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花のコーナー 2017年11月

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花のコーナー

御園 和穂##

2017年11月 スズメバチと植物

 10月、前半は気温の高い蒸し暑い日が続きました。その後は長雨とぐずついた天候でしたが、徐々に気温も下がり秋らしくなってきました。
 花壇やコンテナの草花は、夏の酷暑で傷みが酷かったものの、少しずつ元気を取り戻し美しい花を咲かせています。
 気温が下がり始めると、開花期間が長くなり花色や香りも良くなります。
 今月は、「冬から早春に向けて」植え替えの時期になります。美しく咲いた花を抜かなくてはなりませんが、本格的に寒くなる前に植え替えをしてしまいましょう。抜いた草花は、切り花にもなります。室内で暫く楽しんでください!
 
 9月11日、愛媛県大洲市の女性がスズメバチに襲われ死亡したあまりにも痛ましい事故がありました。まだ記憶に残っている方も多いと思います。スズメバチは怖い!という事はわかっていますが、身近にいる「昆虫」の一種であり、私自身あまりにも知らない事が多いので調べてみました。
 今回はスズメバチの事を紹介します。



スズメバチ(写真:図鑑参照)

画像の説明

 ハチ目スズメバチ科に属する昆虫のうち、スズメバチ亜科(Vespinae)に属するものの総称。

 1匹の女王ハチを中心に、大きな社会を形成します。
 自分達の防衛のためには大型の動物も襲撃する狂暴かつ好戦的で積極的に刺してくることで知られています。
 これは「巣を守る」ための行動で、何もなくして人間に襲い掛かってくるわけではありません。私たちは身近に「ハチの巣」がある事に気付かずに、攻撃を受けてしまうことが多々あります。
 日本に生息しているスズメバチは、多種で16種類いるそうです。私たちが目にするスズメバチを挙げてみました。

・オオスズメバチ:体長30~40mmの一番大型のタイプです。女王バチは45mmもあります。顎で噛む力が強く、刺された時の痛みや腫れは最も激しく、集団で襲われると死に至る事もあります。
 攻撃性が強く、土の中に巣を作ることが多い種類です。
 7月~11月に刺される被害が多発。攻撃時は顎をカチカチ鳴らし針を何度も刺します。飛ぶスピードは時速40キロにもなるそうです。
※ミツバチは一度挿すと針が内臓と一緒に抜けて死んでしまうそうですが、スズメバチは何度も刺すことが可能なのだそうです。

・キイロスズメバチ(写真:図鑑参照):オオスズメバチに次いで危険なハチです。

画像の説明

体長は15~25mm、女王バチで25~27mmほどです。
胴体全体に黄色い毛が密集して生えています。
 気性は荒く、刺されると死に至る場合もあります。最近は都会で増えており、刺される被害も多くあるようで増えているようです。近年オオスズメバチに比べて、キイロスズメバチの方が多く発生しているそうです。雑食性で環境への順応能力が高いとのことです。
 巣に近づくと攻撃性が強くなります。巣は屋根裏や軒下などの閉鎖的な空間に作ることが多く、巣は大きなボール状になります。7月~10月が攻撃的な時期です。

・モンスズメバチ(写真:図鑑参照):体長20~28mm、女王バチで30mm程。

画像の説明

 屋根裏や壁の隙間などの閉鎖的な空間に巣を作ります。攻撃性は高めですが、他のスズメバチと異なるのは夜間に活動をする習性があります。
 7月~9月が攻撃的な時期です。

 他にも多くの種類のスズメバチがいますが、上記の三種が代表的なスズメバチの種類です。
 攻撃性の強いスズメバチは、他種のスズメバチやミツバチの巣も攻撃します。他のハチを全滅させて占領し、幼虫を餌として自分たちの巣へ運び去るそうです。
 スズメバチが他の巣を攻撃する場合、例えばオオスズメバチ数十匹いれば、4万匹のセイヨウミツバチを2時間ほどで全滅させることも出来るそうです。
 ハチなので蜜や花粉を採取していると思っていましたが、スズメバチの幼虫は種類によって若干異なりますが、概ね成虫が捕獲した昆虫などの小動物や新鮮な脊髄動物の死体から筋肉の部分を噛み砕き、肉団子にして与えるそうです。
 「スズメバチ」の名前は「雀くらいの大きさのハチ」や「ハチの巣が雀の模様に似ている」ことに由来しているそうです。地域によっては「クマンバチ」と呼ぶ所もあります。クマバチは別の種類だそうですが、クマンバチはスズメバチのことだそうです。

 スズメバチの特徴を簡単にまとめてみました。
 ここからは、『もしもスズメバチに遭遇してしまったら』どうしましょう。
「蜂に出会ってしまったら」どうするかの対処法です。

