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花のコーナー 2017年08月

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花のコーナー

御園 和穂##

2017年8月 スイカズラの仲間

 6月下旬に梅雨入りし、暫くは雨も少なく「空梅雨」かしら?と思っていましたが、7月に入ると早くも台風の発生、その後梅雨前線が九州北部に停滞し、前線に向かって暖かい湿った南西風が流れ込み大雨を降らせ、記録的豪雨と甚大な被害がでてしまいました。
 この10年ほどの間で、九州地方でも冬は極端に冷え込んだり、東北地方では大雪に見舞われ、夏は大雨や高温の日が1か月以上続いたり、と以前とは違う変化を感じています。私たちの生活環境や植物の環境も少しずつですが変わっていくのでしょうか。
 今が暑さ本番です。
 植物の管理も高温にはかないません。この時期は一日中高い気温ですが、日が昇る前、もしくは沈んだ後は暑さも一息つきます。うまく温度と付き合いながら無理のない管理をしていきましょう。

 今回は「夏でも元気なツル植物・スイカズラ科の仲間」を紹介します。



スイカズラ

画像の説明

学名:Lonicera japonica Hhunb.
スイカズラ科スイカズラ属の半常緑のツル性木本
別名:ニンドウ 
漢名:忍冬
英名:gold-and-silver flower、japanese honeysuckle
原産地:日本全域の山野~東アジア一帯


画像の説明

 花は5月~7月に開花し、花は菅状で先端が5つに裂けた花が2つ並んで咲きます。花色は白い色から黄色いに変化し、花盛りの時期は白と黄色が入り乱れて咲くので「金銀花」とも呼ばれています。花は香りもよく、ジャスミンの香に似ています。 
 ツルは右巻きで大木に絡みつきます。
 スイカズラの由来は、子どもが花の蜜を吸う事、また、おできの吸出しに利用した事から「吸い」と、かつて、ツル性植物は伸びたツルを巻いて頭にのせて「鬘(カツラ)」」にした事から、ツル性植物を「カズラ」と呼んでいました。「吸い鬘」=「スイカズラ」の名があると言われています。(写真:植物図鑑参照)

 漢名は、暖地であれば冬でも葉を落とさず寒い冬を耐え抜く事から、「忍冬(ニンドウ)」と呼ばれています。
 観賞用としても楽しめますが、漢方としても利用されます。
 花は蕾の状態で採取し陰干しします。この状態の生薬名を「金銀花」と呼び、ふる血を除き浄血、利尿などの目的で処方に配剤されるそうです。民間薬としては、風邪による発熱や体のむくみに煎じて飲むと良いそうです。
 また、7月から9月にかけて葉を摘み、陰干ししたものを、生薬名「忍冬」と呼び、カリウム、タンニンを含むので漢方では消炎や利尿薬として用います。民間薬としては、口内炎や扁桃炎、咽頭炎には葉を煎じ「うがい薬」として使用します。またこの液を冷まして、ガーゼなどに湿らせ、湿疹やかぶれの部分に湿布します。あせも、かぶれに効果的だそうです。茎や葉は袋に入れて入浴剤としても良いそうですよ。
 花後、そのまま放置しておくと実が付きます。緑色の実が熟れてくると黒い実になり、中にはゴマ粒大の種子が入っています。2つ並んで花が咲くので、黒い実も2つ並んでいます。見分けは付きますね。
 スイカズラは1800年初頭にヨーロッパへ渡ります。その後、ツル生垣や斜面や壁面の被覆に用いられ園芸品種も多いようです。しかし、アメリカでは観賞用に栽培したものが野生化し、危険な外来種として問題になっているようです。
 日本の「葛」と同じような状態になっているのでしょう。
 余談ですが、浜松の名産に「忍冬酒」があります。
 当時としては異例の長寿を誇る徳川家康が愛飲したそうで、「不老長寿の健康薬酒」として知られているそうです。浜松で、ウナギを食べ、健康薬酒を飲んで、元気一杯になりそうですね。



 次は・・・

ツキヌキニンドウ

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学名:Lonicera sempervirens
スイカズラ科 半常緑~常緑性ツル性植物。
名称:ロニセラ、ロニケラ、ハニーサックル
和名:ツキヌキニンドウ
英名:coral honeysuckle、trumpet honeysuckle
原産地:北アメリカ東部~南部。

