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花のコーナー 2020年12月

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花のコーナー

御園 和穂##

2020年12月 一年を振り返って

 今年も最後の月を迎えました。街中、イルミネーションが点滅し華やいだ雰囲気です。
 今年は、春先からのコロナ禍で、いきなり「自粛生活」、後半は「今までにない生活様式」としてイベントや仕事も「リモート」による遠隔操作や、人との接触もマスク着用と間隔をあけての関わりが一般化しました。
 12月は旧暦でいう「師走」という言葉もありますが、ゆったりと春が来るのを待つ「春待月(ハルマチヅキ)」とも呼ばれます。今年の最後は慌ただしく走り回るのではなく、ゆっくりと年の瀬を迎えたいですね。
 
 今回はこの一年を振り返ってみようと思います。
 コロナ禍のもと自分で植物を育てたり、自粛中は家族で散策に出かけたりと今までになかった景色が多く目にとまりました。私の元にも「写真による植物同定」が多く寄せられました。それらの植物を紹介しようと思います。
(一部は以前に紹介しているかも知れません!)



≪公園の入り口のコンテナに植えてあった植物≫
レオノチスセージ

画像の説明

学名:Leonotis leonurus
シソ科 レオノチス科(カエンキセワタ属)
常緑低木、一年草・多年草
英名:Lion’s tail、 wild Dagga
別名:カエンキセワタ(火焔被綿)
原産地:南アフリカ

 日本には最近入ってきた植物で、晩秋に輪生(輪を描くように花を付ける)しオレンジ色の花を咲かせます。
 開花時期は10月~12月で、高さ1.5m~2.0mと直立性大型のタイプです。
 「レオノチスセージ」と呼ばれていますが、サルビア属の植物ではありません。


画像の説明

 花は上向きでロート状です。これは長いクチバシの昆虫や鳥が蜜を吸う際に花粉が付きやすい形をしています。花が輪生していることから蜜を吸うにも移動が少なく、姿は奇抜ですが合理的な作りとなっているようです。
 花は触ってみるとビロードのような感触です。フワフワして気持ち良いです。


画像の説明

 英名のLion’s tail(ライオンの尻尾)はなぜかな?考えてみました。
 レオノチスの直立している姿とライオンの尻尾を比べてみると、似ているような~(笑)

 植物の名前の由来は実に面白いものです。
 学名だけでなく英名、和名などもひも解いていくと、観察の鋭さやそこからの想像や発想の凄さに驚きます。

 もう一つの英名のWild Daggaは「野生のマリファナ」と呼ばれます。
 レオノチスは南アフリカの伝統的な薬草で、咳、風邪、感染症、糖尿病、高血圧、湿疹、便秘に効果があり、蜘蛛やサソリ、ヘビに噛まれた傷への特効薬になるとのことです。
 「野生のマリファナ」は、当時、アメリカ大陸以外にはタバコの原種がなく、タバコとしてレオノチスの葉を乾燥させて喫煙していたことに起因しているそうです。
 どのようなタバコであったのか?煙は不快で、肺やのどを刺激するようなものであったと言われています。
 また、この薬草は大量に摂取すると人体の器官や赤血球・白血球に悪い影響を与えるそうです。観賞用として楽しみましょうね。

 種類も数種あり、初冬に開花するタイプには芳香があるそうです。また、最近の品種では白い花を咲かせるものもあるようです。
 生育環境において、水はけが良ければ土壌は選ばず、日向で良く育ちます。開花が秋なので、夏の間に勢いよく伸びてきます。
 関東以西であれば、戸外でも越冬可能です。霜が降りそうなときは養生をすれば大丈夫です。
 開花後、上部が枯れてきたら地際で切るか、枯れずに翌年まで残れば、6月に切り戻します。そうすることで背丈が抑えられますよ。
 挿し木で増やせます。5~6月に新芽を採取して挿します。肥料もあまり必要としません。
 今回、初めて出会った植物です。
 花壇で使用する場合なら後方に植付けます。鮮やかなオレンジ色は印象的なイメージを与えてくれます。後は、大型のコンテナでコンパクトに育てると良いでしょう。


