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花のコーナー 2019年12月-

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花のコーナー

御園 和穂##

2019年12月 キンギョソウとストック

 一年最後の月になりました。
 11月上旬はまだ気温が高く、汗ばむ日もありました。その後、気温は少しずつ下がりやっと秋らしくなってきました。
 さすがに12月に入ると寒いです。冬の到来ですね。
 昨年はパンジー、ビオラの流通が遅かったと記憶しています。今年も昨年同様少し遅かったようです。これから先、皆さんの植え替えも少しずつ遅くなってくるかも知れませんね。それでも12月中旬前には終わらせてしまいましょう。

 今回は秋冬から来春まで咲き続ける草花を紹介します。



キンギョソウ

画像の説明

学名:Antirrhinum majus
オオバコ科 キンギョソウ属(アンティリナム属) 
多年草(日本では一年草扱い)
原産地:地中海沿岸地方(南ヨーロッパ、北アフリカ) 
和名:キンギョソウ
英名:スナップドラゴン
開花期:4月~6月(冬場も開花)


 丸みのあるユーモラスな花形と様々な色合いは、秋から春の花壇やコンテナ植えで欠かせない草花の一つです。
 和名のキンギョソウは、花の一つ一つが「金魚が泳いでいる姿」に似ていることから付けられたと言われていますが、英名のスナップドラゴンは、花に虫が止まった姿が「獲物をくわえた竜」を思わせるとして名付けられたとされています。

 おもにヨーロッパで改良され、19世紀には現在のキンギョソウに近いタイプが作られ、日本には江戸時代末期に渡来したようです。
 現在栽培されているものは、明治以降に渡来したものと言われています。

画像の説明

 キンギョソウは品種が多く、草丈が1m以上になる高性タイプから、こんもりと茂る小型のものとその中間のタイプがあります。
 切り花や花壇用、コンテナなど植付け用途に合わせて幅広く利用されています。また、花も八重や斑入りなど多くの品種があります。

 学名のmajus(マユス)はラテン語で5月の意味です。
 本来は5月頃が開花の最盛期です。現在は品種改良のおかげで、短日や長日条件で開花するものがあり、ほぼ周年開花させることも可能になりました。
 また分類では多年草ですが、日本の梅雨から夏の高温多湿の蒸れには弱く、一年草扱いが常です。
 育てる場合、一般的には苗からですが、種からでも成長開花が早くよく育ちます。
 種はF1種(一代交配種)なので植えられたキンギョソウからの採取は難しいです。播種する場合は購入種を使用しましょう。
 花壇やコンテナで使用する場合は、他の草花に比べると「背の高い」タイプを植えつけると良いでしょう。花壇の場合は中段から後方、コンテナの場合は後方に入ってきます。
 花壇の場合は、切り花用の1mくらい高くなる品種も楽しめますね。
 ポット苗の場合、ポットの中で根がクルクルと回ってしまっている物は、根を切らずに指先でほぐして植付けます。そうでない場合はそのまま植付けます。

【育て方】 
 日当たりと水はけの良い場所を好みます。
 日陰や湿りけの多い土では生育が悪く、たとえ成長しても花が咲きません。
 乾燥には強い方ですが、根が張るまではしっかり水を与えます。葉が萎れる前にしっかり与えましょう。

 耐寒性は強く0℃近くでも防寒なしで育ちます。耐暑性にも比較的強く耐えますが、梅雨時期の湿度が高く日照が少ない期間が続くと、急激に弱まり枯れてしまいます。このような気候では夏越しが難しいため一年草扱いとされています。

肥料:花壇植えの場合は殆んど必要としません。鉢植えの場合は春と秋に与えます。キンギョソウは成長が早いので、肥料が多いと徒長し軟弱になりがちで、病害虫に対して弱くなることがあります。
 必要な場合は、生長を見ながら薄めの液体肥料を与えると良いでしょう。
 よく花が咲くので、その都度花柄摘みを行いましょう。生長とともに枝が混んできたり、背が高くなり姿が崩れてきたら、思い切って半分に切り戻します。
 さらに株を太らせながら沢山の花を咲かせるようになりますよ。
 切った茎はさし芽で増やすことが出来ます。
 育て方は比較的容易なタイプです。