・家の中に蜂がはいってきた場合
  ハチは明るい方向に向かう習性があります。室内の電気を消して、ハチの出入り口の扉や窓を解放し出ていくのを待ちましょう。
 叩いたり、払ったりすることはやめましょう。攻撃されてしまいます。
 ハチは天井の方へ上がってしまうこともあります。窓がわからなくなったり、下の方がわからなくなるそうです。ハチ用スプレーも一つの手立てですが、スズメバチには効果がありません。出来るだけ自然に出ていくのを待ちましょう。

・巣に近づいてしまった場合(巣に気が付かなかった場合)
 ハチの巣には近づかないことが一番ですが、どこに巣があるかはわかりません。うっかり巣に近づいてしまい、数匹のハチが周辺を飛び回った時は、手で払ったり、大きな声を出すのも禁物です。
 ハチは、動くものや黒い色に反応します。まずは静かにその場所から離れましょう。背を向けず、後ずさりをしながら距離が離れたら素早く逃げましょう。
 ハチの習性を少しでも知っていれば、身を守ることの手助けになるはずです。
 ハチがいそうな場所に行く際は、香水や匂いの強い整髪料やシャンプーなどは使用しないようにしましょう。ハチが興奮する成分が含まれている場合があります。また、ひらひらする洋服や、蚊を避ける超音波発信器にも反応すると言われています。
 一度刺激を受けたハチは、警戒心が強くなり、周囲の人も襲われやすくなるそうです。
 
■「刺されてしまったら」症状と処置の仕方です(あくまでも応急です)。
【症状】:刺された箇所の多さ、刺された部位によっても異なります。
  ※ハチ専門の資料から抜粋しています。
▼普通の場合(あくまでも目安です)
 ・激しい痛みで、刺された場所がズキズキします。
 ・赤く腫れあがり、完治するまで1週間から10日間くらいかかります。
 ・人によっては、気分が悪くなったり吐いたりするケースもあります。
▼重い症状の場合(あくまでも目安です)
 ・上記の痛みに合わせて、口が渇き、しびれを生じます。
 ・腹部に痛みが生じ、下痢や嘔吐が続きます。
 ・息が苦しくなり、目が見えなくなったり、耳が聞こえなくなったり、意識障害が起こります。
 これ以上になると、痙攣が起きて倒れ、意識不明に陥る事もあります。命に係わる状態です。一刻も早い救急処置が必要となります。
 一番怖いのは、よく耳にする「ハチ毒アレルギー(アナフィラキシーショック)」です。
 一度ハチに刺されるとハチ毒の抵抗性が作られます。二度目に刺された時に、抗体がアレルギーに反応を起こします。これは人によって異なり、異常に反応する人はアナフィラキシーショックを起こします(全ての人に出るわけではありません)。

【処置】:まずはその場所から離れましょう。ハチの毒は仲間を呼びます。
▼仰向けになり、足を高くして、頭を低くします。吐き気がある場合は横向きになります。
▼刺された体の部位より心臓に近い場所を縛ります。
 ※毒が溜まると部位が壊死するので、数分ごとに緩めます。
 ※可能であれば、刺された部位を冷やします。血液が毒を吸収するのを遅らせます。
 ※ミツバチの場合は針が残っているので、抜き取りましょう。針の部分に毒 
の入った袋が付いています。そっと取り除きましょう。
(ピンセットや毛抜きが有効)
▼刺された幹部は水で洗い流しましょう。
 ※傷口の周りをつまんで、血と一緒に毒を絞りだします。傷口を絶対口で吸わないでください。
▼ポイズンリムーバー
 ※毒を取り除く器具です。市販されています。心配な方は携帯しておくと安心かもしれません。刺された後、なるべく早く吸引します。

処置の方法は、病院に向かうまでのあくまでも応急措置です。一刻を争う場合は即刻救急車を要請してください(救急連絡の際、きちんと状況説明が出来るようにしておきましょう)。
 ※刺されたら、俗に「アンモニアが良い」というのは迷信です。逆に尿などは付けない方は良いです。アンモニアによる中和効果はありません。
 ちなみに、尿の中にアンモニア自体含まれていません。

【まとめ】
 「巣を守る」防衛本能が強い生き物です。最近はハチに刺されて死亡する人も少なくありません。
 まずは、遭遇したら「騒がない」「巣に近寄らない」静かに遠ざかりましょう。巣を作る場所は様々ですが、ハチがたくさん飛んでいる場合は注意をしながら様子を見ましょう。
 巣は庭木、ベランダ、軒下、屋根裏、戸袋、納屋、壁の隙間、鳥の巣箱や重ねた段ボールの中、煙突など、気が付かない場所にあることが多くあります。
 最近は専用のスプレーが販売されています。もちろん、「自分で駆除」も可能だと思いますが、危険も伴います。
 安易に自分で退治しようと思わず、まず、市の防疫関係機関や駆除業者に相談をして、駆除をしてもらうことをお勧めいたします。

