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花のコーナー 2019年03月

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花のコーナー

御園 和穂##

2019年03月 ラナンキュラスとアネモネ

 こんにちは。
 2月は大型寒波の到来で北海道では低温と大雪、関東でも積雪がありました。「暖冬」と言われる年は全般に暖かく過ごしやすい冬ですが、時折寒波に見舞われたり、低温の日には「とっても寒い」と感じてしまいます。
 3月に入ればもう春。百花繚乱の季節到来です。
 秋に植付けをした草花も、冬を過ごして一斉に動き始めます。
 ガーデナーの皆さんもそろそろ春の準備に取り掛かりましょうね!
 
 今回は秋に植えて春に開花する球根植物を紹介します。

ラナンキュラス

画像の説明

学名:Ranunculus asiatics
キンポウゲ科キンポウゲ属 多年草秋植え球根
原産地:中近東からヨーロッパ南東部
別名:ハナキンポウゲ(花金鳳花)
草丈:20~60cm程度


 早春から楽しめる「鉢花」として知られている球根植物です。紙のような薄い花弁が幾重にも重なった花が特徴で、とても美しい姿で目を引きます。
 世界中に500種程が分布していますが、その中で「ラナンキュラス」と呼ばれる花は「ハナキンポウゲ」のことです。
 ラナンキュラスはラテン語で「ラナ」は「カエル」という意味で、この種の多くがカエルが好む湿地帯に生息するからだそうです。ただし、ラナンキュラス・アシアティクスは水はけの良い場所を好みます。

 ラナンキュラスは、本来一重咲きの花だったそうですが、16世紀、イギリスに渡り品種改良がすすみ多くの園芸品種が作られ、その系統は大きく4つに分かれました。
 16世紀にトルコ宮廷で改良された「➀トルコ系(ターバン)」で、花は八重咲きで葉が大きいのが特徴です。さらに18世紀に改良されて現在の改良の基本となるのが「②ペルシア系」で、丈が短く八重咲の中輪で花色が豊富なものが生まれました。
 19世紀にはフランスやオランダで中輪や半八重咲の「③フレンチ系」が生まれました。これをさらに改良したものが「④ピオニー系(ラジオネーリ)」で、大輪のものが生まれました。
 このピオニー系が明治の中頃、日本に渡来しましたが一部の愛好家に栽培されただけで普及されなかったそうです。

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 その後、1960年代後半にアメリカから導入されたラナンキュラスをさらに日本で改良し、シャクヤクの花を小型にしたような「ビクトリア・ストレイン系」が生まれました。花は大きめで花色が豊富です。
 その後、1970年代後半に「ドリーマー系」という、一つの球根から多くの花を咲かせ、茎も長く伸びる「切花用」の種も生まれました。
 現在でも盛んに品種改良が行われています。

 花壇では、スイセンやチューリップ、アネモネ、ムスカリと様々な秋植え球根が育っていますが、地植えのラナンキュラスは見かけませんね。「なぜかしら?」と思われますよね~
 ラナンキュラスは花壇花にならない訳ではありません。
 取り扱いは「秋蒔きの球根植物」ですが、冬の寒さ(霜や雪)に弱いので一般的な花壇に植えられることが少ないです。  
 花壇で楽しみたい場合、初春になると園芸店には緑の葉が茂り、花が咲き始めている苗が並びます。私はそれを購入して花壇に植付けて楽しんでいます。
 そんな中、最近は花壇で楽しめるラナンキュラスが登場してきました。
 もちろん、雪の深い場所や凍ってしまうような場所では育ちませんが、関東以西であれば露地栽培も可能だと思われます。
 2010年代に入り宮崎県の育種家が発表した「ラナンキュラス・ラックスシリーズ」がそれで、当初は切り花用を想定して育てていたそうです。異種間交配でラナンキュラス・アシアティクス以外の血が入ったことにより、花の形や草丈、また最大の難関である生育条件において「耐寒性」という性質が強化されました。

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 当初は「耐寒性」が強い事に気が付かず、他の地域の方が「是非育ててみたい」という事で苗をお分けしたそうです。
 その苗は露地で冬を越して春に開花、その後夏越しして翌年にはさらに大きな株に育ち、多くの花も付けたそうです。
 その結果をもとに、露地栽培でも宿根することが判明しました。


