都市に緑、人にやすらぎを

花のコーナー 2017年05月

a:4244 t:2 y:1

花のコーナー

御園 和穂##

2017年5月 カンパニュラとデルフィニュウム

 今年の3月は暖かくなりそうで・・・寒い日が続きました。そのせいでしょうか、ソメイヨシノ桜が蕾のまま4月を迎えました。例年、入学式の頃は葉桜状態ですが、今年は見頃でしたね。
 そして気持ちの良い季節がやってきました。
 そろそろ植え替えの時期です。早い所では4月中・下旬から始まり、大型連休が明けて5月一杯がピークでしょう。
 無理のない計画で植付けを進めてください。

 今回は、私が5月になると気になる花を紹介します。


カンパニュラ

画像の説明

学名:Campanula medium
キキョウ科 カンパニュラ属の二年草(一年草扱いもある)
別名:フウリンソウ(風鈴草)、ツリガネソウ 
原産地:ヨーロッパ南部 
開花期:5月~7月

 カンパニュラ属は世界で約250種あると言われています。その中でも園芸品種で親しまれているのが、カンパニュラ・メデュウムです(写真:植物図鑑参照)。
 カンパニュラの仲間で、栽培されている多くの種類は毎年花を咲かせる多年草です。
 その中でもメデュウムは、背丈は50cm~1.0m程で、花は長さ5cm前後の筒型。花弁の先端は5枚に分かれ外側へ反り返ります。花は斜め上か横に向かって開花します。

画像の説明

 日本へは明治のはじめくらいに入ってきました。
 春に播種し翌年に花を咲かせる2年草ですが、ある程度大きくなった苗が寒さに当たると花芽が作られる性質なので、種蒔きを秋頃に行った場合、生育状況によっては翌年に開花することもあります。
 日本では「フウリンソウ(風鈴草)、ツリガネソウ」が一般的に親しまれており、名称は花姿から付けられたようです。
 学名のカンパニュラ(Campanula)は、ラテン語の「釣鐘」=カンパーナに由来します。
 私は学生の時に初めて見ました。私の母校の創立記念日は3月ですが、この月は花が少ないため、5月の最終土曜日を「プレーデー」と称して創立記念日が開催されていました。学校中が花盛りで、卒業生や在校生のご父兄、様々な方がお見えになりました。花盛りの中で、ひと際目を引いていたのが校内中庭にあるボーダー花壇でした。その花壇中段のメインに植えられていた花がカンパニュラでした。
 初めて見るカンパニュラは太い茎から放射状に花茎を伸ばし、斜め上に向かって大きな花を咲かせていました。その姿は「凛として艶やかな」力強いイメージで今でも忘れられません。
 自身でもボーダー花壇を作る時には、中央の目立つ場所に配置します。高温多湿が苦手な花で、5月末から6月一杯楽しんで終わりになります。夏越しも挑戦しましたが、株が腐ってしまい手間が掛かりすぎるので諦めました。
 今でも苗を購入して楽しみます。またお花屋さんで切り花を見かけたら花瓶に活けて楽しんでいます。
 5月になると、私にとってはとても気になる花なのです。

 他のカンパニュラの仲間も紹介しましょう。


カンパニュラ・アルペンブルー

画像の説明

学名:Campaunla poscharskyana
キキョウ科 ホタルブクロ属
原産地:バルカン諸国、セルビア 
英名:Campanula alpenblue 
別名:カンパニュラ、ホシギキョウ
開花期:3月~9月 
花色:青紫
草丈:20~30cm匍匐タイプ(グラウンドカバーでの使用もOK)。


画像の説明

 これからの時期、園芸店で吊り下げ用の鉢物や開花鉢で見かけると思います。
 星形の小花がたくさん咲き、淡いブルー色が清々しい雰囲気を演出します。
 高温多湿が苦手です。先に述べたよう吊り鉢で多く見かけるのは風通しをよくして生育させるためでしょう。地植えにする場合は直射日光の当たらない風通しの良い場所(明るい半日蔭)が良いでしょう。花壇であれば最前列に配置します。

