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花のコーナー 2019年07月

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花のコーナー

御園 和穂##

2019年07月 ジャカランダと夏の花

 今年は梅雨入りが遅かったので、もう暫くは雨とのお付き合いですね。
 すでに5月には30℃を越す日が続き、昨年同様暑い夏のようです。
 
 さて、花壇やコンテナの花苗の様子は如何でしょうか?今月の中旬には花がら摘みと合わせて切り戻し作業も加えて、出来るだけ草花も風通しよく真夏を越せるようにしてあげましょうね。
 
 今は、もうすでに花は終わっていると思われますが、梅雨入り前に開花していた珍しい花木を紹介しましょう。


ジャカランダ

画像の説明

学名:Jacaranda mimosifolia
ノウゼンカズラ科キリモドキ属
落葉高木 
原産地:アルゼンチン
別名:キリモドキ
和名:紫雲木
開花時期:5月~6月

 南米に約50種類が分布する樹木で、現地では街路樹などで広く利用されています。
 熱帯・亜熱帯性の樹木なので、日本国内では見かけることは少なく沖縄県や宮崎県日南市、静岡県熱海市に見ることができます。

画像の説明

 他以外では、東京の夢の島熱帯植物園の熱帯植物館内でも見ることができます。
 最近は、観葉植物として鉢植えで見かけるようにもなりました。
 樹高は2m~30mほどになる花木で、開花時期は5月から6月の比較的カラっとした梅雨前です。
 ジャカランダは、青紫色の小花を房状につけて開花します。花は樹木の先端に付き、真夏の青空に霞のように青紫色の煙に包まれた姿に見えるそうです。和名の「紫雲木」はこのような姿から名付けられたようですね。


画像の説明

 ポルトガル、リスボンでは町中にジャカランダの木が植わっていて、初夏になると町が青紫一色に染まるそうです。
 ポルトガルの大航海時代にブラジルから持ち帰ったと言われています。緑豊かな南米の地で青紫色の花が人々の心の中に浸透したのでしょう。
 ジャカランダの花は、散って地面に落ちた後も石畳や歩道に敷き詰められた絨毯のようになりとても美しいそうです。
 日本の「桜」の姿に似ていますね。
 現地では乾期に落葉して、乾期の終わりから雨期に入るころまで花を咲かせるようです。
 実はジャカランダの栽培方法や開花のメカニズムは未だよく分かっていないのです。

画像の説明

 日本では、晩秋から冬の間の寒さに合わせて落葉し、春先から新芽が展開したあと初夏に開花すると言われています。
 また、観葉植物の場合、実生から開花まで20年程を要するとも言われ、早く花を観賞したい時は接ぎ木苗でないと開花しないとも言われています。
 写真のジャカランダは接ぎ木苗で数年経ったものだそうです。(高さ2m程度です)
 私も北九州市内でみるのは初めてで、少し感動してしまいました。
 栽培方法が書かれている書物は少ないですが、花を咲かせた株は花後に切り戻しを行います。その後に伸びた新しい枝に来年開花するようです。
 花芽分化は夏の終わりから秋の初めにおこなわれると思われます。よって夏以降の剪定は避けます。

画像の説明

 観葉植物として育てる場合は、開花している株であれば花後に剪定を施します。ただし、来年開花するかどうか?は確約できませんが~
 ジャカランダは葉だけでも素敵な植物です。
 若木や「花はいつか咲けば~」で、気長に育てることが出来る方は、伸びた茎の先端を適宜切りながら育てて下さい。
 生育期間の5月~9月一杯は戸外で育てられます。10月~4月一杯は室内のカーテン越しの日の当たる場所で生育させてください。肥料は生育期間の5月~9月まで与えます。
 水は生育期間中、土の表面が乾いたらタップリ与えてください。室内へ取り込んだら徐々に少なくし真冬は乾燥気味に育ててください。
 鉢植えの場合は根が張って根詰まりを起こすので、早めに植替えをしましょう。その際、傷んだ根は取り除き、株廻りの土を軽く落として新しい土に植替えましょう。適期は6月です。
 最低気温0℃までは耐えられるようです。防寒対策をとれば露地植えでも大丈夫だと思います。(枝の太さが直径3cm以上のもので)
 実際に熱海や宮崎で開花しているのですから~きっと大丈夫でしょう!

【ご紹介】
・宮崎県|ジャカランダの森:宮崎県日南市南郷町(宮崎県総合農業試験場内)
 日本で唯一のジャカランダの群生林があります。1000本のジャカランダが植えられています。

・静岡県|熱海市ジャカランダ遊歩道:静岡県熱海市東海岸町(お宮緑地内)
 熱海駅からほど近い海岸線沿いに遊歩道があり、そこにジャカランダが植えられています。
 開花時期に合えば~見る価値はあるかもしれませんね♪

