花のコーナー 2022年02月
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花のコーナー
御園 和穂##
2022年02月 よくわからないけど?~雑学~
暦の上では「春」が始まる月ですが、一年で最も寒い季節の到来です。
2月3日は「節分」。2月4日が「立春」です。「春」という文字を目にするとなぜか色めくのは私だけでしょうか~(笑)
晩秋に植付けた草花はこれからが本番です。2月末あたりから、日中の気温も上昇してきます。合わせて花苗の生長も著しくなり、寂しかった花壇が賑やかになってきます。
手入れも忙しくなってきますね!暖かい日差しを浴びながら、春への準備をしていきましょう。
今回は、「よくわからないけど~雑学~」です。
庭の倉庫内やベランダの片隅に積み重ねられた「土」や「肥料」、使えますか?このような質問を受けることがあります。
まずは~
■培養土や堆肥にカビが生えている。使用できる?できない?
・培養土:袋の中でカビが生えていても使用可能です。花苗を育てるうえで特に問題ありません。
野菜苗の場合、野菜に病気がうつったり~苗が生長する際に病気にかかってしまうかもしれませんので、使用前に殺菌消毒をすると安心です。
お天気の良い日に、広げたシートに培養土を広げて乾燥させましょう。気になるなら熱湯をかけて、その後乾燥させて使います。
花苗でも気になるなら、同様の作業を施してから使用します。
※培養土の中に含まれる資材の発酵が十分でなく、保存されている環境下で発酵が進み、カビが発生することもあります。
・堆肥:牛糞たい肥、バーク堆肥(土壌改良材)
そのまま土に混ぜて使用可能です。
土の中には本来様々な微生物が存在しています。堆肥の中のカビも微生物の一部です。堆肥は土の中に撹拌します。その後1週間から10日ほど寝かせてからの植付けになります。特に問題はありません。
腐葉土は、葉を発酵させた物です。未完熟の場合は葉脈が残っていてカビが生えたり、酸っぱい匂いがします。
そのような場合は、袋から出して米ぬかと土を混ぜて再度袋に戻し封をし、日の当たる場所に放置します。しばらくすると葉の形も匂いもなくなり使用できます。
培養土や堆肥は長く保存をしているとカビが生えることがあります。出来れば大量に在庫せず、使用する量を考え短期間での消費を心掛けてみませんか?
ただし、購入時にカビが生えている商品はいかがなものかと~次回からは別の培養土や堆肥を選びましょう。
■肥料はいつまで使えるの?
前述の堆肥や肥料(固形肥料・液体肥料)には有効期限は特に記載されていません。
・固形(粒状)肥料:開封後、袋の口を縛っておいても湿気が入ると粒が崩れたり引っ付いてしまったり、固まってしまいます。
肥料粒が水に溶けてしまった場合、表面のコーティング材が流れてしまい、緩効性肥料が即効性肥料になってしまうかもしれませんが、固まってしまったり、粒が崩れても特段影響はありません。使用の際には植物の経過観察を!
・液体肥料:極端な低温にあうと成分が結晶化することがありますが使用可能です。
肥料袋は、開封後は密閉し、日の当たらない風通しの良い場所で保存します。液体肥料も同様に保存しましょう。製品には保管方法が記載されていいます。一度は読んでくださいね。
使用有効期限はありませんが、大量の買い置きもいかがなものでしょうか~
出来れば1年くらいで消費できる量が好ましいと思います。また、液体肥料などに付属品でついてる計量器は無くさないようにしましょう。
■古い農薬は使えるの?
農薬には有効期限があります。
農薬は時間の経過によって徐々に物理性が変化したり、成分が分解したりします。農薬会社では「農薬保存安定性試験」を行い有効期限を定めています。
最終有効期限を過ぎた農薬は、使用者の責任で産業廃棄物として処理をします。
家庭園芸用容器の農薬処分はお住まいの自治体に確認をされてください。
有効期限内での使用済容器は、農薬容器の「安全使用上の注意」最終項に記載されています。
一部、有効期限の記載のない農薬もあります。製造後3年以上の品質が安定していることが確認できている農薬です。3年以内は安心して使えます。
この場合は、購入時の日付を容器に記載しておきましょう。
家庭園芸用 使用方法取り扱い説明ラベル(殺虫剤:オルトラン100ml液剤)
有効期限:2020年04月(すでに有効期限はきれています(黒枠))→
『使用後の容器は3回以上洗浄してから処理する』↑
(黄色い塗りつぶし箇所)
洗う際「洗浄した水」は排水溝には流せません。河川や地下水に影響のない畑や庭の隅に穴を掘って浸透させます。
最終処理は容器に記載されている通りです。
ボトル・キャップは「プラスチック」で処分です。各々の自治体のプラスチック処分日に捨ててください。
また、使用中の農薬容器はきちんと保管されていますか?
