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花のコーナー 2018年06月

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花のコーナー

御園 和穂##

2018年06月 園芸店だより-2

 本来、5月は「風薫る~」と言われるくらい過ごしやすい時期なのですが、急に気温が上がり、「夏日」「真夏日」と蒸し暑い日が続き、すぐに6月を迎えます。そして梅雨を迎えます。
 ガーデナーの皆さんも植え替えに没頭されている頃ではありませんか。
 植え替えると同時に管理が始まります。これからの雨は、皆さんの替わりに水やりをしてくれる場合もあります。
 私にとって梅雨は好きな季節ではありませんが、雨の降り具合を見ながら上手に作業を進めていきたいですね!
 
 園芸店でみかけた気になる花苗の第2弾です。今回はこんな花苗です。


フランネルフラワー

画像の説明

学名:Actinotus helianthi
セリ科 アクチノータス属 多年草
原産地:オーストラリア
開花時期:4月~6月、9月~12月
樹高:30cm~100cm程度
花色:白(クリーム色)、複色

 フランネルフラワーはオーストラリアを中心に約15種類が分布する常緑性の多年草です。
 以前は輸入切り花として流通していましたが、10年ほど前に岐阜県農業技術センターで品種改良された園芸品種「フェアリーホワイト(写真参照)」が作出され、鉢花として流通するようになりました。
↑品種:フェアリーホワイト↓

画像の説明

 花全体に細かい毛が密生していて、手触り感は毛織物のフランネルに似ています。
 花は白色(クリーム色)で花びらの先が緑色にほんのり染まり、フェルトで作られたような花です。花茎も白っぽく、灰色を帯びた葉も魅力的です。
 代表品種のフェアリーホワイトは花期が長く、次から次に花を咲かせますが、真夏の間はお休みして秋口から再び花を咲かせます。
 花の性質は暑さ、寒さが苦手で、高温多湿の環境を好みません。また、強酸性土壌を好みます。多年草ですが、あまり寿命の長い花ではありません。年数が経つにつれて夏の暑さに耐えられなくなり、枯れてしまうこともあります。合わせて根も細かく、強度の乾燥が続くと枯れてしまいます。

【育て方】

■花壇に植える場合

・植付け場所:日当たり、水はけの良い場所で雨の当たらない軒下などに植付けます。冬場はビニールなどをかぶせて防寒します。凍りそうな時は株廻りにマルチングなどを施し、さらに防寒しましょう。先に述べたよう酸性土壌を好むので、植付け前の土壌改良は無調整のピートモスを加えて準備します。

・水やりはほとんど必要としませんが、極端な乾燥は嫌うので、雨の水が供給されない場合は時々水を与えましょう。

・肥料は与えなくて大丈夫です。

■鉢植えの場合

・一年を通して、日当たりの良い雨の避けられる場所で育てます。7月から9下旬までは戸外でも半日蔭で管理し、冬場は室内に取り込みます。

・鉢植えなので、土の表面が乾いたらタップリ与えます。

・肥料は、根が細かく繊細なので、通常の花苗や鉢物のように肥料を与えていると根焼けを起こしてしまいます。
 3月~6月、9月~11月の間に、液体肥料を規定の2倍以上薄く作り、1~2週間に1回与えます。置き肥を与えるなら、2か月に1回、緩効性肥料を鉢の隅に置いておきます。
 少ない肥料が継続して効果を出す方法がベストです。

■地植え、鉢植え共通の管理

・植付けや植え替えの適期は4月~5月、9月~10月です。根が細かいので、根鉢を崩さないように植付けもしくは植替えをします。
 通常の培養土では枯れる恐れがあります。購入土を使用する場合は、サツキやブルーベリー植付け用の培養土をお勧めします。
 自分で配合するなら、ピートモス(無調整)6割に鹿沼土(中粒)4割に緩効性肥料を加えて作ります。
※ 繁殖方法は種蒔きです。品種登録されており、法律上フランネルフラワーの種蒔きをして出来た株は他人に譲渡、販売することはまだ出来ません。自分だけで楽しまれてください。
 花後、放置しておくと綿毛の付いた種が出来ます。ポロポロ落ちるようなら熟しているので採取します。種は封筒にしまい、更に密閉容器に乾燥剤と一緒に入れて冷蔵庫で保管します。
 種まきの適期は5月です。種蒔き用の用土は赤玉土(小粒)に蒔き、覆土は5mm程、発芽するまでは乾かさないよう管理します。
 ポットあげする際は植付け、植替えの用土と同じ配合の用土を使用します。根を傷つけないよう気を付けて行いましょう。

