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花のコーナー 2021年03月

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花のコーナー

御園 和穂##

2021年03月 早春の花木-2

 3月、木の芽が膨らんで日ごとに春めいてきます。
 5日は「啓蟄(ケイチツ)」です。寒さも和らぎ虫たちが地上に這い出して来るころで、北九州でもモンシロチョウが飛び交い、冬眠していたヘビやカエルも活動を始めます。また、多くの植物が生長を始める季節ですね。
 草花はたくさんの花を咲かせ、ガーデナーの皆さんも忙しい季節の到来です。

 今回は、先月に引き続き「花木」を紹介します。

ボケ

画像の説明

学名:Chaenomeles speciosa
バラ科 ボケ属 落葉(半落葉)低木
原産地:中国
別名:唐木瓜(カラボケ)、木桃(キモモ)
木瓜(モツカ、モツケ、ボツカ)
和名:ボケ(木瓜)
漢字名:貼梗海棠(チョウキョウカイドウ)
英名:flowering quince、japanese quince
開花時期:3月中旬~4月
花色:赤、ピンク、オレンジ、複色

 庭木や盆栽、生垣、切り花として親しまれている落葉(半落葉)低木花木です。
 早春から春にかけて、梅のような花を咲かせ、とても人気のある花木です。

 
 現在、200種を超える品種が栽培されており、観賞用はもちろん、香りの良い果実を使っての果実酒やジャムづくりを楽しまれる方もいらっしゃいます。
 日本へは平安時代に渡来し帰化しました。
 名前の由来は、実の形が「瓜(ウリ)」に似ていることから「木の瓜=木瓜」、読み方はモツカ、モツケ、ボツカが訛って「ボケ」になったと言われています。
 当時は薬用植物であったようです。園芸品種として栽培がされるようになったのは、渡来から700年近く経った江戸時代。日本の自生種との自然交配が進み、その後、新しい品種が作出されたと言われています。
 日本の自生種はクサボケです。

クサボケ

画像の説明

学名:Chaenomeles japonica
バラ科ボケ属 落葉低木
英名:Japanese quince
別名:シドミ、ノボケ、ジナシ

 本州、四国、九州の日当たりの良い丘陵地に自生しています。
 高さが40~100㎝ほどで、幹は基部から枝分かれし、下の方の枝は横に広がり草状に立ち上がります。短い枝は生長が止まり鋭いトゲになるそうです。
 花期は3~5月で、花色は一重に朱色が基本です。
 変種として、八重咲き種や黄色、白色の花が咲くもの、平地では秋に開花し、同時に実を見ることができます。

画像の説明

 10~12月頃に3~4㎝ほどのカリンを小さくしたような実が黄色く熟します。実は堅くてとても酸っぱく生では食べられませんが、未熟な果実を漬けた果実酒は香り高く美味しいそうです。漢方では乾燥させたクサボケの実を「和木瓜」と呼ぶそうです。
 日本に自生するクサボケと、中国から渡来したカラボケ、チョウセンボケ、マボケを掛け合わせて品種改良をしたものが、現在のボケと言われています。

 大正時代にボケ栽培のブームが起こり、新潟県や埼玉県の川口市で盛んに栽培がおこなわれるようになりました。現在でもボケの生産地になっています。
 江戸中期には日本のボケが西欧に渡り、ヨーロッパでも多くの品種改良がなされ、日本にはない大輪の派手な品種が作出され、逆輸入されているそうです。