 
 余談ですが。 
「世界三大花木」をご存知でしょうか?
 それは、はカエンボク、ホウオウボク、ジャカラダの3種類です。

画像の説明

 どのような基準で選ばれているのか?「生命力がありたくましい花木」だそうです。

    カエンボク          ホウオウボ

 これらの樹木は大きく育ちたくさんの花を咲かせ、見るもの誰もが生きる希望になるような力強さを感じさせてくれる花木なのでしょう。
 北九州に住む私達には、この三大花木をなかなか見ることは出来ません。
 特にジャカランダの青紫色は印象的なので、まずは熱海か、日南か、いや思い切ってポルトガルに行ってしまうか!考えるだけでワクワクしてしまいますね。

 珍しい花木の後は・・・これからも長く楽しめる珍しくはありませんが、夏の草花を紹介しましょう。



コリウスとジニア・プロフュージョン

コリウス

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学名:Coleus
シソ科コリウス属 一年草扱い
原産地:東南アジア
別名:ニシキジソ(錦紫蘇)
鑑賞期間:5月~11月

 コリウスは葉を観賞する草花です。葉の色は多種で様々な草花との組み合わせは抜群です。初夏から晩秋まで長く楽しめます。
 近年、花壇用に背が高くダイナミックな品種も出てきました。本来は種子系という種から生育させた小柄な品種が主流でしたが、今は栄養系といって挿し木によって増やす大柄な品種が人気になっています。
 特に栄養系は花が咲きにくく、先端を抑えながら(摘芯をする)のスタンダード仕立ても可能になりました。
 日当たりと風通しのよい場所で育てます。真夏は陽ざしが強いと葉の色があせますが、遮光が出来ない場合は秋になって切り戻しをして新しい葉を出させましょう。
 背が高くなり、株が大きくなると水を欲しがります。萎れないよう注意してくださいね。
 肥料は適宜与えてください。また生育期間中、10cm程に切り戻した茎を水はけのよい用土に挿しておくと苗が出来ます。水差しでも割と簡単に発根します。好みのコリウスを増やしてみてください。
 コリウスはコンテナやハンギング、花壇と万能に使える草花です。これから他の草花の中に加えてみては如何でしょうか。

ジニア・プロフュージョン

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学名:Zinnia
キク科ヒャクニチソウ属(ジニア属)
一年草
原産地:メキシコを中心に南北アメリカ
和名:ヒャクニチソウ(百日草)
開花期間:5月~11月

 
 現在、ジニアは花壇やコンテナ、ハンギングなどに適した小型の品種が沢山ある園芸品種ですが、ひと昔前はヒャクニチソウと呼ばれ(今でも呼びます)、大柄の花で草丈も高くお盆や供花として親しまれていました。
 名前の通り、開花期間が長いのと花も長く咲き続けることから「百日」と言われています。昔ながらの大きな花を咲かせるエレガンス、小花を付けるリネアリス、エレガンスとリネアリスの種間雑種のプロフュージョン、花弁の色が覆輪のメキシコヒャクニチソウ(ハーゲアナ)など豊富なラインナップがあります。
 日当たりと風通しのよい場所で育てます。夏の暑さは大好きですが乾燥しすぎると花が小さくなります。出来れば萎れる前には水をタップリ与えてください。
 昔タイプのエレガンスは、雨に当たると病気が出やすくなります。
 花柄摘みや切り戻しを小まめに行って長く花を咲かせましょう。エレガンスのような背の高いタイプは、花がら摘みを兼ねた切り戻しをし、花から2~3節下で長めに切り戻します。脇芽が伸びて再度開花します。リネアリスやプロフュージョンは終わった花を取り除き、8月中旬くらいに伸びた草丈を半分くらいの位置で切り戻します
 秋から再び沢山の花を咲かせてくれます。また、1株が横に大きく広がるので植付ける際は間隔をあけて植えてくださいね。



 夏に当たり前の2品種を紹介しましたが、この2品種の組合せでコンテナや花壇はイメージが変わるんですよ。

画像の説明

 写真は、春先までデージーを植えていたコンテナです。デージーを抜いてコリウスとジニアを同色で植えてみました。その他は後方にシルバー系のエレモフィア・ニベア(初夏に紫の花を咲かせる)とヤブランの斑入りを足元にあしらってみました。
 自分では夏らしい感じがとても気に入っていますが如何でしょうか。
 色合いで組み合わせる場合、様々な色が集まると賑やかで明るいイメージになり、同系色だと色によってシックになったり華やかになったりと楽しめます。特にコリウスなどの葉ものだと色のグラデーションも楽しめるのでワンランク上の楽しみ方が出来ると思います。

 まだ暫くは雨とのお付き合いが続きます。鬱陶しい季節、身近にある草花に少し変化を加えて目先を変えてみませんか?
 白系やブルー系、シルバー系の組合せで涼しい雰囲気を。赤系、オレンジ系とグリーンのエキゾチックな組み合わせ、黄系とグリーンの爽やかな組み合わせ、どれも素敵ですね。
 花の色も考えますが、植えつける容器、コンテナも思い切って真っ赤な鉢や黄色い鉢など様々な色合いの鉢もあります。
 夏本番目前に草花と葉もの、気に入った鉢もあれば一緒に楽しんでみませんか!

 それと、この季節にはいつもの一言。ともかく暑い季節です。作業をする際は涼しい時間に、決して無理はしないでくださいね!

(19/07/01掲載) 

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