 通常の取り扱いは一年草扱いなので、11月に植え付けて翌年の6月で終わりになりますが、株がしっかりしているものは6月の植替え時に全体の3/2~半分まで切り戻し、風通しの良い場所で夏を越させます。全ての株が夏越し出来るかどうかは環境によって異なりますが、試してみてはいかがでしょうか!
 あとは種蒔です。前述のように苗はF1種が多いので購入した種を蒔きましょう。発芽適温は18~20℃。好光性なので播種後覆土はしません。
 キンギョソウは育てやすく、どんな草花とも相性が良く、組み合わせのしやすい花ですよ。

 次はキンギョソウと並ぶ冬から春先の代表草花です。



ストック

画像の説明

学名:Matthiola incana
アブラナ科マッティオラ属(アラセイトウ属)
一年草
原産地:南ヨーロッパ
和名:アラセイトウ(紫羅欄花)
英名:Stock
開花時期:2月~5月

 秋から早春にかけて香りのある花を咲かせ、切り花、供花としての利用が一般的でしたが、現在は花壇やコンテナでも使われるようになりました。

画像の説明

 ヨーロッパでは古くから栽培され、古代ギリシャ、ローマ時代には薬草としても使用されていました。
 現在手に入るストックは、マティオラ・インカナ種を元に品種改良されたもので、この種は原産地の南ヨーロッパでは海岸沿いの岩場や崖などの、日当たりの良い場所を好んで自生しているそうです。
 ストックの野生種は一重咲きで、16世紀に香りが好まれ園芸化され多くの品種が生まれました。
 日本には寛文年間(カンブンネンカン:1661年~73年)に渡来したと言われています。その当時の記録には「アラセイトウ」の名で、一重咲きのストックが紹介されていたそうです。
 その後、国内でも栽培はされていたようですが、欧米から多くの品種が入り、一般的な花になったそうです。
 切り花や供花は高性タイプ、花壇やコンテナ用の背の低いタイプ(矮せい種)ともに品種も多いです。本来は多年草で開花時期が長く、香りも同じように長く楽しめますが、日本では夏の暑さに弱く枯れてしまうため一年草扱いになります。
 姿は枝分かれせずに咲くタイプ(切花など)と枝分かれして花を付けるスプレー咲きと豊富な種類を持っています。
 花色も多く、スッと伸びた穂状にたくさんの花をつけ豪華な雰囲気です。
 花はアブラナ科なので4枚の花弁が一般的ですが、最近は八重咲きをよく見かけるようになりました。

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 日本では大正14年頃、千葉県で本格的なストック切花栽培が始まり、昭和25年頃には日本生まれの品種も生まれたそうです。
 昭和40年代以降は、ビニールハウス栽培の普及により和歌山県紀南地域、瀬戸内海沿岸、福岡県、熊本県などへと生産地が拡大しました。
 現在では、早春の千葉県南房総でのストックや他の花の摘み取りがニュースでも取り上げられて有名ですよね~。
                           ↑南房総の花畑↑

福岡県でも育苗させているとは勉強不足で知りませんでした。

画像の説明

 福岡市西区で、冬場霜の降りない環境を活かして、12月~5月までで年間30万本を出荷しているそうです。切り花として部屋に置くと香りがよく花持ちもよくリフレッシュ効果もあるそうですよ。
 切花で楽しみたい時は、どうぞ地元の花を堪能してください。


←福岡県のストック ハウス栽培(JA福岡より)

【育て方】
 日当たりと水はけの良い場所を好みます。
 日照時間が少ないと徒長して花付きが悪くなります。

 乾燥に強い方です。花壇の場合は植えつけ時にしっかり水を与え、その後はよほど乾燥しない限り降雨のみで大丈夫です。コンテナや鉢植えの場合は土の表面が乾いたらタップリ与えます。

耐寒性:関東以西であれば戸外で冬越し可能ですが、霜が降りるような場所では寒さで枯れてしまいます。霜よけをすれば大丈夫です。どうしても心配の場合は3月に入ってから植付けると良いですよ。
 耐暑性も弱いです。気温が上がってくると急激に弱り枯れてしまいます。また、高湿度にも弱いです。よって夏越しが難しいため一年草扱いされています。

肥料:花壇、鉢植えの場合は、土作りの際にしっかり堆肥や化成肥料を漉き込んでおきます。追肥は花が咲く時期に緩効性の化成肥料もしくは液体肥料を施します。

 花は次々と咲きます。穂状に付く花が全体に咲き終わったら穂ごと切り取ります。すぐ下の脇芽から新しい芽が出てきて開花します。
 姿形が崩れてきたら、全体を見ながら切り戻しを行います。

 増やし方は種蒔です。播種適期は9月ですが、発芽適温が15~20℃なので10月に入ってからの種蒔きが無難だと思います。
 また、花苗から種を採取する場合、一重咲きのストックには種が出来ますが、八重咲きのストックには種が出来ません。種は購入してください。ただし、八重咲きの種を蒔いても、全て八重の花が咲くわけではありません。開花した際に八重咲きを選抜して植えてくださいね。

病気:種蒔の際の用土が清潔でないと、苗立ち枯れ病が出やすいです。アブラナ科の植物なのでアブラムシが付きやすく、発生した場合は薬剤散布をするか、手で除去するか、苗がある程度の大きさであれば害虫の付いている先端を切って処分しましょう。

 11月の植え替え時から花壇を彩りますが、最初の花が咲き終わると次の花が咲くまで少し時間がかかります。以前は2月くらいから見かける花でした。最近は秋でも花が咲いており、多分調整されて開花していると思います。
 早春からは次から次へと開花しますからご心配なく!
 植付ける際の注意:ストックの花苗は根を崩さず植えてください。根が真っ直ぐなタイプなので崩すと根が傷んでしまい生育が悪くなるからです。

画像の説明

 「ストック」という名前はスキーのストックと同じ意味で、「茎や幹」を意味しています。確かにしっかりした茎ですよ。よく観察してみてください。
 最近のストックでは八重咲きが大人気です。
 早春からたくさんの花を付け始めると花のボリュウムと香りに魅了されます。

 今季すでに植付けが終わってしまっていたら、来年の2月以降に苗を準備して鉢植えで楽しんでみてください。

 今回は晩秋から来春まで楽しめる、花壇や鉢植えに華やかな2種類の草花を紹介しました。
 なんとなく似ているような?と思われがちですが、使い方次第で見せ方が随分変わりそうです。是非、様々な場所で楽しんでみて欲しいものです。

画像の説明

 最後に、先日ベランダの植物を整理していたら室外機の陰から鉢が~。
サフランの球根が芽を出していました。
 昨年12月に『球根植物』で紹介したものです。
 台風の影響を受けないよう鉢を移動させ、その後忘れてしまったようです。
 これから育って花を咲かせてくれることを望みますが、本当に「ほったらかしてごめんなさい。」ですね。

 当たり前のことですが、誰が言うわけでもなく「自分の生育季節」になると芽を出す姿は感動です。愛おしい限りです!

 1年が終わろうとしています。
 今年も異常な暑さがいつまでも続き、地球温暖化の影響か次から次に台風が発生。様々な条件が重なって大雨で甚大な被害がでてしまいました。
 これからも同様のことがどこで起こるかわかりません。他人事ではなく自分の身の回りも考えなくてならないと痛感しています。

 来年は、是非とも良い年良い一年で過ごせますように!
 この一年、ご愛読いただき有難うございました。
 来年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

(19/12/01掲載) 

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