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 2015年には、ジャパンフラワーの「ガーデニング部門」で初めてラナンキュラスが最優秀賞を受賞しました。
 春の花壇に「革命!」とまでは言いませんが、割と草丈も高く、花色も豊富、また一つの球根から多くの花が長い期間咲きます。
 私がラックスにであったのは2年前です。今のところは花壇ではなく鉢植えです。
 左の写真は、昨年の春に開花したポット苗を鉢に植替え戸外に放置、夏越しをさせて昨年の晩秋から葉が展開を始め、2月に入って蕾が伸び始めました。
 株の大きさは倍になりました。実は、夏場に「枯れたかな?」と思い、掘り上げてみようかと迷いましたが放置し様子を見ることにしました。


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 ラックスは、花弁がワックスをかけたようにピカピカしていて艶(光沢)があります。蕾から開き始めた花弁は満開までの間に少しずつ色を変化させます。これも特徴の一つです。
 また、茎が長いので蕾の段階で切花としても楽しめます。しっかり開花します。
 春の花壇は、パンジーやビオラ、ストックやキンギョソウなど華やかですが、長く伸び、花色も豊富なラナンキュラスはこれからの花壇に変化をもたらしてくれるかも知れませんね。
 前述していますが、一般的なラナンキュラスも今の時期から花壇に植えて楽しめます。ご心配ならプランターに植えて、花壇の中に置いて楽しむ方法もあります。



【育て方】
 球根は秋になると園芸店で見かけます。

画像の説明

 少しグロテスクですが、写真のような姿で販売されています。
 球根は根が肥大したもので、塊根といいます。サツマイモやダリアなどが同じ形態です。
 球根を購入する際には品種を確認してください。
 花壇に植える場合は、一般的な品種を発芽させ、寒さを避けてからの植付け、もしくは最初から鉢で育てましょう。
 球根はカラカラに乾燥しています。植える前に一晩給水させてから土の中に植付けます。給水の方法は、球根を濡らしたペーパーで包み一晩置きます。
 植付け場所に関しては酸性土壌を嫌い、水はけの良い場所を好みます。植付けの時期は11月一杯です。(北部九州地域であれば12月上旬でも大丈夫)

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 タコの足のような部分が下になります。黒のビニールポット(9cmポット)に1球ずつ植え、発芽するまでは土を乾かさないよう育てます。
(ポットの表面を触って、指先に少し土がつく程度の湿り具合がベターです)
 発芽は幾つも茎が伸びるのが一般的です。
 この葉がポットの中一杯に広がり出したら植替えの合図です。4~5号鉢かプランターへ植え替えます。
 植替え後の鉢の中の茎がさらに大きく育ち、蕾が見え始めるころまで待ってから花壇に植えます。

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 開花は早ければ3月下旬から5月上旬くらいまでです。
 開花後、品種にもよりますが花が低い位置で開花するものは小まめに花柄摘みを行います。他の品種も花弁が落ちる前に茎の一番下から取り除きます。
 花弁が落ちて放置されると病気の発生につながります。
 一つの球根から次々と蕾が出来て長く花を咲かせ続けます。
 その後気温が少しずつ上がってくると、花は咲かなくなり葉が間延びし、少しずつ茶色くなってきます。そのまま土の中に置いておくと球根が腐ってしまいます。(上記のラックスシリーズは大丈夫です)
 茶色くなった茎を引き抜き、球根と茎の付け根の部分を手で折ります。
球根の回りの土を落とし、大きな球根には子球根が付いていることがありますから、この時点で子球根が付いていれば分けてしまいます。
 その後、球根を水洗いし、球根用殺菌剤に2~3分浸けて天日干しして十分に乾燥させます。
(※球根用殺菌剤は、わざわざ施さなくても大丈夫です。お持ちの方はご使用ください。)
 乾燥後は紙袋などに入れて、風通しのよい、乾燥している涼しい場所で保管してください。
 ただし、ここまで十分に処理が出来たとしても、日本の高温多湿の梅雨から真夏の間に球根が腐ってしまうこともあります。悪しからず!

