オランダ
 9月上旬は厳しい暑さが続きますが、後半になるとようやく「秋らしい」気候になってきます。
 今年も梅雨明け以降、毎日35℃を越える猛暑が続き、節電をしながら、7月・8月、雨が降れば大雨で被害が起こったりと、ここ数年「ただ暑い夏」ではないようです。
 暑い中、人間がグッタリするように、植物も生育はもちろんの事、花を咲かせなくしたり、と自衛本能が働きます。
 この場合、植物が枯れていなければ、少し涼しくなると再び生育を始め花も咲かせますのでご安心を。
 涼しい季節が待ち遠しいですね!

 今回は、趣向を変えて植物の事ではなく、ガーデンやナーセリーのお話をする事にしましょう。
 今年は10年に一度の花の祭典「フロリアード※」の開催年です。
    ※フロリアード:10年に一度開催される「国際的な花の祭典」です。
     世界100カ国以上からの出展があるフラワーショーです。
 開催地はオランダ・フェンローというドイツ国境近くの地方都市です。すでに行かれた方もいらっしゃるかも知れませんね。
 実は・・・、「フロリアードへ行こう」と計画をしたのですが、諸事情で計画変更し、ガーデンデザイナーの自宅の庭やオランダ地方の有名なガーデンやナーセリー、庭園の中の美術館、雑誌に紹介されていない場所等を見て廻る事にしました。

 まずは少しだけ「オランダ」の事を知っておきましょう。
 オランダはオランダ王国の構成国の一つ。国名はネーデルランド(Nederland)で俗称ホーランド(Holland)と呼ばれています。
 首都はアムステルダムですが、政治の中心は王宮や国会の所在地であるデン・ハーグになります。ヨーロッパ北西部に位置し、東はドイツ、南はベルギーと国境を接し、北と西は北海に面しています。
 気候は暖流の北大西洋海流の影響を受け、高緯度ですが温暖な西海岸性気候に属します。世界第9位の天然ガス産出国、他はチーズ、チューリップ、風車が知られています。芸術家ではゴッホやフェルメール、レンブラントまたミッフィーの作者ディック・ブルーナーなどが有名です。
 国土の四分の一が海抜0m以下にあり、水との生活は切っても切り離せない土地柄です。街中にはライン川が流れ、今でも川、運河を使った輸送船、渡し船、レジャーボートなど多く見ることが出来ます。
 また、治水事業に関しては一歩先を行く国です。

 今回はフランス経由でオランダへ入り、まずは最初の目的地になるアーネムという州都まで移動しました。

←シャルル・ド・ゴール空港内、オランダ行きゲートまでの移動途中の柱。
 ラッパスイセンが柱に描かれています。
 なんてお洒落なんでしょう〜
エルメスのウィンドウディズプレイ 「よい旅を!」Have a nice trip!
 このターミナルからヨーロッパ各地域へ出国です。
 海外へ行く際は、いつも以上に時間を有効に使わないと「勿体無い」、私は貧乏じみていますが・・・
 今回も日本を夜の便で出発しフランスへは早朝着その後オランダへ。この時間帯なら、飛行機内で眠る事ができ、時差を感じることなく、到着後丸々一日が有効に使えます。
 まだ飲食もお店も開いてませんが、少しだけウィンドウショッピング。

(今年の夏以降は動物と花の組み合わせのようですね、たぶん・・・)

 アムステルダム・スキポール空港からタクシーで移動、アーネムに入ります。
 アーネムはライン川に沿った庭園都市・公園都市とも呼ばれている美しい町です。
 余談ですが、第二次世界大戦中、町の南側ライン川にかかる鉄橋(ジョン・フロスト橋)はアーネムの戦い(マーケット・ガーデン作戦)を描いた『遠すぎた橋』パラシュート旅団の舞台になった場所なんですよ。

アーネムの街中

切花の店頭(ヒマワリ、シャクヤク、チューリップ等)
50本単位 日本円で1000円程

川沿いはブナの並木

店舗入口・チューリップの切花(黄色の部分)
街並みは緑も多く、店舗、通路、路地等あらゆる場所に「花」が飾ってあります。
 アーネムを起点としてユトレヒトへ移動し、ヘットロー(Het Loo)からスタートです。
 ヘットローはオランダ最大の国立公園で通称「ゴッホの森」とも呼ばれている、オランダ王室縁の宮殿です。公園内は自転車を利用して湖や森、ヒース野原などが散策できます。
 現在も一部は皇室の王女一家が住まわれていますが、多くの部分は博物館として一般公開されています。






まずは一般道から少し中に入り大きな建物がみえてきたら(↑写真左)、宮殿の入口かな?と思いきや車回しで、ゲート前でチケットを購入(写真中央)し、初めて大きな門をくぐります。(写真右)
 歩くこと5分〜10分程、建物を通り抜けると中庭が現れます。(Queen's or Princess's Garden)
 フランス式平面幾何学庭園が広がり、周囲は果樹による壁面への仕立て樹が全体を覆っています。
 洋ナシ、りんご、プラム、イチジクと様々な果樹が並んでいます。
 かんきつ類は鉢での生育、幾何学模様を描いている低木類はボックスウッドです。
 さらに進むと本庭園が姿を現します。(The flowerbeds)
 中央にカナル(運河)を通し、各所に噴水がありバッカス(Bacchus)の像などが設置されています。  主庭園も平面幾何学模様と芝生と草花の組み合わせで、アイリス、ナデシコ、スイセンノウ、ケシ、クリスマスローズ、マリーゴールド、バラ類などが植えられています。
 最盛期は6月下旬からでこれからが見頃でしょう。(訪問は6月13日でした)
広大な敷地の中で、建物・樹木・草花・水等、整然とした美しさは心落ち着く場所を提供してくれているようです。

 丁度、管理の真っ最中でもありました。これは、どこでも同じ見慣れた風景なのですが・・・
 剪定、掃除・片付けが終わると、いきなりスプリンクラーが回りだし灌水です。ボヤーっと見ていたら「水の洗礼」を受けてしまいました。 日本との違いは、誰も謝罪にはこなくて、遠くから笑われてしまいました。
 主庭園は、全体にすり鉢の中の庭園風になっていて、周囲の法面は芝生で覆われています。
 芝を刈っていたのですが、トラクターのような車両の横からアームが伸びて、「法面専用の芝刈り機」のようです。
 特別な技術がいるのでしょうか?
オランダ最大の国立公園ですから、機械も特別のようです。

 中庭、主庭をさらに進んでいくと「柱の回廊」があります。
 柱の回廊の周囲は鉢物植栽が並び、ヤシ類やアメリカデイゴ、アガベなどが並びます。冬の寒い時期の移動を考えての配置と育て方なのでしょうか。
 鉢物植物が沢山あっても、植物選びの統一感や葉の色合い、葉の姿形など全体がまとまりスッキリ見えるのは言うまでもありません。
 所々に見られる、噴水や水の溜まる場所などでは、水が湧き出る部分が貝殻などで細工されています。よく見なければ見落としてしまいそうな細工なのですが・・この遊び心が粋です。よね!?(私は・・・)
 その先はさらに深い森になっています。

 自転車で散策したかったのですが、時間が・・・。またの機会があればゆっくり過ごしてみたいものです。
 初夏も良いですが、夏の終わりから秋にかけて訪れると、「残暑」のないカラリとした「素敵なバカンス」を過ごせそうな場所ですよ。

 ヘットローの庭園を後にして、次に回った場所は・・・
 ヘット・ホッグ・ランドです。
 ここは、ホームレスの人に職業訓練を行い、自立支援をするために作られた、農園とナーセリーです。
 職業訓練で作物や植物の育て方を学びます。実際に建物の周囲にある農地で実践しながら育てた植物を販売しています。

 ナーセリー内は植物とその説明書がきちんと掲示されていて、購入しやすいようになっています。
 多肉植物の12cm程(4号鉢程度)で6ポットが1セット、約500円程度、紫の花が咲いているシシリンチューム(庭セキショウ)15cm程(5号鉢程度)で1ポット約600円。日本に比べるととても安いですね。
 6月の中旬なので、アジサイやアガパンサスなどこれから咲き始める植物が一杯ありました。
 鉢や培養土も十分に用意されています。また、お店の中もお洒落で、お茶を飲みながら一息いれて、さらにお買い物が出来るように、ゆったりしたスペースが設けられています。
室内の方には、インパチェンスやペチュニア、ナデシコなど(写真は撮れませんでしたが)の植物が所狭しと並べられています。
 お店の片隅に置いてあった、水溜め用のタンクです。(写真中央の樽型)
 225g入る樽で、おへそのような栓の部分にホースがセットできるようになっていて、少し高い位置に設置して使うそうです。ちなみに1万7000円程度。
 どこの国でも植物を育てるには「水」は不可欠ですが、やはり「水」の確保は大変のようです。
 残念ながら植物を購入する訳にもいきませんので、そろそろ次の場所へと移動します。
 
 さて、今回はここまで。
 次回は、世界中から注目されているガーデンデザイナーのピートオドルフ氏のご自宅とナーセリー、ビンガーデン等をご紹介いたします。

 オランダの6月は白夜で、夕方の6時といってもまだまだ明るく、夜10時を過ぎるとやっと暗くなります。
 気候は日本の3月下旬くらいでしょうか? 朝晩は肌寒いのですが、日中は薄手のコートを羽織る程度の過ごしやすさです。  「日が長い」と言うのは良い事なのでしょうか?
 歩き廻っても汗をかかない程度に良い季節だったので、ついついあちらこちらと、ウロウロしてしまいました。
 オランダ・アーネムから出発の一日目が終わりました。

御園 和穂  

(12/09/01掲載)  

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