花のコーナー 2021年07月
a:915 t:1 y:0
花のコーナー
御園 和穂##
2021年07月 み~つけた!
5月早々に梅雨入りし、ジメジメした蒸し暑い6月を過ごしました。
じきに梅雨明けし今年も暑い夏がやってきます。近年、梅雨明けの頃は大雨に見舞われます。今年はどんな感じでしょうか?
すでに植替えが終わって、草花も元気に育っていると思います。
7月、日差しがさらに強くなってきます。草花も快適に真夏を過ごせるよう、切戻しなどの作業を早めにしておきましょうね。
今回は、以前に植物園で見かけずっと名前が分からずにいた植物を紹介します。
探していた植物とは、15年くらい前に訪れたスゥエーデンのヨーテボリー植物園の温室の中に育っていた花木です。
ヨーテボリー植物園は北欧地域では最大の公園です。175haの敷地内の大半は自然保護区で滝や池は自然の状態を保ち、庭園や小さい森がいくつもあります。
ロックガーデンはミシュラングリーンガイドで2つ星を獲得しています。また、500種を超える「シャクナゲの谷」や不思議な名前が付いている「日本の空き地」(写真参照)、どんなイメージでこの名前をつけたのでしょうか?
雑木林をバックに大きな池の奥に燈籠が立ち、池の中に飛び石が据えられ周辺に松が植えられています。
とにかく植物園内は広くて一日では見て回れません。
植物は22,000種以上の植物が各エリアの中で栽培管理されている植物園です。
当時の写真は「花びら」だけでした。(他の写真は画質が悪くて・・・)
温室の中に散って落ちた花びらが他の植物の葉の上に乗っているのがとても印象的でした。命名札は見当たらなかったと思います。
その後、国内の温室や植物園を見て回る際にはかなり意識して探していたのですが~その内、少しずつ意識からも遠ざかってしまい・・・実は忘れていました・・・。
先日、園芸店で珍しい花木を目にしました。
見た時、瞬間は正直思い出しもしませんでしたが、落ちていた花びらを見て思い出しました。まさか~と思いましたが、15年以上たってやっと見つけました。
ペトレア・ヴォルビリス
学名:Petrea voiubilis
クマツヅラ科ペトレア属(ヤモメカズラ属)
半耐寒性半常緑低木(つる性低木花木)
原産地:西インド諸島からブラジル
別名:パープルリース レザー・バイン
和名:ムラサキツクバネカズラ
英名:Sandpaper vine Queen’s Wreath
開花期:5月~7月
ペトレア属は中南米を中心に30種ほどが生息しています。
つる性低木花木でつるは10mほど伸びます。加温室栽培であれば周年開花するようです。もちろん鉢植えでも育てられます。
半耐寒性植物なので、冬場3~5℃以上あれば戸外でも生育は可能ですが、0℃に近づくと枯れてしまうこともあります。また10℃を下回ってくると葉を落としてしまいます。
枝は細く枝分かれし弓状にしなります。その枝先に美しい紫色の花を房状に咲かせます。
その姿から「パープルリース」や「女王の花輪」とも呼ばれています。
花自体の寿命は短いのですが、花びらに似た星形の薄い紫色の萼が残ります。
二重花に見えるので開花中は豪華に見えますね。
萼の中央に果実(種子)が出来て飛散する際にプロペラの役目をしているそうです。
花は散ってもしばらくは薄紫の萼が残っているので、長く観賞が出来るわけです。
残った萼もしばらくすると色が抜けて緑色から茶色に変化します。後は房ごと取り除きます。
脇芽から新しい芽が見られるので、再度茎が伸びて開花するのか?観察中です。
もう一つの特徴は、葉がざらざらしていて「紙やすり」に似ています。
英名のサンドペーパーバインはここからきているようです。
余談ですが~
葉がざらざらしているのは毛やトゲなどの突起物によるものが多いです。
突起物はケイ酸質で硬いものが多く「やすり」代わりに使えるものもあります。
一般的には葉に生える毛やトゲの働きは多様です。
① 大気との境界層が厚くなり、過度の蒸散や温度変化を防ぐ。
② 気孔の周りに湿度を与える。
③ 気孔が水浸しになることを防ぐ。
④ 芽の中で折りたたまれた葉の発生や展開時に傷がつかないよう、また葉と葉の接着を防ぐ。
⑤ 動物やカビ、バクテリアの侵入を防ぐ。
⑥ 虫などからの食害を防ぐ。
(サイエンスアドバイザー資料より参照)
などがあげられます。
ペトレアの葉は①~⑥のどの項目が該当するのでしょうか?
