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花のコーナー 2020年09月

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花のコーナー

御園 和穂##

2020年09月 ホテイアオイとアデニウム

 遅い梅雨明けから猛暑、9月に入っても暑さが緩むことなく続いています。
 しかし、季節は少しずつ変わってきています。
 今年はコロナウイルスの影響で自粛期間が長く、外へ出る機会が少なかったせいか、「季節感」を感じられてないように思いますが、外の景色や植物はきちんと移り変わっているようです。
 今回は、暑さの中にも見た目の「涼しさ」を演出してくれる水草他を紹介します。



ホテイアオイ

画像の説明

学名:Eichhornia crassipes
ツユクサ目アミアオイ科ホテイアオイ属
多年草の浮遊植物(水草)
原産地:南アメリカ
別名:ウォーターヒアシンス ホテイソウ
漢字名:布袋葵
開花時期:8月~9月



 一般的に、湖沼や流れの穏やかな川や湿地の水面に浮遊して生育する水草です。
 草姿はロゼッタ状で、高さ2㎝から150㎝、直径は5㎝から50㎝ほどの大きさになり、葉柄は膨らみ浮力があります。
 根は黒から紫色をしたひげ状のものが水中に拡がります。
葉柄は浮き、伸びた根がおもりの役割をし、水面上でのバランスを取っているそうです。
 また、水深が浅い場所や根が泥に達した場合は泥中に根を下ろし、肥料分を吸収しながら背を伸ばします。
 根を張って、浮遊しなくなると丸くなっていた葉柄は細長く伸びてきます。再び、水害や何か障害が発生し流されたりした場合、それまで長く伸びた葉柄は自力で浮遊するために膨らんできます。

 基本は多年草ですが、日本の自然環境では冬場に枯れてしまうため、一年草扱いです。

画像の説明

 花は真夏に開花します。
 葉の間から花茎を伸ばし、複数の大きな花を付けます。
 花色は薄紫色で花弁は6枚。
 上向きの花弁は幅広く中央に黄色い斑紋があります。
 繁殖は種子繁殖と栄養繁殖です。
 日本の場合、種子繁殖は媒介する虫が生息しておらず、自然受粉は殆どないそうです。

 種子からの生育は、花後に花径を水中に突っ込み、果実は水中で成長します。熟すと水中で弾け種子をばら撒きます。実生からの場合、浮遊しながら生育するのではなく、浅瀬の泥の中で根を下ろし株がある程度の大きさになると葉柄が膨らみ始め、自ら水中から水面に浮遊してくるのだそうです。面白いですね!
 日本では栄養繁殖のみで、茎から伸びた枝の先端に芽が生じて新しい株が育ちます。比較的暖かい地域であれば、冬季でも水面の全ての株が枯死することなく翌春には再び生育をします。
 日本へは明治時代に観賞用としてブラジルからアメリカ経由で持ち込まれたと言われていますが、それ以前の浮世絵に「ホテイアオイと金魚や美女」を描いた作品があるとも言われ、渡来に関しては定かではないようです。
 ホテイアオイは、観賞用のみならず繁殖力旺盛であり水中の窒素分を吸収する性質があることから水質浄化を試みたこともあるようです。
 結果としては「繁殖した植物を集めて処分をする」という作業を永続的に行わなければならず、手間がかかることから放置され、水質浄化作用が有るとはいえ外来種による環境汚染が危惧されている場所もあるようです。
 熱帯・亜熱帯地域に帰化し、日本でも本州南部のあちらこちらに野生化したホテイアオイが見られるそうです。
 冬場に殆どが枯死し、腐って悪臭を放ちます。しかし、一部の株が生き延びることができれば翌春から再び繁殖をします。
 特に栄養価に富んだ水質であれば水面を覆いつくし、在来の水草も生育に大きな影響を受けているようです。
 日本のみならず、海外でも大繁殖による漁業への影響も出ているそうです。
 さらにアレロパシーを有するため、ホテイアオイが持っている生長抑制物質に対して弱い水草は淘汰されてしまいます。
 現在、日本では生態系に係わる被害の法律によって、「要注意外来生物」に指定されています。

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 ホテイアオイは、「メダカの飼育」で最も多く使用されている水草で、産卵場所やメダカの隠れ家、水質浄化を目的としての利用です。
 日当たりの良い戸外であれば生育も旺盛で、葉を茂らせるためメダカにとっては日陰にもなります。増えすぎて水面を覆いかぶさってしまった場合は間引きましょう。
 ホテイアオイは一般的な水草ですが、どのように生育する水草なのかを知って育てることは大切なことですね。

 水槽にホテイアオイとメダカ。目に涼しい風景が演出できますね。
 ただし、水槽に入れっぱなしではダメなので、時々水を入れ替えて綺麗にしてあげます。
 余談ですが、写真のメダカは朱色の「ヒメダカ」というメダカです。品種改良によって観賞用や肉食魚の餌として販売されています。
 このメダカは飼えなくなったり、飽きた場合でも近くの川に放流してはいけません。野生のメダカの生態に重大な影響を与えることになります。飼育する場合は最後まで責任を持って育てましょうね。
 また、水草はアクアリウムとしても楽しめます。初心者向けに次の水生植物をおすすめします。

画像の説明 画像の説明 画像の説明

     カボンバ            マツモ        アナカリス(オオカナダモ)
  ハゴロモモ属ハゴロモモ科    スイレン目マツモ科       トチカガミ科
     沈水植物           沈水植物            沈水植物


