花のコーナー 2017年12月
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花のコーナー
御園 和穂##
2017年12月 ユリオプスデージー
カレンダーが残り1枚になりました。あっという間に一年が過ぎてしまった感じです。
11月に入り、急に寒い日が多くなりました。花壇の草花は「今が見頃よ」と誇るように咲いていましたが、さすがにそろそろ限界ですね。
今月は暖かい日を選んで、草花の植え替えをしておきましょう。
いつまでも気温の高い日が続いて、中々冬の準備ができていなかったかも知れませんね。急いで作業を進めましょう。
今回は花が少なくなり、暗くなりがちの冬の花壇を彩る草花を紹介します。
まずは、ユリオプスデージーです。
ユリオプスデージー
学名:Euryops pectinatus
キク科 常緑低木
原産地:南アフリカ
草丈:60cm~1.5m程度
開花期:11月~5月
南アフリカ原産の常緑低木で、冬の花の少ない時期に一重の黄色いマーガレットに似た可憐な花を咲かせます。
葉には大きく切れ込みが入り、表面は細かい産毛があり灰白色でシルバーリーフとしても使用されます。花の大きさは3cm前後、花茎を15~20cm程伸ばし先端に一輪咲かせます。
日本へは、昭和40年代にアメリカから鉢花として渡来しました。
寒さに強く、暖地の平地であれば露地でも低木状に育った姿を見る事があります。また、生垣としての用途もあります。
属名のユリオプスはギリシャ語で「大きな目をもつ」という意味で、一重の黄色い花を表現しているそうです。
寒さには比較的強いのですが、霜がおりる地域では霜よけが必要、もっと寒い地方では室内で冬越しです。逆に真夏の炎天下は少し苦手です。
真夏、鉢物であれば木陰に移動させて、花壇であれば午後から日陰になるような場所を選んで植付けます。多湿な場所は避けてください。鉢物は移動が可能ですが、花壇の場合は植付ける場所を考慮しましょう。
【育て方】
置き場所は先に記した場所を選んでください。鉢植えの場合、コンクリートの上への直置きや梅雨時期のジメジメした場所は避けてください。
水やりに関しては、多湿を嫌うのでやや乾燥気味に育てます。また、肥料が多すぎると茎が伸びてしまいます。植え付け時の元肥をたっぷり与えておいて、後は様子を見て追肥しましょう。
植替えは、花壇の場合必要ありません。鉢物の場合、根の生長が早いので2年に1回程度、一回り大きい鉢に植替えます。
植替え適期は春3~4月もしくは秋9~10月です。鉢から抜き取り、株の土を半分ほど取り除きます。傷んだ根があれば切除します。その後、一回り大きい鉢に植替えます。
ユリオプスデージーは、大きく育ってくると茎が木質化し、姿形が崩れてきます。また、枝分かれのしにくい植物なので、若い苗の時から芽の先を小まめに摘み取って脇芽を多く出させるようにします。そうするとこんもりとした姿になります。
大株になると花が咲きにくくなるので、花が終わった後に、全体の二分の一程度を目安に切り戻しましょう。ちょっと勇気がいるかも知れませんが、茎からたくさんの芽が出てきますから大丈夫!
増やし方は、挿し芽になります。適期は5~6月。枝分かれのために摘み取った新芽の利用が一番です。また、切り戻した枝もあまり太い枝でなければ挿し芽できますよ。是非、試してみてください。
最後にキク科の植物なので、新芽にアブラムシが付きやすいので、発生の際は殺虫剤を散布して駆除してください。
鉢でも楽しめますが、花壇であれば後方の目隠しとしても。夏場は緑の葉を楽しみ、冬場は黄色い花を楽しめます。
環境が合えば、手のかかりにくい植物の1つですよ。今の季節園芸店で見かけます。まだ小さい苗ですが、来年を見据えて花壇に加えてみてはいかがでしょう!