画像の説明

 花は長く咲き続けるので、花柄摘みを小まめに行いましょう。北九州あたりだと、真夏は花数が減るかもしれませんが、春から晩夏まで咲き続けます。
 梅雨時期から真夏は苦手ですが、寒さには強く真冬でも緑の葉を蓄えた状態です。霜の害や寒風で葉の縁が茶色っぽくなってもへっちゃら!です。

     ↑冬の状態       
 
 春になったら、生い茂った葉の下に守られるような形で新しい葉が沢山出てきているはずです。傷んでいる葉は前年の古い葉です。茎をつまんで引っ張ると抜き取れます。古い葉を取り除き新しい葉に更新してあげましょう。
 暫くすると開花します。
 種蒔きは3月から4月が適期です。また、こぼれ種でも増えるタイプです。花壇やプランターの周囲を確認してみてください。小さい苗ができているかも知れませんよ。

ホタルブクロウ

画像の説明

学名:Campanula punctata
キキョウ科 ホタルブクロウ属
原産地:日本を含む東アジア
別名:チョウチンバナ(写真:植物図鑑参照)
開花期:3月から7月 
花色:白色、淡紅色
草丈:30cm~80cm程度。山野草

 本州、四国、九州の山野、野原などに広く分布しています。冬場は地上部が枯れ、株だけで冬越しをする宿根草です。
 名前の由来は、『子どもがホタルを花の中に包み込んで遊んだ』、とか、また『提灯の古名で「火垂る袋」が転じて付いた』とされています。
 山野草ですが、多くの変種があり園芸品種としても知られています。
 ホタルブクロの特徴は、開花期は初夏、草丈80cm程度で葉は卵型。花は先端が開いた「釣鐘」状で、ガクはナスのヘタのように大きく切れ込み(これを付属体という)外へ反り返ります(写真のガクは反る前)。
 ちなみに同種の変種でヤマホタルブクロがあります。見た目はホタルブクロにそっくりですが、ガクの部分が反り返らないので見分けることが出来ます。
 日本各地の山野や野原に群生している姿を見せます。
 身近な山野草であり、古くから各地域で親しまれている植物です。くれぐれも野山に生育しているホタルブクロは採取しないでくださいね。
 
 その他にもカンパニュラの仲間は世界の温帯北部に250種以上生息していると言われ、日本でも30種程確認されています。
 これからは良い季節です。野山を散策して見つけてみては如何でしょうか。



 次の気になる花は。

デルフィニュウム

s_hana2017-04image7

学名:Delphinium
キンポウゲ科 オオヒエンソウ属(デルフィニウム属)
原産地:ヨーロッパのピレネー山脈からアルプス山脈、シベリアから中国西南部の山岳地帯。
別名:オオヒエンソウ
開花期:5月~6月 宿根草(日本では一年草扱い)
花色:白・ピンク・青・紫等
草丈:30cm~200cm程度(写真:植物図鑑参照)