【育て方】

≪栽培環境と用土≫
 日当たりの良い場所で、乾燥しすぎない土壌であれば、土質を選ぶことなくよく生育します。開花期は室内の窓越しで観賞すると良いでしょう。夏の高温時期は半日陰で育てます。
 鉢植え用土は、水もちと水はけの良い用土を使います。赤玉土の小粒5:腐葉土3:鹿沼や軽石の小粒2程度の用土を使用します。
≪水やり≫
 植付けてからしばらくは、土の表面が乾いたらタップリと水を与えます。その後は、真夏の特に乾燥するとき以外は必要ありません。
・鉢植えは、乾燥させてしまうと、葉が枯れたり蕾が落ちたりします。冬の落葉期は少なめでよいですが、春と秋は1日1回、夏は十分に与えます。
≪肥料≫
 庭植えは1月~2月に寒肥として、緩効性の化成肥料か固形の発酵油かすを施します。
・鉢植えは、4月~5月に開花後のお礼肥を。株が充実する9月下旬に緩効性の化成肥料か固形の発酵油かすを施します。
≪植付け・植替え≫
 植付け、植替えともに9月下旬から11月下旬が適期です。植穴には腐葉土や完熟たい肥を施し、植付け後は支柱などで固定します。
・鉢植えは、2~3年に1回植替えます。根鉢を丁寧にほぐし、全体の1/3程度を切って一回り大きめの鉢に植え替えます。
≪増やし方≫
 ボケの野生種は種で増やせます。一般的な品種は種の採取が困難なため挿し木をします。適期は9月上旬から10月いっぱい。その年に伸びた枝を切って挿します。10㎝ほどの挿し穂を取り、しばらく水につけておきます。赤玉土の小粒や挿し木用の用土に挿します。風の当たらない日陰に置き、用土は乾かさないよう管理します。
≪剪定≫
 適期は4月下旬から5月いっぱい、または12月です。
 花後に剪定して樹形を整え、冬場は落葉後、枯れ枝や徒長枝を取り除きます。
≪病害虫≫
 赤星病と根頭がん腫病にかかりやすい。
 赤星病は緑の葉にオレンジ色の斑点が入ります。ビャクシン類から伝染するのでそれらの近くは避けましょう。発生した場合は殺菌剤で処理します。
 根頭がん腫病は、春に植え替えをすると発生しやすくなります。
 アブラムシ、カイガラムシが付きやすいので剪定で風通しを良くしておきましょう。
 ボケは病害虫の影響を受けると、冬の落葉時期以外でも葉を落としてしまいますが、比較的強健な樹種なので放置しておいても翌年には花を咲かせます。だからと言って、あまり野放しにはしないでくださいね。

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 最後に、実はすべてのボケに実るわけではなく、クサボケと一重のボケのみと言われています。
 実が付く品種は少くないそうです。
 昔からの言伝えで『クサボケを家の庭に植えると火事を招く』と言われていたそうです。理由はわかりません。
 しかしながら、花はとても美しく観賞価値の高い花木です。難点は鋭いトゲがあることです。人が行き来する場所には向きませんが、生垣や大きな樹木の後ろ手、塀越しや外から侵入されやすいような場所に植えておけば、防犯にもなりますね。剪定するときは、気を付けてくださいね。
 開花している姿は中々見かけませんが、意外と身近にあるんですよ。是非、探してみてくださいね。



次の花木は。

モクレン

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学名:Magnolia quinquepeta
モクレン科 モクレン属 落葉中低木
原産地:中国
別名:シモクレン(紫木蓮)、モクレンゲ
和名:モクレン(木蓮)
英名:Magnolia
開花時期:4月~5月

 一般的に「モクレン」と言えば濃い紫色の花をつけるシモクレン(紫木蓮)のことです。

画像の説明

 早春に白い花を咲かせるのはハクモクレンで、シモクレンは樹高が3~4m程の中木ですが、ハクモクレンは樹高10~15m程の高木になります。
 昔は「木蘭(モクラン)」=花が蘭に似ているから、と呼ばれていましたが、ランよりハスの花に似ているとして現在は「木蓮(モクレン)」になったそうです。
 日本へは平安時代以前に中国から渡来したと言われています。
 当初は観賞用ではなく、漢方の「辛夷(シンイ)」と呼ばれる「鼻の病気」に効果がある薬用植物として使われていたようです。
 モクレンは実に不思議な植物で、白亜紀の地層からも化石として発掘されています。1億年以上も昔、被子植物が地球上に現れた頃から現在のような花の姿をしていたそうです。
 それは、モクレンの花粉を運ぶ昆虫にとって都合の良い形だったと言われています。
 モクレンは18世紀にヨーロッパに渡り、度重なる品種改良によって、素晴らしい品種が生まれました。
 当初はモクレン科のタイサンボクが一般的だったようですが、アジアのモクレンが導入されると、花の美しさから庭木としての人気が高まり、その後さらに品種改良がなされ、ヨーロッパ生まれのモクレンも数多く作出されました。
 マグノリアの名で親しまれ、今では日本産のモクレンより多いとのことです。