次はユリオプス属の仲間で、ユリオプスデージーと同様に古くから親しまれているゴールデンクラッカーです。
ゴールデンクラッカー
学名:Euryops virgineus ‘Golden Cracker’
キク科 常緑低木
原産地:南アフリカ
草丈:50cm~1.5m程度
開花期:1月~5月
南アフリカ原産のキク科常緑低木です。春先から店先で見かけます。ユリオプスデージーほど耐寒性は強くありませんが、暖地の南向きの場所であれば露地でも十分に育ちます。
姿は細い枝が地際から伸び、枝に松の葉を短くしたような感じの葉が付き、その先端に5cmほど伸びた花茎に1cm程の花を咲かせます。
ユリオプスデージー同様、最初の姿は小ぶりの鉢物や苗ですが、育てていくと想像以上に大きくなります。
名前の由来はわかりませんが、花が黄色なので「ゴールド=ゴールデン」、先端の細かい花がユラユラする姿が、円錐のヒモを引くと音をたてて中から紙テープなどが出てくる「クラッカー」の弾けた感じに似ていませんか?合わせてゴールデンクラッカー、が名前の由来だとか。
【育て方】
風通し、日当たりの良い、真夏は半日陰になる場所を好みます。0℃以上あれば露地でも冬越ししますが強風が直接あたる場所はさけてください。
過湿を好みません。土壌は水はけを良くし乾燥気味にする方が元気に育ちます。梅雨時期から真夏は過湿になると株が蒸れて枯れてしまうこともあります。
肥料も多くは必要ありません。窒素分の多い肥料を与えると茎が伸びてしまいますので要注意を。後は様子を見て施します。
手入れは、花後、5月以降に切り戻しをします。この際、背丈が伸びている枝は短く切りますが、葉が付いていない箇所まで切り戻ししないでください。
枯れてしまう恐れがあります。また、背が高くなると、地際から50cmくらいは葉が無くなるか、茶色いになります。小まめに切り戻す事で背丈の調整をしましょう。
増やし方は挿し芽が一般的です。切り戻した枝を挿しましょう。適期は5月~6月です。
小さい苗を作りながら、適宜更新させて楽しむ方がいいかもしれませんね。
花壇の場合、植付けは後方になります。
鉢物で育てて、背丈の大きさに合わせて、開花時期だけ花壇の中に鉢ごと埋め込み楽しむのもいいですね。
ユリオプスデージーやゴールデンクラッカーは、冬の間暗くなりがちな花壇を色合いで暖かく感じさせる効果があると思います。
割と「手間いらず!」なので、是非お勧めです。
次は、秋に植付けて一度開花し、少しお休みしますが春から開花する草花のネメシアを紹介します。
ネメシア
学名:Nemesia strumosa
ゴマノハグサ科 一年草(多年草あり)
原産地:南アフリカ
別名:海蘭(ウンラン)もどき、サットニー
草丈:15cm~30cm程度
開花期:10月~11月、3月~5月(一年草)
10月~11月、3月~11月(多年草)
南アフリカを中心に約50種が分布し、その中で園芸種として親しまれているのは2~3種と言われています。
19世紀末にイギリスに導入され、品種改良が繰り返されネメシアは誕生しました。花壇では欠かせない花色が豊富なことから世界中に広がったと言われています。
草丈は30cm前後まで伸び、枝分かれし、枝の先端に多数の花を付けます。花は2唇弁で、大きさは2cm程度です。 花色は白、ピンク、赤、エンジ、ブルー、紫などの単色と「白と青」、「白とピンク」、「白と紫」などの複色もあります。
最近では矮性種(草丈の低いタイプ)もあり、花壇の縁取りやコンテナ植え、ハンギングバスケット等にも使用されます。
花は毎年花を咲かせる多年草と秋に種を蒔いて春に楽しんだあと枯れてしまう一年草とがあります。
多年草は「宿根ネメシア」として販売されています。日本では一年草の方が一般的ですが、最近は多年草も見かけるようになりました。
【育て方】
日当たりの良い場所を好みます。ネメシアは徒長しやすいタイプなのでしっかりと日に当ててあげます。
秋に植付けをした一年草の苗の場合、極端な寒風は避けて軒下やベランダで大きく育てます。どうしても花壇に植付けたい場合は、出来るだけ早めに植付けて根を張らせた状態で冬を越すようにします(10月までには植付けを)。
