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花のコーナー 2019年06月

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花のコーナー

御園 和穂##

2019年06月 初夏に咲く花

 6月、気温も高くなり梅雨の季節到来です。
 暦、二十四節気の一つに「芒種(ボウシュ)」があります。6月に入り夏至までの15日間のことで、稲や麦の種を蒔く時期とされ、現在では田植えの時期になります。ホタルが飛び、梅の実が黄色く色づき始める頃ですね。
 梅雨入り間近。近年は激しい嵐のような大荒れの天候が続きます。
 以前の『それほど雨足の強くない絹糸のような雨が降り続き、時折薄日が射す』ような穏やかな梅雨であってほしいですね。
 
 植替えが終わって1ヶ月が経ちます。夏の草花が艶やかに咲き乱れていることでしょう。
 今回は5月頃から開花し、真夏までの花を紹介しましょう。

ジギタリス

画像の説明

学名:Digitalis purpurea L.
オオバコ科(ゴマノハグサ科)ジギタリス属
一年草、二年草または多年草(低木になる品種もある)
別名:狐の手袋
英名:Foxglove
開花時期:5月中旬から9月
原産地:地中海沿岸を中心に中央アジアから北アフリカ、ヨーロッパ

 高さ120cm程になり、花茎の先から片側に30cmから50cmに下垂する花(ベル形)を付け下から順に開花します。蕾の状態の花序は上を向いてますが膨らんでくると垂れ下がってきます。1つの花の長さは5cm程。花色は主に紫紅色で、近年では白色やピンク色、オレンジ色、黄色、茶色もあります。
 すらりと伸びた茎姿は花壇に欠かせない植物の1つです。本来宿根草ですが、耐暑性が弱く、暖地の場合は木陰や半日陰でも真夏に枯れてしまうことがあります。多くは二年草として育てています。

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 開花するためには、苗がある程度の大きさに生育し、冬の低温にあうことで翌春開花します。
※二年草とは:1回の生育サイクルが2年を要する植物のこと。播種もしくは苗を植え、1年目は葉、茎、根の栄養器官を形成してその後休眠する。2年目の春、もしくは夏に開花する。
 全草に毒性があります。現在では使われていませんが、
薬用植物として知られています。
 「心臓を丈夫にしてむくみを取り除く薬」として世界的に有名な薬だったようです。作用の激しい苦い成分があり、副作用もあるので飲食は避けてください。


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 また、ジギタリスの葉とヒレハリソウ(コンフリー)の葉が似ています。
 ヒレハリソウも薬用植物で根や茎を採取し干して使用します。湿疹やかぶれ、あせもにきき、整腸作用もあるようです。一時期ブームになったことがありました。
 私の実家にもヒレハリソウが植わっていて、母から指示が出ると葉の採取は私の仕事でした。
 我が家では、天ぷらやあえ物で食べていたと思います。決して美味しい「葉」であったかどうかは・・・。
 どちらも「葉」がよく似ています。誤食を避けるには生の葉を少量噛んでみると、ジギタリスは苦味があります。そのまま唾液と一緒に吐き出してください。害はありません。
 ジギタリスの薬は18世紀後半から心不全などに使用され、また神経疾患に用いられた時期があったようです。
 ご存知のゴッホの作品には緑の草原を黄色で描いていたり、代表作の「ひまわり」も黄色のみで描かれています。彼は、処方されていた薬(ジギタリス成分)の副作用で「黄視症」だったという説もあります。

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 現在開花中(冒頭の写真)のジギタリスは、植えてから3年目を迎えました。一時期「枯れるかな~」と思いながらも、環境が良かったのでしょう。沢山の花を咲かせてくれています。
 多年草としてこれからも育てていきたいと思っています。
 合わせて、5月に違うジギタリスの苗も植えました。今のところ順調に生育しています。夏を越して冬の寒さを経験し、来春に開花したら報告しますね。
 同じ二年草で、昨年の春に紹介したカンパニュラ(フウリンソウ)が咲き始めました。

画像の説明

 丸一年、ゆっくりと生長しながら高さ1mほどに育ちました。
 全体の半分に花と蕾が沢山ついていて、観賞用、切り花として楽しめますね。
 カンパニュラは花が終わると枯れてしまいます。この後、苗が手に入り次第来年に向けて育てていきたいと思っています。長い間育ててやっと開花。やっぱり愛おしいですね♪

 次の植物は。



オルレア

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学名:Orlaya grandiflora‘White Lace’
セリ科、オルレア属の一年草扱い
原産地:ヨーロッパ
別名:オルラヤ、ホワイトレース
英名:Orlaya
草丈:30cm~1m
花色:白  
開花時期:4月~7月