長い生育過程で進化し現在の形態になったのでしょう。いろいろと調べてみましたが、実はわかりませんでした。
私の中では、「湿度を保って、虫からの食害を回避」するために「やすりのようなざらざらの葉」になったのでは~と!
今後も調査したいと思います。
【育て方】
- 栽培環境
日当たりと水はけの良い場所を好みます。日が当たらないと花が咲きません。
一般的には鉢植えをお勧めします。
庭植えにする場合は、強風の当たらない場所を選びます。冬前に掘上げて、明るい室内で冬越しをさせると良いでしょう(堀上げは10月ごろ)。
- 水やり
鉢土の表面が乾いてきたら与えます。
庭植えの場合は根が張れば特に必要としません。
- 肥料
春から秋の生育期に化成肥料を施します。
- 植付け、植替え
鉢植えは1~2年に1回は植替えを行いましょう。根詰まりすると花付きが悪くなります。
- 用土
水はけの良い用土を好みます(培養土で大丈夫です)。
- 増やし方
4月から9月に挿し木で増やします。枝を10cm程に切って挿します。
- その他の作業
つる性植物なので、つるの誘引や伸びすぎた枝は切り戻します。花は伸びたつるの先端につきます。
強めの剪定は秋以降に行いましょう。
冬季の管理が出来れば比較的容易に育てられます。
鉢でもよく育ちます。国内では今回の品種が親しまれているようです。
しかしながら~ポピュラーではなさそうですね。
せっかく巡り合えたので即購入。我が家のベランダに華やかさを添えてくれています。
私は、ズボラなのでデータや資料をなかなか整理も出来ず袋に詰め込んで・・・。撮りためた写真も時折眺めてはいますが記憶も曖昧になっていました。これを機に整理をしていこう!と。~できるかな(笑)
今後の生育は随時ご紹介していきますね!
園芸店では夏の草花がたくさん並んでいました。
毎年、新しい品種が作出され目を引くものがあります。その中から。
スーパーサルビア(ラベルに記載されている名前です)
学名:Salvia hybrid
シソ科サルビア属 多年草(園芸品種)
サルビア類は熱帯地方や温帯地方原産で、本来は多年草ですが、種類によっては1年草扱いで育てます。
スーパーサルビアは、普段見かけるサルビアと花姿は同じですが全体に大型です。また花色も濃い紫ピンクや淡い紫青などがあります。
開花期間は5月~11月、花柄摘みをしっかり行い、定期的に肥料を施して育てます。寒くなってくると株全体が枯れてきます。
翌春に株元から新しい芽が出てくるので、その時点で枯れた枝を整理します。
もちろん、晩秋に枯れてきた時点で短く切り戻しておいても構いません。
草丈は100cmほどで、株幅も70~100cmほどになります。花壇や庭植え、鉢植えでも楽しめそうです。
ベースはサルビアなので育て方は特に手はかかりません。増やし方は挿し芽で増やせますが、パテント商品なので(ラベル付き)、増やしても個人で楽しんでくださいね。
コザクラノボタン
学名:Centradenai floribunda
ノボタン科ケントラデニズ属 常緑小低木
原産地:グアテマラ
開花期:6月~8月
淡いピンクの小花が株を覆うように開花します。
蕾がいっぱい(写真のように)付きますが、一斉に開花せず少しずつ咲きます。
蕾の状態でも魅力的な姿ですが、開花するとより艶やかな姿になります。よって長い期間楽しむことが出来ます。
花後は緑の葉を楽しみます。夏の暑さを好みますが、冬の寒さが苦手です。西日本地域であれば、戸外の寒風の当たらない場所であれば越冬可能です。
生育は旺盛なので鉢植えならば毎年植替えをします。適期は4月~5月です。形は特に手を加えなくても整います。
春と秋はよく日に当てて、真夏は明るい半日陰に置いて育てましょう。庭植えの場合は植付ける場所を選んで育てましょう。
~ぶらり園芸店まわり~たまには巡ってみてはいかがでしょう。
今回は、たまたま目にとまった植物と過去の植物が合致したのですが、こんな偶然はそんなにあるものではないように思われます。
本当に嬉しかったのでご紹介させて頂きました。
皆さんも気になっている植物に出会えるかも♪
梅雨明けと同時に本格的な夏到来です。
すでに日差しも強くなり気温も上がってきていますが、草花は元気に育っています。
水やりや花柄摘み、大変ですよね~。
これからの作業時間は、午前中のまだ暑くなる前に行い、真昼の炎天下は木陰に避難して過ごしてくださいね。
コロナ禍でまだまだ自由に外を出まわれる状態ではありませんが、部屋に閉じこもっていてもよくありません。たまには外にでて草花に触れて手足を伸ばしてみてくださいね!
(2021/07/01掲載)