 1650年代にヨーロッパで紹介され、日本には明治初頭に渡来。生垣、鉢物、切り花用として栽培されました。

画像の説明

 和名「ツキヌキニンドウ」の由来は、葉っぱの姿から呼ばれています。葉は対生(茎を挟んで一節に2枚の葉が付く事)で、枝先部分で基部が合着(黒丸の部分)し、茎が葉を突き抜けて見える事から「突抜(ツキヌキ)」、スイカズラと同様、冬でも落葉せず、じっと寒さを忍ので「忍冬(ニンドウ)」、合わせてツキヌキニンドウです。ちなみに暖地の場合は落葉しませんが、寒い場所であれば落葉してしまいます。
 初夏から秋まで開花し、真夏は少し勢いが落ちます。花は筒状で外側は赤オレンジ、咲き進むと内側が黄色にオレンジが混ざったような色合いになります。
 ツル性植物なので、アーチやフェンスなどに這わせ全体に花を付けると、華やかな姿になります。また、香りも良く、夏の青い空によく似あいます。
 栽培環境は、特に土質は選びませんが極端に乾燥するような場所は避けてください。日当たりの良い場所を好みます。半日蔭でも育ちますが花の数が少なくなります。
 庭植えの場合、真夏の間は乾燥するようであれば水を与えましょう。また、肥料は3月から4月と9月に化成肥料を与えます。
 常緑性なので、植付けや植替えは3月から4月が適期です。植替えの際には、掘りあげた土に腐葉土やバーク堆肥を混ぜておくと育ちがよくなります。
 増やし方は「挿し木」です。適期は7月から8月。今年伸びた充実して堅くなった枝を使います。
 その他の作業は、12月もしくは新芽の出る前の2月から3月上旬に剪定と誘引をします。花はその年に伸びたツルの先に花を付けるタイプです。よって太い枝から新しい枝がでるように剪定を行います。
 また、ツル性植物ですが、クルクルと茎が絡みつくわけではありません。剪定後に、株元は支柱や絡ませる土台に固定し、伸びた茎は姿を考えながら誘引し、紐などで固定しましょう。
 比較的簡単に育てられます。病害虫もほとんどつきません。嬉しいですね。



 最後に・・・

ニオイニンドウ

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学名:Lonicera periclymenum
スイカズラ科 落葉ツル性植物。
和名:ニオイニンドウ
英名:woodbine、European Honeysuckl
原産地:ヨーロッパ中部、南部、コーカサスから北西アフリカに分布。

 日本には昭和初年に渡来。比較的陰地でも育ちやすく、ヨーロッパでは古くから栽培され、園芸品種も沢山あります。
 ツキヌキニンドウによく似た花を咲かせます。ツキヌキニンドウの花より一回り以上大きく、放射状に5~6輪が輪になって付きます。色合いは外側が濃いピンクもしくは赤紫で内側はピンクが混ざったような黄色です。
 開花時期は6月から9月、香りも強いです。ツルの長さは6mくらいまで伸びます。フェンスやパーゴラなどに絡ませると美しいです。
 育て方はツキヌキニンドウと同じです。


 今回は、スイカズラ科スイカズラ属の仲間を紹介しました。スイカズラ科は低木もしくはツル性植物で約180種が北半球に分布しています。日本でも20種ほどの自生種が確認されています。
 学名がLonicera:ロニセラ、ロニケアとも呼ばれますが、英名がHoneysuckle:ハニーサックルと呼ばれ、こちらの呼び名の方が一般的かもしれません。
 ハニーサックルとは、花の付け根部分に甘い蜜があり、香りが良い事から命名されたそうです。
 またハーブとしても、花は生でサラダに、乾燥させてポプリに、ツルを使って籠などを編むと良いでしょう。
 乾燥させた茎や葉は、布袋に入れて煮だしたものを袋ごとお風呂の中に入れて入浴します。あせも、湿疹に効果があるそうです。また肌を綺麗にし、美肌効果もあるとか。是非、試してみたいですね。
 スイカズラ科スイカズラ属の仲間はまだまだ沢山ありますが、一般的な種類をあげてみました。園芸店で見かけたら、一度は植えて楽しんでみて欲しいツル植物の一つですね。