画像の説明

スイレン
スイレン属スイレン科
浮遊水生植物

 比較的育てやすく、スイレンは花も咲き楽しめます。
 多少の手入れは必要ですが、水槽に沈めて、水鉢に浮かせて「アクアリウムガーデン」の出来上がりです。
 メダカはいなくても、水の中で揺らめく姿を眺めるのも乙なものですよ♪



次は、以前に紹介したことのある植物です。

アデニウム

画像の説明

学名:Adenium
キョウチクトウ科アデニウム属
熱帯植物、多肉植物の多年草
原産地:南アフリカ、アラビア半島、ソコトラ島
別名:砂漠のバラ
開花期:4月~9月

 原産地の南アフリカやアラビア半島の砂漠地帯に多く自生する植物で、美しい花を咲かせることから「砂漠のバラ」と言う別名を持っています。
 また、株元が肥大し、枝は上に伸びるものや八方に拡がるものなどユーモラスな姿が魅力的です。

画像の説明

 以前に紹介した時は、「花後に変な形の筒が伸びて種が取れた~」とのくだりでした。(写真参照)
その後、種を蒔き、発芽から2年目の夏を迎えました。
 発芽後のアデニウムは順調に育ち、独特の特徴通りの育ち方をしていました。
 高さは20㎝ほど。上部に葉を付け株元は軽く肥大し「よい感じ」です。


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 5月に植え替え、1ヶ月に1回薄めの液体肥料を与えていたら~7月に株元の肥大した部分に小さい芽が出てきました。(写真参照)
 ただ真っ直ぐ伸びるだけで、上部で枝分かれをするものと思い込んでいたのでビックリです。
 そこで、株元の小枝を大きくしたい一心で、株元から上を切ってみました。

 基本、問題はありません。切られた上部は挿し木しています。

画像の説明

 8月の下旬、当初3芽だったのが10芽にも増え、葉も大きくなってきました。
 今後の生育が楽しみです。
 このような根や茎を肥大させた多肉植物を総称して「コーデックス(塊根植物)」と呼び、最近の人気植物です。

 
 多肉植物は2~3年前から注目を集め始めました。

画像の説明

 私が最初に紹介したのが2002年の春のガーデニングショウでの多肉植物のタペストリーで、「なんの植物?」からのスタートでした。
 当時、多肉植物自体が珍しいものだったのでしょうか?
 残念ながら~ウケることはなかったですね(笑)。
 最近は、以前の多肉植物はもちろんのこと、ユニークでワイルドな姿の多肉植物が紹介されるようになりました。
 鉢で盆栽のように育てる「ちょっと風変わりな姿の植物」が注目されています。
 私はアデニウムしか育てていませんが、園芸店やネットでも購入可能です。
 姿形で選んでも構いませんが、どの季節に生育するタイプなのか~は調べてから購入しましょうね。
 ※生育タイプとは:多肉植物は、冬に元気に育つタイプや夏に元気に育つタイプなど、タイプによって生育が異なります。

【アデニウムの場合】

  • 生育期:
    • 春から真夏、秋。
  • 置き場所:
    • 日の当たる、風通しの良い場所。アデニウムは日を好みます。
  • 水やり:
    • 鉢の大きさなどにもよりますが、真夏だと3日に1回程度。鉢底から流れ出るまで与えます(土の表面が乾いてから様子を見て、乾燥気味で育てましょう)。
    • やりすぎの場合は株元がブヨブヨしてきて枯れてしまう場合もあります。
    • やらなさすぎの場合は干からびて枯れてしまいます。
  • 肥料:
    • 生育期間中に、置肥(粒状肥料)もしくは月に2回程度、通常より薄めにした液体肥料を水やり替わりに与えます。
  • 植え替え:
    • 5月~8月くらいに行います。
    • 用土は観葉植物の用土や多肉用の用土。もしくは赤玉土(小粒)4:腐葉土6をブレンドして使用します。
  • 増やし方:
    • 挿し木か種まきです。生育期間中ならいつでも可能です。
    • ただし挿し木の場合は、アデニウムの特徴である株元の肥大が期待できないかと思います。
    • 挿し穂は、切り口を3日ほど乾かしてから挿し木用の用土に挿します。

 10月を過ぎたら室内に取り込むか(カーテン越しの日の当たる場所)、ベランダや軒下の雨風の当たらない比較的暖かい場所に移動させ冬越しをさせます。8℃を下回ってくると、葉を落とし休眠状態に入ります。この場合は一切水を与えません。落葉しない場合は10日に1回程度水やりし肥料などは与えません(水やりに関しては10月以降気温が下がってきたら回数を減らしていきましょう)。
 室内に取り込んだものは、今までの管理を続けます。
 管理自体はとても簡単です。
 あとは、多肉コーデックスの生育タイプをしっかり理解して育てましょう。

※以前ご紹介しました「アデニウム」のページはこちら(←クリック)です。



 今年も猛暑です。8月には気温上昇で40℃を超える地域もありました。夜も気温が下がらず、窓から熱風が入ってくるような異常事態です。
 ゲリラ豪雨は降ると困りものですが、通常の降雨や夕立なら熱くなった地面や建物を少しでも冷やしてくれる役目があると思っています。
 夏は「毎年猛暑」になると思っていて間違いないでしょう。暑さを踏まえての草花や植物選びも必要になってきます。
 今は、花壇やコンテナの草花もくたびれていることでしょう。水やりも大変だと思いますが、今しばらく頑張って管理を行いましょう。
 枯れてしまった草花は取り除き、植替えは涼しくなってからにしましょう。
 どうしても管理をしなくてはいけない場合は、朝早くかもしくは夕方、少し気温が下がり始めた頃に行いましょう。また出来れば一人での作業は避けて、複数(密は避けて)で行いましょう。
 無理はしないでくださいね!

(2020/09/01掲載) 

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