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花のコーナー 2018年01月

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花のコーナー

御園 和穂##

2018年01月 アマリリス

新年 あけましておめでとうございます

 今年は戌年。
 犬好きの方からの年賀状は、さすがに愛犬の写真が多かったですね。
 十二支のうちの一つで、十一番目に数えられる干支です。
 少し調べてみました。「戌」は干支以外に月や時間もあります。戌月は旧暦9月、戌の刻は午後8時の前後2時間をさします。
 また、「戌」はもともと「滅(めつ):ほろぶ、の意味」で、草木が枯れる状態を表しているという見方もあるようですが、「守る」「植物が育っていき、花が咲き、実をつけ食べごろが過ぎ、自分で実を落とし、本体の木を守る」という意味もあるようです。
 のちに、覚えやすくするために、動物の「犬」に当てられたとのこと。
 そこから犬は社会性があり、人との付き合いも古く親しみやすい性格や、犬はお産が軽いことを結び付けて、安産祈願は「戌の日」が吉日とされています。
 昨年の酉年は「商売繁盛・収穫」の年と言われていました。戌年は収穫後の「守りの年」と言われます。と同時に何かを始める準備の年かも知れません。また、戌年は勤勉で努力家という意味もあるとか。
 今年は収穫後の地盤を守りながら、ねばり強く勤勉に努力し、何かを生み出す年にしたいものですね。

 今回は球根植物の「アマリリス」を紹介します。球根植物は球根内に栄養を貯えて条件が揃うことで開花します。

アマリリス(ヒッペアストラム)

画像の説明

学名:Hippeastrum×hybrid
科名:ヒガンバナ科ヒッペアストルム属 
春植えの球根植物  
原産地:南米
開花期:5月~6月、7月~8月
草丈は花茎が太く長く伸びます。30cm~50cm程度になります。

 南アメリカに約70種が分布する球根植物です。春に植付けて、初夏から夏に開花する植物です。
 現在はヒガンバナ科ヒッペアストラム属に分類されていますが、以前はアマリリス属に分類されており、その名残で現在でも「アマリリス」と呼ばれています。慣れた呼び名は中々変更が難しいようです。
 ヒッペアストラムはギリシャ語のヒッペオス=騎士、アストロン=星からなりますが由来は不明です。アマリリスは古代ギリシャやローマの詩に登場する「羊飼いのアマリリス」の名前からきています。
 17世紀後半、オランダ人によってヨーロッパに紹介されたのが最初とされています。生体としては18世紀初頭にヨーロッパに入り、1799年にイギリスの時計職人が異なる種の掛け合わせ改良に成功しました。
 その後、南米から様々な原種が発見されて、導入されると同時に改良が進み、1870年には現在一般的になっている大輪品種のアマリリスが誕生しました。
 20世紀初期にオランダで画期的な増殖法が確立され大量生産が可能になり、さらに品種改良が進み、オランダは現在でもアマリリスの一大生産国です。
 日本へは江戸時代末期にキンサンジコ(金山慈姑:Hippeastrum)、ジャガタラズイセン(咬吧水仙)、ベニスジサンジコ(紅筋山慈姑)の3種が渡来している記録が残っています。
 昭和初期から戦後にかけて育種を行ってきたようですが、当時の品種は殆ど残っていません。現在では育種家が新たな品種を作り上げています。
 春植え球根の代表種で、球根は大きいものであれば球回りが30cm程のものもあります。球根のタイプは鱗茎で、輪切りにすると※玉ねぎの断面とそっくりです。(※ちなみに玉ねぎは球根植物ではありません。姿が似ているので「たとえ」です)
 球根から扁平な花茎を伸ばし、その先端に2~6輪の花を咲かせます。
 茎の中は空洞です。花の形はろうと状で、花色は白、赤、オレンジ、ピンク、白に赤の網目状と多色で、花の大きさも一般的にみられる大輪系から小輪系まであり、花弁の先端が尖ったものもあります。また一重や八重咲きのものもあります。
 一般的には住宅の庭の片隅に植えられているか、鉢物で楽しまれています。

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 球根植物の中でも、花壇に植えられることは少ないようです。
 1987年にオランダからの球根の輸入規制が緩和された事により、オランダからの輸入品で、堀り上げと同時にポットに植付けられた「ポットアマリリス」が大人気となりました。
 本来は春植え球根ですが、水をかけると約45日で開花することから冬場の室内用のインテリアやクリスマスプレゼントとして親しまれ、ある程度定番化しているようです。(室内の日の当たる窓辺で育てます)



←ポットアマリリス

 本来は葉と茎が一緒に出てきますが、鉢の場合、最初は花茎だけが伸びて開花します。その後葉が展開して立派な花を咲かせます。

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 地植え球根としては、ポピュラーではないようですが、「ポットアマリリスの場合は、『鉢の中に土と球根がセットされているので、鉢底の受け皿に水を入れて置いておくと花が咲く』仕組み」です。
 その手軽さから人気が出たのでしょう。
 写真がそうです。
 育てられない方は、そのまま処分。もちろん、ずっと育てる事も可能です。

