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花のコーナー 2022年11月

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花のコーナー

御園 和穂##

2022年11月 冬の鉢花

 園芸店の店先で「アザレア」の鉢を見かけました。
 10月下旬から急に朝晩冷え込みはじめ、「暑かった夏が終わったな~」と感じています。それくらい今年の夏は暑かった!です。
 そろそろ植替えの時期となってきました。
 抜取りをして、土作りを進めましょう。あまりにも暑い夏だったせいか、パンジーやビオラなどの草花の流通が例年より遅れているようです。
 でも大丈夫!植付けは11月の中旬あたりからがちょうどよいと思われます。
 これからゆっくり準備しましょうね。

 今回はアザレアと冬の間楽しめる鉢花を紹介しましょう。


アザレア

(2011年5月:ツツジ・サツキにも掲載)

2022

学名:Rhododendron 
ツツジ科 ツツジ属 常緑低木
別名:西洋ツツジ、アゼリア
原産地:園芸品種
草丈:30㎝~1.5m程度
開花時期:4月下旬~5月中旬
(本来の開花時期)

 アザレアは19世紀初頭、もともと常緑性のツツジが自生していなかったヨーロッパに、中国産のタイワンヤマツツジやリュウキュウツツジが輸入されると、ヨーロッパ各国の園芸家らによって交雑が行われ、現在の「アザレア」と言われるツツジが作出されました。
 特にベルギー、オランダ両国では品種改良が進み、急速に栽培が普及したと言われています。
 東洋のツツジがヨーロッパに渡り、さらに美しい花となりました。
 鉢植え用として温室促成栽培された「アザレア」は、明治25年頃日本に戻ってきました。
 その後、日本でも栽培が行われましたが、詳細な栽培方法がわからず、うまく育てられないまま一時期中断されました。その後ベルギーやオランダから成木を入れるも栽培が上手くいかず、普及はしなかったそうです。
 栽培が上手くいくようになったのは大正末期からで、現在でも生産地として有名な新潟県で栽培が拡大していきました。
 今でも品種改良が続けられており、新しい品種が生まれています。冬の鉢花として高い人気があります。
 性質や姿形はツツジに似ていて、葉は厚みがあり毛があります。
 花弁は5枚の合弁花で、花色はピンク、赤、白など様々で一重咲きや八重咲き、フリル咲きがあり、ツツジより一回り大きな花を付けます。
 鉢花としては11月~2月頃開花した鉢が出荷されてきますが、本来の開花期は4月下旬~5月中旬です。耐寒性が弱く(半耐寒性)、霜に合うと枯れる恐れもあります。九州北部であれば、極端な低温が無ければ戸外での生育は可能です。
 窓際の日の当たる、暖房のない場所が好ましいです。暖房の風が当たる場所では、乾燥による蕾の落下や花弁が傷みますので要注意です。

【育て方】

≪日当たりや置き場≫
 4月以降は戸外に出して、日当たりの良い場所で管理します。
 7月中旬から9月上旬までは、日差しが強く葉焼けを起こしやすいので明るい半日陰で育てます。

≪剪定≫
 花後なるべく早めに剪定を行います。5月~6月上旬には済ませておきます。

≪水やり≫
 春先は新芽が伸び、盛んに成長します。乾燥させないよう毎日水を与えます。夏の高温期は1日2回(朝夕)秋は春と同様です。
 鉢物を再び室内に取り込むのであれば、土の表面が乾いたらタップリ水を与えます。

≪肥料≫
 花後に緩効性化成肥料を施します。あとは9月に再度施します。

≪植付け・植替え≫
 鉢花として購入した場合、鉢いっぱいに根が張っていることが多く、花後、3月~4月に一回り大きい鉢に植え替えます。もしくは地植えします。
 2年目以降の鉢花は5月~6月に植え替えます。剪定と同時に植え替えれば簡単です。

2022

≪注意事項≫
 蜜を含む植物体全体が、他のツツジ科同様ロードヤポニンなどの毒性を持っています。口には入れないよう注意しましょう。
 ※鉢花として出回るものは低温処理をしているため、翌年からは4月下旬ごろからの開花になります。

 アザレアは華やかな雰囲気を持っています。園芸店で見かけたら、是非とも手に取って見てくださいね!



 次は「カルーナ」と「エリカ」です。
 日本では、両種ともこんもり茂った樹姿で、小さい筒状の花や針のような葉を持ち、枝に小さな花をたくさん咲かせる様子がよく似ています。本来別種ですが区別されることなく、「エリカ」と総称されているように思われます。

※カルーナとエリカの違い
 エリカは花弁が大きく目立ちますが、カルーナは花弁が小さく、代わりに萼が大きく色づいて花弁のように見えます。この点が2つの違いになります。


カルーナ

2022

学名:Calluna vulgaris
ツツジ科 ギョウリュウモドキ属(カルーナ属)
原産地:ヨーロッパ、北アフリカ、シベリア
和名:ギョウリュウモドキ
別名:四方柏(シホウハク)、ヒース
開花時期:主に6月~9月

 カルーナはエリカの近縁の植物で、ヒースとも呼ばれ1属1種の常緑低木です。
 カルーナ属に分類される植物は「カルーナ・ブルガリス種」一種なのですが、変種が多い植物としても知られています。
 花は大変美しく、観賞用として、特にやヨーロッパではグランドカバーとして利用される定番の植物で、1000種以上に及ぶ園芸品種があります。
 冷涼な気候を好み、ヨーロッパ、カナダなどでも帰化し、群生している姿を見ることが出来ます。
 夏咲きと冬咲きのタイプがあり、夏の暑さが苦手なため、暖地や温暖地では冬咲き品種が多く流通しています。

