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花のコーナー 2018年02月

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花のコーナー

御園 和穂##

2018年02月 寒い日は温室も楽しい!

 一年で一番寒い季節の到来です。
 1月は雪が降り、日中も気温が上がらない寒い日が続きました。我が家のコンテナも低温に遭い根が傷んでしまったようです。その後一部は回復しましたが、多くは枯れてしまい・・・枯れた草花は取りのぞきました。春になってパンジーやビオラが育ってきたら様子をみて補植を考えます。
 先日、天気が良かったので市内の公園に出かけてみました。露地花壇や公園内をブラブラ散策して~暫くは良かったのですがさすがに寒くて、近くにあった「熱帯温室」に飛び込みました。
 外気温は5℃を下回っていましたが、温室内は15℃前後。寒空に極楽です。
 熱帯温室の中はとても華やかで、優雅に舞う蝶もステキ、真冬であることを忘れてしまう空間でした。

 今回は熱帯温室で開花していた植物を紹介します。

ドンベヤ

画像の説明

学名:Dombeya wallichii 
アオギリ科ドンベヤ属 常緑性の中高木
原産地:アフリカ、マダカスカル
樹高:2~3m程度(~10m)
開花期:主に11月~4月

 アフリカ、マダガスカルに200種類以上が分布すると云われています。
 樹形は直立で、やや分枝するタイプです。


画像の説明

 花の咲く時期は品種によって異なるようですが、日本では、ほとんどのドンベヤが温室などの暖かい場所で育てられています。短日植物なので晩秋から春にかけて開花します。
 花色はピンク色、赤色、白色、紫色があります。


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 花に特徴があり、葉腋から長い花柄を伸ばし、その先に小花をたくさん咲かせ、ボールの様な有様です。大きいもので直径20㎝程度の大きさで、小花は5弁の花弁を持ち、桜の花弁に似ています。また、香りがよく蜜もたくさんでるようです。


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 花が垂れ下がるタイプなので、狭い温室内では少し高い位置に植えられており、下から眺めていたら、洋服に「ペタリ」と何かが落ちてきました。上を見る限り、特に怪しいものはなく花の真下にいたので「やっぱり舐めてみないと」と思い指の先に付けて舐めてみました。かなり甘い蜜でした。


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 葉は桐の葉に似ていてとても大きな葉です。
 ドンベヤは熱帯の花木ですがわりと低温には強いタイプです。専門書では「0℃~3℃の気温があれば冬越し可能」と記載されていますが、霜や寒風には弱く、戸外(地植え)での生育は難しいと思われます。
 鉢植えにして、冬の間はガラス越しに日の当たる室内か、ベランダの寒風が当たらない場所なら冬越しは可能です。
 春からは戸外で生育させ、真夏は明るい半日陰に置きます。

【育て方】

・水を好む植物なので極度の乾燥は避けてください。4月~10月くらいまでは、土の表面が乾きはじめたらタップリ与えて下さい。
 秋も後半から気温が下がってくるとあまり生育はしないので、やや乾かし気味にしますが、極端に乾燥をさせると花が咲かなくなるので注意してください。

・肥料はさほど必要としません。生育期の4月~9月一杯、化成肥料の置き肥もしくは液体肥料を通常より薄めに希釈して、10日に1回程度灌水代わりに与えるのも良いでしょう。肥料が多いと育ちすぎるので気を付けましょう。

・剪定は花後に行います。生育旺盛なので、各枝の葉2枚程度を残して全て切り取って形を整えましょう。気温が上がってくるとグングン生長します。

・増やし方は挿し木です。剪定後の枝を使って、2節(約15cm)に1~2枚葉を付けて後は取り除きます。赤玉土の小粒を湿らせて挿します。
 用土を乾かさないようにします。2か月程で発根します。その後は鉢に植替えを行い生育させます。植替え用の用土も特別な土は必要ありません。普段使用している用土で十分です。
 
【注意点】

 鉢植えをお勧めしますが、生育旺盛なので枝葉が茂りだすと、鉢が小さい場合は倒れたりすることがあります。剪定時にコンパクトにしておくことと、植替えは適宜行い(適期は4月~8月一杯)、鉢も少しずつ大きくしていきましょう。
 花の少ない寒い季節に、華やかな色の手毬のような花はとても可愛らしく目を引きます。冬の管理が出来るのであれば鉢で育ててみたいですね。