アネモネ

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学名:Anemone coronaris
キンポウゲ科アネモネ属 多年草球根植物
原産地:地中海沿岸
別名:牡丹一華(ボタンイチゲ)、紅花翁草
草丈:30cm前後

 日本では、アネモネを花壇で見かけることは少ないように思います。一般的では無いのかもしれませんね。自生地の南ヨーロッパでは、野に咲くアネモネがひと際目を引きます。実際に見たことはありませんが、写真を見せてもらったことがあります。真っ赤なアネモネが今でも目に焼き付いています。
 試しに花壇に植えたこともありますが・・・自然の美しさにはかないませんね。それでも~手前味噌ではありますが、私の植えたアネモネもそこそこ綺麗でした。

 さて、一般的には16世紀ころから花壇に植えられるようになったそうです。
 英語では「風の花」、ドイツ語では「風のバラ」と呼ばれ、春風に花茎がなびく姿に重なったのでしょう。
 アネモネは古くから人との関わりが深く、神話や伝説にも登場します。
 ギリシャ神話では、『美しい青年アドニスが狩りの途中にイノシシに襲われて死んでしまいます。その時、彼から流れた血がアネモネになった』お話や、『十字軍が遠征の際に持ち帰った球根を修道院に植付けたところ、真っ赤なアネモネが咲いた。これは亡くなった兵士が流した血が・・・』などがあります。
 また古代ローマ時代には「妖精の花」と呼ばれ、不思議な力が宿る花として信じられ、熱病の魔除けなどに用いられていたという記録があります。
 アネモネは15世紀から18世紀にかけてイギリスとオランダの育苗家の間で品種改良され優れた園芸種が生み出されました。その中でも優秀なアネモネの品種は大変高額で取引されていたそうです。
 17世紀に入ると、絵画の世界でもアネモネが題材になった作品が多く作出されました。ルノワールやゴッホがアネモネを描いていることは皆さんもご存知かと思います。
 アネモネは、長い時代を通して幅広く人々に愛されてきた花なのですね。

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 葉はニンジンのような細かい切れ込みがあり、その葉の間から茎を伸ばしてその先に花を1つ付けます。
 花弁に見える部分は萼片で、一重や八重などがあります。
 花色は、赤や白、青、ピンク、紫などがあります。中央の球状になっている部分は濃い青色の雄しべと多数の雌しべです。(写真参照)
 12月に球根を植付け、翌年の2月くらいから葉が展開してきます。

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 発芽には少し時間がかかりますが気長に待ってみてください。その後、春先になると茎を伸ばして花を咲かせます。
 夏前には地上部は枯れて無くなり、塊根の状態で夏を過ごし、秋に芽を出し生育を始めます。
 水はけと日当たりの良い場所に植付け、多肥にならないように管理をすれば植えっぱなしで何年も開花します。また株も大きく育ちます。


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 最初の植付け時の球根の扱いはラナンキュラスと一緒です。
 球根は干した梅干しのような姿です。(写真参照)
 まずは、一晩湿ったペーパーで包み、ゆっくり吸水させます。球根がゆっくり水分を吸収して膨らみます。 
 その後は鉢やプランター、花壇に植えていきます。
 球根の形が独特です。チューリップやムスカリ、クロッカスなどの球根は突起のある方を上向きに植えますが、アネモネは尖っている方が下になります。形は様々ですから、分かりにくければ寝かせて(横にして)植えてください。
 
 ラナンキュラスやチューリップに比べると手間は殆どかかりません。
 これからの一時期、芽出しのポット苗を見かけたら育ててみては如何でしょうか。

 今回は2つの球根を紹介しました。
 今まで紹介した球根に比べると1つの球根から沢山の花を咲かせるタイプのものです。少し手間がかかりますが毎年楽しめる植物です。
 花壇やコンテナの中に仲間入りさせてみては!お勧めです。

 今回はラナンキュラスを取り上げました。
 実は学生の頃からなぜか苦手な花でした。葉の間からポッテリとした花を咲かせ、スッキリした感じがなかったのか?今思えば理由はわかりません。
 今はとても好きな球根植物に変わりました。歳を重ねて、好みがかわってきたのでしょうか~
 ラナンキュラス・ラックスを2鉢増やしました。
 折れてしまった蕾も切り花で咲き始めました。
 数年は鉢で株を大きく育てて花壇へ。観察をしながら楽しみたいと思います。   

(19/03/01掲載) 

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