2022

 冬咲きタイプは12月~3月に開花します。花は茎の上部に総状花序を出して、5㎜程の小さい花を多数咲かせます。花弁に見える部分は萼片で、本来の花は萼の中にあります。花色は白、ピンク、紫。一重咲、八重咲き品種もあります。
(←花の様子:写真図鑑参照)
 花はもちろんですが、葉も美しく寒くなると黄色や赤に色づくタイプもあります。姿は立性タイプや地面を這うようなタイプもあります。
 ちなみにCallunaとは「掃く」という意味で、昔は枝を「ほうき」として使用していたそうです。

【育て方】

≪日当たりや置き場≫
 冷涼な気候を好み、荒れ地のようなところに見られ、他の植物が育ちにくい、やせた酸性土壌の場所に生育します。
 高温多湿の蒸れに弱く、風通し・水はけがよく、しかも乾燥させないことが大切です。暖地では大株に育ちません。

≪その他の管理≫
・水やりは葉がしおれないよう、用土の乾き具合をみて十分に与えます。
・肥料は特に必要ありません。低温期に液肥を施し生育促進を図ります。
・植替えは、株の老化や根腐れ防止のため年1回は行います。
 春と秋が適期で株を軽くほぐして植え付けます。
・開花後は刈込を行い、形を整えます。放任すると下葉が枯れ上がり、株の中央が蒸れて枯れこみやすくなります。

 私は冬場のコンテナや花壇に使用しています。今年の夏の暑さで植え付けた株全てが枯れてしまいました。
 難しいと分かっていても~今秋も数株植付けをしました。冬の間だけでも楽しみたいと思っています。


エリカ

2022

学名:Erica
ツツジ科 エリカ属
原産地:南アフリカ、ヨーロッパ、北アフリカ
別名:ヒース、ハイデ
開花時期:種により様ざま

 エリカは細い枝に小さい花をびっしり咲かせるため、株全体をみると華やかな印象を与えます。
 エリカ属には740種あると言われ、うち16種がヨーロッパに、ほかの大半は南アフリカに自生しています。
 日本でも庭植えでよくみられるポピュラーなジャノメエリカをはじめ、数多くの品種が流通しています。
 品種によって姿形や開花時期が異なり、花色や花の形も壷状やベル形や細長い筒状のものやジャノメエリカのように雄しべの葯が黒く目立ち、蛇の目のように見えるものも多くあります。
 ヨーロッパでは英語で※ヒース、ドイツ語でハイデと呼ばれ、荒野の景色に欠かせない花でもあります。
~※ヒース(Heath)とは。イギリスやアイルランドにおける平坦地の荒地のこと。薄い表土と砂で出来ており耕作や牧畜には適さない場所で、エリカ属の植物によって砂の飛散を抑えられている。~
 古くから代表的な庭園植物として親しまれ、植物園にはヒースを敷き詰めたヒースガーデンも見られます。

2022

 南アフリカ原産のジャノメエリカやスズランエリカのように野生のままでも観賞価値が高いので、あまり品種改良されていないものもあります。
 スズランエリカ(Erica formosa)はクリスマスのシーズンになると流通してきます。

2022

 真っ白いスズランのような花をつけ、ツリー仕立てにした姿はつい手に取ってしまいますね。
 また、クリスマスパレードも人気の高い品種です。(右の写真) 
 
【育て方】

≪日当たりや置き場≫
 多肥多湿と高温期の蒸れが苦手です。日当たり、風通しのよいやせ地を好みます。寒さには強いですが、暑さに弱く、南アフリカ原産のものは半耐寒性(3~5度の低温に耐え、0度以下になると枯死する)で比較的高温にも耐えますが猛暑は苦手です。

≪その他の管理≫
・根づいた庭植えのジャノメエリカへの水は殆ど必要ありません。水切れをしないよう用土が乾き始めたらたっぷりと与えます。
・春と秋に化成肥料の置き肥をします。
・弱酸性の用土を好みます。
・ジャノメエリカ以外は鉢植えをお勧めします。鉢の植替えは春か秋に根鉢を軽く崩して植替えます。肥料は完全に根づいてから与えます。植替えと同時に枝の切戻しを行っておくと良いです。
 
 一時期ジャノメエリカを育てていましたが、いつの間にか枯れてしまいました。それ以来育てていませんが、これから入手出来たらもう一度きちんと育ててみたいと思っています。
 その他のエリカは鉢物での育成が間違いないようです。

画像の説明

 
 今回紹介した以外の鉢花もたくさんあります。戸外での生育は難しくても室内で楽しめます。
 これからはシクラメンやゼラニュウム、シャコバサボテンなどの鉢物が目を楽しませてくれます。園芸店を覗いてみてください。ワクワクしますよ!

 暑い夏が過ぎて、やっと涼しくなったように思っていたら、急に冷え込んできました。秋は好きな季節ですが、本当に「良い季節」という時期は短いですね~
 これから花壇やコンテナ類の衣替えです。
 今年の冬は「とても寒い冬になる」とか~。
 本格的な寒さが来る前に終わらせてしまいましょう!

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