花のコーナー 2022年12月
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花のコーナー
御園 和穂##
2022年12月 季節の変り目
やっと寒い季節の到来です。それでもお天気の良い昼間は汗ばむような暖かい日もあります。
暑い猛暑を越えてのこの季節。本格的な寒さの前のほんのひと時、「良い季節」を迎えています。
先日、仕事で山口県長門市を訪れました。朝早かったので、田畑は白い靄に覆われ何とも言えない幻想的な景色を見ることが出来ました。日中は暖かく、抜けるような青空と素晴らしい紅葉のおまけつき。仕事でなければ、「紅葉狩り」を満喫できたかも~
落葉樹の葉が色づきながら徐々に落ち始めました。ちょうど季節の変り目ですね。せかすようですが、「花壇やコンテナの植替え」今のうちですよ。
冬に入る前に色々と片づけておきましょう!
今回は草花ではありませんが、「紅葉」について紹介します。
「紅葉」=「こうよう」、「もみじ」。さて、どう読みますか?
一般的には落葉樹が有名で、晩秋に一斉に色が変化するものが対象とされ、色の変化が鮮やかな木の代表がカエデ科の「モミジ」です。
狭義には、
・赤色に変わるものを「紅葉:こうよう」
・黄色に変わるものを「黄葉:こうよう、おうよう」
・褐色に変わるものを「褐葉:かつよう」 と呼び、厳密に区別することなく「紅葉」として
使われているようです。
呼び方は~どちらでも正解です。その時の気分で使い分けてくださいね。
では、なぜ紅葉するのか?葉が色づく条件を知っていますか~
1:気温が低くなる
一般的に朝の最低気温が8℃前後より低くなる日があってから、しばらくすると色づき始めます。(この気温は地域によって異なります)
2:日が短くなる
昼間の時間が短くなると色づき始めます。
(←ナンキンハゼの葉の色づき)
・赤い葉になるのは、気温が下がってきて日が短くなると、葉の根元と枝の間に離層(リソウ)と呼ばれるコルクのような組織が形成されます。すると、光合成で作られた糖が枝などに届かず、日光を浴びて糖とタンパク質が化学反応を起こし、アントシアンという赤い組織が作られます。(カエデやサクラ)
・黄色い葉になるのは、カロチノイドとクロロフィルが含まれているからです。
気温が下がると、クロロフィルが先に分解され、分解の遅いカロチノイドの黄色が際立って見えます。(イチョウやポプラなど)
【用語の説明】
・クロロフィル:葉を緑にする葉緑素のこと。クロロフィルは光を吸収し、二酸化炭素+水を酸素+炭水化物に換えるためのエネルギーを供給します。
・カロチノイド:葉を黄色にする色素。光からエネルギーを吸収する役割を持ち、そのエネルギーはクロロフィルに運ばれます。
・アントシアン:葉を赤色にする色素。アントシアニンは主に紫外線を吸収するので、クロロフィルの働きが弱まったときに強すぎる光を和らげる役目があると考えられています。
「紅葉とは」、植物によってそれぞれの色素を作り出す能力の違いと気温、湿度、紫外線などの自然条件の作用による酵素の働きの違いなど、複雑にからみあって起こる現象なのです。
また、面白い内容を見つけました。
「なぜ紅葉があるのか?」
紅葉の「進化的要因」を長いこと研究されている先生の文献を読んでみました。
内容は、紅葉植物とそれに寄生するアブラムシ類の関係を調べ、紅葉の色が鮮やかであるほどアブラムシの寄生が少ないことを発見されたそうです。
樹木にとって紅葉の原因のカロチノイドやアントシアニンを合成するには大きな負担がかかりますが、直接害虫に対して耐性を高めるわけではありません。
アブラムシは樹木の選好みが激しいらしく、一部のアブラムシは「色の好み」までわかっているそうです。
結果、『十分にカロチノイドやアントシアニンを合成できる樹は耐性が強いので、寄生しても生きていけないぞ』と呼び掛けているのだとか。
~このような研究をされている方もいらっしゃることに驚きました!~
でも、面白いですね!
ここからは、「紅葉の美しい樹木」を挙げていきましょう。
《赤い葉に紅葉する樹木》
イロハモミジ、ハウチワカエデ、ニシキギ、ヤマウルシ、ヌルデ、ヤマザクラ、ナナカマド、ガマズミ、タラノキ、ミズキなど
イロハモミジ
学名:Ace palmatum
ムクロジ科カエデ属 落葉小高木
福島県以西の本州、四国、九州、朝鮮に分布。
葉は5~9つに掌状に分かれ、やや荒い鋸歯があります。庭園、公園、様々な場所に植栽されています。名前の由来は葉の裂片を数える際に「いろはにほへと」と数えたことに由来します。秋の紅葉は美しく各所で彩りを放ってます。
春からの美しい緑の葉、4月~5月に花を咲かせ、その後、種子を付けます。種子はヘリコプターのようにクルクル回りながら風に乗って飛んでいきます。
四季を通して様々な姿を見せてくれるイロハモミジです。
ニシキギ
学名:Euonymus alatus
ニシキギ科ニシキギ属 落葉低木
北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、中国東北部に分布。
ニシキギは、世界三大紅葉樹木の一つに挙げられ、公園や庭園では脇の樹木として欠かせない低木の1つです。
その紅葉の美しさは織物の「錦」に例えられ、「錦木」と名付けられたと言われています。
ニシキギは紅葉以外にも特徴があり、若い枝の周囲にコルク質の風変わりな翼ができることでも知られています。
春に薄い黄緑色の花が開花した後に実が出来、秋にはその実がはじけて赤い種が顔をのぞかせます。
愛らしい実をつけますが、毒性をもっているので赤くて美味しそうに見えても、決して口にはしないでくださいね。
ちなみに実は食用にはなりませんが、昔は「毛ジラミ」の駆除薬として使われていたそうです。
花は小さく目立ちませんが、秋に紅葉すると一躍主役になるくらい美しい姿になります。
是非、お散歩の際に探してみてください。
《黄色の葉に紅葉する樹木》
イチョウ、イタヤカエデ、ポプラ、スズカケノキ
イタヤカエデ
学名:Acer pictum
ムクロジ科カエデ属 落葉高木
原産地:北海道、秋田、朝鮮、サハリンなど
別名コハウチワカエデ、オオバモミジなどとも呼ばれ、樹木は大きく育ち、葉も広がって密生します。
一般的には地植えして育てますが、鉢植えや盆栽にして育てることも可能です。
また、光があまり差し込まない山奥でも生息できるほど「生命力が強い樹木」です。害虫も付きにくく成長も早いです。
葉は雨の日に雨宿りができるくらい大きく、分厚く大きな葉は、まるで「板で作られた屋根のよう」から「板屋楓」と呼ばれるようになったそうですよ。
名は由来通りですが、葉と葉は重ならないように生える特徴があります。これは山奥の込み合った樹木の中でも効率よく光合成を行えるようにするためなのです。
4~5月に黄色い花をつけます。
多くの植物は新緑の葉を出した後に開花しますが、イタヤカエデは春に花を咲かせた後に葉をだします。
木いっぱいに花、その後の美しい緑の葉、秋の落葉直前になると葉の色を黄色に変化させます。見ごたえ十分な樹木ですね。
イタヤカエデは白っぽく美しい幹肌で、材は弾力に富んでいて建材や家具、楽器などに使用されています。
また大きな特徴として、カエデの仲間なので樹液がでます。早春に傷をつけると甘い樹液が出ます。この樹液はタバコの香料として使われているそうです。
散策中にイタヤカエデを発見したら、美しい黄色い葉を楽しんでください。
その他で黄色い葉の樹木は、皆さんもよくご存じのイチョウやポプラです。
イチョウ並木 イチョウの葉(上)とポプラの葉(下)
今回は、全ての「紅葉樹」は紹介できませんが、比較的身近にみることができる樹種を紹介しました。今が盛り、散策の際には美しい葉姿を観賞してみてください。
合わせて、このような落葉樹がたくさん植えられている公園では毎日のように「落葉清掃」が行なわれています。また、街路樹の周辺にお住まいの方にとっては大変な作業だと思います。
放置しておくと、排水溝が詰まり、雨で湿ると滑ってしまいます。日々、そのような事が起きないよう清掃をしてくださる方がいます。
毎年、この季節になると美しい姿を見ることが出来るのは、その裏側でひっそりと努力をしてくださっている方のおかげでもあります。忘れてはいけませんね。
この葉が全て落ちてしまうと、本格的な冬の到来です。
今年の冬は特別「寒い」と聞いています。電気料金高騰の影響もあり、出来るだけ節約をしながら「寒い」冬を乗り越えていかないと!
そんなことを思いながら、一年をふり返っています。
皆様にとってどんな一年だったでしょうか?
来年はみんなが楽しく過ごせる一年であったらいいですね!
「花のコーナー」も来年15年目に突入。本当に長く続けさせて頂いています。皆様の評価は分かりませんが~もう少しお付き合い頂ければ幸いです。
この一年ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。