また、寒風に合わないよう注意しましょう。
プランターに植付けておいてベランダで冬越しさせ、春に花壇に植付けしてもいいですね。
多年草の場合は霜に合わなければ大丈夫です。高温多湿が苦手なので、春と秋開花し、真夏は少しの間お休みします。
水やりは土の表面が乾きはじめたらたっぷり与えます。また、冬越しさせる場合は乾燥気味に育てます(回数を減らします)。
肥料は元肥をしっかり漉き込んでおき、その後は様子を見ながら与えます。多く与えすぎると葉ばかり茂るので形が悪くなります。また、秋に植付けた場合は12月~2月の間は必要ありません。3月に化成肥料を表面に与えて置くと良いでしょう。基本、生育期間中も控えめで大丈夫です。
植えで育てている多年草タイプは鉢の中の根がいっぱいになったら一回り大きい鉢に植替えます。適期は3~4月です。
増やし方は、一年草は種蒔。多年草は挿し芽になります。
多年草の挿し芽は5月と9月が適期です。伸びている茎を15cmほど摘んで、暫く水に浸けておきます。その後、湿らせた赤玉土に挿します。根が出るまで日陰で乾かさないよう管理します。
春先から開花します。全体に開花し、花が終わりかける頃切り戻しをします。脇芽から新しい芽が出てきて再び花を咲かせます。一年草で2回くらい、多年草なら4~5回は開花しますよ。
今回最後の紹介は、ネメシアによく似ているディアスキアです。
ディアスキア
学名:Diascia barberae
ゴマノハグサ科 一年草(多年草あり)
原産地:南アフリカ
別名:ニカクソウ、ツインスパー
草丈:15cm~50cm程度
開花期:5月~11月
南アフリカ原産の植物で、日本に導入されたのは比較的最近の事です。
「花付きがよく開花期間が長く、やや日陰でもよく育つ」と言われ、最近の普及は目覚ましいものがあるようです。
花はピンク、白、オレンジなどがあります。パッと見、小花なのでネメシアと間違う方もいるかもしれませんね。でも、花の形が異なります。
ネメシアは唇のような形、ディアスキアは花弁の一枚が長く前に突き出て筒状になっていて後ろに距(キョ)と言われる突起のようなものがついています。
名前の由来はギリシャ語で「2つ」=「ディス」、「アスコス」=「距(袋)」が合わさってできたそうです。
【育て方】
日当たりの良い場所を好みますが、やや日陰でも育ちます。暑さに弱いので真夏は西日の当たらない場所が好ましいです。
水やりは土の表面が乾いたらタップリ与えます。高温多湿が苦手です。夏はやや乾燥気味に育てましょう。
肥料は元肥、追肥ともしっかりと与えます。真夏は一時期花を休みますが、ほぼ咲き続けるので、置き肥プラスに液体肥料を従来の希釈より薄めに作り、灌水の代わりに与えるのも効果的です。
草丈が伸びてきたら、摘心をします。脇から芽が出て枝数が増えます。また、花は上から少しずつ下の方へ開花します。花柄摘みも行いますが、一通り開花したら軽く切り戻しを行います。この時点で高さの調整や姿形を整えましょう。
冬の花壇は「なんとなく色が少ない」感じはしますが、最近は冬の定番、パンジーやビオラの花色も増えてきています。また、寒さの中でも開花するので思うほど淋しくないように思えます。
ネメシア、ディアスキアも、冬の間はボツボツと花を付けている状態ですが、春からはたくさんの花を付けて楽しめます。
花壇なら縁取りや中段で、チューリップの球根を株間に植えこんでおいても素敵ですよ。コンテナであれば、ビオラやパンジー、ガーデンシクラメンなどの花苗で色合わせをしながら楽しんでください。
毎回、原稿を書き始める時に「原稿のバックナンバー」を見ます。「昨年のこの時期は何を題材にしたかしら?」と振り返ります。
日付を見ながら、来年の3月で10年を迎えます。
10年ひと昔と言いますが、「よく続いたな~」が本音です。
「どれだけの方が目を通して下さっているか」は分かりませんが、もう少しの間お付き合いお願いいたします。
来年も良い年でありますよう! 今年一年、有難うございました。
(17/12/01掲載)