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花のコーナー 2018年10月

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花のコーナー

御園 和穂##

2018年10月 夏の終わりに

 暑い夏が終わり、過ごしやすい季節が巡ってきました。
 
 9月には大型台風で近畿から北陸にかけて大きな被害が発生、その後北海道では大きな地震が発生。今でも電気供給が不足気味で不便な生活をおくられていました。ここ北九州も例外ではなく大きな被害がもたらされました。
 ライフラインは「機能して当たり前」の生活をしていますが、TV映像で映し出された夜の闇は「映画の一場面」のようで、次の瞬間には「元に戻る」のではないかと錯覚してしまいそうでした。
 一日でも早い復旧と皆様の心の平穏を願っています。



 今年も暑い夏でした。毎年、暑さが更新されているように感じます。
 10月になって気温も随分下がってきました。これから暑さで弱ってしまった草花も、徐々に復活し元気を取り戻してきます。
 もしも枯れてしまった草花があれば整理をし、「秋らしい」草花をプラスしても良いでしょう。また、冬の草花への植替えもすぐです。少しの間お休みしても良いかもしれませんね。

 今回は、今から晩秋まで開花している秋らしい草花を紹介しましょう。

シュウメイギク

画像の説明

学名:Anemone hupehensis
キンポウゲ科イチリンソウ属(アネモネ属)
原産地:中国、台湾
別名:貴船菊(キブネギク)、漢字名:秋明菊
開花時期:8月下旬から11月
成育高さ:50cmから1m程度

 本州、四国、九州の山野や里山に自生する宿根草です。9月から10月の秋盛りの頃、名前の通り華やかに開花します。
 山野に自生しますが、日本原産の植物ではありません。
 日本へは古い時代に僧侶によって中国からもたらされ帰化した植物で、京都の貴船地域に野生化したものが発見されています。別名の貴船菊(キブネギク)はここからきています。
 野生化しているものが本来のシュウメイギクで、現在のシュウメイギクは品種改良されたものになります。品種も様々ですが、総称してシュウメイギクと呼ばれています。
 野生化しているものは紅紫の八重咲で、その後の品種改良で白の一重やピンク色、黄色などが作られました。
 また、シュウメイギク(秋明菊)は「キク」という名が付いていますが、キク科の植物ではなく、キンポウゲ科イチリンソウ属(アネモネ属)の仲間になります。
 早春に開花するイチリンソウ類やアネモネ類とは性質も異なり、半常緑性大型タイプの多年草で、地中の根は太く長く伸び、根のいたる場所から不定芽を出して増えていきます。

画像の説明

 8月下旬から花茎を伸ばし先端に一輪花を付けます。その後両脇に一輪ずつ、次から次へと開花します。
 花弁に見える部分は色がついてる萼片で、花弁は退化したそうです。
 花後は綿毛に包まれた種が出来ますが、品種によっては種のできないものもあるようです。


←ピンク色と白色のシュウメイギク 

     
【管理方法】
 生育場所は、日向より半日陰を好みます。北側でも大丈夫!ただし、あまり暗くなり過ぎると花つきが悪くなります。
 耐寒性は強く、冬の寒さは平気ですが、真夏の強い日差しと乾燥と蒸し暑さは苦手です。あまり強い日差しと乾燥が続くと葉がカサついたようになり、草丈も十分に伸びず生育が悪くなります。
 やや湿り気のある土壌を好みますが、水はけが悪くジメジメした場所では根腐れを起こします。
 鉢植えの場合は、鉢土の表面が乾きだしたらタップリと水を与えるようにしましょう。地植えの場合は、最初に改良材(腐葉土やバーク堆肥)を漉き込み、水はけを良くしておきましょう。
 春先と秋口に化成肥料を与えましょう。
 鉢物は肥料が切れると花つきが悪くなります。4月~6月、9月、10月まで、月1回の置き肥をお勧めします。真夏はいりません。
 植替えは地植えで4~5年に1回。春か秋に株分けをしながら植替えをします。鉢植えの場合は、根詰まりを起こしやすいので、毎年春先に鉢から抜き取り、株の土を落として新しい土に入れ替えると良いでしょう。
 後は、特に手間のかかる植物ではないかと思います。地植えで株が混み合ってきたら間引きを行います。
 草丈は1m程の高さになります。花壇であれば壁沿いや生垣の手前、樹木の脇などが似合います。
 鉢植えの場合は高くても50cmくらいですからご心配なく!
 春はよく日に当てて、真夏は日陰で育ててください。

