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花のコーナー 2021年06月

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花のコーナー

御園 和穂##

2021年06月 リーフ類と梅シロップ

「梅子黄なり(うめのみきなり)」 

 梅の実が黄色く色づくころです。
 本来であれば「季節は梅雨~」というくだりになるのでしょうが、今年は5月中旬に梅雨入りしました。気象庁の統計上2番目に早いそうです。
 暦の上での梅雨入りは、太陽の黄経(コウケイ)が八十度に達する日とされています。これは立春から135日目とされ、気象情報が発達していない時代の人にとって、田植えの日取りを決める目安だったようです。
 早い梅雨入りは、早い梅雨明けには結び付かないようですが、植物が生育する季節です。出来るだけ快適に過ごせるよう、花を育てて、飾ったりしながら気分をリフレッシュさせましょう。

 今回は、真夏の暑さにも比較的強く手入れも簡単な「葉の色を楽しむ植物・カラーリーフ」を紹介します。



カラーリーフとは。

 「カラーリーフプランツ」と呼ばれ、銀白色、赤色、銅色、斑入りなどの葉色が美しく、一般的な緑色の葉ではなく様々な色の葉を楽しむ植物です。
 普段の寄せ植えや花壇に、ほんの少しの変化を加えることでメリハリが生まれ単調さが緩和されます。
 まずは「銀白色」(シルバーリーフ)の代表選手からです。


シロタエギク

2021-06

学名:Senecio cineraria
キク科 セネシオ属 常緑性多年草
和名:シロタエギク
別名:ダスティミラー、セネシオ
原産地:地中海沿岸
観賞期:周年 花色:黄色

2021-06

 別名のダスティミラーは「粉まみれの粉屋」という意味で、葉一面に灰白色の毛が生えています。美しい葉で観賞用として広く栽培されています。原産地の地中海沿岸では、崖や岩場などに自生しています。
 一般的には冬から春にかけての植込み材料として使われています。本来は草丈60cmほどになり、黄色い花を咲かせます。

2021-06

 花壇の場合は、中段から後方に植付けをします。
 コンテナの場合は草花の添えに使います。
 最初は小さい苗ですが、生長していくにつれ草丈も高くなってきます。
 コンテナの大きさや周囲の草花の生育に合わせて切戻しを行いながら全体のバランスを整えます。

2021-06

 シーズンが終わって植替えをする際にはかなり大きく育っています。植替えをする場合は大きなコンテナに移植するか再度切戻して使用しましょう。
 地植えをする場合は場所を選びましょう。草丈が伸びながら幅も大きくなります。
 シロタエギクは銀白色が美しく、観賞範囲が広い植物の一つです。

セネシオ エンジェルウィングス

2021-06

学名:Senecio candicans ‘Angel Wings’
キク科 セネシオ属
原産地:南米チリ
鑑賞期:周年
草丈:20cm~50cm程度

 シロタエギクの仲間で、近年見かけるようになりました。少し気になっていたので現在育てています。シロタエギクに比べて葉が大きく厚みがあり、葉の表面は短い産毛に覆われています。ラベルには「天使の羽のようなフワフワ」と記載がありました。
 確かに柔らかくビロードのような触り心地で、私は「犬の耳やウサギの耳のよう」に感じられました。
 3月から生育を始めました。基本の育て方はシロタエギクと同じで良さそうです。
 1株では寂しいのでアルメリアとイベリスの白花とで寄せ植えにしました。

2021-06
2021-06

 スタートから約3か月経ちました。左がスタート時、右が現在です。
 見事な姿になりました。どこまで大きくなるのか?

 残念ながらコンテナでの生育なのでどこかで限界がきてしまいますが、大型のコンテナや花壇植えにはインパクトのある花材のようです。
 存在感が大きいので周辺の植物は選ばないといけませんが、使い方の楽しみが広がってワクワクします。
 伸びてきたら(姿が崩れたら)切戻しが可能だと思います。増やし方は株分けでしょう。多分、高温多湿は苦手だと思われますので、この時期からは明るい日陰で生育させます。
 まだ多くの資料がありません。これから一年を通して生育させてみてどこかで報告しますね。
 銀白色の新しい仲間入りです。


アサギリソウ

2021-06

学名:Artemisia schmidtiana
キク科 ヨモギ属 多年草(落葉性)
和名:アサギリソウ(朝霧草)
英名:Solvermound artemisia
原産地:北陸以北から北海道、樺太、千島列島
観賞期:春から秋まで 花色:黄緑色


2021-06

 北陸地方から北海道の岩場に見られます。葉全体が白い毛で覆われ光が当たるとキラキラと反射します。
 草丈は20~30cmほどで、コンテナに植付けます。地植えの場合は樹木の足元などに植付けます。
 花は夏に(8月~9月)ヨモギの花に似た小さい花を咲かせます(地味な花です)。
 花を楽しむよりは葉姿を楽しむタイプですね。