 
次は≪空き地一面に開花していた植物≫
ポンポンアザミ

画像の説明

学名:Campuloclinium macrocephalums
キク科 カンプロクリニウム属 多年草
英名:Pompom weed
別名:香りアザミ
原産地:南アメリカ

 茎は直立し、高さ1.2~1.3mになる多年草の植物です。
 茎の先端に薄い桃紫色の花を咲かせますが分岐はしません。蕾は筒状で開くとボール状になります。
 花の姿がアザミに似ているため、一部の園芸店ではニオイアザミという名で誤って販売していたそうです。ポンポンアザミには殆んど臭いがありません。

 北アフリカ、オーストラリア、西アジアなどに帰化し問題になっているそうです。日本国内でも、愛知県では「自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例」により生態系に著しく悪影響を及ぼす恐れのある移入種として取り扱われています。

 こちらも初めての植物でした。最初はアゲラタムの仲間なのかと調べ始めて、ポンポンアザミにたどり着きました。
 写真からすると「愛らしい」雰囲気で、育て方も難しくはなく地下茎で伸びていくタイプです。花壇で「手間いらず」かも~と喜んでいましたが、まさか「侵略的外来種」で生態系に悪影響を及ぼす植物とは思いもしませんでした。
 皆さんの地域で見かけたら、除去する方向で考えて下さい。種が出来ていても増やさないようお願いいたします。



次は≪野山の散策中に見かけた樹木≫
シナアブラギリ(支那油桐)

画像の説明

学名:Aleurites fordii Hemsl.
トウダイグサ科アブラギリ属 落葉高木
別名:オオアブラギリ
英名:Tung-oil tree Chinese wood-oil-tree
中国名:油桐(you tong)
原産地:中国 ベトナム、ミャンマー

 種子から採取できる油は、提灯や雨傘の和紙に染み込ませる防水材、その他塗料や印刷用として用いられます。種子には毒性があるので、食用にはなりません。
 現在は、油採取用として栽培されていたものが暖地の山野で野生化しているそうです。
 写真は福岡県の山間部を散策中、地面に花がたくさん散っていたので気が付いたとのことでした。
 花時期は5月~6月。雌雄同株で雄花、雌花は別々に開花します。毎年たくさんの花をつけ、雄花は萎れる前に落下するそうです。よって受粉は限られた花のみになるのかもしれませんね。

 日本には、300年前に「アブラギリ」が渡来し、油採取のための栽培が始まります。その後再度中国から「シナアブラギリ」が伝えられました。
 アブラギリと同じ仲間で中国からきたので「シナアブラギリ」と命名、アブラギリより花も実も大きく採取できる油の質も良く、現在ではシナアブラギリの方が一般的です。
 ちなみに「~ギリ」という名は、シナアブラギリの葉が「桐の葉」に似ているからだそうです。もちろん「キリ」の仲間ではありません。
 野山の散策中に、目線を上に向けることはあまりありませんが、足元に落ちている「花」で気が付くこともあります。足場に問題のない場所であれば、キョロキョロと見渡しながら散策することで出会える植物もあるかもしれませんね。



次は、≪駐車場のフェンスに絡まっていた植物≫
センニンソウ(仙人草)

画像の説明

学名:Clematis ternifolius
キンポウゲ科センニンソウ属
常緑つる植物の多年草
別名:ウマノハオトシ ウシクワズ
分布:中国中部、台湾、朝鮮半島、日本全域(日本の温帯地域から亜熱帯まで)

画像の説明

 センニンソウは、夏になると日当たりの良い道端や藪の中に、たくさんの白い花を咲かせている姿を見かけることがあります。
 開花時期は7月から初秋にかけてです。
 可愛らしい花ですが、茎や葉の切断面から出る汁や雨上がりの濡れた花粉に触れると炎症を起こさせる有毒植物で、別名のウマノハオトシ(馬の歯落とし)、ウシクワズ(牛食わず)と呼ばれています。
 海外では生薬として使用されている地域もあるようですが、日本は漢方生薬として活用されていません。決して民間薬として飲用はしないでくださいね。
 花後には種が付きます。
 種子には、白い毛が付きます。この毛によって種子は風にのり遠くまで飛来できるようになります。
 ちなみに「センニンソウ」の名の由来は、種子の毛が「仙人の髭」を思わせることから付いたそうです。


画像の説明

 合わせて、類似の植物で「ボタンヅル」という植物があります(写真参照)。

ボタンヅル
学名:Clematis apiifolia 
キンポウゲ科センニンソウ属 
落葉つる植物の多年草

 センニンソウと同様、山地や野原に普通に生息していて、有毒植物です。
 センニンソウと厳密にはかなり違いはありますが、慣れないと区別しにくいかも知れません。
一番の区別方法は葉の形でしょう。
 センニンソウは全縁で先が尖った卵型楕円形、ボタンヅルは小葉に切れ込みがあり不揃いの鋸葉で「ボタンの葉」に似ています。
 見かけることがあれば、触らないで観察してみてください。もしも、茎や葉から出る汁が皮膚に付いたらすぐに洗い流してくださいね。多少の被れはあるかも知れませんが、酷くはならないと思いますよ。
 
 ところで今年も「植物の同定」の問い合わせを沢山いただきました。
 実際に、すぐ判明するものや、時間をかけて調べないと分からない植物もたくさんあります。

 近々で一番難しかった質問は、「サボテンの品種名」の問いでした。
 育てているサボテンの写真が数十枚送られてきて「品種名」を教えて欲しいとのこと。
 サボテンの本と首っ引きで調べましたが、すべて同定できない!
 時間をかけて調べ、専門の方にも尋ねましたが、近いところまではわかるのですが確定できません。分かったものもあれば分からないものもありましたが一応回答をしました。依頼者は、回答にご不満のようでしたが、品種の同定は、サボテンの専門家でもかなり難しく、今後は、購入時「ラベル」の保管、もしくは「品名の確認」をして欲しい旨を伝えました。

 同定の方法は様々だと思いますが、私の場合は、花の姿形、葉の姿形、茎の姿形などから一つずつ検索して探しあてます。
 比較的簡単にインターネットで検索できる植物もありますが、昔からの図鑑を片手に!の方が近道のような気もします。
 最近は新しく導入された植物(園芸品種)や自然交配で変化した植物など、新品種でなくても古い書籍に掲載されていない植物も多くあります。
 依頼がないとなかなか「調べる」ことをしませんが、自分の中でも、出来る範囲での植物のアップデートを心がけています。私だって、植物同定が出来た時には心の中でガッツポーズと花火が上がるんですよ(笑)。
 本音を言うと、解明できれば嬉しい反面、一番苦手な作業の一つなんです。

 今年は春から「コロナ禍」でいつもの日常ではありませんでした。私自身も長い時間を家で過ごしました。そんな中、「植物を育てていて良かった」と今更ながらに感じた一年でもありました。
 自粛生活の中で、植物に触れた方も多くいらっしゃると聞いています。「コロナ禍」の行く末はまだ見えてきませんが、どうぞ、引き続き栽培は継続して楽しんで欲しいと思います。
 植物は、お世話をした分「花」を咲かせたり「実」を付けたり、私たちを心豊かにしてくれますからね!頑張りましょうね!
 
 皆様には、一年ご愛読頂き有難うございました。内容はいかがだったでしょうか?来年も変わらぬご愛顧のほど宜しくお願いいたします。
 どうぞ、良いお年をお迎えください。

(2020/12/01掲載) 

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