画像の説明

 長く伸びた茎の先に咲いた花は放置すると「種」が出来ます。
 一つの花から多数の種ができ、綿毛に包まれた種は一斉に飛んでいきます(写真参照)。
 種を付ければ株が弱ります。開花後、花柄摘みを兼ねて切り戻しを行うと良いでしょう。再度、茎を伸ばし開花します。
 花の色はピンク、白、濃いピンクです。
 秋口から咲く花で、白色は目を引きます。秋には白い花がないわけではありませんが、ピンク色や赤色、黄色などが多いので、シュウメイギクの白は貴重な色だと思っています。~私はですね!~
 漢字表記は「秋明菊」と書きます。菊の花に似ていて、9月から10月にかけて爽やかな花を咲かせることからこの名前が付いたそうです。
 日本庭園や石垣、石階段の脇などによく植えられています。また、茶花としても親しまれています。
 一見、和風のイメージですが洋風の花壇にもよくあいます。背が高くなるので花壇の後方に配置しますが、塀際や樹木の脇など日陰で他の植物が育ちにくい場所でも大丈夫。満遍なく配置しておくと自然な感じで秋の装いが演出出来ますね。

 次はシュウメイギクの周辺に植えても良く似合いそうな~
 

キキョウラン(斑入り)

画像の説明

学名:Dianella caerulea
ユリ科キキョウラン属の半耐寒性常緑多年草(マイナス3℃くらいまで)
原産地:オーストラリア等ディアネラは南半球の海岸等で自生している。
和名:キキョウラン 英名:Flax lily
草丈:50~80cm 

 美しい常緑の葉物。通常見かけるヤブランを3倍くらいの大きさにしたやや大型のタイプです。緑葉、斑入りとあります。

画像の説明

 日向から半日陰を好みます。真夏の強い日差しの下では葉が焼けてしまいます。木の下や岩場の間、ボーダー花壇なら中段の脇などが適してます。
 ギボウシやヤブラン、ニューサイランなどの葉物と同じ扱いになります。
 花は5月~7月です。茎が伸びて小さなブルーの花を咲かせます。
 花壇や庭園の根締めとして、葉物として使い道は沢山です。 

画像の説明

 また、生け花、フラワーアレンジメントでも幅広く使われています。
 庭で眺めているだけでなく、室内のテーブルの上で楽しめることも素敵ですね。

【管理方法】
 置き場所は先に記載したように、日向から半日陰を好みます。水はけの良い土壌を好みますので、植付け前に改良材(腐葉土やバーク堆肥)を混入して土作りをしておきましょう。
 水は土の表面が乾いたら与える程度。根が張れば特別乾燥しない限りは必要ありません。
 施肥は年2回、春と秋に化成肥料を与えます。
 株が大きく育ってきたら株分けを行います。適期は3~4月、もしくは9~10月です。株の脇に子供の株が出来ていれば切り離して増やしていきます。
 シュウメイギクの脇や足元に植えるといい感じになりますよ。



 次はシュウメイギク、斑入りキキョウランの横や単独でも楽しめる~

ポットマム(洋菊)

画像の説明

学名:Dendranthema×grandiflorum
キク科デンドランセマ属
別名:スプレー菊、スプレーマム、西洋ギク、ガーデンマムなど
開花時期:9月~11月 
多年草
原産地:中国
草丈:10cm~50cm程度
花色:白、赤、ピンク、オレンジ、黄、緑、茶、褐色等

画像の説明

 ポットマムは鉢植えのキクのことを指します。 
 1950年代にアメリカで鉢植え用の小さな園芸品種が育成され「ポットマム」という名前で店頭に並びました。
 キクは自然開花する時期によって夏菊、秋菊、寒菊に分けられ、ポットマムは秋菊になります。
 菊の開花は日照の影響を受けます。日が短くなると蕾が出来る短日植物です。切り花のように一年中見ることのできる菊は、人工的に電灯を照らしたり、幕で覆って暗くしたりしながら明るさを調整することで通年開花が可能になりました。
 ポットマムは花色も豊富で背丈も抑えられているので、鉢物で飾ってもいいし花壇の前面もしくは中段に植えて楽しんでもいいでしょう。
 品種にもよりますが、一つの花の直径が3cm~5cm程で、丸いピンポン玉のような形や花弁が尖ったような形など様々です。どうも菊と言うと「お供え用の花」のイメージが強いですが、様々な花の形や大きさなどを活かして面白い組み合わせが可能になります。
 まずは色合いを考慮して他の花との組み合わせから取り組むと良いかもしれませんね。