 デルフィニュウムは長い花穂が特徴のタイプ(エラツム系)、草丈が1m程で小花を咲かせる繊細なタイプ(グランディフロラム系)等の園芸品種があります。
 野生種は山岳地帯の雪解け水が流れ込むような高原の草原湿地に自生しているそうです。
 本来は宿根草ですが、日本では高温多湿の夏時期を越せずに枯れてしまうため園芸植物としては一年草で取り扱われています。
 他の植物には少ない「青系」の花色を持っていて、花壇や鉢植え、切り花として親しまれています。
 名前の由来は、蕾の形が「イルカ」に見え、ギリシャ語の「ドルフィン=(イルカ)」からきているようです。
 17世紀ごろから改良が始まり、19世紀以降はイギリスを中心に、その後はアメリカでも盛んに改良が行われたそうです。
 私が出会った時は、カンパニュラと同じくボーダー花壇の後方に植付けてありました。
 草丈1.5m~2.0mはあったと思います。花穂だけで80cmくらいだったか、穂が折れてしまうのではないかと思うくらいに、たわわに花を付け、当時では珍しい「青系」の花に魅了されました。
 本来、日本では秋蒔きの一年草扱いで、開花時期は5月以降になります。
 カンパニュラ同様5月末に開花させるため、プレーデーに合わせて無加温の温室を使い、開花調整を行っていたそうです。
 プレーデーの時の目玉の花の一つでした。
 日本の中でも夏場涼しい場所であれば宿根草としても楽しめます。秋に播種、春先に移植し花茎が伸びてきたら倒れないよう支柱を立てます。
 蕾が見え始めたら、花茎の下部分の葉を取り除き、花茎全体に日が当たるようにします。最初の花(1番花)が咲き終わったら、株元から切り戻します。その後、新しい脇芽が数本伸びます。その中から勢いの強い枝を残して他は切り取ります。2か月程すると次の花(2番花)が咲き始めます。
2番花が咲き終わったら、同様の作業を行うと3番花、4番花を楽しむ事ができます。
 残念ですが、私たちの住んでいるこの地域では最初の1番花が終わったら枯れてしまうでしょう。(花壇の場合)
鉢植えの場合は環境が整えば秋まで楽しめるかもしれませんね。もしも、上手に夏越しが出来れば冬場の寒さは問題ありません。翌春、開花を待ちましょう。
 日当たりの良い場所を好みます。水は土の表面が乾いたらタップリと与えます。この際、葉や茎にはかからないよう気を付けます。花は傷みやすく、葉・茎に水がかかると株が蒸れてしまいます。
 肥料は、植付け前の元肥に緩効性を使い、その後は3月、5月に化成肥料を少量与えます。
 もしも夏越しが出来た場合は、植付けから3~4年すると大株になります。2月頃に堀りあげ、株分けを兼ねて土作りをして植え替えます。
 株は土をふるい2~3芽ずつに分けます。花壇に植えるなら株と株の間隔を30cm程度開けて、鉢に植える時は直径25cm程度のものに1株を植付けます。
 種まきも出来ます。秋口の気温が20℃を下回ってきた頃が適期になります。通常通りの方法で播種し、発芽後、本葉が2~3枚になったらビニールポットへ移動させます。本葉が5~6枚以上に育ったら、花壇や鉢へ植え替えです。
 種まきをしなくても、春先に花苗が店先に並びます。
 花壇が難しい場合でも鉢で育ててみては如何でしょうか。魅了されるかもしれませんよ。

【要注意】
 花を食べる事はないと思いますが、アルカロイドというアルカリに似た毒性をもっています。野生のものに限らず、園芸品種や切り花にも毒性があります。お子様や小動物が口にしないように要注意です。

 毎年「5月になると気になる花」、カンパニュラとデルフィニュウムを紹介しました。
以前「ガーデニングショウ」が開催された際、ボーダー花壇を作成した事を思い出しました。どんな植物を使ったのか写真を探しました。

画像の説明 画像の説明

 当時はデジカメが無かったのでしょうか?持っていなかったのか?ネガからの写真です。
 春一番のガーデニングショウでした。やはり、メインはカンパニュラで後方にはデルフィニュウムを使っています。後は、スカシユリ、キンギョソウ、カスミソウ、ナデシコ、アルストロメリア、イソトマ、パンジー、ビオラ等を使っています。
 実際には一斉に開花することはありませんがガーデニングショウなので開花株を用意しました。当時、ワクワクしながら作ったのを覚えています。
 今年は、カンパニュラもデルフィニュウムも見かけませんでしたが、皆さんの花壇にも短い期間しか楽しめませんが、チャレンジして植えてみては如何でしょうか。

 最後にいつもの一言です。

 今は過ごしやすい季節ですが、この後は、梅雨が来て一気に暑くなります。外での作業は体調管理に十分考慮して行われてくださいね。

 (17/05/01掲載) 

powered by QHM 6.0.9 haik
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional