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花のコーナー 2016年01月

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花のコーナー

御園 和穂##

2016年1月 マツ(松)

 新年 明けましておめでとうございます。

 今年は「申年」です。干支(十二支)の9番目にあたります。
 昨年末に「来年は申年だから、はい、これ」と袋を頂き、開けてみたら「赤い肌着」が入っていました。
 申年に「赤い肌着」を着ると縁起がいいと言われています。
 申年の「サル」にかけて、「病が去る(サル)」などの語呂の良い事、また「赤」という色が病気を防ぐ厄除けになるとの言い伝えがあります。
 江戸時代の文献にも「赤いものを身につけると病気よけになる」と記載されています。また、昔から「赤いパンツを穿くと、年を取っても下のお世話を人に頼らず自分で出来るようになる」とも言われています。
 「赤い肌着」を身につけて良くない事を回避できるなら!

 今回は「マツ」を紹介します。
 「マツ」と言えば、以前にも「門松(2009年1月掲載)」や「松竹梅(2012年1月掲載)」を紹介しました。今回は「マツ」の面白いところを紹介しましょう。

 「マツ」とは。
 マツは姿が堂々としていて、樹形からも風格が感じられます。
 また寿命も長く、中には樹齢数百年のものもあります。古くから日本画やお正月花として飾るなど、日本人には親しまれている樹木です。

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 学名はPine、Pine tree、マツ科、マツ属の常緑高木の総称です。赤道直下の熱帯・亜熱帯からロシア、カナダなどの北極圏まで、北半球に広く分布しています。
 マツは苗木の頃は円錐形をしていますが、その後広葉樹のように枝を広げて大きく生長していきます。
 枝の先端に針のような葉が束になって付き、春になると「マツのみどり」と言われる、花びらの無い花を付けます。
 花はその後「マツぼっくり」という実になります。
 種は食用、木は建材、樹脂は松脂(マツヤニ)として使われます。
 松脂は木の表面に傷がつくとにじみ出てきます。剪定をすると、ハサミや手、作業服などに付いてしまいなかなか落ちません。松脂は粘り気があり、空気に触れると粘りがいっそう増して匂いを放ちます。
 付着してしまった場合、手や顔は石鹸で数回洗えば落ちます。皮膚がカサカサになるので洗った後はクリームを付けてください。衣類の場合は消毒用エタノールでベタベタを取り除き、その後中性洗剤で洗濯しますが、綺麗には取り除けないと思います(経験上です)。誰か、上手に落とす方法があったら教えてください!
 松脂はバイオリンの弓にも付けます。新品の弓の場合、バイオリンの絃にあてて弓を引いても音はでないそうです。
 弓毛のキューティクルの凸凹に松脂を塗り込み、細かいギザギザが出来る事で音が出るのだそうです。知りませんでした。
 また、バレエシューズのトウの先にも滑り止めで塗っていました。最近では床の種類によって異なるようですが、床が木材(桜材など)の場合は今でも先端に塗るそうです。
 名前の由来は、学名や属名のPinus(パルナス)は、「山」を意味する「Pin」が語源とされており、和名のマツは、「行く末を待つ(まつ)」、「神が木に降りてくるのを待つ(まつ)」「葉が沢山枝にまつわりつく(まつ)」、などの語呂合わせからきている説や、葉が2葉で「二股」なので「股」が訛って「マツ」とも言われた説などがあります。はっきりはしていないようですね。

 花はなかなか目にすることができない気がします。開花後につく実が「マツぼっくり」です。
 雌雄同株(オスとメスが一緒の株の事)で、雌花は先端に付き、雄花は枝の根元に付きます。風媒花(風によって運ばれる)です。

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 球果(マツぼっくり)が開く条件としては乾燥によるものが一番多いのですが、中には火災時の高温や動物の摂食によって開くタイプのものや球果が腐敗する事によって開くものもあるそうです。

        球果

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 開くと中に種が入っています。
 薄い羽が付いている姿を見たことのある方も多いと思います。風で遠くまで飛べるようになっています。
 実際の種は先の膨らんだ中に入っています(左の写真の白い○印で囲った部分)
 この種を採り出し、播種すると芽が出て、マツの苗木が出来ます。
 マツは挿し木が難しい木なので、種か接木で増やすのが一般的です。
 葉の長さは地域によって異なります。
 日本の場合は品種にもよりますが、自生しているタイプで15cm前後が基本になっています。

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Pinus krempfii   
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Pinus banksiana

 一般的に暖かい地域で育つマツは、葉の生長が早く、長い葉を持つことが多いそうです。
 例外として、写真のマツはベトナムの南部に生息するマツで、ペタンとした幅広の葉をもっているとても珍しいマツです。(学名:Pinus krempfii)




 また、学名:Pinus banksiana バンクスマツの葉は2~3cmとマツの中では一番短いと言われています。
 ロッキー山脈からカナダが原産地で、寒い地域にみられるマツです。
 球果はなかなか落ちることがなく、重なるようについているそうです。マツカサは、50℃を超えるような高温になると開くタイプで、山火事などにあうと、カサを開き、種を落とし樹木の更新をするのだそうです。

 マツカサは高温に耐える事が出来るので、山火事で燃えることはないそうです。山火事などの高温が生命サイクルにインプットされており、その様な状況になると開き、逆に-45℃以下の低温に合った時にも開くのだとか。両極端な温度差によって今まで生き延びてきたマツなのですね(写真;図鑑参照)。
 樹木の大きさもまちまちで、低いタイプから50mを超えるタイプもあります。
 日本のマツは、自生しているものを除くと、独特の管理をしています。
 樹形を整えるテクニックとして、初夏には「緑摘み」、晩秋には「もみあげ」という作業を毎年繰り返し、形を整えています。樹高も姿形によって自在に変化をさせます。
 また、マツの葉にも特徴があります。
 身近なマツのなかでも、アカマツやクロマツは葉が2葉、ゴヨウマツは5葉と葉の数が異なります。
 全部同じようですが、じつは少しずつ異なっています。
 5葉のゴヨウマツは葉の数から名前が付いています。
 アカマツの名前があがったので、もう少し横道にそれて・・・。
 皆さんはアカマツ林にマツタケが育つことはよくご存じかと思います。では、どうしてアカマツ林に出来るのか?は知ってますか。
 栄養分が少なく比較的乾燥したところを好むマツタケは、痩せた土地に群生して育つアカマツなどの林で見ることができます。
 樹齢が20年から30年たつと、マツタケが株回りに出来はじめ、30年から40年の間採取が出来るそうです(樹齢70年くらまで)。
 マツ属などの樹木の根に付着する外生菌根と呼ばれる相生菌生体によって、宿主のアカマツの吸収根にマツタケの菌は共生しているわけです。
 キノコを大きく分類すると腐朽菌と菌根菌の二つに分けられます。腐朽菌は枯れた木に付着して栄養を一方的に吸収しますが、菌根菌は生きた木に付着し、お互いに栄養のやり取りをします(マツタケは菌根菌です)。
 マツタケは、地表に落ちた枝や葉などの水分や栄養分の多い腐葉土の上には発生しないのです。なかなかお目にかかれないのはそのような理由によるものなのです。
 いつの日か、栽培技術が進歩し大量生産されるようになったらパック詰めになった安価なマツタケを食べるようになるかもしれませんね。でも、それでは「希少価値がなくなってつまらない」のかも知れませんが・・・
 さて、本題に戻って、少しだけ珍しいマツを紹介します。

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ダイオウショウの切り枝
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学名:Pinus palustris  和名:ダイオウショウ 漢名:大王松。 
原産地:北アメリカ東南部~南部。日本へ渡来したのは明治時代終わり頃です。
 南の地域で庭木として植えられ、樹高30m~40m程になる常緑針葉樹です。
 葉の数は3葉で長さが30cm~50cm程度まで伸び、世界で最も長い葉を持っているマツと言われています。
 葉が長く、枝先に密生してつくので、垂れ下がる姿は趣があります。
 庭木としても楽しみますが、切り枝の一つとしても楽しまれているようです。
 写真のダイオウショウは、昨年末に実付きでいただきました。じつはダイオウショウのマツぼっくりを初めてみました。
 大きさが分かりにくいと思いますが、葉の長さが30cm~40cm程で、マツぼっくりの大きさは15cm~20cm程です。切り枝が1m程なので生け花にするのも大変です(手元の小さいマツぼっくりが通常の大きさです)。
 私がダイオウショウを知ったのは25年前です。
 お客様から依頼があり、初めて植付けをしました。その後、手入れはしないで放置してほしいとの依頼でした。現在、どうなっているのか?定かではありませんが、生育していればかなりの大きさになっているのではないでしょうか。
 今回、偶然にも頂いた枝ですが、通常40年~50年程しないとマツぼっくりをつけないのだそうです。

 お正月用として使用しましたが、じつにダイナミックな生け込みになりました。(ただ挿しこんだだけですが~)
 マツカサから種も出てきたので、植付けもしてみたいと思います。
 このマツぼっくりは、今年の夏の子供たちの工作用に使いたいと思っています。

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 友人が夏休みに子供たちの工作教室を開催しました。木の枝や実、マツぼっくりなど自然の材料を集めての工作教室です。この時はヒマラヤスギのマツぼっくりを用意しました。マツぼっくりがティラノザウルス(上写真2枚)、トリケラトプスとステゴザウルス(下写真1枚)に変身です。
 想像力が豊かです!素敵な作品ですね。
 今年も楽しみです。

 さて、今年はどんな年になるのでしょうか。
 世の中が少しざわざわしているように感じるのですが、「赤い肌着」を身に着けて、お猿さんのように軽快に動き回れたらいいかな~と思っています。
 今年も宜しくお願い申し上げます。

 (16/01/01掲載) 

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