【管理方法】
 日当たりの良い場所を好みます。用土は有機質に富んだ弱酸性を好みます。花壇に植付ける際には、土壌改良材(腐葉土、酸度調整済のピートモス)を加えておきましょう。
 花が終わったら地上部を切り取ります。その後、株元に冬至芽と呼ばれる、ロゼット化した太い芽が出てきます。
【ロゼット化とは、休眠状態になっている芽ではあるが、生長点は葉や茎の組織を分化し続けている状態の事をいいます。】

 寒さに当たることで春からの生育が始まります。屋外でしっかり寒さに合わせましょう。
 ポットマムは本来の菊に矮化剤を散布して小さくコンパクトに育てたものです。2年目以降は矮化剤の効果が消えてしまい「元の菊」に戻る可能性が高くなります。悪しからず!
 土の表面が乾きはじめたら水を与えて下さい。開花中に乾燥しすぎると花が蕾から開かなかったり、すぐに花が終わってしまいます。
 化成肥料を芽の出る3月から10月いっぱい定期的に与えてください。
 植替えは3月~5月が適期です。掘り上げて古い土を取り除き、枯れた部分を切除して整理します。この時に合わせて株分けもしておくと良いです。
 その後、太く充実した新芽の先を5cm程切り取り清潔な用土に挿します。出来れば発根剤を付けて挿すとなお良いでしょう。用土は乾かさないようにして日陰で管理します。1ヶ月程で苗が出来上がります。
 摘心や切り戻しも行います。適期は4月~7月。摘心や切り戻しで枝数を増やし、背丈も低く育てることが出来ます。また枝数が増えて花数も多くなります。

病害虫:たまに、さび病などが見られます。葉に茶色の斑点が出ます。病葉は取り除き、新芽が出る春先から初夏にかけて殺菌剤を散布しておくと発生が抑えられます。
 アブラムシやヨトウムシなどの害虫が付きます。害虫を確認したら殺虫剤を散布しましょう。
 ポットマムは多少手間はかかりますが、毎年開花します。
 気に入ったポットマムがあれば、一鉢持っていても良いかもしれませんね。



 今回は3種類の植物を紹介しました。
 夏の終わりから園芸店の店先に並ぶ「季節の植物」です。
 一般的な草花のようにある程度長い時期店頭に並ぶものと、特定の季節だけしか店頭に並ばないものがあります。
 花壇や玄関廻り、お庭のディスプレイは一年を通してイメージしてくと良いでしょう。しかし、その都度植物が手に入るとは限りません。
 季節の植物の場合、花壇など屋外での生育可能な気に入った鉢物があれば入手しておき、最初は鉢物で楽しみ、花壇などの入れ替えデザインをする際に加えてみては如何でしょうか。もちろん、そのまま植付けても構いません。
 
 9月、涼しくなってきましたが蒸し暑く、いつまでも気温の高い日が続きました。10月、これからは徐々に寒くなります。
 パンジー・ビオラなどの冬の植替えはもう少し先になります。
 季節も変わり目。つなぎの植物は店頭にたくさん並んでいませんが、お気に入りが見つかるかも。良い季節の到来です。ゆっくり園芸店回りも良いですね。


画像の説明

 こちらはサツマイモの水耕栽培です。
 一か月くらい前から水に浸けてあります。
 緑の葉がニョキニョキ。
 このサツマイモは、この姿で土に植付けても「サツマイモ」はできません。
 伸びている茎を切って、さし芽にすると「サツマイモ」が出来ます。不思議ですね。

画像の説明

 もう一つは葉がなかなか出てきません。
 小さい茎がいくつも出てきていますが・・・
 ずっと眺めていたら~ オタマジャクシ?いや、ウーパールーパーに見えてきました。
 そう思ったのは多分私だけでしょうが(笑)。



 芋類も芽がでて食べられなくなったら、すぐ捨ててしまわないで、緑の葉を発芽させて「しばらく観賞」して楽しんでも良いですね。
 引き出しあけて「何か出てきたら」試してみては如何でしょう!

(18/10/01掲載) 

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