ベンガルヤハズカズラ

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学名:Thunbergia grandiflora
キツネノマゴ科ツンべルギア属
非耐寒性ツル性宿根草
草丈、樹高:0.50m~2,3m程度
原産地:インド~東南アジア
開花期:周年(加温施設の場合)
露地(鉢植えなど)8月~9月
花色:青紫、白 品種によってはオレンジやピンク色などもあります。
 ツンべルギアの仲間は世界の熱帯・亜熱帯に100種ほど分布しています。

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 日本では、沖縄は露地で育ちますが、沖縄以外の場所では温室での栽培か、鉢栽培となります。春から秋は戸外、冬場は室内で育てることになります。
 ベンガルヤハズカズラは、自生地では生育旺盛でツルの長さが20mを超えることもあり、パーゴラやアーチなどに絡ませています。
 日本へは昭和初期に入ってきました。現在、沖縄では庭園や公園で低い生垣などに仕立てて栽培されています。

 高温でないと開花しないため、日本の戸外で育生させているものは、真夏の終わりから秋口にかけて開花します。

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 本来宿根草ですが、一年草扱いで育てて春から秋まで戸外で楽しみ、一部鉢物に移して室内で冬越しさせて毎年楽しむ事ができます。また、気温が高い時期は生育旺盛なので、「緑のカーテン」でも使用出来そうです(試したことはないですが多分大丈夫!)。
 地味な花ですが、青紫や白の花は暑い夏に視覚で涼しい雰囲気を味わえます。

【育て方】

 前述したように、熱帯植物なので冬場の管理が大切になります。加温施設があるのか、鉢仕立てで冬は室内に取り込めるのか、一年草扱いで育てるのか、によって異なりますが、育て方の基本は同じです。

・植付けをする場合、気候が十分に暖かくなる4月下旬から5月頃が適期になります。土壌は選びません。

・日当たり、水はけの良い場所を好みます。

・気温が上がってくると、ツルが伸び始めます。支柱やフェンス、オベリスクなどに順次絡ませていきます。また、ツルが1mを超えてきたら先端を切ります。切る事で枝分かれをするので枝数が増え、花の数も増えます。

・肥料は緩効性の化成肥料(ゆっくり効果の肥料)を植付け時と月1回程度置き肥します。

・水は用土の表面が乾いてきたらタップリ与えます。

・増やし方は、挿し木です。梅雨時期が適期になります。数本枝を切り、2節程の長さで挿し穂を用意します。赤玉土小粒をビニールポットにいれて湿らせ、その中に挿します。
 気温が高い時期は生育旺盛に茂ります。その後、伸びたツルの先端に花が咲き始めます。一通り開花したら軽く切り戻します。その先端が分岐しツルが伸び、また開花します。
 露地の場合は何回も開花しませんが、温室栽培の場合は周年開花も可能です。ただし、秋から冬にかけて寒くなる時期は花の数も減ってきます。
 
【冬の越し方】 

・露地栽培の場合は、11月上旬には強剪定し、堀り上げて鉢に植え替えます。その後、室内に取り込みカーテン越しの日の当たる場所で育てます。
 年を越して4月の下旬以降、戸外で育てます。
 管理は簡単な方です。一度チャレンジしてみるのもいいかも!

サンタンカ

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学名:Ixora coccinea
アカネ科サンタンカ属
常緑性熱帯花木、低木類
樹高:1~1.5m程度
原産地:中国南部からマレーシア半島
開花期:露地の場合5月~10月。温室の場合周年
花色:赤、オレンジ、黄色、白、ピンク

 サンタンカの仲間は、熱帯・亜熱帯地域に500種以上が分布する熱帯性常緑低木です。園芸品種も多く栽培されているので、様々な品種名等ありますが「サンタンカの仲間」でひとくくりにしておいた方が分かりやすいと思います。

 サンタンカの葉は楕円形でやや厚みがあり、先が尖っています。比較的光沢のある濃い緑色です。花は2~3cm程の筒状花で小花が数十輪まとまり半円形に咲きます。先のドンベヤとは異なり花は上を向いて開花します。
 熱帯地域で、一定の温度があれば周年開花する品種もあります。
 サンタンカが日本に渡来したのは、江戸時代中期で、当初は三段花(サンダンカ)と呼ばれていました。大陸から琉球経由で渡来したようです。
 現在、沖縄では露地でごく普通にみられる花木です。オオゴチョウ、デイゴ、サンタンカと沖縄三大名花の一つです。