 スイカズラ科のツル性植物を紹介しましたが、スイカズラ科の他の属では、皆さんもよく知っているアベリア属やニワトコ属、ガマズミ属、タニウツギ属など14属300種が北半球の温帯に分布しています。少し紹介しましょう。

アベリア

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学名:Abelia×grandiflore
スイカズラ科ツクバネアベリア属
別名:ハナツクバネウツギ  園芸種
常緑の低木。

 春から秋まで長期間にわたり開花し、釣鐘型の白色やピンク色の小さい花を沢山付けます。
公園や街路の植え込みとして一般的な低木です。細かい枝を沢山伸ばし、よく茂ります。葉は光沢のある小振りで長細い葉です。病害虫が少なく、刈り込みにも耐えます。

ハコネウツギ

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学名:Weigela coraeensis
スイカズラ科タニウツギ属
別名:ウコンウツギ  

 日本各地に自生する落葉低木です。庭木としても利用され、5~6月に開花します。
 最初は白い花が少しずつピンクに変化し、濃いピンクになって終わります。一本の木で二度楽しめるということです。
 樹勢は強く、定期的な剪定が必要なので花後に行います。また、生長とともに幹の内部が空洞化してきます。ウツギという名前の由来は空洞になる(空木)事からきています。
 空洞になったからと言って枯れたわけではありませんので、伐採してしまわないよう気を付けてください。
 
サンゴジュ

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学名:Vibumum awabuki
スイカズラ(レンプクソウ)科ガマズミ属
別名:キサンゴ、ヤブサンゴ

 関東以西、九州、沖縄から台湾に分布する常緑の小高木です。6月から7月に白い円錐状にまとまって開花します。その後丸い果実が出来、秋には深紅色に熟します。
 葉は肉厚で光沢があります。芽吹きが強く、耐火力が比較的強いので、目隠し用の生垣や防火樹としても植えられる事が多くあります。また、根付くととても丈夫な樹木であり、排気ガスや潮風にも耐えるため、海岸沿いの工場などの風除けや公園などに用いられています。
 サンゴジュハムシという害虫が付きやすく、葉の傷みが目立ちます。定期的な剪定と薬剤散布をお勧めします。日当たりの良い場所に植え、風通しよくすることを心がけます。

エルダー(セイヨウニワトコ)

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学名:Sambucus nigra
スイカズラ(レンプクソウ)科ニワトコ属
別名:セイヨウニワトコ

 ヨーロッパ、北アフリカ、南西アジアに自生する低木~中高木の落葉樹です。
 果実が食用になり、花や葉、根は薬効があります。ローマ時代から民間薬として「歯痛から疫病まで」と言われて、優れた効果があったようです。
 イギリスではハエ除けにトイレの側に植えられていたそうです。
 今でも花は利用されており、砂糖水とレモン汁の中に花穂を漬け込んで作るエルダーフラワー・プレッセは夏の飲み物として親しまれているそうです。ちなみに花の香はマスカットのような香りがします。
 エルダーの名前は、枝の芯を抜き取ってストロー状にしたものが、火をおこす筒として利用された事から、エルド(oeld:アングロ・サクソン語)=炎、が由来と言われています。


 
 スイカズラ科の仲間は、皆さんも普段見かける植物だったのではないでしょうか。
 
 スイカズラ科の特徴は・・・ 
「双子葉植物で合弁花類。葉は対生で単葉、一部ニワトコは複葉、托葉がない。」
 
 難しいですね。植物分類学はともかくとして、綺麗な花を咲かせ、私たちを楽しませてくれる植物です。見かけたら少しだけ観察してみて、興味がわいたら育ててみませんか。

 今回紹介した植物は、私が短大を卒業する際に先生方が卒業生一人ひとりにイメージにあった植物を選んでくださいました。私は「ハニーサックル」を頂きました。花言葉は「寛大なる愛」。
 本当はずっと忘れていて、部屋の整理をしていたら卒業証書の中からしおりが出てきました。30年以上も昔のしおりです。
 今年の秋に苗を用意して育ててみようと思っています。

 花言葉のような「寛大なる愛」を持てる人間には一生かかっても無理ですが、「忍冬」のように耐える事は得意かもしれません。もう一度、あのころの気持ちに戻って真摯に植物を向き合っていきたいと思います。
 暑い夏本番です。どうぞ無理なく、ゆっくりと過ごしてください。

(17/08/01掲載) 

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