花のコーナー 2021年08月
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花のコーナー
御園 和穂##
2021年08月 ヒマワリとメキシコヒマワリ
暑中お見舞い申し上げます。
今年は例年より早く梅雨入りし、少し早く梅雨が明けました。
梅雨明けと同時に抜けるような青空とさすような日差しに、すでに暑さに慣れたつもりの体もぐったりです。
暑い夏がやってきましたね。
花壇の草花も、幾分元気が無いように見えます。
これからの管理は水やり中心ですが、花柄摘みと合わせて切り戻しを行い、草花の風通しを良くしましょう。
9月以降、再び元気に花を咲かせるための一手間です。涼しい時間を選んで行ってみてください!
今回は、この季節の花の「ヒマワリ」から紹介します(2009年5月にも紹介)。
ヒマワリ
学名:Helianthus annuus L.
キク科の一年草
原産地:北アメリカ
英名:Sunflower
和名:ヒマワリ(向日葵)
ヒマワリの歴史は、紀元前1500年頃からインディアンの食用作物として栽培されていた頃に遡ります。
当時の食べ方は、種をつぶしお菓子やパンの生地として使用したり、肉などの食材にヒマワリの種を混ぜて、生だけでなく焼いて調理もしていたようです。
また、種を絞り、焼く際の「油」としても使用していたのではないかと考えられています。合わせて、ヒマワリは食用だけでなく染料や薬としても使用されていたようです。
コロンブスがアメリカ大陸を発見した後、1500年代中頃にスペインの医師によってヨーロッパに持ち込まれ、スペイン王国植物園で栽培が始まり、その後、フランス、イギリス、ロシアへとヒマワリは拡がっていきました。
当時は「インディアンの太陽の花」「ペルーの黄金の花」と呼ばれ、ペルーでは、ヒマワリは太陽神の象徴として大切にされ国花にもなっています。
日本へは、ヨーロッパから中国経由で1660年代後半に伝来しました。
当時は乾燥した種子を用いたその薬草として導入されました。
当初は「丈菊(ジョウギク)」と呼ばれ、その後、生育過程で花茎が動くことから「日廻り(ひまわり)」そして「向日葵」と呼ばれるようになりました。
現在、ヒマワリは観賞用だけでなく、種を絞って搾油されたヒマワリ油を利用したり、煎って種の中身を食べたりします。
食用以外では、ハムスターや小鳥の餌、葉や茎は動物の飼料として使用されています。
近年では、休耕地を利用してたくさんのヒマワリを育てた「ひまわり畑」も話題になっています。
北九州市でも若松有毛地域で「ひまわり畑」を見ることが出来ます。
秋から春まで「若松キャベツ」をつくり、その後、「ヒマワリ畑」に変身。現在満開状態です。
若松のヒマワリは「※緑肥」として土の中に漉き込まれます。
※緑肥とは:新鮮な緑色植物を田畑に漉き込んで肥料にすること。
代表的な植物はイネ科やマメ科の植物。ヒマワリはキク科の植物だが土壌の菌根菌
を増やし、後作の作物のリン酸吸収を促し、深根性のため土壌の透水性改善効果が
高い。
緑肥としての役割を果たしながら、農地の景観力アップにも一役買っているヒマワリですね。
観賞用ヒマワリは、草丈30㎝程度のわい性品種から3mを超えるロシアヒマワリ、切り花用など様々な品種があります。
わい性品種や切り花用において、花粉が出ないよう品種改良されているものもあります。
一部の品種はポット苗で流通しますが、種を蒔いて育てることもできます。種は比較的大きいので蒔きやすく、簡単に育てられます。
播種にあたっての注意点は~
播種時期は気温が20℃~25℃と比較的高めになってからです。
基本は直蒔きです。高性種の場合は間隔を50~60cm、普通種で20~30cm程空けて種を蒔きます。
ヒマワリの種は光を嫌うタイプなので、地表より1~2㎝土の中に埋め込んでくださいね。
ポット苗から植付ける際は、ポットから苗を取り出すときに根を切らないように注意をします。
ヒマワリは直根性なので移植を嫌います。よって、育てる場所を決めてから作業を行いましょうね。
現在、ヒマワリはたくさんの品種があります。
昔ながらの大型種(ロシアンタイプ)は、学校や公園の花壇でよく見かけます。開花し始めると「夏休みがくるな~」と感じるのは私だけでしょうね(笑)。
その他では、背の低いわい性種でたくさんの花を付けるタイプがあります。
