花のコーナー 2022年04月
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花のコーナー
御園 和穂##
2022年04月 春の花木
やっと春らしくなってきました。
3月は、急に気温が上がり日中は初夏を思わせる陽気だったり、暖かくなったと思っていると気温が下がって冬に逆戻りしたり、春はなんて不安定なのでしょう。
このような不安定な中でも植物は気温の変化を敏感に感じ取り、新芽の準備をきちんと行っています。
4月、新しい年度の始まりです。大きく環境が変わる方、新社会人、新学期、もちろん今まで通りの方もいます。
新しいスタートです。気持ちを入れ替えて!一年頑張っていきましょう。
先日、ミモザの花束を頂きました。

思いがけないプレゼントに「花束を頂いたの~」と周辺に自慢してしまいました。
私は、花をプレゼントすることが大好きですが、残念ながら頂く事は殆どありませんでした。
何気なく渡されると嬉しさ倍増ですね~💛
今回は、頂いた花「ミモザ」から紹介しましょう。以前も紹介しましたが、今が旬です。(バックナンバー2014年2月ミモザ)
フサアカシア

学名:Acacia baileyana
マメ科ネムノキ属の常緑高木
原産地:オーストラリア原産
別名:ミモザ、フサアカシア
開花時期:2月~4月
フサアカシアはギンヨウアカシアと並んで「ミモザ」と呼ばれています。
ミモザとは、本来はマメ科オジギソウ属の総称ですが、当初、オジギソウの葉とフサアカシアの葉がよく似ていたことから誤って表記されたようです。
現在では「オジギソウのようなアカシア」という意味で「ミモザアカシア」と呼ばれています。
日本では、アカシアというと「ニセアカシア」、ミモザというと「フサアカシアやギンヨウアカシア」を指します。
知っておいて!「フサアカシア」は樹高15m近くまで達する高木です。
私たちが公園などで目にするミモザはフサアカシアではなく、比較的コンパクトに育つギンヨウアカシアが一般的です。
庭植えで育てたい場合はギンヨウアカシアをお勧めします。
ちなみに見分け方は~
フサアカシアは樹高10~15m程度に。ギンヨウアカシアは5~6m程度。
また、葉の色や形が少し異なります。

左写真:フサアカシア
右写真:ギンヨウアカシア
一番の見分け方は、花の開花時期が異なります。
フサアカシアは2月~3月に、ギンヨウアカシアは3月~4月に開花します。
姿形はよく似ていますが、見分けは付きそうですね。
2月後半から3月に入ると、枝全体が黄色い花房でいっぱいになり、えも言われぬ芳香を放ちます。

ミモザは香水の原料になります。「パウダリーのような」香りと表記されています。
具体的には香りをどのように説明したものでしょうか。
個人的には「昔のお母さんのおしろいの香り」+「青臭さ」をブレンドしたよう香りだと思うのですが~表現はできません。ご自分で嗅いでみてください。
梅や桃の花が咲くころ、「早春」にはほど遠いイメージですが、ミモザが咲き始めると「春がくる~」感じですね。

ミモザは花木として観賞される以外にも、切り花や枝を使ってリース、スワッグなどでも楽しめます。
ドライにすると鮮やかな黄色が少しくすんだ感じになりますが、自然な感じで素敵ですよ。
開花後は葉を楽しみます。特にギンヨウアカシアは白っぽい灰色でシルバーリーフとして活用できます。
《育て方》
栽培環境:日当たりがよく水はけの良い場所を好みます。出来れば強風の当たりにくい場所が望ましいです(枝が折れやすいため)。関東以西ならば戸外で栽培可能です。
水やり:庭植えの場合、根付いてしまえばほぼ降雨のみで大丈夫です。鉢植えの場合、用土の表面が乾いたらタップリと水を与えましょう。
肥料:マメ科植物なので、自らチッソを作る事が出来るので特別に必要としません。
植替え・植付け:適期は4月~9月です。真夏は避けましょう。
※基本移植を嫌います。植替えの場合、根鉢は大きく掘り取り根を傷めないようにしましょう。鉢植えの場合、根鉢は崩さず植替えます。
剪定:適期は花後から7月上旬です。花芽分化は7月下旬から8月いっぱい、と覚えておくと良いでしょう。9月以降の剪定は枝抜き程度にしましょう。
とても生育の早い樹木です。台風や強風で枝も折れやすいので、適切な植付けの場所を選び、剪定をきちんと施しながら育てましょう。