・花柄摘みは、種を採取する以外は小まめに取り除きましょう。

・適度な切り戻しは、風通しを良くし、多湿による病気なども防ぎます。また、切る事で新しい芽が伸び多くの花を楽しむことができます。

画像の説明

 切る際の注意点は、各小枝に葉を1~2枚残して切ります。枝は木質化してきますが、深く切り込み過ぎると枯れることもあります。木質化すると茎がヒョロリと間延びしたような姿になります。
 「どうしたものかな?」と調べてみました。実にビックリで、鉢植えの場合は当初の鉢より大きめの深い鉢を用意し、木質化している部分を埋め込んでしまうそうです。木質化している枝の先端部分だけが顔をのぞかせる状態にするそうです。
 余計な心配ですが・・・どんどん大きくなって茎が伸びながら木質化していったなら?・・・先のことはあまり考えないで楽しみながら育てた方がいいですね!
 地植えもいいけど、雨や暑さ、寒さに弱かったりするので、鉢物で楽しむ方が良いかもしれませんね。とっても素敵な花です。見かけたら一度手にしてみてくださいね。


次は涼やかなブルーの花です。

ルリマツリ(プルンバゴ)

画像の説明

学名:Pulumbago auriculata
イソマツ科 ルリマツリ属(プルンバゴ属)
熱帯植物の半つる性の低木
和名:プルンバゴ
原産地:南アフリカ
開花時期:5月~11月
樹高:30cm~3m程 
花色:白色、青色

 ルリマツリ(プルンバゴ)の仲間は熱帯を中心に約20種類が分布しています。
 半つる性の常緑低木ですが、日本の冬は葉が枯れてしまいます。枝は真っすぐ伸びながら、半つる性なので他のものに絡みながら登っていきます。ただし、つる植物のような強い絡みはありません。

画像の説明

 開花期は気温の高くなる初夏からです。2cm程の花を房状に咲かせます。花色は白色や水色、濃い青色があります。
 綿棒のような蕾がパラソルのように開きます。
 またガクの上部には毛のような腺があり触るとベタベタします。
 軽くよじ登るので、フェンスやトレリスなどに這わせて楽しめます。


画像の説明

 そのまま放置して這うようにしてもこんもりとして自然な感じになります。暑い時期の生育は旺盛なので手をかけずに放置すると他の植物に覆いかぶさってしまうので要注意ですよ。

【育て方】

・日当たりの良い場所を好み、日照不足になると極端に花付きが悪くなります。露地植えをお勧めしますが、鉢植えでも大丈夫です。
 関東以西であれば極端な低温に合わない場所であれば戸外での生育も可能です。0℃以上あれば越冬します。

・水やりは、乾燥を嫌いますので春から秋までは土の表面が乾いたらタップリ与えます。冬場は、徐々に回数を減らしていき乾燥気味に育てます。

・肥料は生育期間中切らさないように与えましょう。化成肥料を株周りに置き肥すると良いでしょう。月1回を目安に様子を見ましょう。

・植替えは、鉢植えの場合1~2年に1回、適期は3月~4月。一回り大きな鉢に植え替えます。古い土の半分ほどを崩し、長く伸びた根は切り詰めます。
 露地植えの場合、環境に合えばグングン生長します。根を伸ばしながら、上部も縦横無尽に茂ります。植え替えの必要ありませんが、周囲の草花は負けてしまうかもしれないので植え付ける場所を選んでください。

・花を沢山咲かせるためには、小まめに花柄摘みを行いましょう。先に述べたように生育旺盛です。姿形が崩れてきたら、整えるために切り戻しを行います。
 切った枝を挿し木にして増やすことも出来ます。先端の10cm程を挿してください。適期は5月~7月です。
 冬場は葉を全て落としてしまうと思います。冬に入る前に小さく切り戻して冬越しさせましょう。

 一般的に真夏の暑い時期に元気一杯花を咲かせる植物は少ないです。ルリマツリの青色の花が涼しさの演出をしてくれますよ。

 次は真夏に元気に花を咲かせるピンクの花です。

クレオメ

画像の説明

学名:Cleome hassleriana 
フウチョウソウ科 セイヨウフウチョウ属(クレオメ属)
春まきの一年草 
別名:スイチョウカ、フウチョウソウ
英名:Spider flower(蜘蛛の花)
原産地:熱帯アメリカ
開花時期:7月~10月
樹高:80cm~120cm程度

 クレオメは真夏の暑い時期に元気よく開花する花です。
 背丈は1mを超える大きさで、1輪の花の寿命は短いのですが、毎日先端に向かって花を咲かせていきます。
 雄しべ、雌しべが共にとても長く、風に揺れる姿が「ちょうちょ」が舞っている姿に似ていることから「フウチョウソウ」の名がつきました。

画像の説明

 イギリスでは、「チョウチョ」ではなく「蜘蛛」に見えたのでしょうね。英名はスパイダーフラワーです。
 背を伸ばしながら生育し、先端に花を付けていきます。沢山の蕾を付けて、下から花を咲かせ始め、最初は濃いピンクで夕方には薄いピンクから白に変化していきます。一つの花で色のグラデショーンが楽しめます。
 背が高くなるので、花壇などの後方に植付けします。もちろん鉢植えでも楽しめますが、かなり大きくなるので大き目の鉢で育ててください。

【育て方】

・日当たりの良い場所を好みますので半日以上日が当たる場所を選びます。土壌は水はけが良い保水性のある所を好みます。鉢植えの場合は花の培養土か赤玉土(小粒)6割と腐葉土4割で配合した土を使います。

・花苗の販売はとても珍しいと思います。基本は種蒔きになります。種蒔きの適期は4月~5月。移植を嫌うタイプなので、直播きにするか、ポット蒔きにして苗を作り、根株を崩さないように植えつけます。
 背が高くなるので、30cmほどの間隔で種蒔きをするかポット苗を植えつけます。

・一年草なので毎年種まきをおこないます。花後細長い子房が付きます。他の植物に比べると早く弾けてしますので要注意です。「こぼれ種」で毎年勝手に生えてくるタイプでもあります。だから市販の苗の販売がないのかもしれませんが、花後に種が付くまで放置し、種を採取し保存。そして適期に播種をしてください。
 花柄摘みは、花が下から上に咲き進むので咲き終わったと同時に花の部分を取り除きます。脇芽が伸びてきて再び開花します。

・背が高くなるので、生育途中で支柱が必要になるかもしれません。状況に合わせて支柱を設置してください。

・肥料は株周りに化成肥料を与えます。月1回程度が目安です。晩秋前には枯れてきます。全て取り除き今季はおしまいになります。

・水やりは露地植えの場合は特別必要としません。乾燥が続く場合はタップリ与えてください。鉢植えの場合は鉢土の表面が乾いたらタップリ与えてください。

 育て方は比較的簡単で、暑さや乾燥にも強いです。苗が入手できればこれからでも大丈夫ですよ。一度は挑戦して楽しんでもらいたい花苗です!


画像の説明

 最後に、先月の「母の日」に送られた「カーネーション」のその後の育て方を記載しておきます。
 切り花をプレゼントされた方はすでに終わってしまったかもしれませんが、鉢物でのプレゼントはまだまだ楽しめます。
 丁度、花が一通り咲き終わったころだと思います。まずは茎を半分くらいに切り戻します。さらに混み合っている部分は株もとから切り取ります。

画像の説明

 勿体ないと思うかもしれませんが、いつまでも咲き終わった花を付けておくと灰色カビ病が発生する恐れがあります。また、切り戻す際の作業は株の中の風通しを良くするためです。その後、暫くすると小さい脇芽が伸びてきて、いずれこの先に花を咲かせます。(写真参照)
 置き場所は室内から戸外になります。(現在外の方はそのままで)よく日にあてて、鉢の表面が乾いたらタップリ水を与えます。肥料は化成肥料を与えます。(真夏と真冬は与えません。)

画像の説明

 切り戻しのタイミング(適期)は梅雨前の5月~6月、秋は9月下旬~10月上旬です。
 日照不足になると蕾は開花しませんし、葉が黄色くなり花数も少なくなります。ただし、真夏の間は、明るい半日蔭に移します。出来るだけ涼しく過ごさせてあげてください。
 戸外で育てますが、花が咲き始めたらベランダなどの明るい雨の当たらない場所で楽しんでください。花は雨が苦手です。ちなみに25℃を超えてくると花付きが悪くなります(咲き止まりします)。
 文章にすると「難しそう」に思いがちですが、意外に簡単です。是非、育ててみてくださいね。


画像の説明

 園芸店勤務も1か月が過ぎました。
 5月には「母の日のプレゼント用」コンテナを作成しました。お店の前の飾りにもカーネーションを植えつけ、花柄摘みを行い次の花を咲かせる作業をしました。今、沢山のカーネーションが咲いていますよ!
 我が家のベランダには、いつの間にかプランターが増えてしまいました。
 花もですが、野菜も少し仲間入りです。
 野菜と言っても「ミニトマトとカラーピーマン、葉レタス、パセリとハーブが少し」です。もう少し生長したらお見せしますね。

 
 じき梅雨入りですね。今は紫陽花が見頃を迎えています。紫陽花は雨に濡れている姿がとても映える美しい花木だと思います。また身近にたくさん植わっている花木の一つです。
 雨降りの日、傘をさしてお散歩に出かけてみませんか。美しい紫陽花に巡り会えるかもしれませんよ。

(18/06/01掲載) 

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