私はまだ育てたことはありませんが、「1本の株から100個の花を咲かせる」というラベルが付いている品種もありました。
小型種は、黄色一色ではなくミドリやオレンジ、レモン色、濃いエンジ色や黒っぽいものまで様々です。
花壇花でも楽しめますが、切り花での活用が増えたことで多くの品種が作られたのかも知れません。
特徴のある品種を花壇花としても積極的に取り入れて楽しみたいですね。
それともう一つ紹介します。
ヒマワリではないけど、名前にヒマワリと付いているヒマワリみたいな植物です。
メキシコヒマワリ
学名:Tithonia rotundifolia
キク科 ニトベギク科 一年草
原産地:中央アメリカ
英名:Mexican sunflower
和名:メキシコヒマワリ、チトニア(学名から)
草丈は100cm~150cmと高く、横にも広がる大型の植物です。夏から秋にかけてオレンジ色の花が咲きます。
実際にはヒマワリの仲間ではありませんが、英名のMexican sunflower(メキシコヒマワリ)から、そのように呼ばれているようです。
中央アメリカ原産の草花で、古代アステカ帝国の国花だったとも言われています。
葉は長い卵型でギザギザが入ります。花茎は中空で柔らかい毛で覆われています。
株は直立し上部で枝分かれして花を咲かせます。花後には枯れてしまう一年草です。
元は草丈3~5mになるコウテイヒマワリの園芸品種で、草丈が1~1.5mほどのわい性種も見ることが出来ます。
【育て方】
- 栽培環境
日当たりと水はけの良い場所を好みます。
強い風が当たる場所は避けてください。
- 繁殖方法
種で増やします。
播種時期は4~5月。夜間の温度が10℃を下回らなくなったら蒔き時。移植を嫌いますので、花壇や庭先にじかに蒔くか、黒ポットに2~3粒を蒔き、間引きしながら本葉が4~5枚展開したらポットから崩さないように取り出して植付けます。
播種後は土をかけて発芽するまで乾かないようにします。
植付け間隔は50~60cmは空けてください。
- 水やりと肥料
土の表面が乾いたら水をタップリと与えます。
肥料はあまり要りません。特にチッソ分の多い肥料を与えると葉が茂って花が咲きにくくなるので注意しましょう。
- 育てるポイント
本葉が7~8枚の頃に芽の先を摘むと脇芽から3~4本伸びて花数が増えます。
摘まない場合は先端に1つ花を付けます。多くの花を楽しみたければ!
1回開花したら切り戻しを行います。枝を短くしておくと低い位置から脇芽が伸びて、ある程度草丈を抑えることも可能です。
切り花でも楽しめます。
(切り花の場合は切り口を焼いてあげると水揚げがよくなる)
晩秋に入ると枯れてきます。
翌年も咲かせたいのであれば、花後、種が熟すまで放置してから採取します。
種は固めで尖っています。指に当たったりすると少し痛いかもしれません。気を付けて!
採取後は茶封筒に入れて冷暗所にて保管します。
来春、播種しましょう。
近年の暑い夏に元気に開花する貴重な花の一つです。花壇花とは少し役割が異なりますが、背の高いタイプは植付け場所を選んで、わい性種は花壇の後方に配置することで、長く楽しむことができそうですね。
来年の花壇用の1つに加えてみては如何でしょうか。お勧めです!
今年は「東京オリンピック」が開催されています。
皆様もテレビに釘付けなのではないでしょうか?どの種目が気になりますか?
私は様々な種目を見ますが、もう一つ気になるのは、「ビクトリーブーケ」です。
今回は、東日本大震災からの復興への思いが込められたオリンピックで、ブーケも同様です。
被災地から届いた花による素晴らしいビクトリーブーケと聞いておりました。
福島県のトルコギキョウ、ナリコラン、宮城県のヒマワリ、岩手県のリンドウ、東京のハランです。
震災復興の地域の生産植物と、震災時に避難出来なかった方を忍んで高台に植えられたヒマワリだそうです。
8月後半から開催される「東京パラリンピック」は、ヒマワリの代わりに宮城県のバラが彩られるそうです。
真夏のブーケは製作も大変です。適温で傷まない状態で選手の皆様の元まで届くことを! 是非、見てくださいね。
もうしばらくは、猛暑とお付き合いです。
人と人との間隔が空いていて話もしなければマスクを外しても良いのでは~とも思っています。
自分の体調に合わせて無理の無い作業を進めてくださいね。
また、出来れば一人で作業はせず、複数の方で声をかけながら!朝晩の涼しい時間を活用してくださいね!
(2021/08/03掲載)