 開花した茎は生長をとめ、株元に翌年の花芽を形成し、その後落葉し地上部を枯らして休眠に入ります。
 用途としては花壇やコンテナの添え、草物盆栽の下草などに人気の高い植物です。

 日当たりの良い場所を好み、夏の暑さにも弱ることなく生長します。あまり伸ばしたくない場合は、乾燥気味に育てます。ただし、乾燥しすぎると枯れてしまいますので注意してください。
 手で撫でると柔らかく気持ちの良い感触の銀白色のリーフ植物です。


エレモフィラ

2021-06

学名:Eremophila
ゴマノハグサ科 エレモフィラ属 多年草・低木
別名:エミューブッシュ
原産地:オーストラリア
鑑賞期:周年 開花期:1月~6月
草丈:50cm~250cm程度
花色:紫、ピンク、黄色、淡い紫

 オーストラリア原産で、明るい林の中では低木のような姿で自生しているそうです。
 日本では、春先から淡いラベンダー色や青紫色の花を咲かせて短い毛が密集していて植物全体が銀白色に見えるエレモフィラ・ニベアという品種が流通しています。

 
 私が初めて見かけたのは20年ほど前だったと思います。コンテナの講座材料を物色している時だったと思います。当時は鉢物で高価な植物でしたが、ここ10年でポット苗が手に入るようになりました。
 早々に購入して生育過程をチェック!
 (一応、新しい品種は自分で育ててから講座で使用しているんですよ(笑))
 まずはコンテナで試しました。春先からぐんぐんと生育し美しい花を咲かせました。他の草花と寄せ植えにしましたが、生育が早く全体のバランスが崩れてしまったので単体にしました。
 戸外のものは、雨に当たると枝の産毛が水分を含んでべったりとして中々乾かず、放置していたら幹が黒ずんでしまい根腐れを起こしたようで枯れてしまいました。
 春から秋までは戸外で生育可能です。真夏は明るい半日陰に移動させ高温は避けましょう。梅雨時期の高温多湿は避けられないので可能であれば雨の当たらない風通しのよい場所に避難させましょう。
 冬場は、戸外であれば南向きの日の当たる暖かい場所に置き、冷え込みが厳しい時期は室内に移動するのがベストです。
 霜が降りない地域であれば地植えでも育ちます。
 最終的には1mを越えます。生育させる場合は状況を考慮してから購入しましょうね。
 増やし方は挿し木が容易です。適期は5月で長めに枝を切って挿し穂にします。植付後、発根するまでは土の表面が乾いたら水をやります。水のやりすぎは禁物です。
 株が古くなると下葉が枯れてきます。見た目が悪いので周年を通して枯れた葉の掃除をしましょう。

 いくつかの銀白色のリーフ(シルバーリーフ)を紹介しました。
 その他、ラムズイヤー、ティゴンドラ、プラチーナ等々、地被類まで含めるとたくさんあります。目に涼しい色での植物演出には欠かせないものです。白い花やブルーの花との組み合わせも素敵ですよ。
 是非、参考にしてみてくださいね。



次のリーフ類は、赤色・銅葉類です。

コリウス

2021-06

学名:Coleus
シソ科 コリウス属 一年草
別名:キンランジソ(金襴紫蘇)
   ニシキジソ(錦紫蘇)
原産地:東南アジア
草丈:20cm~100cm程度
鑑賞期:4月~11月


2021-06
2021-06

 葉を鑑賞する植物の代表選手です。花壇、コンテナ、ハンギングバスケットと用途が広く、初夏から晩秋まで楽しめます。
 葉色は赤色、オレンジ色、黄色、複色やまだら色など豊富です。

 夏の明るい草花の色合いにも負けることなく組み合わせができます。
 もちろん、コリウスだけでの組み合わせも素敵です。
 従来の品種は種からの育生で比較的小柄な品種が多かったのですが、最近は挿し木で増やす大柄な品種も増えてきました。

2021-06


 夏の暑さには強いのですが、寒さには弱く戸外での越冬は難しいです。
 姿形が崩れてきたら、迷わず切戻しをします。切り戻した茎は挿し芽で増えます。水ざしでも容易に発根しますよ。
 花は先端に付きます。できれば早めに摘み取ってしまいましょう。
 様々な色合いの葉が楽しめます。これからの花壇やコンテナに加えてみてはいかがでしょうか。


ヒューケラ

2021-06

学名:Heuchera
ユキノシタ科 ツボサンゴ属 常緑多年草
和名:ツボサンゴ(壺珊瑚)
別名:コーラルベル
原産地:北米、メキシコ
草丈:20cm~50cm程度
鑑賞期:周年 開花期:5月~7月



 葉色は緑色から黄色、オレンジ色、赤色、銅葉、シルバー色、紫色、黒色等々豊富です。葉が重なるように伸び、単体での組み合わせや寄せ植えなどに使いやすい植物です。
 常緑性で、周年葉を蓄え、日当たりの良い場所からやや半日陰でもよく育ちます。また、色味の少ない冬の花壇の彩にもなります。真夏の強い日差しは少し苦手です。
 5月頃から葉の中央から細長い茎を伸ばし、先端に穂状に釣鐘型の小花を付けます。
 花壇に配する場合、葉だけの状態と花を付けた時の花丈が異なるので植付けする場所も考えましょうね。
 基本の花色はピンクで1か月ほど楽しめ、切り花でも楽しめます。ただし、光が不足すると花は咲きにくくなります。
 花が終わったら花茎の下から取り除き、乱れた葉は随時取り除きます。

 長く育てていると花茎が長く伸びてきます。茎は切り戻して挿し木として育てることもできます。
 生長するにしたがい茎が伸びて低木のようになる場合もあります。
 様々な色合いの品種があります。
 品種の特徴を踏まえてヒューケラどうしの組み合わせや草花との組み合わせも楽しめますよ。


ギボウシ

2021-06

学名:Hosta  
キジカクシ科 ギボウシ属(ホスタ属)
和名:ギボウシ
別名:ウルイ、コーライ、ホーライなど
原産地:東アジア、日本
草丈:30cm~1m程度 
開花期:7月~8月



 野生種は東アジアに分布し、多くの種は日本列島各地に自生しています。
 美しい葉を持つ宿根草で、シェードガーデンに欠かせない植物です。
 葉は品種によって光沢があったりつや消しの葉や斑入りだったり葉にしわがあるタイプなどもあります。
 葉色は緑色がベースで、黄緑色から濃い緑色まで様々なバリエーションがあります。
 7月ごろから花茎を伸ばし、先端に白花や紫花を咲かせます。
 花は一日花で品種によって花茎の長さは様々です。
 存在感のある明るい日陰に向くカラーリーフの一つですが、冬場には地上部が枯れてしまいます。

 日本にはオオバギボウシなどの20種ほどが野生化し、西日本でもギボウシ、タキナと呼ばれ、山菜として新芽や若葉が食されていたようです。
 江戸時代に多数の園芸品種が産出されており、シーボルトによってヨーロッパに渡ります。その後、ヨーロッパで多くの品種が育成されました。
 「日陰に向く植物」は何がありますか?と尋ねられた時は「ギボウシ」は打って付けの植物です。
 ヨーロッパではよく見かけましたが、日本では定着してないように思われます。我が家はベランダなのであまり大きくは育てられませんが、お庭のある方は是非育ててみて欲しいリーフ植物の一つですね。

画像の説明

 今回は皆さんもよく知っているリーフ類を紹介しました。
 まだまだたくさんのリーフ類があり紹介しきれませんが、季節に合わせて少しずつ小出しに紹介したいと思います。
 
 本来ならこれから梅雨入りですが、すでに梅雨真っ只中です。
 今年の夏至は6月21日。一年で昼が最も長く、夜が短いころのことです。
 これから夏の盛りになりますが、すでに暑い!さらにこの暑さが続くと思うと~ウンザリですね。
 暑さの中、これから梅の実が旬を迎えます。
 梅は生では食べない方がよいですが、木で黄色く完熟してくれば話は別です。果肉はトロリとしてとても美味しいですよ。
 梅酒づくりは青梅を使いますが、梅干しやシロップ漬け、ジャムなら熟した実で十分です。

2021-06

 毎年は作りませんが、今年はシロップ漬けと梅酢を作ろうと思っています。
 実はお酒が飲めないので梅酒はちょっと・・・。
 でも、シロップ漬けや梅酢で楽しみたいと思っています。 
 昨年のシロップもあと少しに!梅には多くの栄養素が含まれていますから暑い季節にはもってこいですよ。

 コロナ禍、3回目の緊急事態宣言が発令されて様々なところで影響を受けています。ワクチン接種も少しずつ進んでいるようですが、行き渡るには時間がかかりそうです。
 私は、こんな時だからこそ、慌てずに焦らずに感染予防をしながら過ごそうと自分に言い聞かせています。
 出来ることは~『うがいに手洗い、暑いけどマスクは必須。人との距離を取って、必要以外の外出は避ける』ですね。
 ベランダで草花やリーフ類の手入れをしながら、これから作るシロップや梅酢をいただきながら過ごしたいと思います。
 まだ序の口の暑さです。無理をせず乗り切っていきましょう!

(2021/06/01掲載) 

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