花後には、豆のようなサヤがぶら下がります。これが「種」です。
サヤの中には黒い種が入っています。
サヤが弾ける前に採取し、黒い種は秋に播種します(覆土あり)。
種まきは1粒ずつ、ビニールポットに播種した方が後々の管理が容易です。
1か月くらいで発芽します。

ベランダなどの比較的暖かく強風の当たらない場所で冬を越させます。春から元気に生育していきます。秋には50~60㎝に育つと思います。上手に育てられたら~次に年の春に開花するかもしれませんよ。

3/8は国連が制定した「国際女性デー」といって女性の政治的自由と平等を訴える日です。イタリアでは「女性の日」として、女性への日頃の感謝を込めて、男性から女性にミモザの花を贈る習慣があります。日本でも「ミモザの日」とされ、女性にミモザの花を贈る習慣が定着しつつあるとか~
花を贈る習慣までは知りませんでしたが、花束のプレゼントはとても嬉しいものです。
是非、皆さんも大切な方に「花束のプレゼント」してみてはいかがですか。花瓶一つで春を満喫しました!
次は、ソメイヨシの前に開花するヨウコウザクラを紹介します。(バックナンバー2016年4月サクラ)
ヨウコウザクラ

学名:Cerasus ‘Yoko’
バラ科サクラ属 落葉広葉樹 高木
別名:ヨウコウ、ベニヨシノ
英名:Youkou
(japanese blooming cherry)
日本原産の交雑種のサクラです。
カワヅザクラの後に、ソメイヨシノより一足早く開花します。
花は紫がかった濃いピンクで、カワヅサクラに似ていますが、花の大きさが異なり、ヨウコウザクラの方が大きく目をひきます。
花は数輪まとまって垂れ下がるように開花します。葉は開花と同時もしくは少し遅れて展開します。
ヨウコウサクラの歴史は浅く、1981年に品種登録されました。

愛媛県在住の高岡正明氏によって、アマギヨシノ(天城吉野)とカンヒザクラ(寒緋桜)を交雑させて作出した栽培品種です。
映画『陽光桜』をご覧になった方も多いかと思います。
元教師だった愛媛の高岡正明さんが、戦死した多くの教え子に捧げた桜で、30年をかけて作出された品種です。
改良に改良を重ね寒さや暑さに強い品種を作り出し、戦場に散った教え子の元に「平和のシンボル」として日本だけでなく海外にも植樹されました。
ソメイヨシより少し早く開花し、花は一重で大輪で鮮やかなピンク色が特徴のとてもとても美しいサクラです。
改めて、ヨウコウザクラの由来を知ると見方が変わります。
すでに花は終わり、ソメイヨシも終盤を迎えていますが、来年の早春には再び開花します。その時には思い出して愛でてくださいね。
花木は時期になると開花し、私たちに季節を知らせ、そして楽しませてくれます。
昨年、夏は猛暑、秋は長雨でいつまでも気温が高く、11月中旬から気温も下がり寒い冬でした。
雨が少なく、植物にとっては1年を通して過酷な天候だったのではないでしょうか。3月に入って、樹木の傷みに関する相談も多くありました。

そんな中でも、多くの植物は新芽を吹き花を咲かせます。
我が家のベランダの隅でも花が咲き始めました。昨年、夏の猛暑と水やりを忘れてしまい、葉が茶色くなってしまった「ニオイスミレ」。
放置されていたにも関わらず、根までは枯れてなかったようで~新しい葉を展開させてたくさんの花を咲かせ良い香りを放ってくれています。
ちょっぴり嬉しい!ですが、手をかけていなかったことに反省です。
とはいえ、やはり「春」はわくわくする季節ですね。
コロナ感染予防も日常生活の一部になったのではありませんか。引き続き気を引き締めていきましょう。
世の中の情勢に皆さんも心穏やかではないと思います。戦争の実体験はありませんが、自分に何ができるのか考える機会を与えられたように思います。早く穏やかな生活がおくれますように、祈るばかりです。
これから花盛りの季節到来です。
ガーデナーの皆さんも忙しくなりますね。体調管理も仕事の1つです。
無理のないスタートをきりましょう!
(2022/04/01掲載)