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沖縄三大名花(左からオオゴチョウ、デイゴ、サンタンカ)

 熱帯の花木なので、一般的には鉢物で楽しみます。
 5月~10月までは戸外で、その後室内に取り込むようになります。
 冬越しを考えないで夏花壇(露地)だけで楽しむ事もできます。組み合わせの草花はそんなに多くはありませんがエキゾチックな花壇が出来ます。
 亜熱帯の雰囲気が演出出来ますね(半日陰でも育ちます)。

【育て方】(鉢ものでの管理)

 5月くらいになると園芸店で鉢物を見かけます。
 購入したら、

・戸外の日の当たる場所に置きます。真夏は葉焼けを起こすので、明るい半日陰、秋からはよく日に当ててください。

・水を好みます。乾燥させないように水を与えます。ジョロで水をかける際には葉にも水をかけてあげましょう。

・肥料は5月~9月まで、緩効性化成肥料を置き肥します。それ以外は与えません。

・花が終わったら切り取ります。剪定は晩秋に花が終わりかけた時に深めに剪定を施し、その後室内に取り込みます。冬越しは室内のカーテン越しのよく日の当たる場所に置いてください。

・植替えは5月~7月が適期になります。花木なのである程度大きくなります。鉢の大きさも考慮してくださいね。
 丸い赤い花はとても印象的。単独でも十分に楽しめる花木です。

 
その他、温室内で見かけた観葉植物。

画像の説明

ハナキリン:トウダイグサ科ユーフォルビア属 茎に棘がある多肉植物です。花に見える部分は苞(ホウ)と呼ばれるガクが変形したものですが、わかりにくいので「ピンク色の花」と呼んでいます。ピンク色の花は、不思議なことに整列し、偶数で開花します。


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ブーゲンビレア:オシロイバナ科イカダカズラ属 ツル性の熱帯花木です。ハナキリン同様、花に見える部分は苞です。中央の黄色い部分が花です。これもわかりにくいので「ピンク色の花」。花色は黄色、白、赤、ピンクと様々です。熱帯の花木ですが他に比べると比較的耐寒性がある方です。


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ヒメブッソウゲ:アオイ科ヒメフヨウ属 常緑低木。耐寒性はないので戸外での生育は難しいです。
 ハイビスカスにも似ていますが異なる種で、花の大きさは5cm程。花色は赤で、花弁は開きません(写真のように下向きに垂れ、軽く膨らんだような状態)。
 地味な小花ですが、赤色が鮮明で遠目に「何かな?」と思わせる花木です。

 温室内は色とりどりの葉色の植物やラン等寒さに関係なく華やいでいました。「緑の葉物」も樹木やヤシ類の間に鎮座し熱帯の雰囲気を演出しています。

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 写真上からオオタニワタリクワズイモビカクシダです。

 最近はモダンなインテリアの一部として特殊な観葉植物が好まれているようです。
 決して育てられないことはありませんが、もともと熱帯ジャングルの樹木に着生するものや足元に生えている植物です。


画像の説明

 冬の間は室内に取り込み、それ以外の季節は各植物にあった環境に近づけて管理をしてください。そうすることでいつまでも美しい姿が楽しめますし、大きく生長していきます。


画像の説明

 派手な花を咲かせるわけではありませんが、緑の葉物も素敵ですね。
 観葉植物、特に「緑の葉物」を育ててみたくなりました。 



 熱帯温室と付属の温室2つを巡ってどのくらいの時間を過ごしたのでしょうか。汗をかくほどではありませんでしたが、十分に体は温まり、植物を堪能しました。
 寒い冬の楽しみ方として。ジッとしがちな季節ですから逆に動き回りたいと思いますが「やっぱり寒い・・・」。
 そんな中で、熱帯温室は選択肢の一つではないでしょうか。
 日常からも離れ、暖かい静かな空間でゆっくり過ごしてみてはいかがでしょう。素敵な花が咲いていますよ。 

(18/02/01掲載) 

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