花のコーナー 2019年05月
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花のコーナー
御園 和穂##
2019年05月 アデニウム
5月、新天皇が即位し「平成」が終わり「令和」が始まりました。
「平成」は、戦争の無い時代でしたが大きな災害に幾度となく見舞われました。これから始まる「令和」はどのような時代になるのでしょう。争いや災害のない穏やかな時代になることを願っています。
桜が終わり、周辺の樹々は一斉に芽吹き始めました。街中でも樹木の多い場所だと新緑の「青い匂い」が漂ってきます。
花壇やコンテナの植替えもこれからが本番ですね。
寒い冬を耐えた草花はそろそろ終盤を迎えます。これからは晩秋まで咲き続ける草花とバトンタッチです。
「何を植えようかな?」と、考えるのも楽しい時間ですね。
迷ったら園芸店を覗いて見てくださいね!
今回は、ここ数年人気の高い多肉植物の中から紹介します。
アデニウム
学名:Adenium obesum
キョウチクトウ科アデニウム属
別名:砂漠のバラ
多肉植物、多年草(冬は落葉)
原産地:南アフリカ、南西アフリカ、ソコトラ島、アラビア半島
草丈:50~100cm程度
アデニウムの仲間は地域によって姿形が少し異なります。今回はアデニウム・オベスムという品種を紹介します。
ケニアやタンザニアが原産地で、一般的に「砂漠のバラ」と言われ、赤からピンク色の美しい花を咲かせます。また八重咲や多様な花色の園芸品種も多く作られています。
アデニウムは美しい花以外にも大きく肥大する根や幹も特徴の一つです。
花を楽しむのはもちろんですが、独特のフォルムを生かして、盆栽で楽しむ方も増えてきています。
夏の暑さは大好きですが、冬の寒さが苦手です。加温を施せる場所であれば周年楽しむ事が出来ますが、無い場合は休眠させて冬を越しましょう。冬の室内でも5℃以上を保ち日の当たる場所で越冬させます。休眠期に8℃を下回ると葉を落とします。
春から秋の生育期はしっかり日に当てます。日照不足になると徒長して茎が伸びてしまいます。よく日にあてて堅く締まった株に育てましょう。
育て方は後ほど説明いたします。
さて、皆さんは多肉植物をどのようにして増やされていますか?
私も自宅で数種類の多肉植物を育てていますが、多くの場合、株分けや挿し木で増やしながら育てています。
昨年の夏、アデニウムの茎のところが伸び始めました。
これはなに?わかりません。しばらくすると左右に細長い鞘が出来ました(写真参照)。
実は種子の姿を見たことがなかったので!
その後、その鞘が弾けて中から「綿毛の付いた種」が出てきました。
弾けた時は気付かず、土の上に落ちているのを確認した次第です。
↑鞘が伸びた状態 ↑鞘が弾けた状態
アデニウムの姿からすると、とても想像のつかない種の付き方でした。また多肉植物の種子鞘も初めてみました。
さながら武士の兜飾りのような~ダイナミックな鞘でした。
種はすでに弾けて周辺に落ちていました。細長い種の上下に綿毛が付いている形状で、風で吹き飛ばされれば遠くまで飛んでいくタイプですね。
せっかくなので種蒔きに挑戦です。
種は中央の細長い部分(約1cmほど)です。両サイドの綿毛を取り除き蒔きました。
鞘が細長く左右に20cmはあったと思いますが、拾い集められた種は10個。
8月20日に全て植えつけました。
2週間ほどで発芽し、3か月で5cm弱くらいまで生長しました。
播種10個の内、1ポットは発芽せず9ポットから元気に発芽しました。
11月に入り気温が下がってきたので加温できる場所へ移動させて冬を越します。
一般家庭であれば、室内の日光が当たる暖かい場所へ置きましょう。ただし、12月に入ると葉が落ちて休眠状態になります。水は与えません。春までしばらくお休みです。
←昨年の11月の状況
2月に入って5cm程の棒の先端に葉が出てきました。葉のすぐ下あたりには細かい針のような棘も確認できました。
加温せず室内で育てた場合の現況です。
今しばらくこのまま生育させもう少し大きくなったら植替えをしようと思います。
さらに大きくなった姿は乞うご期待ください。
←今年4月の状況
【育て方のポイント】
■栽培環境
・春から秋までの生育期は、戸外の風通しと日当たりの良い場所で育てます。
・冬場は出来るだけ暖かい場所に置き、5℃を下回らないよう管理します。
・11月以降は水を切って落葉(休眠)させて冬越しをします。
■水やり
・生育期は乾いたらタップリ与えます。冬場は水を切ります。
■肥料
・生育期に緩効性肥料を少し施します(粒状の肥料を株まわりに置き肥しましょう)。
・液体肥料ならば、規定の倍率で希釈し月1回程度施しましょう。
■病気と害虫:
◆軟腐病(病気) :水の与えすぎや低温時に発生しやすくなります。
生育盛んな梅雨時期は水を控え、冬場の極端な低温も避けてください。
◆ハダニ(害虫) :高温で乾燥時に発生します。
葉色が抜けたような症状が出ます。見つけたら駆除をしましょう。
◆アブラムシ(害虫):蕾に付きやすいので、見つけたら駆除しましょう。
■植付け・植替え・用土
・4月から8月が適期になります。
・根鉢の土を半分ほど落として、傷んでいる部分があれば取り除きます。
・用土は多肉専用の用土もしくは赤玉土3:鹿沼土3:腐葉土4程度の配合土です。
■増やし方
・挿し木か種まきです。
◆挿し木:枝が伸びたら、枝先に2~3枚の葉を付けて挿し穂を用意します。
切り口は2~3日乾かしてから植付けと同じ用土に挿します。
◆種まき:入手できたら種まきにも挑戦してみてください。
綿毛を取り除き、種蒔き用の用土などに蒔きます。種は覆土します。
発芽するまでは土の表面が乾いたらタップリ水を与えましょう。
※挿し木・種まき
種まきをした場合は幹が太りますが(徳利のような形)、挿し木の場合はあまり幹が太ることはありません。
※注意
アデニウムの樹液には毒性があります。折れたり切ったりした際に出る樹液には気を付けて取り扱いされてください(キョウチクトウ科なので)。
「砂漠のバラ」と呼ばれるアデニウムを紹介しました。多肉植物での播種は初めてですが、生長の状況を随時報告していきたいと思っています。
種の親は加温室で周年美しい花を咲かせています(上記のピンクの花の写真です)。今年も大きな鞘を付けるのでしょうか。意識しておかないと見逃してしまうかもしれませんね。
ユニークな姿がどのように育っていくのか、これからが楽しみです♪
この数年、園芸雑誌には「多肉(サボテン)植物」が必ず掲載されています。また、園芸店でも多く売られています。人気のある植物なのですね~
相談も多くなりました。そんな中で「購入した多肉植物が大きく伸びて形が崩れて~」「茎が腐って~」など、よく問われます。
多肉植物も生育するので形が変わってくることを知っておいてほしいと思います。また、通常の草花と同じように水管理する必要はありません。与えすぎると腐ってしまいます。
伸びてきた茎や葉は切り戻して元の姿に戻すことも可能です。切り戻した茎や葉は繁殖用(挿し芽)で使用しましょう。
多肉植物の伸びた茎の姿もユニークで楽しめますし、花も咲きます。様々な姿を楽しんでみてください。
興味があって「育ててみたい」なら、今からがチャンスですよ!
(19/05/01掲載)