画像の説明

 春から初夏にかけて開花する、優しいナチュラルな雰囲気が人気の植物です。
 白くレースを編んだような花を咲かせ、細かく切れ込んだニンジンの葉に似た柔らかい葉に観賞価値があります。
 花茎を伸ばして先端に多数の小花を咲かせます。
 本来は多年草。夏の高温多湿が苦手なので真夏には枯れてしまいます。よって、一年草扱いで育てます。
 開花時期は長く、花付きも良く、切り花でも楽しむことが出来ます。

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 白いレースのような花は、単独でまとめて植えても美しい姿で見ごたえがあります。また、白い花なので他のどのような色合いの植物とも調和します。
 花壇では大活躍してくれる植物の一つです。
 私は1990年の大阪で開催された花博で初めて出会いました。通路沿いの緩やかな丘の植物の中にあったように記憶しています。
 その後ずっと忘れていました。
 数年前、私の講座の生徒さんから「名前がわからない植物があります。育てて名前を教えて欲しい」と言われ、苗を渡されました。実は葉では判断が出来ませんでした・・・。
 花が咲き始めて~「オルレア」と判明。こぼれ種で育ちこの時期になると開花しています。
 花苗は春先に園芸店で販売されています。最初は苗を購入されて育ててください。増やすには種を採取もしくは花壇内でのこぼれ種を期待するか、秋に種を購入し播種する方法があります。

 育て方は~特に手はかかりません。
 秋に播種した場合は、寒くなる前にある程度の大きさの株に成長させて冬を越すようにしましょう。
 極端な寒さで枯れてしまう恐れがあります。その場合はマルチングをして冬を越させてください。 
 清楚な白い花。この季節だけの植物です。見かけたら是非育ててみては如何でしょうか。

 今回最後は。

アマリリス

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学名:Hippeasutrum ‘red peacck’
ヒガンバナ科ヒッペアストロム属の半耐寒性物
原産地:南アメリカ
開花時期:1月~6月

 以前にも紹介した「アマリリス」が咲きました。レッドピーコックという名で千葉県の園芸家が作出した濃赤色の品種です。
 現在は多彩な園芸品種があり、大きく3つに大別されています。

・在来系:駐輪剣弁タイプでとても強健で花壇などにも利用されます。花色は主に赤と赤地に白もしくは白地に赤の絞りが入るもの。

・ルドウィヒ系:巨大輪タイプで、もっとも豪華な品種の系統です。花径は20cmを超えるものもあります。欧米人向けの花として豪華に作られたと言われています。

・グラシリス系:小輪多花性の品種。グラシリスとは「細長い」の意味で、茎も葉も細長く作られています。花径は10~15cm程で可憐な風情を醸し出しています。

 第二次世界大戦までアマリリスの交配は種子繁殖が主でしたが、オランダの研究所によって栄養増殖を確立・実用化し、「栄養系」と呼ばれる品種が生み出され現在に至ります。近年では組織培養技術を駆使して大量増殖も可能になったと言われています。
 気品のある何とも言えない風情の花で、世界中の園芸家から愛されている植物の一つです。これから先も最先端の技術によって新しい品種が生まれてくるのでしょうか。これからも目が離せないですね♪

画像の説明

 春先にアマリリスのレッドピーコックの球根を植付けました。冒頭のアマリリス冒頭の写真は、今は枯れているこの花です。
 茎も伸びず、小ぶりの花が咲いて、開花した花の後ろ手に蕾があったので「咲くかな~」と思っていたら枯れてしまいました。
 その後、放置していたら・・・また花芽が伸び始めました。このまま暫くは見守ります。
 「えっ、これで終わりなんだ~」と少し寂しかったのですが、喜びが通常の二倍になったように感じてます♪


画像の説明

 もう一つの鉢は・・・今年で4年目かしら?開花後2年放置されたアマリリスが我が家へ来ました。 
 一昨年から肥料を与え続けて生育を促し、昨年も葉は10枚以上展開したので、「今年は咲くな~」と待ち望んでいましたが・・・。やはり葉しか伸びませんでした。
 こうなると意地になる!
 来年は是が非でも花を見たいものです。植物の神様は「育てる楽しみ」を私に与えてくれたのかもしれません(笑)。俄然頑張ります‼

 
 花壇は花盛り。花柄摘みをしながら次から次へと開花させていきましょう。気温が高くなるので水やりや除草も大変ですが、「ついで作業(水をかけながら気が付いたら草も抜く、気が付いたら花柄も摘む)」を小まめにおこなってみては如何でしょうか。

 梅雨明けを目安に本格的な夏が来る前に「切り戻し」の作業をして、出来るだけ「スッキリ風通しよく」して夏越しをしましょう。

 草花の夏への準備は万全ですが、自分の体の準備は如何ですか?急に暑くなったり、日差しが強くなったり。
 「体調がおかしいな~気分が悪いな~」と感じたら、まずは休むことが一番。決して無理をしないでくださいね。 

(19/06/01掲載) 

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