都市に緑、人にやすらぎを

花のコーナー 2017年03月

a:2842 t:1 y:0

花のコーナー

御園 和穂##

2017年3月 モモ・ハナモモ

 暖かい季節がやってきました。
 三月は、桃の節句から始まって、啓蟄(けいちつ)※、春のお彼岸、春分の日、卒業式、と季節行事がたくさんあります。
 「桜の花見」は行事の一つではありませんが、三月下旬から見頃になりそうです。草花の苗も一年で一番多く店頭に出回る時期です。「百花繚乱※」の言葉がピッタリな季節ですね。
 日に日に暖かくなってくるとガーデナーにとっては忙しくなってきます。
 冬を越した草花が一気に咲き始めます。水やり、花柄摘み等細やかな作業の開始です。

 ※啓蟄:冬を越した虫たちが土の中から這い出てくる頃の事
 ※百花繚乱:様々な花が咲き乱れている様の事

 今回は「桃の節句」に合わせて「モモ・ハナモモ」を紹介します。


モモ・ハナモモ

画像の説明

学名:Amygdaius persica L.
   (Prunus persica(L.)Batsch)
バラ科モモ属の落葉小高木。その果実。
原産地:中国西北部、黄河上流の高山地帯。 
英名:Peach 和名:モモ

 早春に花を咲かせ、夏に果実を付け、食用や観賞用として世界各国で栽培されています。
 中国では紀元前から栽培されており、「邪気を払う霊木」として崇められてきました。中国最古の詩集と言われる「詩経(シキョウ)」にもモモが登場し、嫁ぐ娘のために安産を願う詩が詠まれています。日本でも雛祭りの際にモモの花を飾る習慣は中国からの伝統が伝わったと言われています。
 皆さんが良く知っている「西遊記」の孫悟空は、9000年に一度実るというモモの実を食べて不死身の肉体を得たと記されています。
 桃源郷も然りです。モモは霊木で神秘の象徴なのでしょう。
 日本では縄文時代後期の長崎県にある遺跡から桃核が出土しており、最古のものとされています。
 弥生時代には栽培種が到来、各時代を通して出土事例があります。
 平安時代から鎌倉時代には珍重されていたようですが、実を食用とするのではなく、薬用や花の観賞用としていたようです。

画像の説明

 本格的な栽培は江戸時代に入ってからです。全国的に広がり、明治時代に入ると甘味の強い「水蜜桃系」と言われる品種が輸入されました。
 現在、私たちが食用としている甘いモモは、この「水蜜桃系」を品種改良したものが殆どです。
 ヨーロッパへの伝来は、紀元前4世紀頃にシルクロードを通り、ペルシア経由(現在のイラン)で伝わったとされています。

 英語表記のPeach(ピーチ)はラテン語のペルシアが語源で、persicum malum(ペルシカム マールム)=「ペルシアの林檎」からきているそうです。
 モモの実から紹介していますが、果実を食用とする果樹の品種と花を観賞する花木(ハナモモ)としての品種は異なります。しかし、どちらも用途によって分けられていますが、植物学上の違いは殆どありません。

画像の説明

 江戸時代、現在の様々な園芸品種の基が作られました。
 もちろん、モモも例外ではありません。
 食用のモモとは別に観賞用のハナモモも多くの品種がつくられました。
 代表的なもので、八重咲桃色の「矢口※」など多くの品種があります。
※「矢口」:ヤグチ 桃色も八重咲種で細めの枝が真っ直ぐに伸び、切り花向きの品種。ハナモモの中でも一番好まれる品種です。

 江戸時代、8代将軍吉宗がハナモモを好み、多くのハナモモを植えたとされています。
 このころから、絵皿や絵画などにも桃の花や実が描かれるようになり、庶民も桃の節句に花を飾り、雛祭りを楽しむようになったそうです。

画像の説明

 現在見られるハナモモの品種や系統は、江戸時代からあまり変化していないと言われています。
 ハナモモは八重咲がほとんどです。切り花向きの「矢口」を始め、一本の木から白とピンクの花が咲く「源平」、濃いピンクで八重咲、花弁が尖っている「菊桃」、純白の白い八重花を付ける「関白」、枝垂れ桃などもあり、庭木あるいは華道の世界でも楽しまれています。


画像の説明

 モモの語源は諸説ありますが、「真実(まみ)」が転じたとする説や、実がたくさんつくことから「百(もも)」、実の色から「燃実(もえみ)」が転じたなど様々です。ハナモモは語源の「モモ」の観賞用なので桃の花=ハナモモです。