保管は鍵のかかる入れ物で、直射日光の当たらない涼しく乾燥した場所です。除草剤や植物調整剤などと同じ場所には置かないでください。。誤って散布をしてしまうことがあります。要注意です!
農薬購入の際は有効期限までに使い切れる量を目安とすることが大切です。
合わせてよく尋ねられることに「濃度を濃くすると良く効くのか」と。
確かに記載された希釈倍数より濃くしたり、粒剤や粉剤を決められた量より多く散布することで、病害虫に対しては効果があると思います。しかし、必要以上に濃くすることで植物にたいして薬害を起こしたり、葉が変色して枯れたりする原因になります。
定められた希釈倍率で十分な効果は得られます。
取り扱い説明をしっかり読んで正しく使用しましょう。
■土壌㏗は計らないといけないの?
植物全般、たまには「土の化学性」のチェックはしておくと良いですね。
雨の多い日本では、土壌にしみ込んだ雨水がカルシウムやマグネシウムなどアルカリ性のミネラルを溶かして地下に流れてしまったり、肥料(特に窒素肥料)のまきすぎも土壌を酸性にする原因になります。
時にはチェックをしてみると良いかもしれませんね。
※酸性土壌だとどうなる?
土中には多くのアルミニウムが含まれています。土が酸性になると毒性の強いアルミニウムイオンが溶け出し、植物の根に大きなダメージを与えます。よって生育が悪くなってしまいます。
化学性のチェックは市販の簡易キットで確認できます。
簡易キットは量販店などで入手可能です。
《使い方》
測定したい土壌は、表面ではなく15㎝ほど掘ったところの土壌を使用します。
(これはどの簡易キットを使用しても同じです)
別カップに少量採取します。採取土1に対して※水2加え撹拌します。ゴミ等は取り除き、上澄みを添付の試験管に2.5㏄取ります。
※水は水道水です。測定に問題はないそうです。(薬品会社に確認しました)個人的には精製水や蒸留水を使用しています。
試薬を3滴加え試験管を軽く振ります。土壌酸度によって色が変わりますので、比色表に照らし合わせて測定します。(簡易キットによって異なります)
測定箇所は1か所だけでなく、数カ所サンプリングして測定しましょう。
酸性が強いようならば、苦土石灰を散布して撹拌します。一般的な草花の場合だと㏗が5.5~6.5くらいの弱酸性、野菜類の場合は、種類によって異なりますが、弱酸性に調整しておくとよいと思います。
※参考:㏗を「1」あげるには、消石灰では1㎡あたり80~120g、苦土石灰では1㎡あたり100~150gを散布して撹拌します。
余談ですが~花壇や畑に生えている雑草である程度の土壌酸度が見てわかります。
・強酸性(㏗4.5~5.5) スギナや白クローバー、スズメノテッポウなど
スギナ 白クローバー
・弱酸性(㏗5.5~6.5) カタバミ、ギシギシ、オオバコ等
ギシギシ オオバコ
・微酸性(㏗6.5~7.0) レンゲソウ、ナズナ、コニシキソウ等
レンゲソウ ナズナ コニシキソウ
・中性(㏗6.5以上 ㏗7.0中性) ハコベ、オオイヌフグリ、ホトケノザなど
ハコベ ホトケノザ オオイヌフグリ
このような雑草が生えていると、土壌の様子も少しわかるかな~と思います。
全ての判断はできませんが、花壇や畑の状態を表す指標の1つとしていかがでしょうか。あくまでも参考にしてくださいね!
在庫している園芸用品って意外に多くありませんか?
まずは使える物、使えない物に分けて整理をしましょう。次の植替え時に使える物は使いましょう。無駄にしてしまうことが一番「もったない」ですよね。
公園にチューリップが咲いていました。これは「アイスチューリップ」です。
通常、チューリップは3月下旬から4月に開花します。
アイスチューリップとは、球根を冷蔵処理して疑似体験させ、その後植付けをし、1月~2月上旬に開花させるよう調整生育させたものです。
まだまだ寒い時期なので、開花後は長く花を楽しむことができます。
一足早く春を楽しめますね。
今の時期は、春から先の花壇の様子、その後の花壇に「何を植えようかな~」と考えるのにちょうど良い時期ですね。
近年、夏が暑すぎて「管理が大変!」とよく聞きます。
暑さに強い植物のチョイスも必要ですが、「無理をしない、頑張り過ぎない」園芸を楽しんでほしいものです。
もうしばらくすると~花壇やベランダの鉢物は「花盛り」になります。楽しみですね!
今はゆっくり過ごしてくださいね!
(2022/02/01掲載)