。根が張ってしまえば問題ありません。
◆肥料は冬の寒肥(1月の下旬くらい)、花後の6月頃、そして9月に化成肥料を株廻りに散布する程度です。
◆剪定:短い枝がたくさん伸びて混み合います。日当たりや風通しが悪くなるので、11月~12月にかけて枝を切ります。
  ≪この際に気を付けて!≫
  ・花芽(丸みのある芽)は切り落とさない。
  ・葉芽(先の尖った芽)もすべて切り落とさない。
  芽はよく観察するとわかります。
  まずは、混み合った枝や弱弱しい枝を切り落とし、それ以外の枝についている葉芽を3芽ほど
 残して先端を切ります。

 注意はこれだけです。
 鉢植えや盆栽も基本は一緒です。観賞するために室内に取り込む場合は、窓越しの日のあたる場所に置きましょう。


クサボケ(草木瓜)

画像の説明

学名:Chaenomeles japonica
バラ科ボケ属 山野に自生する落葉小低木。
日本固有種。
樹高は30cm~1m程度。

 関東以西に分布し、多摩丘陵地帯では日当たりのよい林の中や斜面で時々見かける事があるそうです。
 姿形はボケの小型タイプです。幹は斜めに伸び、伸びた枝に小枝が付きます。土の上にひれ伏したように伸び、小枝の先端は棘になっています。花は茎に葉腋に直径3cm程の緋色の丸い花を付けます。果実は直径3~4cm程度で、ナシによく似ています。ボケ同様かじると硬い、酸っぱい、渋いなんとも言えない味です。
 クサボケは自生種から品種改良が進み、多くの園芸種があります。特に盆栽用として利用されています。
 
初午(ハツウマ)

画像の説明

 ボケが咲き始める時期は、早いタイプで2月の上旬くらいです。(北九州周辺で)
 暦の上では「初午」(ハツウマ)は、2月の最初の「午の日」の事で、稲荷社の祭りの日にあたります。
 京都伏見の稲荷神社の祭礼は有名です。
 祭神が、馬(午)に乗って伊奈利(イナリ)山に降臨したという言い伝えにちなんだ行事です。

 もともと「稲荷」は「稲生(イネナリ)」から転じた農耕の神様です。この時期から春の農作業が始まるため、五穀豊穣の神を祭る「田の神」に由来するもので、今年の豊作を願って稲荷神に祈願しました。
 現在では、稲荷神は商売繁盛の神として祈願されています。
 実はこのような話があります。江戸時代に田沼意次(タヌマオキツグ)が偉大な政治家になったのは、彼の自宅庭に稲荷を祭っていたからと言われ、稲荷は開運の神とされ、当時多くの稲荷神社が建立されたそうです。
 初午行事は、稲荷の祠に「正一位稲荷大明神」の赤い旗と燈明をあげ、太鼓を叩き、赤飯や団子、お神酒、油あげを供えて初午の祭りを行います。
 また、この日は子供たちが「寺子屋」へ入門する日でもあり、初午は庶民のお祝いの日だったのです。
 疑問が一つ。通常神社などの入り口(鳥居前)の両サイドに「コマイヌ」が座しています。これは祭られている神を守る守護神として置かれています。 
 では稲荷神は「キツネ」なのでしょうか。意味合いはコマイヌと同じなのでしょうがご存じでしたか?

画像の説明

 仏典に出てくる「荼枳尼天(ダキニテン)」という夜叉をのせて飛ぶキツネを神の使いとする俗信から生まれたと言われています。キツネは霊的な動物として考えられ、田畑に現れる姿を「神の使い」と見られていたそうです。
 鳥居の朱赤は、豊穣を表す色であったり、祭られている神の力を高めるため、魔力に対抗する色だとも言われています。もちろん、すべての稲荷の鳥居が朱赤ではありませんが!
 朱赤の原料の「赤」は水銀=丹が使われており、漆に丹を溶いたものを塗っているそうです。木材の防腐剤の役割も果たしているそうです。
 現在、一部では昔からの手法が受け継がれていますが、職人さんが少なく、ペンキを使っていることが多いようです。これは仕方のない事なのでしょうね。


ウド(独活)

画像の説明

学名:Aralia cordata 
ウコギ科タラノキ属 多年草。
自生地:日本では北海道、本州、四国、九州の山林や林下、山野に自生。朝鮮半島、中国、千島、サハリンに分布。

 自生もあるが、食用として畑で栽培もされています。
 先日、市場を覗いていたら「ウド」を見つけました。これは「早春の山菜」ですね。
 本来は山野草で大型タイプ。草丈1m~1.5mに成長する多年草の植物です。
 香りが強く、山菜、野菜として好まれています。
 植物としては、観賞用ではなく食用になります。若葉や蕾、芽、茎を食用とします。蕾や芽の部分は、新芽が出始めるほんのわずかな時期しか手に入りませんが、葉や茎は成長する過程で採取します。

画像の説明

 私が八百屋さんで見かけたのは「白いウド」です。
 ウドは緑色をしている「山ウド」と日の当たらない地下で栽培する「白ウド」の二種類があります。
 天然の山ウドは3月から5月くらいに店先に並びますが、北九州あたりで流通としているものは、栽培の「白ウド」が一般的のようです。ウドは灰汁が強いので、灰汁抜きをしてから食しますが、苦みが強いので好き嫌いがはっきりしている山菜と言えます。
 白ウドは酢水で灰汁抜きをして、煮びたしやサラダ、短冊に切って酢味噌和えやきんぴらにしても美味しいですよ。
 ウドの根は薬用にもなります。秋に天然ウドの根を堀り取って輪切りにして天日干ししたものを煎じて飲むと、むくみや頭痛の緩和に役立ち体を温める効果もあるそうです。
 アイヌ民族はウドの事を「かさぶたの草」と言い、根をすり潰して打撲の湿布薬として使用していたそうです。
 余談ですが諺の「ウドの大木」は、この「ウド」からきています。自生するウドは1mからの草本植物です。
 「背が伸びて茎が太ってくる頃には食用にはならず、茎は太いが材木にもならない」これが転じて「体は大きいが中身が伴ず役に立たない」の例えになったようです。しかし、草本なので材木は比喩しすぎですよね。
 幼少の頃は「ウド」は嫌いでした。その後、我が家の食卓に「ウド」が登場する事があったのかどうか・・・少し高級な和食料理店で頂く程度だったように思います。
「早春の味覚」を味わってみたいと思います。

 1月は寒かったですが、穏やかでしたね。これから一段と寒さも厳しくなりますが、暖かい春はもう目の前。
 風邪やインフルエンザ、ノロウィルスが大流行のようです。「うがいに手洗い、栄養補給、暖かくして睡眠をタップリとる事」これが一番です。
 暖かい日には散歩してみませんか。
 いつもは通らない路地を入った塀越しや庭先に「ボケ」が咲き始めているかもしれませんよ。

 (17/02/01掲載) 

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