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 また、モクレンの蕾は「コンパスプランツ(方向指標植物)」と呼ばれます。
 咲き始めの蕾をみると、尖った先がみな同じ方向に向いていることに気が付いている方も多いと思います。
 これは、蕾が大きくなる過程で、光がよく当たる南側が特に生長して膨らむことから、先端が北側を示すことになります。これは同じモクレン科のコブシ、シデコブシ、タムシバやネコヤナギなども蕾が北を向くことで知られています。
 早春の山歩きをする際、もしも道に迷ったらモクレンの蕾を探してみてくださいね。先端が北を向いているはずです。

【育て方】

≪栽培環境≫
 日当たりのよい、腐植質に富んだ土壌を好みます。樹高はそれほどではありませんが、1本立ちというより株立ちになりやすいタイプなので、横張りも考慮して広い場所を確保しましょう。
 また、モクレンは根が粗く細根が少ないので、成木の移植は困難になります。植付ける際に将来のことを考えて植付け位置を決めましょう。
≪水やり≫
 植え付け後はしばらくの間与えますが、その後は必要ありません。
≪肥料≫
 1月~2月の寒肥として緩効性の化成肥料や固形の油かすを施します。
≪植付け・植替え≫
 落葉期の1月~3月が適期です。植穴を掘り腐葉土や完熟たい肥を漉き込み、根を崩さないよう植え付けます。深植えは好みません。
≪増やし方≫
 挿し木と種まきです。
・挿し木:適期は6月から7月。花後に伸びた枝を切り、水にしばらく浸けてから赤玉土小粒もしくは挿し木用用土にさします。
・種まき:適期は9月から10月。熟した果実から採種します。果肉と果皮を洗い流し赤玉土小粒に蒔きます。春に発芽、本葉が3枚ほどになったらポット上げしましょう。
≪剪定≫
 自然樹形が美しい樹です。形をより整えたい場合は、花後に新芽が出る前に行います。伸びた枝や込み合った枝は基部から2~3芽残して(外芽)切り落とします。
 枯れ枝や真上に伸びた徒長枝は基部から切り取ります。

 モクレンは、春に華やかな花を咲かせてくれます。モクレンは少し地味なイメージがありますが、同じモクレン科の仲間の中でも見劣りすることのない存在感と美しい花木だと思います。
 どうぞ、花を見かけたらゆっくりと眺めてください。1億年前からほとんど変わらない花姿を!



次は低木の花木です。

コデマリ

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学名:Spiraea cantoniensis
バラ科 シモツケ属 落葉小低木
原産地:中国南東部
和名:コデマリ
別名:スズカケ、手毬花、団子花
英名:Reeves’spirea
開花時期:4月中旬~5月

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 コデマリは、細い枝に手毬のような花を無数に咲かせ、垂れ下がる姿が美しい花木です。
 日本には、いつ頃渡来したのかは不明ですが、江戸時代の初め頃から栽培されていたようです。
 春を代表する花木で、切り花や庭木、公園樹としても親しまれています。開花と同時に葉も茂らせ、秋には紅葉も楽しませてくれます。
 同じ仲間のユキヤナギに似ていますが、ユキヤナギのような「枝のしなり」はあまりありません。
 コデマリは管理しやすく、たくさんの花を咲かせ、観賞用として人気の高い花木です。

 その他、コデマリの変種でヤエコデマリがあります。

ヤエコデマリ

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学名:Spiraea cantoniensis var.plena
バラ科 シモツケ属 落葉小低木
別名:八重咲小手毬(ヤエザキコデマリ)