 栽培は難易度から言えば真ん中くらいです。
 植付けつける場合は、日当たり、排水の良い場所を好みます。2月から3月が適期になります。(鉢植えでも大丈夫ですよ!)
 ジメジメした場所や日陰では育たないので植える場所は選びましょう。
 日常の手入れは、12~2月、もしくは花が終わったら枝の切り戻しをします。花芽はその年の春に伸びた充実した枝に7月頃に作られます。短い枝に沢山の花を付けます。細くて弱い枝や徒長してしまった枝は切り戻しておきます。
 若い木の時は多少短めに切りすぎても脇芽をだしますが、大きくて年を重ねた木はあまり短く切り戻すと萌芽力が弱いので枝が伸びません。注意しましょう。
 また、太い枝を切る場合は、切り口から雑菌が入りやすいので「癒合剤(ユゴウザイ)※」を塗っておきましょう。
※癒合剤:樹種によるが、切り口から雑菌が入り込み枯れこむ恐れがあります。それを防ぐ為、切り口に殺菌剤入りの塗布剤を塗り、雑菌が入り込まないよう切り口をコーティングします。

 水やりは乾燥気味を好むタイプなので、特別乾燥する場合を除いて特に必要はありません。鉢植えの場合は表面が乾いたらタップリ与えてください。
 肥料は冬の2月頃寒肥として1回。花の咲き終わった頃に1回。8月くらいに1回、年3回くらいが効果的です。
 モモはとても病害虫が発生しやすい樹種です。定期的に殺菌剤、発生と同時に殺虫剤の散布が必要です。
 実のなるモモは、少し手間がかかる難しいタイプの部類に入りますが、ハナモモは割と容易に楽しめるタイプです。雛祭りの頃は切り花を楽しんで、庭木の場合は桜が咲く前くらいから開花します。
 ちなみにハナモモにも実が付きますが、硬くて食用には適していません。
 毎年、一緒に仕事をしている方からモモを頂きます。それはそれは甘い立派なモモです。実になるまで・・・大変な作業と苦労がある事を忘れてはいけませんね。
 モモの事を考えていたら・・・「すもももももももものうち」が頭の中をグルグルと~ これは、早口言葉なのですね。「李も桃も桃のうち」実は・・・
 最後にスモモ(李)も紹介しておきましょう。


スモモ

画像の説明

学名:Prunus salicana
バラ科サクラ属の落葉小高木。果樹木。
原産地は中国から日本。

 日本にはニホンスモモがあり、古くから果樹として栽培されており、「古事記」や「万葉集」にも名があがっているそうです。本格的な栽培は明治に入ってからで、ニホンスモモがアメリカに渡り、アメリカで交配されたものが日本へ入ってきました。

 ニホンスモモはスモモと呼ばれ、ヨーロッパスモモをプルーンと呼んでいます。食用はスモモ、ドライフルーツやジャム、コンポートなどの加工品はプルーンを使用します。
 花は白色で桜によく似ています。枝先に房になり花を付けます。
 スモモの果実はモモより小ぶりで酸っぱく、和名のスモモは「酢桃」からきているそうです。
 モモは果皮の表面に細かい毛がありますが、スモモには毛がなくツルンとしています。
 花の付き方も異なりますが、実の付き方も少し異なります。
 「李も桃も桃のうち」。実はモモではないのです。サクランボのように細い茎の先に果実が付くんですよ!
 初夏に出てきます。今年は是非食べてみてください。
 
 1月下旬から梅が咲き始め、時折気温が上昇して急に「春がきたか」と思うような日もありました。2月には「春一番」が吹き、暖かくなってきたかしらと油断すると急に冷え込んで・・・「三寒四温」の言葉通りです。
 我が家は、小さなお雛様とお内裏様の横に大きな花瓶に桃の花を活けています。
 忘れていました。切り花で購入した「蕾のついた桃の花」、結構開花しないまま蕾が黒くなって落ちる事があります。
 切り花の場合、蕾が開花するのには程よい湿度が必要です。
まだ暖房が入りますので、室内が乾燥気味になります。時折、蕾に霧吹きで水を与えてみてください。きっと素敵な花を咲かせることでしょう。
 ガーデナーの皆さん、そろそろ活動準備開始です。
 お互いに頑張っていきましょうね!

 (17/03/01掲載) 

powered by QHM 6.0.9 haik
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional