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花のコーナー 2018年08月

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花のコーナー

御園 和穂##

2018年08月 夏の温室は涼しい!?

 関東甲信地方は6月末に梅雨明けしました。九州北部も梅雨入りから雨が降ったりやんだり、かと思えば急に晴天が続き気温も急上昇。梅雨明けかしらと思っていたら台風の発生。台風通過後に梅雨前線が南下したと同時に大雨が続き、今年も記録的な大雨による甚大な被害が発生してしまいました。
 被災された方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、皆さまの無事をお祈り申し上げます。



 暑い夏の日には涼しい場所を探し求めますね。皆さんは「温室」のような通常加温している場所はもってのほか!なーんて思っていませんか?
 確かに、汗が引っ込むくらい温度の低い施設ではありませんが、外気温が30℃以上であれば温室内の方が涼しく感じられます。
 今回はそんな温室の中で開花している植物を紹介します。



サガリバナ

90%,画像の説明

学名:Barringtonia racemose
サガリバナ科の常緑小高木。約40種が知られている。海岸性の植物。
東南アジア一帯の熱帯・亜熱帯地方に分布。
日本では南西諸島(奄美大島以南)に自生。
別名:サワフジ
開花時期:6月下旬から晩夏くらい

 マングローブの後背地や川沿いの湿地に生育し、とても美しい花を咲かせます。
 花は葉腋から60cm~100cm程の細長い房を垂らし、20~30個の花が上から下に向かって開花します。
 サガリバナの名前もこの姿からきたそうです。
 


画像の説明

 花は夜に開花し、朝方に落下する1日花です。
 花弁は2cm程で4枚あり、白や淡い紅色をしています。開いてくると、たくさんの雄蕊(写真の細い沢山の白い部分)が目立ちます。

画像の説明

 香りがよく、房一杯に花を付けた姿は圧巻です。
 早朝、花は散ってしまいますが、4枚の花弁がしっかりしているので、地面に落ちても花弁が崩れることなく、その重さで雄しべが上を向きます。
 地面一面に花が咲いているように見えます。また、水に落ちても暫くの間は浮いています。水の流れに浮いている姿も格別です。


画像の説明

 花が落ちた後は、丸い萼と長く伸びた雌しべが残ります。残念ながら開花後の姿です。その先の白い丸い蕾が膨らんでいたら、その夜から早朝の開花になります。
 今回は温室内での開花確認となりましたが、沖縄本島、西表島辺りでは街中でも観賞することが出来るそうです。

 調べてみました。沖縄市街で楽しめる場所は、沖縄県庁側近くにある商業施設中央入り口側にサガリバナの木があるそうです。開花記事が琉球新報に掲載されていました。

 また、首里城金城町の石畳側の馬場通りに「サガリバナの並木」があるそうです。毎年「サガリバナ観賞会」も開催されているそうですよ。
 本土の温室内で栽培されている所も多いようですが開花時に間地かで見る事は難しいかも知れませんね。
 6月後半から8月ぐらいまでが開花時期です。
 夏の沖縄、西表島旅行を計画することがあれば、サガリバナを探してみては如何でしょうか?
 滞在期間中、蕾の大きさを観察して咲きそうな蕾を見つけたら、翌朝は早起きして見に行ってみませんか。きっと幻想的な花姿が観賞できると思います。
 一夜しか咲かない花ってロマンチックですね~。
 ちなみに、苗木や種から生育させることも出来そうですが、周年を通して高温多湿を好みます。最低温度が15℃前後、20℃以上あれば良好な生育をするそうですよ。環境が整えばチャレンジしてみても楽しいかも!

 次も夜に開花する華麗な花です。



月下美人

画像の説明

学名:Epiphyllum oxypetalum
サボテン科クジャクサボテン属 
和名:月下美人
別名(流通名):月来香
英名:Queen of the night、Dutchman‛s pipe cuctus
原産地:中南米 
開花時期:6月~10月ごろ


画像の説明

 月下美人もサガリバナ同様夜に開花します。とても強い香りを放ち華麗な花を咲かせます。
 葉状茎が2mくらいまで生育すると花芽が作られます。花は夜に咲き始めて翌朝にしぼみます。花の大きさは20~25cm程で花色は白です。
 蕾は垂れ下がった状態から、花が開き始めると蕾を持ち上げたように上向きで、開花を始める夕方から香りを漂わせます。
 花の形態は受粉を行ってくれる媒介者への適応だと云われています。


画像の説明

 原産地の熱帯地域では、ヘラコウモリ科の小型コウモリ類が媒介者だそうです。コウモリがホバリングをしながらやや下向きに舌を伸ばして花蜜や花粉を摂取することに適応していると考えられています。
 また、美しい花を咲かせますが姿形は独特です。茎が昆布のように細長く、原産地のジャングルの中ではランのように樹木の幹や朽ちた樹木などに着生しています。


画像の説明

 昆布のような葉は波打っていて、その窪みの部分に産毛状の退化した棘(真の葉)があります。これはサボテン科特有の点状まで短縮した短い枝の事です。この棘の部分と茎の頂が生長点で、新しい茎や蕾を付けます。
 美しい花を咲かせた後、受粉ができない場合は散ってしまいます。

 本来、植物は子孫繁栄のために種を作ります。月下美人も果実を作ることが可能ですが、導入当初、原産地から入った株を挿し木や株分けによって増やしたものでクローンです。受粉に関しては自家不和合性の特性が強く、人工授粉をしても果実を得る事は少なかったそうです。 
 1980年代に大学の研究グループが原産地から他の野生種のクローンを持ち帰り増殖をさせ、現在ではコウモリに代わり人工授粉をすることで果実が得られるようになりました(果実になる品種があるようです=食用月下美人)。

 私は月下美人の実は見たことがありません。調べたところ、近縁種のドラゴンフルーツに似た少し細身の赤い果皮で、果肉は白くゴマ状の黒い種子が点在し、ほのかに甘くてサクサクしているそうですよ。実が手に入れば是非!
 実以外にも、一般的に月下美人の花は食べることができます。開花後、花を採取し、天ぷらやお浸し、乾燥させてお茶やスープなどに入れて食べます。
 薬用として、消化器系(喉や喘息など)や高血圧や体脂肪改善に効果があるようです。
 機会があれば是非召し上がってみてくださいね。

 育て方は、冬から春までは室内の日当たりの良い場所で育ちます。最低温度は5℃程度です。暖かくなってきたら戸外でしっかり日に当てます。真夏は陽射しが強いので、明るい半日陰に移動させましょう。
 水を好むタイプです。土の表面が乾きはじめたらタップリ与えましょう。

 肥料は4月~10月の間に、緩効性肥料を毎月1回与え、合わせて液体肥料を月2回与えます。幼い苗には窒素の多い肥料を与え、茎を大きく育てるようにしますが、1mを越えてきたら、窒素分の多いものを控えて、リン酸分、カリ分の多い肥料に切り替えます。真冬は施肥しません。

 剪定は9月~10月に切り戻しを行います。枯れた茎や伸びすぎた葉を切ります。ただ、月下美人は大型になる方がよく花を付けます。出来るだけ強い剪定は避けた方が良いでしょう。
 また、地際から新しいシュートが出ます。ある程度の長さまで伸びたら、先端を爪で摘んで芽止めをします。下からのシュートを地際で切ってしまうと、その後のシュートが出にくくなりますので要注意を!

 植替えは5月~9月の間に行ってください。鉢の様子を見ながら植替えが必要なら行いましょう。
 夏の暑さには強いのですが、与える水の量が多すぎると根腐れするので気を付けましょう。

 最後に月下美人は美しい花姿とは別に姿が奇妙な形をしていることから、珍奇植物とも言われ、特別な栽培方法が必要とされ、高度な技術がなければ育たないなど言われてきました。が、実際には比較的簡単に栽培も出来、多くの愛好家がいます。
 また、「1年に1回しか開花しない」とか、「満月の夜にしか開花しない」などの俗説を昔から耳にすることが多いのですが、そのほとんどが誤りです。
 手入れをきちんとすれば、1年の2回以上の開花を望めます。花を咲かせるだけの栄養を蓄えられていれば開花します。
 野生の状態で受粉を行うコウモリは小型タイプなのでほぼ毎日食事をとらないと死んでしまいます。なので、月下美人が満月の夜にしか開花しないのも誤りになります。
 その他、同一の株から分かれたため「開花は同じ日に咲く」とも言われています。確かにクローン株ではありますが、竹類のように体内時計による長期同調性はなく、栽培されている環境によって開花します。よってこれらの俗説にも誤りが多いようです。
 特別、奇妙な花ではありません。思った以上に栽培も簡単です。是非、株の入手が出来ましたら育ててみるのもいいですね。

 最後に紹介するのは夏の一夜の開花ではありませんが、月下美人の横でピンクの手毬のような花が咲いていました。



サクララン

画像の説明

学名:Hoya carnosa
ガガイモ科・サクララン属(ホヤ属)
つる性常緑の多年草
別名:ホヤ・カルノーサ
原産地:沖縄、熱帯アジアオーストラリア、太平洋諸島

 つる性の低木で、花は飴細工のような多肉質で芳香もあります。沖縄から太平洋諸島までで約200種が分布しています。

画像の説明

 九州や沖縄に自生するサクラランは観葉植物としても流通しており、葉が緑葉や斑入りのものがあります。
 サクラランの名前は、桜の花色と同じ薄いピンク色の花を咲かせ、葉がランに似ていることから、「サクララン」と付いたそうです。一般には「ホヤ」で流通しています。
 日当たりの良い場所を好み、ツルの先端に花を咲かせます。花も可愛らしく、香もあるので素敵なのですが、「いつ花が咲いているのか?」意外にも気が付かれにくく、いつの間にか花が終わっている、という風に感じる植物です(私だけかも知れませんが~)。
 気づかれにくい植物の一つとして、手間がかからないという事です。
 
 育て方は観葉植物に準じます。5月~9月までは戸外で育て、10月~4月までは室内で育てます。鉢での生育になります。

 肥料は戸外で育てている間は緩効性肥料を与え、乾いたら水をタップリと与えます。ツルが伸びるので、行燈仕立てにして伸びたツルを横に巻きながら誘引します。

 植替えは2年に1回程度、春から梅雨時期までに行います。

 剪定は9月頃に伸びたツルを整理しますが、サクラランは一度開花したツルに再度花を付ける性質がありますので、むやみに短く切ってしまうと開花しません。開花したツルを覚えておいて残し、他の開花しなかったツルや伸びすぎてしまったツルなどを整理しながら剪定します。中途半端にツルを切ってしまうとそのツルには花が咲かなくなりますので要注意を。

 増やし方は挿し木が一番です。5月から6月が適期です。節を3~4節付けて茎を切り、一番下の葉を取り除き、その部分まで土に埋めます。
 花はツルが伸びてきてからになります。ツルの先端に花が付くまでは葉を楽しみましょう。

画像の説明

 このような感じの植物です。最初は「お気に入りの植物」として購入しますが、最初の花を楽しんだ後、再びツルが伸びだして花を楽しむまでには時間がかかります。
 育てていく過程は普通の観葉植物と同じように葉のみなので、『花が咲き始めた時を見落としてしまう』のです。もし育てるなら、身近に置いて、いつも気にしてあげてください。本当に可愛らしい花を咲かせます。

 サクララン(ホヤ)は園芸品種として流通しているものがいくつかあります。今回紹介した以外にも、ホヤ・カーリーと言って葉がハート形をして、星形の花を咲かせる品種もあります。「ラブラブハート」というネーミングで近年人気があり、園芸店でも見かけます。特徴はハート型の葉と、とても乾燥に強いことです。見かけたら是非、手にとって観察してみてください。



 7月上旬、九州北部も梅雨明けし、同時に連日30℃を超える猛暑日が続いています。
 そんな中の温室巡り。入った瞬間は「涼しい~」と感じました。
 温室内は30℃以上の気温ではなく、27~28℃の気温と湿った空気、「やっぱり暑い」場所ですが、解放された窓から入ってくる風は清涼感を与えてくれ、木漏れ日も心地よい物です。温室内には、夏らしい花があちらこちらで開花していました。
 熱帯ジャングル旅行に行ったようで、ほんのひと時ですが別世界に紛れ込んだような感覚になりました。
 暑いけれど、緑がたくさんあると気持ちが落ち着くのでしょうか。一度体験してみませんか。お勧めです!

 本格的な夏の到来です。
 戸外で花苗などの管理をする際は、昼間の炎天下は避けて無理のない計画を立てて作業を行ってください。水分補給と適度な休憩をはさみながら、少しでも「おかしいな」と思ったら木陰に入り休憩を取りましょう。
 花は枯れても植替えが出来ます。体は壊れたら中々回復はできません。
 どうぞ無理がありませんように夏を乗り切りましょう!

(18/08/01掲載) 

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