 コデマリの八重咲き種です。江戸時代に中国から渡来しました。
 コデマリのような丸い形の花ではありませんが、一つずつの花が大きく、幾重にも重なる花弁はとても柔らかい雰囲気をもっています。育て方は、コデマリと同じです。

【育て方】(コデマリ・ヤエコデマリ)

≪栽培環境≫
 日当たりが良く、風通しの良い場所ならば土質は選びません。株元から多数の枝が育ち大株なるため鉢植えには向きません。庭植えにします。
≪水やり≫
 植え付け後しばらくの間は与えますが、その後は必要ありません。
≪肥料≫
 1月~2月の寒肥と花後に緩効性の化成肥料や固形の油かすを施します。
≪植付け・植替え≫
 2月中旬~3月下旬、10月上旬~11月下旬が適期です。植穴を掘り腐葉土や完熟たい肥を漉き込み、根の廻りに水を注ぎ、棒でつつきながら土と根をなじませながら植付けます。
≪増やし方≫
 株分け:植付け適期に株を掘り上げ、枝4~5本を1株としてスコップやハサミで切り分けます。
 挿し木:3月上旬~下旬の落葉期に前年伸びた枝を10㎝ほど切り、赤玉土小粒か挿し木用用土に挿します。風の当たらない日陰で育てると、1か月ほどで発根してきます。
≪剪定≫
 花後すぐに剪定します。地際からたくさんの小枝がでますが、細い枝は花が付きにくいので、枯れ枝などと一緒に株元から切ってしまいます。
 剪定後、伸びた枝に花芽を付けます。具体的には9月以降に花芽を付けるので、落葉後の剪定は行いません。
 コデマリは、4~5年たった古い枝には花が付きにくくなります。
地際から刈り込んでも夏までには新しい枝が伸び、翌年開花します。数年に1回は刈り込み剪定をすると良いでしょう。
 
 高さは1~1.5m程度で株立状になるので、庭木の足元や壁際、列植して低めの生垣としても楽しめます。
 よく似た花木だと、シジミバナ、トサシモツケなどがあります。
 ちなみに低木でオオデマリという花木があります。

オオデマリ

画像の説明

学名:Viburnum plicatum f.plicatum
レンプクソウ科 ガマズミ属 落葉低木
和名:オオデマリ(大手毬)
別名:ジャパニーズ・スノーボール

 名前が「大、小の手毬」でよく似ていますが、実際に似ているのは花が手毬のような姿だけです。
 コデマリはシモツケの仲間で、オオデマリはガマズミの仲間。
 見た目も異なりますが名前が似ているので勘違いされやすいようです。

 コデマリの花が最盛期を迎えるころオオデマリが咲き始めます。樹高1~3m程の樹木になります。 

画像の説明

 花だけを見ると、コデマリと言うよりは、アジサイのアナベルに似ていると思いませんか?
 どちらにしても美しい花木です。用途に合わせてお好みの花木を選択してみてくださいね。


画像の説明

 今回紹介しましたボケ・モクレン・コデマリが順番に開花し、オオデマリが咲き始めるころ季節は初夏を迎えます。
 草花は植え替えてから長い時間楽しめますが、花木は季節限定の楽しみですね。比較的長く開花していても見過ごしてしまいがちです。
 今年は、少し意識して花木にも目を向けてみませんか。意外にも、身近にはたくさんの花木がありますよ。

 ガーデナーの皆さんはこれから大忙しです。花壇はパンジーやビオラ、キンギョソウ、ストック、そしてチューリップなどの球根類が咲き乱れます。
 水やりや花柄摘み、除草と休む間も惜しんで手入れをされるのではありませんか?
 コロナ禍の生活スタイルも暫く続きそうですが、なんとなく先が見えてきたようにも思います。
 今は、気を緩めることなくマスクの着用、人との間隔をあけての作業を行いましょう。
 徐々に気温が上がってきます。無理をしないで作業を行いましょうね。

 

(2021/03/01掲載) 

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