 さて、ハチのこと、ご理解頂けましたか。
 私たちは、ガーデニングや庭木の手入れなど、外での作業がほとんどです。
 私は幸いにも、スズメバチに遭遇することはあっても刺されたことはありませんでした。
 また、先輩から「大型のハチが飛んできたら、ハサミなど振り回したりせずジッとしていなさい。」と教えてもらっていたのは実際の経験からだったのだと知りました。

 最後にスズメバチが好んで飛んでくる植物を紹介します。
 ※スズメバチ限定ではなく、ハチがよく飛んでくる植物です。

ヤブガラシ

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学名:Cayratia japonica ブドウ科のつる植物
分布:北海道、本州、四国、九州、沖縄
草丈:50cm~200cm以上 
開花期:7~8月
生育期間:4~10月 繁殖方法は種子及び地下茎

 林や藪など、道端などに普通に生息する植物で、一般的には「雑草」と呼ばれているものの仲間です。
 ヤブガラシ=藪を枯らす、というくらい繁殖力が強く、別名ビンボウカズラ(貧乏かずら)とも呼ばれています。
 ヤブガラシはスズメバチに限らず、多くの昆虫を呼び寄せる植物です。ヤブガラシは駆除が難しい雑草なのですが、タップリ蜜をだすので、昆虫にとっては有難い植物のようです。

カラミンサ

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学名:Calamintha シソ科の多年草
原産地:北半球
草丈は:30~60cm程 
開花期:5月~10月

 カラミンサは「美しいミント」という意味です。葉を摘むとミント(ハッカ)の香がします。
 小花を沢山付けます。花後に切り戻しを行うと長い間咲き続けます。真夏の高温が苦手なので、その時期は少し花が少なくなります。極端な乾燥が続くと花が落ちてしまいますが、やや乾燥気味に育てます。花壇や、ボーダ花壇に向いています。

 色々と調べてみましたが、上記の2種類はスズメバチや他のハチ類が好んで飛んでくる代表的な植物のようです。
 実は、種類が多すぎて・・・他には、クヌギやコナラ、ニレの木の樹液を好むそうです。

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 果実類もあげられていました。
 ブドウ、ナシ、イチジク、リンゴ、モモ、カキなどの熟した実は大好物のようです。

 また、バーベキューなどで(戸外で楽しむ場合)飲まれる、チューハイや炭酸飲料などにもスズメバチはやってきます。缶の中に入り込み、人間は気が付かずに缶に口を付けて唇を刺される被害も少なくないようです。必ず、栓もしくはペーパーで蓋をしましょうね。
 
 それ以外でも、スズメバチは植物についている害虫を狙ってきます。

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 先にも述べましたが、成虫は樹液や蜜を好みますが、幼虫の時点では、タンパク質を必要とします。
 成虫は植物に発生した、害虫を捕獲します。
強い顎で噛み砕き、肉団子にして幼虫に食べさせるそうです。私もこれにはビックリしました。
 なのでスズメバチ類は「植物限定」で寄ってくるわけではなく、丸い小型のハチは花粉を集めて、長い大きいハチは幼虫を狙っているようです。
 忌避として、あまり効果的とは思えませんが、木が焦げた臭いや煙草の煙は好まないそうです。
 ハチの活動が活発な時期(7月~10月くらいまで)は、茂みや野原などに入る際は少し注意意識をもって、花壇などで作業をする場合は、長い棒の先などで、軽く植物を揺らしてハチがいないことを確認してから作業を行うくらいの気持ちが必要かもしれませんね。

 
 今回はスズメバチと植物を取り上げてみました。
 決して怖がらなくてよい昆虫ですが、見かけたら、巣を見たら駆除が必要です。
 痛ましい事故から、「スズメバチ」を調べてみました。
 何が原因で襲われたのか?
 ある記事では、「強風で巣が揺れてハチが攻撃されたと勘違いし、側を通りかかった女性を襲ったのでは」とありました。
 もしかしたら女性は、飛んできたスズメバチを何気なく手で払われたのかもしれません。刺激してしまったことが仇になり集団で襲われてしまったとか?・・・真実は分かりません。想像を絶します。
 さて、皆さんは知識を持っておいてください。対処の仕方を知っていれば、多少の犠牲はあっても、大きな被害を受けずに済むかも知れません。
 そろそろ寒くなるので、スズメバチは活動がゆっくりになると思われますが、どこで遭遇するかはわかりません。どうぞ、落ち着いて対処してくださいね。

(17/11/01掲載) 

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