画像の説明

 鉢はプラスチックなので、花後、葉を付けたまま通常の鉢に植替え、葉が枯れるまで肥料を与えます。(春から秋まで)その後、冬に入ると葉も枯れて球根だけの姿になります。
【※プラスチックの鉢は、蓋の部分がかたいので、ドライバーやハサミでこじ開けて、根を傷めないよう土を落として植替えます。】
 冬場は凍らない程度の場所で管理し、4月に入ったら水を与え始めます。その後、早くて5月上旬から7月上旬に開花します。
 当初購入時のような冬場の開花ではありません。あしからず!
 通常、球根を植えこむ場合は3月下旬から4月上旬です。鉢に植える場合は、土の表面から少しだけ球根の頭を出して植付けます。花壇に植える場合は地面から球根の先端が3cmの深さで植えこみます。幅は30cmに1球にします。葉が茂るので離して植えます。
 アマリリスは切り花でも親しまれています。
 太い立派な茎は実は中が空洞です。そのまま水差しにすると切り口が「茹でたイイダコの足」のようにめくれ上がります。アレンジメントで剣山やオエシスには刺さりにくいので、茎の中に割りばし等を差し込み、切り口を輪ゴムやテープで固定します。
 適宜水は入れ替えて、蕾から挿しておくと長く楽しめますね。

画像の説明

 写真はオランダの球根市場の様子です。6月だったので主流はチューリップの球根ですが右手にアマリリスの球根が売られていました。
 1球3ユーロで現在のレート(132円/1ユーロ)で約400円。2球買うと5ユーロで約660円。
 ちなみに日本で購入すると1球約800円~1400円です。日本でも生産をしていますが、国産は高いですね。ほとんどが輸入球根ですが、中々手が出しにくい価格だと思います。
 「ポットアマリリス」はこれからでも室内で楽しめます。
 園芸店やお花屋さん、雑貨店でも置いている所があると思います。見かけたら、購入して育ててみては如何でしょう。

 もう一つ、ホンアマリリスと呼ばれていて、本来のアマリリス属の植物があります。一般的に「アマリリス」というと上記で説明した『アマリリス・ヒッペアストラム』を指します。
 「本来のアマリリス」と言われる ~アマリリス ベラドンナ~を紹介します。

アマリリス ベラドンナ

画像の説明

ヒガンバナ科アマリリス属(ホンアマリリス属)
春植えの球根植物  
原産地:南アフリカ
開花期:9月~10月上旬
別名:ベラドンナリリー、ネイキッドレディー

 日本へは明治末期に渡来しており、現在でも僅かではありますが夏植え球根として見かけることがあります。
 前述しましたが、一般的なアマリリス(ヒッペアストルム属)は、多くの品種が花と葉を同時に展開させて開花します。
(一部鉢植えの球根~冬季に出るポットアマリリスの最初の年だけ~茎だけが伸びる物もあります)
 ベラドンナは花茎だけが先に伸びて開花し、その後葉が茂り冬の間は茂っています。
 開花時期もアマリリスは7月上旬くらい、ベラドンナは9月中旬。花茎がアマリリスは空洞ですが、ベラドンナは空洞ではありません。
 実は科は同じ「ヒガンバナ科」ですが、原産地も異なり、縁は遠い植物です。
 近年のゲノム解析によって、植物の分類は大きく変化をしてきました。その昔は遠くても縁がある植物はひとまとめだったのですね。
 ベラドンナはイギリスで、ネイキッド・レディー「裸の淑女」と呼ばれています。花の姿は可憐で淑女そのものだが、後から葉が出てくるので「裸のよう」に見えたのでしょう。それで、そのような呼び名が付いたようです。
 アマリリス、ホンアマリリス(ベラドンナ)両者とも艶やかで、優雅な花を咲かせます。あなたはどちらの「アマリリス」がお好きですか。
 
 最後に、『アマリリス』という音楽を覚えていますか?
 小学生の頃にリコーダーで吹いていた「ラリラリラリラ~ しらべはアマリリス」です。
 原曲はフランスの民謡とされていますが、ルイ13世の作詞作曲だとか、宮廷楽団の貴族ヘンリー・ギースの作詞作曲とも言われています。
 日本に渡ってきた「アマリリス」の楽曲は、日本の作詞家によって日本語詩歌がつきました。

~歌詞~
みんなで聞こう 楽しいオルゴールを ラリラリラリラ しらべはアマリリス
月の光 花園を 青く照らして ああ 夢を見ている 花々の眠りよ
フランス土産 やさしいその音色は ラリラリラリラ しらべはアマリリス

 私は部分的にしか覚えていなかったのですが、こんな感じだったのですね。
 調べている時にフランス語歌詞訳もありましたが、まったく違う雰囲気でした。
 フランス語歌詞訳は「大人の愛を」と言う感じですが、日本語歌詞は「童謡」でしょう。どちらにしても「なぜアマリリス」なのかな?
 深くは考えないことにしましょう。
 小学生が吹いているリコーダーの音色もたまには聞き耳を立てて観賞するのもいいかもしれませんね。決して雑音では・・・・。

 昨年、12月は例年になく気温が低い状態で続きました。11月までは、なんとなく暑かったり、蒸し暑い日が続いて、いきなり寒くなると体も戸惑ってしまいますね。
 これから、本格的に寒い季節です。「寒いから」といって、閉じこもる事も良くはありません。お花の作業をしなくても、花を見ることで気分が変わります。  
 もし、作業もするなら出来るだけお天気の良い午前中からお昼に行うといいですね。

 今年もどうぞ宜しくお願いいたします。

(18/01/04掲載) 

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